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29.頼って欲しい
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私はマティアスと会った翌日、体調が悪くて学園を休んだ。
どうやら本当に風邪をひいてしまったらしい。
ハーラルトともマティアスとも会わない口実になるので風邪をひいてしまった事を良かったと思っていた。
先延ばしにした所で問題解決になる訳ではない事は分かっている。
だけど今は二人に会う勇気が私には無かった。
ハーラルトの事は好き。
だけどマティスの気持ちを知ってしまい彼を拒絶することが出来ない。
どうすれば良いんだろう……と、何度も頭の中で考えた。
あの時、マティアスの気持ちを知った時に私の答えはもう出ていたのかもしれない。
だからその気持ちをどう伝えるかを必死に考えていた。
きっと、どんな言葉を使っても傷つけてしまう。
だけど伝えなければいけない。
私は熱に魘されながら考えていたらいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
再び意識を取り戻すと全身汗でぐっしょり濡れていて気持ちが悪かった。
ゆっくりと目を開けると心配そうに私の顔を見つめているハーラルトと視線が合った。
「リリー、…体は大丈夫?」
「どう…して…?」
目を覚ましたら何故かハーラルトがすぐ傍にいて私は驚いた。
私は辺りをキョロキョロと見渡した。
だけどそこはいつもの見慣れた自分の部屋だった。
それならば…これは夢…?
私がそんなことを考えているとハーラルトの掌が私の額に触れた。
その時しっかりとハーラルトの手の感触が伝わり、これが夢ではないんだと言う事に気付いた。
「熱は…まだ少しあるね」
「……いつから…いたんですか?」
熱のせいで私の顔は赤く、目も少し潤んでいた。
そんな顔でハーラルトを見つめるとハーラルトは優しく微笑みながら私の頭を柔らかく撫でてくれた。
「リリーが目覚める少し前かな…。本当はすぐに帰ろうと思ったんだけど…リリーの魘されてる顔を見たらなんだかほっとけなくてね…気付いたら長居してしまったみたいだ」
ハーラルトは自嘲する様に小さく笑った。
「……心配かけて…ごめんなさい」
私はハーラルトに心配をかけてしまった事を申し訳なく思っていた。
「すごい汗かいてるみたいだし、体…拭こうか?…気持ち悪いだろう…?」
「…あっ…だめっ!」
ハーラルトは私の布団を捲り、横に置いてあったタオルを手に取った。
私はとっさに声を上げて叫んでしまった。
「リリー…?」
「……ごめんなさいっ…」
今の私の体を見られたら、昨日マティアスに痕を残されたのがばれてしまう。
ハーラルトに裏切ったと思われるのが怖くてたまらなかった。
私の目からは涙が溢れた。
「リリー…どうした?…どこか痛むのか?」
突然私が泣き出したことにハーラルトは少し動揺し心配そうに私に声を掛けた。
私はその問いかけに、ただ首を横に振った。
「……昨日、何かあった?」
「……っ……」
ハーラルトは小さくそう言うと、私はドキッとして思わず俯いてしまった。
そして布団をぎゅっと握りしめた。
「リリー、悪いな。…少し脱がすよ」
「いやっ…!!」
ハーラルトは静かにそう言うと私の服に手を伸ばした。
そして上半身が露わになり、私の白い肌に浮かぶ鮮明な赤い痕を見てハーラルトは僅かに眉を顰めた。
「これ…僕が付けたものじゃないよね…?」
「……ごめんなさいっ…」
ハーラルトは小さな声で呟いた。
私の目からは溢れる程に涙が零れ、謝る事しか出来なかった。
