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第一部
35.守りたいもの①-sideシレーネ-
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ローレンの家を出た後すぐにシリルの屋敷へと向かっていた。
私がシレーネ・ヘンディルである事、そしてアリアの件で話がしたいと伝えるとすぐに奥へと通して貰えた。
私の名前はシレーネ・ヘンディル
伯爵令嬢であり、実は転生者。
この世界が小説『紅の棘』だと気付いたのは幼い頃だった。
最初は信じられなかった。
自分がまさか小説の世界に転生してしまうなんて…。
しかも私はヒロインだった。
それならば私の行動次第では物語を変えることが出来るのではないかと思った。
私は親友のアリアを破滅の道になんて進ませたくなかった。
ローレンに対しては別に恋愛感情を持っている訳では無かったので、二人を応援してくっつけて3人でずっと仲良くいられる道に進みたいと思い行動に出ることにした。
幼い頃のアリアは原作通り気が強く、ローレンに対しては気持ちを隠す事もなく素直に伝えていた。
そんなアリアの姿を見ていると可愛くて微笑ましくてますます応援したくなった。
ローレンもそんなアリアの気持ちを嫌がることなく嬉しそうに受け取っていた。
私は時折ローレンに『アリアとローレンってお似合いだね』とか『二人は結婚するべきだよ』とか言ってアリアと上手くいくように陰でずっと応援し続けていた。
だけど18歳になった時、突然父に呼び出されローレンとの婚約が決まったと聞かされた時は頭の中が真っ白になった。
直ぐにローレンに会いに行って婚約を取りやめてもらうように頼んだけど、ローレンは自分の力ではどうにも出来ないと言った。
今回の私達の婚約はローレンの意思では無く、アレクシア公爵が決めたものだった。
やっぱり物語の強制力には勝てないのだろうか。
今まで自分がして来た事は全部無駄な努力だったんだろうかと落ち込んでいた。
だけどそれから少ししてアリアに会いに行くとまるで別人の様に変わっていた。
階段から落ちた衝撃で人格が変わってしまったなんて事はあるのだろうか。
そう思う位にアリアは変わっていた。
口調も柔らかくなり、傲慢さや我儘な所がきれいさっぱり消えていた。
そして何より驚いたのは私達の婚約の事を心から祝福してくれていたことだった。
あんなにもアリアはローレンの事が大好きだったはずなのに私達の婚約が決まるのと同時にアリアの気持ちも完全に冷めてしまった様に見えた。
私は二人が想い合っているのであればこのまま応援するつもりだったけど、意外な展開に進んでしまっていることに動揺が隠せなかった。
恐らくそう思っていたのは私だけではないはずだ。
その頃からだ、ローレンの態度がおかしくなっていったのは…。
ブツブツと日頃から独り言を言うようになり、持ち歩いている手帳にはアリアの行動が事細かにびっしり書かれていたり…更にはアリアの事が心配だからと人を使い監視させてみたり。
私にはアリアが使ってる全ての物を調べるように頼んできた。
最初はアリアの好みを知るためにそうしているのかと思っていた。
とにかくローレンの行動は日に日にエスカレートしていった。
この時のローレンはストーカーそのものの様に見えた。
そしてアリアがライズ殿下に誘われて課外活動をすることになった辺りからローレンは本性を出し始めた。
ローレンは私にも嫉妬をするようになり、何かと私に対して不満を言い始める様になった。
私は二人を応援している事を必死に伝え何度も説得した。
それでも中々伝わらなくて裏切ったら許さないと何度も脅された。
私はそれから怖くなりアリアを避ける様になってしまった。
本当はローレンから離れたかったけど、今私が離れてしまえばアリアを守れる者は誰もいなくなってしまう。
私はローレンをなんとかしてアリアから引き離す方法を考えた。
休日はローレンを呼んで作戦会議と言う事にしてアリアから遠ざける…そんな事位しか出来なかった。
