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第二章:私の心を掻き乱さないでくださいっ!
63.公爵家へ行く①
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昨日は一睡も出来なかった。
だけど寝不足で出来た目の下の隈はメイクでしっかりカバーされているので、エルネストに気付かれることはないだろう。
今日は公爵家に行くと言うこともあり、身だしなみには十分気を遣っている。
普段外出する時はワンピースを着ることが多いのだけど、今日はドレスを身に纏っている。
もしかしたら公爵家の当主や、婦人と遭遇することもあるかもしれない。
そんな時質素な服を着ていては、受ける印象も変わってくるはずだ。
クラスメイトというよりは、アルシェ伯爵家の者として出向くという変なプレッシャーを父から与えられた。
ドレスを着ていくように勧めてきたのも父だった。
おかげで朝から準備に追われ、既に気疲れしてしまった。
(パーティーでも無いのに、ドレスだなんて。世の令嬢達は皆そうなのかしら)
鏡の中に映る、淡い黄色のドレスに包まれた自分の姿を見て、ため息を漏らした。
髪は両サイドを編んで貰い、下ろしたまま後ろで流している。
首元には小さな宝石の付いたペンダントを付けて貰った。
私は貴族達との交友関係をあまり持っていないため、パーティーに参加する機会も周りと比べたら少ない方だ。
それこそ王家主催のものしか殆ど参加したことが無い。
令嬢同士でのお茶会なんて初めてな気がする。
(イリアはともかく、イルメラ様と何を話したらいいんだろう……)
今まで全く話したことがないのに、何時間か一緒に過ごすなんて私に出来るのだろうか。
その間ずっと緊張した状態でいるのだと思うと、急に行くのが億劫に感じてしまう。
(行きたくないな……)
「お嬢様、エルネスト様がお越しになられました」
「……わかりました」
本当にエルネストが来たのだと思うと、更にため息が漏れてきてしまう。
たしかに傍にいてくれたら心強いけど、あのお茶会にエルネストが加わることで、重い空気になるのは必至だろう。
(待たせてはいけないし、行こう)
私はそう決意すると、部屋を出てエルネストの待つ応接間へと向かった。
***
扉をトントンと叩き「フェリシアです」と声を出すと、奥から「入りなさい」とお父様の声が響いた。
実は現在、父とは喧嘩中だったりする。
原因はエルネストとの婚約の話を私に隠していたからだ。
たしかに王家からの申し入れであれば、断ることが出来ないのは理解出来る。
だけど隠すのは些か納得がいかない。
もし事前に分かっていれば、この数日あんなにも心を悩ますことは無かっただろうし、その時間もっと別の事に使えたはずだ。
毎回恥ずかしい姿をエルネストに晒してしまうのは、半分はお父様の所為だ。
「失礼します」
「こんにちは、フェリシア。今日は一段と可憐な格好をしているね。凄く似合っているよ」
部屋に入るとすぐにエルネストと視線が合った。
彼は優しく微笑み、私のドレスを褒めてくれた。
そんな言葉を貰えるなんて思ってもいなかったので、急に照れてしまう。
「あ、ありがとうございますっ! あの、今日はわざわざ屋敷までお迎えに来て頂き感謝しています」
「ふふっ、そんなに緊張しなくてもいいよ」
「シア、いつまでもそんなところに突っ立ていないで、こちらに来なさい」
「……は、はいっ」
そうお父様に言われ、私はゆっくりと中央にあるソファーまで近づいた。
お父様とエルネストは対面するように座っていた。
喧嘩中ではあるがエルネストがいるので、今は何も無かったように振る舞うことにした。
そんな時、突然「フェリシア」とエルネストから名前を呼ばれた。
私は自然に彼へと視線を向けた。
「隣に座って」
「……っ」
私は戸惑ってしまい、父の方へと視線を向けた。
すると小さく頷いていたので「失礼します」と彼に告げると、隣へと腰を下ろした。
