素直になれない令嬢は幼馴染の重すぎる愛から逃げられない?【R18】

Rila

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第一章

8.離れていく者

昨日、初めてジェラルドとキスをしてしまった…。
その事を思い返すと、あの時の情景と感触が頭の中で蘇り、何度でもドキドキしてしまう。

(……私、ついにジェラルドとキスしちゃった…!毎日するって言っていたけど…今日もしてくれるのかなっ…。ああああ、どうしようっ!今からドキドキしてきちゃう…!で、でも…今日は私の方からした方が良いのかな?…驚いたジェラルドの姿…見てみたい気もする…)

私は頭の中で妄想を膨らませ、一人で百面相をしていると、怪訝そうな顔でロランが私の事を眺めている事に気付いた。

「お前、朝から気持ち悪いぞ…」
「……ロラン、いつの間にいたの?全然気付かなかった…」
私はその言葉を聞いて恥ずかしくなり、むっとロランを睨んだ。

(私…そんな気持ち悪い顔してた…?)

「俺は結構前からいたぞ?お前の事だから、どうせジェラルドとまた隣の席になれたことに浮かれていたんだろ?」
「…え?…あ…そう言えばそうだった!忘れてた…」

(そうだった…!今日からジェラルドとまた隣の席になれるんだ…。キスの事ばかり考えていたから…すっかり忘れてたけど、嬉しいな…)

「その事で嬉しそうにしていたんじゃなかったのかよ…」
「それも嬉しいよ…!そうだ…、ロランも変わってもらえば?」
私は何気なく答えた。

「俺は今のままでいいよ。別にお前の隣にいたいわけじゃないからな。シャルは隣にジェラルドさえいれば満足だろ?」
「……そんなことないっ!ロランとも一緒にいたいに決まっているじゃないっ!私達…いつも3人一緒だったし…」
私が悲しそうに答えると、ロランは面倒くさそうにため息を漏らした。

(ロラン…どうしてそんな事を言うの…?今日ちょっと…おかしい気がする…)

「お前のその『ずっと3人一緒』っていつまで続くんだ…?俺達はもう18で…子供じゃないんだ。いつまでも昔の様に一緒に居られる訳じゃない。お前は…、ここを卒業したらジェラルドと結婚するからいいけど、俺は離れて行く人間だ。俺もそろそろこれからの事を考えて行こうと思っていた所だし、丁度いい。お前のその3人一緒は卒業させてもらうよ」
「……え?」
私はロランの口から出た言葉に驚き、言葉を失った。

(何を…言っているの?ロラン…急にどうしちゃったの…?)

「俺、婚約者が出来たんだ。だからシャルといる所を見せて、彼女を不安にさせたくない。…分かってくれ」
ロランは真直ぐに私を見据えて落ち着いた声で呟いた。

(ついこの間まで婚約者なんて要らないって…言ってたよね?)

「……そう…なの?婚約者…って…あんなに嫌がってたのに?どうして急に考えが変わったの?」
ロランの言っていることが信じられなくて、私の声はどこか震えていたのかもしれない。

「言ったろ?俺もこれからのことを考える事にしたって…。そう言う事だよ…」
ロランは表情を変えず、静かにそう答えると自分の席へと移動していった。

私は頭の中が真っ白になり、放心状態にでもなったかの様にその場に立ち尽くしていた。

ロランに婚約者が出来て嬉しいはずなのに、私は素直に喜ぶことが出来なかった。
それはきっと、もう3人一緒には居られないと宣告されたことが余りにもショックだったのだろう。

どうして…こんなにも急にそんな事を言うの…?
どうして…私には何も相談してくれなかったの…?

私の中で一番本音で話し合える相手はロランだった。
だからロランの事を一番分かっているのは私だと、勝手に思い込んでいた。
でも…よくよく考えてみたら、いつも私ばかりが一方的に話していてロランの話をあまり聞こうとしていなかった気がする。

(私が…いつも自分の事ばかりだったから…ロランは私の事、嫌いになったのかな…)

突然ロランに切り捨てられたことに…私はただただ絶望するしかなかった。
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