49 / 54
渾身の右手
しおりを挟む
「実は今までの話しを聞いて一つだけそうではないかという物があります。断定はできませんが⋯」
お父様はマリリンさんに伝えた。
実は私も一つ有る、お父様と同じかは解らないけれど事前に話し合えばよかったと少し後悔した。
同じ考えならそれがこの場での交渉材料になるのだから。
でも真面目なお父様が人命に関わることで交渉をするかしら?
でも、でもまだ実際の流行り病は起きてはいないし。
「ほぅスチュート伯爵それは?」
「一つ確認ですが、そもそも離婚に関してはそこのリンデン公爵子息とうちのミランダによるものですが皆様おわかり頂けていますか?」
お父様の言葉に何をそんな当たり前のことをというようにどちらの国の王も頷いていた。
マリリンさんはこの場はお父様に譲ると決めたようだ、大人しくなった。
「それでは何故2国間の王がしゃしゃり出てきてるのでしょうか?」
うわぁお父様それは不敬です。
「なっ!スチュート伯爵それは不敬罪に問うぞ!」
セイシャル王が立ち上がりお父様に怒鳴ります、ですがそれを第二王子が止めていました。
「陛下、伯爵のご意見はご尤もです。本来なら貴族間の婚姻に口出しすべきではないとご承知でしょう」
セイシャル王は口を噤んだが直ぐに反論した。
「それならばノーマン王も口出しすべきでは無いだろう」
セイシャル王の言葉にノーマン王も何か反論仕掛けていたけれどセルトが止めて、お父様に手で促した。
「そういう事ではないのです、その元王妃様の件はあとに話して頂きたいと申し上げています。順序を違えないで頂きたいのです。私はスチュート伯爵家に生まれたときから薬師になるべく生きてきております、その矜持もあります。元王妃様の言われる事が真実であるならば、それは感情のものではないと考えられます」
「それは?」
セルトがお父様に問いました。
「物理的に助けることができなかったと考えます」
「「「「!」」」」
そこに居る皆がお父様をじっと見つめて続きの言葉を待ちます。
やはりお父様と私の考えは同じだったようです。
「その元王妃様が言うには私達がこちらに移住したことにより助けてもらえなかったということですよね。そこで私が考えたのはどんな理由があってもスチュートの家門でそんな事はありえない、今回私達はセイシャル王国のやり方に納得行かずに娘を守る為にノーマン王国の庇護を求めました、ですが一族全員がこちらに移住したわけではありません」
ここでお父様は少し大きめの深呼吸をしました。
「残った者の中にも薬師は居ますし薬草等も株分けをして持ち込みましたが薬草園事態もまだセイシャル王国に残っているのです、ミランダがこの先その流行り病に効く薬を作ったとしてもレシピを渡すだけでセイシャルでも作れるはずです、それが叶わなかったと言うならば⋯」
お父様はセイシャル王を見据えました。
「私共がこちらに移住したあと薬師と薬草園をそちらの国が害したということです」
「そうか!薬を作りたくても作れなかったということなのだろう?スチュート伯爵」
セルトがお父様の言わんとすることをなぞってくれました。
お父様は頷いて続きを話します。
「おそらく未知の流行り病に効く薬なのだとしたら希少な薬草を使ったと考えられます、そもそもが薬草などは新発見に至るものは殆どありません。今あるものの効能を鑑みて組み合わせ、薬にするのです。であるならばその希少な薬草は今もあるはずなのです。もしそれが足りなければいくら助けたくとも薬が作れないのだから助けることは叶いません」
「それではどうすればいいのだ」
セイシャル王がお父様に訊ねます。
するとマリリンさんが彼に言いました。
「まぁ王妃さんの話しでは其方さんが何らかの事をしたのは今後起こり得るんだろうのぅ、それがこの話し合いの決裂かもしれん。その腹いせにスチュート伯爵家の残った家門の人や薬草園を其方が害したなら、どうにもされんのぅ。だから離婚の件とこれとを結びつけるなと伯爵は言っておるのよ」
セイシャル王国側はやっとお父様の言ってることを理解してくれたようです。マリリンさんの言葉に頷きました。
「解った!離婚の話に我々は口を挟まない。そもそも白い結婚3年で本来なら離婚は成立している、リンデン公爵家に待ったをかけたのも王家だから、我々が口を挟まなければ何の問題もないということになる」
「フォッフォッそのとおりじゃセイシャルの王よ、横やりが、ちと多めだったようだの」
マリリンさんの言葉に第二王子がサミュエルの猿轡を外しました。
それを合図に私はサミュエルの目の前に直接行って伝えます。
最後だからちゃんと目を見て伝えたかったのです。
実のない結婚でしたがケジメのつもりでした。
「サミュエル様、私達はそもそも契約結婚でした。3年という期限を設けたのも貴方様です。それにこの大陸では白い結婚3年で双方の合意がなくとも離婚はできますので、私と離婚してください!」
「いっ嫌だぁ~!もう私には何も残ってないのだぞ!見捨てるつもりか!」
「は?」
私は怒りが沸々と湧いてきました。
この期に及んでなんという悪あがき!