「エルネスト殿下、今日は娘に同行して頂き、心より感謝致します。この子は、あまり他の貴族の屋敷には行ったことがなくて、正直心配だったんです。聞けばあのエルデン公爵家と言うではないですか……」
「今日は私が彼女の傍に付いているので、安心してください。それにこれはフェリシアにとっても、良い機会なのかもしれない」
「どういう意味ですか?」
「私の婚約者に決まれば、貴族との交流は確実に増えていくからね。それこそ年上の人間を相手にすることが多くなる。だけど、いきなりそれでは慣れていないフェリシアには大変だと思うんだ」
エルネストの言葉を聞いて不安を感じてしまう
たしかに彼の言うとおりだ。
王族の婚約者となれば、それだけ公の場に出る機会も増えるだろうし、貴族同士の付き合いも大事になってくる。
「そこで彼女はちょうど良い相手だと思ったんだ。同年齢であるしクラスメイトだからね。多少のミスなら笑って誤魔化せば済むだろうし」
「そう思えるのはエルネスト様だけですっ……」
私が思わず苦笑いしていると、エルネストは私の手に触れてきた。
目の前に父がいるというのに全く気にする様子は無く、私は一人で戸惑ってしまう。
「そんなことはないよ。何か困ったことがあれば、すぐに私が対処するから。フェリシアは何も心配することはない」
「……っ」
エルネストはにっこりと清々しい程の笑みを見せてきたが、私の顔は引き攣っていた。
そもそも、私はそんなことを望んでいるわけではなかった。
(そうじゃない。私はただ、あまり波風を立てられたくないだけなのに。残りの学園生活、静かに過ごせたらそれで十分なんだけどな)
「それに、彼女は表面上では君と親しくしたいようだから、それを逆手にとって利用させて貰えば良い。とはいっても、相手は公爵令嬢だからね。慣れるまでは緊張するとは思うけど、慣れてしまえば今後他の貴族を相手にする時、かなり楽に感じるんじゃないかな?要するに、練習相手になって貰うってことだな」
(練習相手って……。そんな風に思えるのもエルネスト様だけですっ!)
私は文句を言いたくなったけど、目の前に父がいるのでぐっと言葉を呑み込んだ。
最近エルネストには突っ込んでしまう事が多いので、うっかり言ってしまいそうになるのを気を付けなければ。
王子に失礼な口を聞いていると知れたら、また父に何か言われそうだ。
エルネストは全く気にしていないようだから、二人の時は自然と言ってしまうのだけど。
そういう意味では、彼との壁は前ほど感じなくなったような気がする。
(昨日はキスもしちゃったし。しかも二回も……)
不意にそんなことを思い出すと顔の奥が熱くなってきたので、極力考えないようにした。
お父様の前でキスをしたことなんてこと、絶対に言えるはずが無い。
「はははっ、また面白い言い方をされますな」
「フェリシアを利用しようとする態度は気に入らないからね。それなら君だって遠慮無く利用したら良い」
「……ははっ」
お父様はおかしそうに笑っていた。
エルネストは当然の様にさらりと答えてきたので、私は引き攣った笑いで誤魔化した。
(もう、この話は終わりに欲しい。お父様がいるからすごく答えづらい! それにエルネスト様は、少し酷い気もするわ)
イルメラの気持ちを知っていながら、目の前で私にと親しくしている姿を見せたり。
彼女の気持ちを逆なでするような態度を取るから、今回私が巻き込まれることになってしまったのではないだろうか。
そしてこの後も何か企んでいそうで怖い。
(馬車の中で、説得しなきゃ……)
「エルネスト様、そろそろ行きませんか?」
「そうだね。それでは伯爵、フェリシアを暫くの間お借りします」
「娘のこと、どうかよろしくお願いします。シア、粗相が無いようにな」
「わ、分かっています」
いつまでもここにいたら私が気まずくなるだけなので、早々に話を切り出した。
エルネストはスッと立ち上がると、私の前に手を差し出してくれた。
私はドキドキしながらエルネストの手を取った。
前方からはお父様がニコニコした顔でこちらを見ている。
それがすごく気になって仕方が無い。