こんな姿ハーラルトにだけは見られたくなかった。
私は怖くてハーラルトの顔を見ることが出来なかった。
「……リリー…ごめん。僕も付いて行くべきだった」
「え……?」
ハーラルトは突然私の事を強く抱きしめた。
そしてハーラルトの苦痛の様な声が聞こえた。
「こうなる事を予想していなかった訳じゃないんだ。だけど彼に負い目を感じて…判断を誤った。こんな事になるのなら一人で行かせるべきじゃなかった」
「……怒って…ないの?」
「怒ってるよ。リリーを一人で行かせてしまった…自分にね」
ハーラルトは押し殺す様に低い声で小さく言った。
「……痕は付けられたけど…最後まではしてない…よ。マティアスはきっとぎりぎりの所で私の為に耐えてくれたんだと思う。私は…そんなマティアスの気持ちにも気付かなくて…自分勝手なことばっかり考えてて…。酷い事を言ってマティアスの事を沢山傷付けた…。そんな自分が…大嫌いっ……」
私は震えた声で話始めた。
「ハル…ごめん。私…このままマティアスの事をそのままにしておくなんて出来ないっ…。自分勝手な事を言ってるのは分かってる…だけどっ……ずっと私だけを見て来てくれたマティアスの事を……これ以上裏切るなんて…無理だよ。だから……私の事は…もう……」
涙で視界が揺れて、声も震える。
私は弱弱しい力でハーラルトの胸を押し返した。
こんな言葉を伝えたくなんて無かった。
今でも私はハーラルトの事が好きだから。
「リリーの気持ちは良く分かった。彼の事を放っておけない事も…ね。だけど僕はリリーの事を手放すつもりはないよ。やっと手に入れたんだ…。彼がリリーの事を思っていたのと同じように僕もずっとリリーの事だけを見て来た。だからリリーが本気で僕の事を嫌いになるまでは絶対に離さないって決めたんだ…。もしリリーが彼に抱かれていたとしても同じことを言っていたと思うよ。だから……そんなに辛そうな声で、僕から離れるなんて言わないで」
ハーラルトは落ち着いた声で話すと、熱と涙で真っ赤に染まった私の顔を優しい表情で見つめた。
「……ハルっ…好き…本当は…離れたくなんてないよっ…」
私はハーラルトの言葉で胸の奥が熱くなると、もう嘘は付けなかった。
ぐちゃぐちゃに歪んだ顔で心の声を言葉に出して伝えると、ハーラルトは小さく笑ってそのまま私の事を抱きしめた。
「知ってる。だから僕の前ではそんな顔をしてまで嘘は付かなくていいよ。これからの事、二人で考えよう」
どうやら本当に風邪をひいてしまったらしい。
ハーラルトともマティアスとも会わない口実になるので風邪をひいてしまった事を良かったと思っていた。
先延ばしにした所で問題解決になる訳ではない事は分かっている。
だけど今は二人に会う勇気が私には無かった。
ハーラルトの事は好き。
だけどマティスの気持ちを知ってしまい彼を拒絶することが出来ない。
どうすれば良いんだろう……と、何度も頭の中で考えた。
あの時、マティアスの気持ちを知った時に私の答えはもう出ていたのかもしれない。
だからその気持ちをどう伝えるかを必死に考えていた。
きっと、どんな言葉を使っても傷つけてしまう。
だけど伝えなければいけない。
私は熱に魘されながら考えていたらいつの間にか眠ってしまっていたらしい。
再び意識を取り戻すと全身汗でぐっしょり濡れていて気持ちが悪かった。
ゆっくりと目を開けると心配そうに私の顔を見つめているハーラルトと視線が合った。
「リリー、…体は大丈夫?」
「どう…して…?」
目を覚ましたら何故かハーラルトがすぐ傍にいて私は驚いた。
私は辺りをキョロキョロと見渡した。
だけどそこはいつもの見慣れた自分の部屋だった。
それならば…これは夢…?