あの時アリアに『騙されないで』と言ったのはそういう気持ちからだった。
ローレンはアリアに対して異常な程に執着している。
警戒してもらう為にそう伝えた。
だけどあの時の怯えたアリアの態度を見る限りアリアも何か気付いていたんだと思う。
だけどその後アリアは誘拐事件の被害者となってしまった。
それを聞いた時、私は何も考えられなくなった。
アリアが居なくなってしまったことを受け入れる事なんて出来なかった。
でもあの時何故かローレンは妙に落ち着いていた。
あんなに執着していたアリアが居なくなったのに…。
今思えばなんで気付かなかったんだろうと後悔してしまう。
私がもっと早く気付いていればアリアをすぐに助ける事が出来たかもしれない。
見抜けなかった自分が悔しくて堪らない。
そしてアリアと再会してローレンのした事を聞いた時は信じられなかった。
私は知らず知らずのうちにローレンの手助けをしていたことを知り震えが止まらなくなった。
アリアの部屋そっくりに作らせたのは、アリアの使っている家具や服、更には配置など事細かくローレンに私が教えてしまったからだ。
ローレンが異常な事に気付いていながら怖くて逆らう事が出来なかった。
そして私達が会っている事もまるで最初から知っているかのように突然目の前に現れた。
私は足止めをすることしか出来なかった。
だけどアリアにはシリルがいる、シリルならアリアを守ってくれると信じることにした。
そして今日、ローレンに大事な話があると呼ばれて屋敷に行けばアリアがいて驚いた。
アリアは望んでその場所に居た訳ではないこともすぐに分かった。
私とローレンの婚約が白紙になることは事前に父から知らされていたからいずれそうなることは知っていた。
元々私達はお互いに恋愛感情は一切持っていない。
婚約が白紙に戻る事にはショックを感じなかったけど、私との婚約が白紙に戻る事でローレンが更に暴走するんではないかと心配していた。
だけどそれは現実のものになってしまった。
アレクシア公爵が亡くなってまだ葬儀中だと言うのに、すぐにでもアリアと婚約をするとローレンは言い出した。
しかも明日…とか急過ぎる。
ローレンのアリアへの執着は異常だ。
もうアリアを助ける道は国外に逃がす事しかないと思った。
何処に居ても、何処に隠れてもローレンはアリアを見つけてしまう。
このままここにいたらアリアは一生ローレンから逃げる事なんて出来ない。
アリアがローレンとの結婚を望んでない以上、もうそれしか方法がない。
今頼れるのはシリルだけだ。
*****
「シレーネ嬢、良く来てくれたな」
部屋に通されると少し焦った顔のシリルがいた。
「アリアはローレンに捕まっています。早く助けないと…このままローレンと結婚させられてしまう…!私との婚約が白紙になりアレクシア公爵も居なくなってローレンを止められるものは何もなくなってしまった…。…もう時間が無いんです……お願いしますっ…アリアを助けてくださいっ…」
私は切迫した表情で伝えると深く頭を下げた。
「やっぱりそうか…。結婚って…どういう意味だ?」
「明日ローレンはアリアを連れてアリアの両親に会いに行くそうです。ローレンの事だから断れたら権力を使ってでも必ずアリアと婚約させると思います。もうそうなったら誰もローレンの暴走を止められる人はいない…だからその前に連れ戻さないと…取り返しのつかないことになる」
私は緊迫した面持ちで必死に説明した。
最後の砦だったアレクシア公爵もいなくなってしまった。
もうシリルしか頼める相手はいない。
私は転生者だ。
シリルは素性を隠しているが、隣国の王子である事は知っている。
だからこのままアリアを隣国で保護してもらえるようになんとか説得しなければ…。
「随分と強硬手段に出たな…。そういう話ならこちらも少し強引に出るしかないか。シレーネ嬢、協力してもらえるか?」
「勿論です!私に出来る事ならなんだってやります。アリアは私の大事な親友だから…」
私は力強く答えた。
こんな結末を迎えさせてしまったのは私の所為かもしれない。
私が二人を応援したことで、ローレンを過剰に意識させてしまった。
自分の所為でこうなったと思うと耐えられない気持ちになる。