「早く行きましょうっ」
「ふふっ、そうだね」
この部屋を後にすると、漸く安心することが出来た。
だけどまだ完全に安堵することは出来ない。
今日は長い一日になりそうだ。
だけど寝不足で出来た目の下の隈はメイクでしっかりカバーされているので、エルネストに気付かれることはないだろう。
今日は公爵家に行くと言うこともあり、身だしなみには十分気を遣っている。
普段外出する時はワンピースを着ることが多いのだけど、今日はドレスを身に纏っている。
もしかしたら公爵家の当主や、婦人と遭遇することもあるかもしれない。
そんな時質素な服を着ていては、受ける印象も変わってくるはずだ。
クラスメイトというよりは、アルシェ伯爵家の者として出向くという変なプレッシャーを父から与えられた。
ドレスを着ていくように勧めてきたのも父だった。
おかげで朝から準備に追われ、既に気疲れしてしまった。
(パーティーでも無いのに、ドレスだなんて。世の令嬢達は皆そうなのかしら)
鏡の中に映る、淡い黄色のドレスに包まれた自分の姿を見て、ため息を漏らした。
髪は両サイドを編んで貰い、下ろしたまま後ろで流している。
首元には小さな宝石の付いたペンダントを付けて貰った。
私は貴族達との交友関係をあまり持っていないため、パーティーに参加する機会も周りと比べたら少ない方だ。
それこそ王家主催のものしか殆ど参加したことが無い。
令嬢同士でのお茶会なんて初めてな気がする。
(イリアはともかく、イルメラ様と何を話したらいいんだろう……)
今まで全く話したことがないのに、何時間か一緒に過ごすなんて私に出来るのだろうか。
その間ずっと緊張した状態でいるのだと思うと、急に行くのが億劫に感じてしまう。
(行きたくないな……)
「お嬢様、エルネスト様がお越しになられました」
「……わかりました」
本当にエルネストが来たのだと思うと、更にため息が漏れてきてしまう。
たしかに傍にいてくれたら心強いけど、あのお茶会にエルネストが加わることで、重い空気になるのは必至だろう。
(待たせてはいけないし、行こう)
私はそう決意すると、部屋を出てエルネストの待つ応接間へと向かった。
***
扉をトントンと叩き「フェリシアです」と声を出すと、奥から「入りなさい」とお父様の声が響いた。
実は現在、父とは喧嘩中だったりする。
原因はエルネストとの婚約の話を私に隠していたからだ。
たしかに王家からの申し入れであれば、断ることが出来ないのは理解出来る。
だけど隠すのは些か納得がいかない。
もし事前に分かっていれば、この数日あんなにも心を悩ますことは無かっただろうし、その時間もっと別の事に使えたはずだ。
毎回恥ずかしい姿をエルネストに晒してしまうのは、半分はお父様の所為だ。
「失礼します」
「こんにちは、フェリシア。今日は一段と可憐な格好をしているね。凄く似合っているよ」
部屋に入るとすぐにエルネストと視線が合った。
彼は優しく微笑み、私のドレスを褒めてくれた。
そんな言葉を貰えるなんて思ってもいなかったので、急に照れてしまう。
「あ、ありがとうございますっ! あの、今日はわざわざ屋敷までお迎えに来て頂き感謝しています」
「ふふっ、そんなに緊張しなくてもいいよ」
「シア、いつまでもそんなところに突っ立ていないで、こちらに来なさい」
「……は、はいっ」
そうお父様に言われ、私はゆっくりと中央にあるソファーまで近づいた。
お父様とエルネストは対面するように座っていた。
喧嘩中ではあるがエルネストがいるので、今は何も無かったように振る舞うことにした。
そんな時、突然「フェリシア」とエルネストから名前を呼ばれた。
私は自然に彼へと視線を向けた。
「隣に座って」
「……っ」
私は戸惑ってしまい、父の方へと視線を向けた。
すると小さく頷いていたので「失礼します」と彼に告げると、隣へと腰を下ろした。
「エルネスト殿下、今日は娘に同行して頂き、心より感謝致します。この子は、あまり他の貴族の屋敷には行ったことがなくて、正直心配だったんです。聞けばあのエルデン公爵家と言うではないですか……」