私がそんなことを考えているとハーラルトの掌が私の額に触れた。
その時しっかりとハーラルトの手の感触が伝わり、これが夢ではないんだと言う事に気付いた。
「熱は…まだ少しあるね」
「……いつから…いたんですか?」
熱のせいで私の顔は赤く、目も少し潤んでいた。
そんな顔でハーラルトを見つめるとハーラルトは優しく微笑みながら私の頭を柔らかく撫でてくれた。
「リリーが目覚める少し前かな…。本当はすぐに帰ろうと思ったんだけど…リリーの魘されてる顔を見たらなんだかほっとけなくてね…気付いたら長居してしまったみたいだ」
ハーラルトは自嘲する様に小さく笑った。
「……心配かけて…ごめんなさい」
私はハーラルトに心配をかけてしまった事を申し訳なく思っていた。
「すごい汗かいてるみたいだし、体…拭こうか?…気持ち悪いだろう…?」
「…あっ…だめっ!」
ハーラルトは私の布団を捲り、横に置いてあったタオルを手に取った。
私はとっさに声を上げて叫んでしまった。
「リリー…?」
「……ごめんなさいっ…」
今の私の体を見られたら、昨日マティアスに痕を残されたのがばれてしまう。
ハーラルトに裏切ったと思われるのが怖くてたまらなかった。
私の目からは涙が溢れた。
「リリー…どうした?…どこか痛むのか?」
突然私が泣き出したことにハーラルトは少し動揺し心配そうに私に声を掛けた。
私はその問いかけに、ただ首を横に振った。
「……昨日、何かあった?」
「……っ……」
ハーラルトは小さくそう言うと、私はドキッとして思わず俯いてしまった。
そして布団をぎゅっと握りしめた。
「リリー、悪いな。…少し脱がすよ」
「いやっ…!!」
ハーラルトは静かにそう言うと私の服に手を伸ばした。
そして上半身が露わになり、私の白い肌に浮かぶ鮮明な赤い痕を見てハーラルトは僅かに眉を顰めた。
「これ…僕が付けたものじゃないよね…?」
「……ごめんなさいっ…」
ハーラルトは小さな声で呟いた。
私の目からは溢れる程に涙が零れ、謝る事しか出来なかった。
こんな姿ハーラルトにだけは見られたくなかった。
私は怖くてハーラルトの顔を見ることが出来なかった。
「……リリー…ごめん。僕も付いて行くべきだった」
「え……?」
ハーラルトは突然私の事を強く抱きしめた。
そしてハーラルトの苦痛の様な声が聞こえた。
「こうなる事を予想していなかった訳じゃないんだ。だけど彼に負い目を感じて…判断を誤った。こんな事になるのなら一人で行かせるべきじゃなかった」
「……怒って…ないの?」
「怒ってるよ。リリーを一人で行かせてしまった…自分にね」
ハーラルトは押し殺す様に低い声で小さく言った。
「……痕は付けられたけど…最後まではしてない…よ。マティアスはきっとぎりぎりの所で私の為に耐えてくれたんだと思う。私は…そんなマティアスの気持ちにも気付かなくて…自分勝手なことばっかり考えてて…。酷い事を言ってマティアスの事を沢山傷付けた…。そんな自分が…大嫌いっ……」
私は震えた声で話始めた。
「ハル…ごめん。私…このままマティアスの事をそのままにしておくなんて出来ないっ…。自分勝手な事を言ってるのは分かってる…だけどっ……ずっと私だけを見て来てくれたマティアスの事を……これ以上裏切るなんて…無理だよ。だから……私の事は…もう……」
涙で視界が揺れて、声も震える。
私は弱弱しい力でハーラルトの胸を押し返した。
こんな言葉を伝えたくなんて無かった。
今でも私はハーラルトの事が好きだから。
「リリーの気持ちは良く分かった。彼の事を放っておけない事も…ね。だけど僕はリリーの事を手放すつもりはないよ。やっと手に入れたんだ…。彼がリリーの事を思っていたのと同じように僕もずっとリリーの事だけを見て来た。だからリリーが本気で僕の事を嫌いになるまでは絶対に離さないって決めたんだ…。もしリリーが彼に抱かれていたとしても同じことを言っていたと思うよ。だから……そんなに辛そうな声で、僕から離れるなんて言わないで」
ハーラルトは落ち着いた声で話すと、熱と涙で真っ赤に染まった私の顔を優しい表情で見つめた。
「……ハルっ…好き…本当は…離れたくなんてないよっ…」
私はハーラルトの言葉で胸の奥が熱くなると、もう嘘は付けなかった。
ぐちゃぐちゃに歪んだ顔で心の声を言葉に出して伝えると、ハーラルトは小さく笑ってそのまま私の事を抱きしめた。
「知ってる。だから僕の前ではそんな顔をしてまで嘘は付かなくていいよ。これからの事、二人で考えよう」
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