悲劇の令嬢の逆襲〜旦那様契約結婚の延長は致しません〜

maruko

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離婚成立

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私の右手はサミュエルの顎に綺麗に入ったようで彼は椅子ごと近くの騎士にぶつかりました。
騎士様ごめんあそばせ
ですが私の右手もかなり腫れております、というか痛いです。

痛む右手を押さえているとセルトがそっと包む様に持ち上げて驚愕しています。

「なんて無茶をするんだ!」

「はは、なんとなく?」

「誰か!治療を!侍医を呼べ!」

「待ってセルト」

セルトが慌てて侍医まで呼ぼうとしましたが私はやんわりとそれを止めました。
そして騎士に支えられているサミュエルの方へ私は向きました。
彼は顎を両手で押さえながらこちらに涙目で睨んでおりますが、少しも怖くありません。

「サミュエル様、最後はお互いに気持ちよくお別れしましょう」

「そんな事できるわけが無い、お前のせいで私は妻と子を失ったのだぞ」

まだ言うか!
と思いましたが、はて?妻はまぁ世間的には私ですがおそらく彼が言うのはエミリーナの事でしょう。
それは知ったことではないし文句はロットにでも言ってほしいところです。
ですが子はリンデン公爵家に引き取られたのではなかったでしょうか?
私が黙っているのをいい事にサミュエルはいかに自分が可哀想かを力説しているようでしたが、考え事をしていて頭に入っておりませんでした。

「子供は引き取ったのではないのですか?」

「お前は!だからさっきから言ってるじゃないか!どうして私の話しを聞いていないんだ!」

アララ何かを言っていたみたいでしたが私の疑問についても喚いていたようです。
その様子を見ていた第二王子が教えてくださいました。

「ミランダ嬢、彼の子は公爵夫妻が育てるそうだよ、サミュエルに任せておけないし子に育てるとリベンジを誓っていた」

その言葉に思わず吹き出してしまいました。

「サミュエル様それは自業自得というものです」

未だに騎士様に支えられているサミュエルに見下ろしながら答えると、彼は憎々しげに睨みます。
思えばずっと睨んでばかりですね彼は。

「それでは3年間⋯一応ありがとうございました」

お礼など言う必要があるのかと少し躊躇致しましたが、まぁこれも礼儀だと思い述べてからカーテシーをして背を向けました。

そして集まった皆様にも礼をしてマリリンさんに伝えます。

「これで私とサミュエル様は離婚が成立したと認めて頂けますか?」

「お嬢ちゃん充分充分!これで良いなセイシャルの王よ」

「こちらは異存はない。そのスチュート伯爵令嬢色々とすまなかった、其方のことを私達は振り回しすぎた。元后の分までこの通りだ」

セイシャル王が私に頭を下げられました。
一国の王の旋毛を初めて拝謁しましたが、これは有り難いと拝まなければならないのかしら?
少しも嬉しくありませんが。
ですが貴族に生まれたのであれば建前としてはお止めせねばいけませんね。
あ~面倒くさいですわ。

「陛下どうぞ頭をお上げくださいませ、勿体無い事にございます」

心の中で舌を出しながら私は労るようにセイシャル王に声をかけさせてもらいました。
するとセルトが私の背に手を回してポンポンと労ってくれます。
私の心中を察してくれたみたいです。

セイシャル王国は私を振り回していたのは事実ですから、彼らに遺恨しかありませんがもう既に過去の事です。
正直もう私には構わないで頂きたいのが本音です。

「私は下がってもよろしいですか?」

離婚も成立しましたし、あとは国同士の話しになると思われます。
スチュート伯爵家の進退などや庇護の件もお父様がいれば問題ないと思った私は再びマリリンさんに訊ねました。

「フォッフォッ嬢ちゃん離婚おめでとう。あとは婆とノーマン王に任せるが良い良い」

その言葉を聞いて安心した私は未だ泣いているサミュエルには目もくれず、座している皆様に優雅にカーテシーを披露してセルトのエスコートで部屋を出ていきました。


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