私のことなどなんとも思っていないくせに、これ以上こんなアホに付き合いきれない!
私は渾身の右手でサミュエルの顎に鉄拳を食らわせました。
お父様はマリリンさんに伝えた。
実は私も一つ有る、お父様と同じかは解らないけれど事前に話し合えばよかったと少し後悔した。
同じ考えならそれがこの場での交渉材料になるのだから。
でも真面目なお父様が人命に関わることで交渉をするかしら?
でも、でもまだ実際の流行り病は起きてはいないし。
「ほぅスチュート伯爵それは?」
「一つ確認ですが、そもそも離婚に関してはそこのリンデン公爵子息とうちのミランダによるものですが皆様おわかり頂けていますか?」
お父様の言葉に何をそんな当たり前のことをというようにどちらの国の王も頷いていた。
マリリンさんはこの場はお父様に譲ると決めたようだ、大人しくなった。
「それでは何故2国間の王がしゃしゃり出てきてるのでしょうか?」
うわぁお父様それは不敬です。
「なっ!スチュート伯爵それは不敬罪に問うぞ!」
セイシャル王が立ち上がりお父様に怒鳴ります、ですがそれを第二王子が止めていました。
「陛下、伯爵のご意見はご尤もです。本来なら貴族間の婚姻に口出しすべきではないとご承知でしょう」
セイシャル王は口を噤んだが直ぐに反論した。
「それならばノーマン王も口出しすべきでは無いだろう」
セイシャル王の言葉にノーマン王も何か反論仕掛けていたけれどセルトが止めて、お父様に手で促した。
「そういう事ではないのです、その元王妃様の件はあとに話して頂きたいと申し上げています。順序を違えないで頂きたいのです。私はスチュート伯爵家に生まれたときから薬師になるべく生きてきております、その矜持もあります。元王妃様の言われる事が真実であるならば、それは感情のものではないと考えられます」
「それは?」
セルトがお父様に問いました。
「物理的に助けることができなかったと考えます」
「「「「!」」」」
そこに居る皆がお父様をじっと見つめて続きの言葉を待ちます。
やはりお父様と私の考えは同じだったようです。
「その元王妃様が言うには私達がこちらに移住したことにより助けてもらえなかったということですよね。そこで私が考えたのはどんな理由があってもスチュートの家門でそんな事はありえない、今回私達はセイシャル王国のやり方に納得行かずに娘を守る為にノーマン王国の庇護を求めました、ですが一族全員がこちらに移住したわけではありません」
ここでお父様は少し大きめの深呼吸をしました。
「残った者の中にも薬師は居ますし薬草等も株分けをして持ち込みましたが薬草園事態もまだセイシャル王国に残っているのです、ミランダがこの先その流行り病に効く薬を作ったとしてもレシピを渡すだけでセイシャルでも作れるはずです、それが叶わなかったと言うならば⋯」
お父様はセイシャル王を見据えました。
「私共がこちらに移住したあと薬師と薬草園をそちらの国が害したということです」
「そうか!薬を作りたくても作れなかったということなのだろう?スチュート伯爵」
セルトがお父様の言わんとすることをなぞってくれました。
お父様は頷いて続きを話します。
「おそらく未知の流行り病に効く薬なのだとしたら希少な薬草を使ったと考えられます、そもそもが薬草などは新発見に至るものは殆どありません。今あるものの効能を鑑みて組み合わせ、薬にするのです。であるならばその希少な薬草は今もあるはずなのです。もしそれが足りなければいくら助けたくとも薬が作れないのだから助けることは叶いません」
「それではどうすればいいのだ」
セイシャル王がお父様に訊ねます。
するとマリリンさんが彼に言いました。
「まぁ王妃さんの話しでは其方さんが何らかの事をしたのは今後起こり得るんだろうのぅ、それがこの話し合いの決裂かもしれん。その腹いせにスチュート伯爵家の残った家門の人や薬草園を其方が害したなら、どうにもされんのぅ。だから離婚の件とこれとを結びつけるなと伯爵は言っておるのよ」
