【本編完結】逃げるが価値

maruko

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39 身内贔屓

カザール辺境伯邸を後にして私とお義父様はマルコス地方に戻る馬車の中

「想像以上にうまく行ったよ」

お義父様が顔を綻ばせます。

「お義父様、色々とありがとうございます」

私も綻んだ笑顔でお礼を述べます。

「気にしないでいいよ、さっきも言ったけどアルのためだからね。マイラ、君は自分が枷になってると思ってるんじゃないか?違うからな。その考えは間違ってる。全て私達の為なんだ」

お義父様、気を遣ってくださっています。

「気遣ったりしてないからな。アルは君がずっと好きだった、私達は知っていた。叶わぬ思いだということも。でもアルにチャンスが舞い込んだ、息子を愛する私達は彼を幸せにしたい。アルの幸せのためならば何でもするんだ。本来親とはそうしたものだと思っているんだ私は。アルの幸せが私達の幸せだ。君がアルの側にいてくれるのがアルの幸せならば全力でそれを応援する。その結果が君を助けることになるだけだよ。だから今回の私の行いはアルの為なんだから君が枷に思う必要はない。わかったかな?」

わかるけどわからない。
やっぱりお義父様は優しい人だ。
ここで私は自惚れてはいけない、お義父様は当たり前というけれど、それに容易く甘んじたら成長しない女になってしまう。

でもお義父様の気持ちが嬉しくて感謝を伝えたいけれどそれだと余計に気を使わせてしまう。
私は黙って頷くだけに留めておいた。

その頷きに満足したのか、するフリをしたのかはわからないけどお義父様は笑顔で「少し眠る」と言って目を閉じられた。

そういえば明け方までどんちゃん騒ぎで呑んでいらしたから眠いだろうなと苦笑している私なのでした。


. . 𖥧 𖥧 𖧧 ˒˒. . 𖡼.𖤣𖥧 ⠜ . . 𖥧 𖥧 𖧧 ˒˒. . 𖡼.𖤣𖥧 ⠜


本日は叔父様とお義父様は辺境伯邸へ行かれるそうです。
ミナさんのお兄様と師匠様はシルバー伯爵邸へ一旦お戻り。
そして私はサーラの案内でミナさんとバイカ伯爵邸へ向かいます。

「サーラ、伯父様は、あの、どういった方かしら?」

初めてお会いする事の叶う母の兄を想像してみるけれど容易には出てこなくてサーラに助けを求めてみた。

「旦那様は奥様ともジョルデ様とも似てはおられないかなとお見受けしております」

似てない!?
ますます想像できません。

「一言で申しますと真面目な方かと⋯仕える旦那様を分析したことなどないので⋯それ以上はなんとも申し上げることができませんが、ただ奥様の紹介状のみで私を快く引き受けてくださりお雇いくださいました。ジールはジョルデ様がお連れ下さいましたが、私は子供二人とこちらに来ましたので、正直、お邸に置いてくださるか不安ではありました。でも旦那様は直ぐに住居も用意してくださりそれからは、恙無くお勤めさせて頂いてます。今回もお嬢様に会いたいという個人的な事もお願いを聞いて頂けましたので、懐の深い方だと思います」

伯父様は真面目で懐の深い方、サーラの言葉に胸熱です。

自分の身内を褒められるのは照れくさいやら誇らしいやら。
前世、私の卒論が認められ在校生の参考資料にと1冊の本になった時、母が「照れくさいわね」と言った気持ちを今理解しました。

ミナさんがサーラにバイカ領の名産を尋ねます。
『ターコせんべい』と『お好み焼き』に嵌ってるミナさんはこの辺境地に何かを見出そうとしているのでしょうか?
それとも片っ端から名産を堪能したいのでしょうか?
まぁこの様子からおそらく後者でしょう。

「バイカ領の名産は硝子ですね。あちこちに工房がありますよ。ただ割れやすいのでカザール領地以外には大量の流出が難しいです。来られた方はお土産でいくつか購入されたりしてますのでお土産にいかがでしょうか?」

サーラはさり気なく宣伝しています。
当然ミナさんが喰いついてますね、私もシルバー邸の方々にお土産を⋯。

そこで考えました。
サラお義母様が提案してくれた行儀見習いの件をまだ叔父様達に話していなかった事を思い出します。

カザール辺境伯の養女になってから、それは叶うのでしょうか?
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