だから私に出来ることはなんだって協力する。
アリアにだけ辛い思いなんてさせない。
私がシレーネ・ヘンディルである事、そしてアリアの件で話がしたいと伝えるとすぐに奥へと通して貰えた。
私の名前はシレーネ・ヘンディル
伯爵令嬢であり、実は転生者。
この世界が小説『紅の棘』だと気付いたのは幼い頃だった。
最初は信じられなかった。
自分がまさか小説の世界に転生してしまうなんて…。
しかも私はヒロインだった。
それならば私の行動次第では物語を変えることが出来るのではないかと思った。
私は親友のアリアを破滅の道になんて進ませたくなかった。
ローレンに対しては別に恋愛感情を持っている訳では無かったので、二人を応援してくっつけて3人でずっと仲良くいられる道に進みたいと思い行動に出ることにした。
幼い頃のアリアは原作通り気が強く、ローレンに対しては気持ちを隠す事もなく素直に伝えていた。
そんなアリアの姿を見ていると可愛くて微笑ましくてますます応援したくなった。
ローレンもそんなアリアの気持ちを嫌がることなく嬉しそうに受け取っていた。
私は時折ローレンに『アリアとローレンってお似合いだね』とか『二人は結婚するべきだよ』とか言ってアリアと上手くいくように陰でずっと応援し続けていた。
だけど18歳になった時、突然父に呼び出されローレンとの婚約が決まったと聞かされた時は頭の中が真っ白になった。
直ぐにローレンに会いに行って婚約を取りやめてもらうように頼んだけど、ローレンは自分の力ではどうにも出来ないと言った。
今回の私達の婚約はローレンの意思では無く、アレクシア公爵が決めたものだった。
やっぱり物語の強制力には勝てないのだろうか。
今まで自分がして来た事は全部無駄な努力だったんだろうかと落ち込んでいた。
だけどそれから少ししてアリアに会いに行くとまるで別人の様に変わっていた。
階段から落ちた衝撃で人格が変わってしまったなんて事はあるのだろうか。
そう思う位にアリアは変わっていた。
口調も柔らかくなり、傲慢さや我儘な所がきれいさっぱり消えていた。
そして何より驚いたのは私達の婚約の事を心から祝福してくれていたことだった。
あんなにもアリアはローレンの事が大好きだったはずなのに私達の婚約が決まるのと同時にアリアの気持ちも完全に冷めてしまった様に見えた。
私は二人が想い合っているのであればこのまま応援するつもりだったけど、意外な展開に進んでしまっていることに動揺が隠せなかった。
恐らくそう思っていたのは私だけではないはずだ。
その頃からだ、ローレンの態度がおかしくなっていったのは…。
ブツブツと日頃から独り言を言うようになり、持ち歩いている手帳にはアリアの行動が事細かにびっしり書かれていたり…更にはアリアの事が心配だからと人を使い監視させてみたり。
私にはアリアが使ってる全ての物を調べるように頼んできた。
最初はアリアの好みを知るためにそうしているのかと思っていた。
とにかくローレンの行動は日に日にエスカレートしていった。
この時のローレンはストーカーそのものの様に見えた。
そしてアリアがライズ殿下に誘われて課外活動をすることになった辺りからローレンは本性を出し始めた。
ローレンは私にも嫉妬をするようになり、何かと私に対して不満を言い始める様になった。
私は二人を応援している事を必死に伝え何度も説得した。
それでも中々伝わらなくて裏切ったら許さないと何度も脅された。
私はそれから怖くなりアリアを避ける様になってしまった。
本当はローレンから離れたかったけど、今私が離れてしまえばアリアを守れる者は誰もいなくなってしまう。
私はローレンをなんとかしてアリアから引き離す方法を考えた。
休日はローレンを呼んで作戦会議と言う事にしてアリアから遠ざける…そんな事位しか出来なかった。
あの時アリアに『騙されないで』と言ったのはそういう気持ちからだった。
ローレンはアリアに対して異常な程に執着している。
警戒してもらう為にそう伝えた。
だけどあの時の怯えたアリアの態度を見る限りアリアも何か気付いていたんだと思う。