「今日は私が彼女の傍に付いているので、安心してください。それにこれはフェリシアにとっても、良い機会なのかもしれない」
「どういう意味ですか?」
「私の婚約者に決まれば、貴族との交流は確実に増えていくからね。それこそ年上の人間を相手にすることが多くなる。だけど、いきなりそれでは慣れていないフェリシアには大変だと思うんだ」
エルネストの言葉を聞いて不安を感じてしまう
たしかに彼の言うとおりだ。
王族の婚約者となれば、それだけ公の場に出る機会も増えるだろうし、貴族同士の付き合いも大事になってくる。
「そこで彼女はちょうど良い相手だと思ったんだ。同年齢であるしクラスメイトだからね。多少のミスなら笑って誤魔化せば済むだろうし」
「そう思えるのはエルネスト様だけですっ……」
私が思わず苦笑いしていると、エルネストは私の手に触れてきた。
目の前に父がいるというのに全く気にする様子は無く、私は一人で戸惑ってしまう。
「そんなことはないよ。何か困ったことがあれば、すぐに私が対処するから。フェリシアは何も心配することはない」
「……っ」
エルネストはにっこりと清々しい程の笑みを見せてきたが、私の顔は引き攣っていた。
そもそも、私はそんなことを望んでいるわけではなかった。
(そうじゃない。私はただ、あまり波風を立てられたくないだけなのに。残りの学園生活、静かに過ごせたらそれで十分なんだけどな)
「それに、彼女は表面上では君と親しくしたいようだから、それを逆手にとって利用させて貰えば良い。とはいっても、相手は公爵令嬢だからね。慣れるまでは緊張するとは思うけど、慣れてしまえば今後他の貴族を相手にする時、かなり楽に感じるんじゃないかな?要するに、練習相手になって貰うってことだな」
(練習相手って……。そんな風に思えるのもエルネスト様だけですっ!)
私は文句を言いたくなったけど、目の前に父がいるのでぐっと言葉を呑み込んだ。
最近エルネストには突っ込んでしまう事が多いので、うっかり言ってしまいそうになるのを気を付けなければ。
王子に失礼な口を聞いていると知れたら、また父に何か言われそうだ。
エルネストは全く気にしていないようだから、二人の時は自然と言ってしまうのだけど。
そういう意味では、彼との壁は前ほど感じなくなったような気がする。
(昨日はキスもしちゃったし。しかも二回も……)
不意にそんなことを思い出すと顔の奥が熱くなってきたので、極力考えないようにした。
お父様の前でキスをしたことなんてこと、絶対に言えるはずが無い。
「はははっ、また面白い言い方をされますな」
「フェリシアを利用しようとする態度は気に入らないからね。それなら君だって遠慮無く利用したら良い」
「……ははっ」
お父様はおかしそうに笑っていた。
エルネストは当然の様にさらりと答えてきたので、私は引き攣った笑いで誤魔化した。
(もう、この話は終わりに欲しい。お父様がいるからすごく答えづらい! それにエルネスト様は、少し酷い気もするわ)
イルメラの気持ちを知っていながら、目の前で私にと親しくしている姿を見せたり。
彼女の気持ちを逆なでするような態度を取るから、今回私が巻き込まれることになってしまったのではないだろうか。
そしてこの後も何か企んでいそうで怖い。
(馬車の中で、説得しなきゃ……)
「エルネスト様、そろそろ行きませんか?」
「そうだね。それでは伯爵、フェリシアを暫くの間お借りします」
「娘のこと、どうかよろしくお願いします。シア、粗相が無いようにな」
「わ、分かっています」
いつまでもここにいたら私が気まずくなるだけなので、早々に話を切り出した。
エルネストはスッと立ち上がると、私の前に手を差し出してくれた。
私はドキドキしながらエルネストの手を取った。
前方からはお父様がニコニコした顔でこちらを見ている。
それがすごく気になって仕方が無い。
「早く行きましょうっ」
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