【本編完結】逃げるが価値

maruko

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34 バイオリー辺境伯

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叔父様が予約していたのはこの辺で唯一の食事処。
そこはビストロでしたが店主と旧知の仲らしく個室に通されました。
個室というよりここは店主の家では?
細かい所はあまり突っ込まないほうがよろしいですよね。
店主の折角のご厚意ですので疑問はスルーします。


しかしツッコミどころ満載の「この辺りの特産品です!」と給仕が並べたのは『お好み焼き』でした。

絶対『ターコせんべい』のお祖父様が広めたんだと思う。
元々キャベツの産地だと聞いたので間違いない!
あ~お会いしたかった。

ミナさんが『ターコせんべい』を自分の兄に力説しています。

貴族の晩餐のはずなのに男性がお義父様以外、騎士だという事が関係しているのかワイワイと話しながらの食事になって、お酒も入っていた為に話す内容が悪口のオンパレード。

男の人が前世の井戸端会議の様を思い出すように出るわ出るわ、前領主の悪口。

お義父様は物珍しそうに聞き役に徹しています。

叔父様はよっぽどバイオリー辺境伯が嫌いだったのでしょう。
まぁそれもそのはずです。
今のこの状況の原因を作った御方ですから。

でも人の不幸は蜜の味といいますが、聞いているうちに私も興味が湧いてきました。

そしてこんなに悪口言われてますがちょっとだけ同情もしちゃいます。

20年前にバイオリー辺境伯は前当主様のご病気の悪化と自身の婚姻の為に爵位を継承されました。

25歳だったそうです。
聡明で眉目秀麗、非の打ち所のない御方だったと言われていましたが、それは婚約者様を欺く為の真っ赤な嘘。

子供の頃から甘やかされて育った旧バイオリー辺境伯は傲慢で乱暴者。
自分より下に見るともう大変、偉そうにふんぞり返る御方だったので、周りの者は側にいるだけで日々鍛錬だったと生息吐息。
おや?どこかに似た方がいたような⋯⋯。
それはさておきこの地方一帯では苦言を呈すときの言葉があるそうですが、その言葉は⋯⋯。

精神を鍛えるならバイオリー辺境伯の側に。
親の言う事を聞かない子はバイオリー辺境伯の側に。
夜早く寝ない子はバイオリー辺境伯の側に。
家のお手伝いをしない悪い子はバイオリー辺境伯の側に。
嘘をついたらバイオリー辺境伯の側に。
雷がなったらバイオリー辺境伯にお臍を盗られるぞ⋯⋯。

ここまで来るとバイオリー辺境伯は地獄の魔王と同等の扱いです。
いや雷神か?

前世の「言うことを聞かない子は⋯⋯」と親が子供を叱るときに親の威厳でも手に負えない場合の、切り札と同等ですね。

怖いもの見たさで遠くからなら見てみたいです。

そんな御方だったので婚約者である伯爵家のご息女は「騙された」と結婚式で婚約破棄を突きつけ、自身の護衛騎士と隣国へ逃げたそうです。

結婚式に婚約破棄⋯⋯それはお気の毒ですが、お相手の方もお気の毒です。

辺境伯の性格がバレないように結婚式まで文通のみでの交流を強いられて実際にお会いしたのが式当日では、まぁだまし討と言われてもしょうがないですよね。

その式には旧バイオリー領の地方領主が一同に介し、近隣の領主もご招待していたそうで、その中で花嫁に逃げられるというプライドをズタズタにされた辺境伯は、傲慢な性格が災いし被害妄想を発揮されました、それが

「皆で私をあざ笑いバカにした、これは計画的な叛意だ」

何だそれ?ですよね。
勿論式に出席された方々は、辺境伯の勘違いを正そうと懸命に説得しましたが、意固地になった辺境伯は自身の部屋に引き篭もったそうです。

引き篭もったと言っても、ただ自分の仕事を放棄しただけですけど、普段からもしていなかったそうなので、それは特に問題はなかったのですが、問題はダムの鍵です。

何処に隠したのかは結局今でもわかっておりません。
ひょっとしたら失くしたんじゃ⋯⋯。

婚約破棄は気の毒ですが、領主としては最低です。
ダムの管理を怠った事で、何千人というバイオリー領の民を犠牲にしたのですから。

辺境伯は罰せられ、なんとここにあるの地下に未だに捕らえられたままだそうです。

爵位は病気で引退されていた前辺境伯に返されました。
前辺境伯は後継を定めず亡くなる時に王家に爵位返上されたということです。

問題の御方は、監視塔あそこにいるんですね。

言う事を聞かない子は⋯⋯⋯。

おぉ怖っ

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