だけどその後アリアは誘拐事件の被害者となってしまった。
それを聞いた時、私は何も考えられなくなった。
アリアが居なくなってしまったことを受け入れる事なんて出来なかった。
でもあの時何故かローレンは妙に落ち着いていた。
あんなに執着していたアリアが居なくなったのに…。
今思えばなんで気付かなかったんだろうと後悔してしまう。
私がもっと早く気付いていればアリアをすぐに助ける事が出来たかもしれない。
見抜けなかった自分が悔しくて堪らない。
そしてアリアと再会してローレンのした事を聞いた時は信じられなかった。
私は知らず知らずのうちにローレンの手助けをしていたことを知り震えが止まらなくなった。
アリアの部屋そっくりに作らせたのは、アリアの使っている家具や服、更には配置など事細かくローレンに私が教えてしまったからだ。
ローレンが異常な事に気付いていながら怖くて逆らう事が出来なかった。
そして私達が会っている事もまるで最初から知っているかのように突然目の前に現れた。
私は足止めをすることしか出来なかった。
だけどアリアにはシリルがいる、シリルならアリアを守ってくれると信じることにした。
そして今日、ローレンに大事な話があると呼ばれて屋敷に行けばアリアがいて驚いた。
アリアは望んでその場所に居た訳ではないこともすぐに分かった。
私とローレンの婚約が白紙になることは事前に父から知らされていたからいずれそうなることは知っていた。
元々私達はお互いに恋愛感情は一切持っていない。
婚約が白紙に戻る事にはショックを感じなかったけど、私との婚約が白紙に戻る事でローレンが更に暴走するんではないかと心配していた。
だけどそれは現実のものになってしまった。
アレクシア公爵が亡くなってまだ葬儀中だと言うのに、すぐにでもアリアと婚約をするとローレンは言い出した。
しかも明日…とか急過ぎる。
ローレンのアリアへの執着は異常だ。
もうアリアを助ける道は国外に逃がす事しかないと思った。
何処に居ても、何処に隠れてもローレンはアリアを見つけてしまう。
このままここにいたらアリアは一生ローレンから逃げる事なんて出来ない。
アリアがローレンとの結婚を望んでない以上、もうそれしか方法がない。
今頼れるのはシリルだけだ。
*****
「シレーネ嬢、良く来てくれたな」
部屋に通されると少し焦った顔のシリルがいた。
「アリアはローレンに捕まっています。早く助けないと…このままローレンと結婚させられてしまう…!私との婚約が白紙になりアレクシア公爵も居なくなってローレンを止められるものは何もなくなってしまった…。…もう時間が無いんです……お願いしますっ…アリアを助けてくださいっ…」
私は切迫した表情で伝えると深く頭を下げた。
「やっぱりそうか…。結婚って…どういう意味だ?」
「明日ローレンはアリアを連れてアリアの両親に会いに行くそうです。ローレンの事だから断れたら権力を使ってでも必ずアリアと婚約させると思います。もうそうなったら誰もローレンの暴走を止められる人はいない…だからその前に連れ戻さないと…取り返しのつかないことになる」
私は緊迫した面持ちで必死に説明した。
最後の砦だったアレクシア公爵もいなくなってしまった。
もうシリルしか頼める相手はいない。
私は転生者だ。
シリルは素性を隠しているが、隣国の王子である事は知っている。
だからこのままアリアを隣国で保護してもらえるようになんとか説得しなければ…。
「随分と強硬手段に出たな…。そういう話ならこちらも少し強引に出るしかないか。シレーネ嬢、協力してもらえるか?」
「勿論です!私に出来る事ならなんだってやります。アリアは私の大事な親友だから…」
私は力強く答えた。
こんな結末を迎えさせてしまったのは私の所為かもしれない。
私が二人を応援したことで、ローレンを過剰に意識させてしまった。
自分の所為でこうなったと思うと耐えられない気持ちになる。
だから私に出来ることはなんだって協力する。
アリアにだけ辛い思いなんてさせない。
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