セイシャル王国側はやっとお父様の言ってることを理解してくれたようです。マリリンさんの言葉に頷きました。
「解った!離婚の話に我々は口を挟まない。そもそも白い結婚3年で本来なら離婚は成立している、リンデン公爵家に待ったをかけたのも王家だから、我々が口を挟まなければ何の問題もないということになる」
「フォッフォッそのとおりじゃセイシャルの王よ、横やりが、ちと多めだったようだの」
マリリンさんの言葉に第二王子がサミュエルの猿轡を外しました。
それを合図に私はサミュエルの目の前に直接行って伝えます。
最後だからちゃんと目を見て伝えたかったのです。
実のない結婚でしたがケジメのつもりでした。
「サミュエル様、私達はそもそも契約結婚でした。3年という期限を設けたのも貴方様です。それにこの大陸では白い結婚3年で双方の合意がなくとも離婚はできますので、私と離婚してください!」
「いっ嫌だぁ~!もう私には何も残ってないのだぞ!見捨てるつもりか!」
「は?」
私は怒りが沸々と湧いてきました。
この期に及んでなんという悪あがき!
私のことなどなんとも思っていないくせに、これ以上こんなアホに付き合いきれない!
私は渾身の右手でサミュエルの顎に鉄拳を食らわせました。
262
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
愛する夫が目の前で別の女性と恋に落ちました。
ましゅぺちーの
恋愛
伯爵令嬢のアンジェは公爵家の嫡男であるアランに嫁いだ。
子はなかなかできなかったが、それでも仲の良い夫婦だった。
――彼女が現れるまでは。
二人が結婚して五年を迎えた記念パーティーでアランは若く美しい令嬢と恋に落ちてしまう。
それからアランは変わり、何かと彼女のことを優先するようになり……
白い結婚を告げようとした王子は、冷遇していた妻に恋をする
夏生 羽都
恋愛
ランゲル王国の王太子ヘンリックは結婚式を挙げた夜の寝室で、妻となったローゼリアに白い結婚を宣言する、
……つもりだった。
夫婦の寝室に姿を見せたヘンリックを待っていたのは、妻と同じ髪と瞳の色を持った見知らぬ美しい女性だった。
「『愛するマリーナのために、私はキミとは白い結婚とする』でしたか? 早くおっしゃってくださいな」
そう言って椅子に座っていた美しい女性は悠然と立ち上がる。
「そ、その声はっ、ローゼリア……なのか?」
女性の声を聞いた事で、ヘンリックはやっと彼女が自分の妻となったローゼリアなのだと気付いたのだが、驚きのあまり白い結婚を宣言する事も出来ずに逃げるように自分の部屋へと戻ってしまうのだった。
※こちらは「裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。」のIFストーリーです。
ヘンリック(王太子)が主役となります。
また、上記作品をお読みにならなくてもお楽しみ頂ける内容となっております。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
旦那様から彼女が身籠る間の妻でいて欲しいと言われたのでそうします。
クロユキ
恋愛
「君には悪いけど、彼女が身籠る間の妻でいて欲しい」
平民育ちのセリーヌは母親と二人で住んでいた。
セリーヌは、毎日花売りをしていた…そんなセリーヌの前に毎日花を買う一人の貴族の男性がセリーヌに求婚した。
結婚後の初夜には夫は部屋には来なかった…屋敷内に夫はいるがセリーヌは会えないまま数日が経っていた。
夫から呼び出されたセリーヌは式を上げて久しぶりに夫の顔を見たが隣には知らない女性が一緒にいた。
セリーヌは、この時初めて夫から聞かされた。
夫には愛人がいた。
愛人が身籠ればセリーヌは離婚を言い渡される…
誤字脱字があります。更新が不定期ですが読んで貰えましたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる