【本編完結】逃げるが価値

maruko

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42 愛人

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帰り道にバイカ地方の硝子細工を見る予定にしていたことを思いだして、ミナさんに提案してみましたが、ミナさんは軽く首を振って「真っ直ぐ帰りましょう」と言ってくれました。が、朝早く出てきているので「でもお腹も空いたでしょう?私も空いているの」というと、空腹を今思い出したのか、私のお腹がキューとなります。

馭者にお願いして少し街中に向かってもらいました。

バイカ伯爵領地は街中へ向かう道がまだ整備できてなくてお尻が少し痛くなってきて、痛いなと泣き言を言いたくなった所で馬車が止まります。

「ここで待ちますよ、一服したいので」御者のお爺さんがタバコを取り出し言いましたので「お土産期待してて」と返しミナさんと二人で屋台を目指します。

すると何処から現れたのか騎士様が二人付いてきます。

「護衛の方いらしたんですね」

「常にいますよ、旦那様がマイラ様を危険に晒すわけありませんからね。それにしても話しが通じない方でしたね」

ミナさんには珍しく悪口を言おうとされたので止めました。

「でも、侯爵家を飛び出してしまったのは貴族社会では恥に当たるでしょう。バイカ伯爵家に泥を塗ったと思われてもしょうがないし、実際塗ってしまったのかもしれないわ。そういうの男の方は苦手でしょう?奥様にも思うところがあったのだと思う。私が浅慮だったのね」

「そんな事はないと言い切れませんね、確かに男の人は噂とか軽視しますから、矢面に立たされるのは妻になってしまいますからね。マイラ様の言うことにも一理ありますよ。それでも初めてが訪ねてきたのに家政を取り仕切る奥様があれではいけません。マイラ様、アル様との結婚後、あんな奥様になってはいけませんよ」

「ミナさん!そんな先の話。今されても⋯⋯イヤだ、恥ずかしいです。それに⋯まだ今のところは何も解決できてないのに⋯⋯浮かれてしまいます」

「浮かれてください!それも全力でお手伝いいたします」

「フフフ、フッ、アハハハ」

「やっと笑ってくれました。さぁそれだけ笑えばあとはお腹を満たすのがお仕事ですよ。マイラ様は少し痩せすぎですね。沢山食べましょう」

貴族子女にあるまじき声を出しての笑いが自然と出てしまって口を押さえるのも忘れてしまってました。

そうね!落ち込むのはお終い。
さぁ何を食べようかな~

私とミナさんは小ぢんまりとしたカフェを見つけたのでそこで食べることにしました。

ミナさんは友達ではないけれど、学園にちょっとしか通ってなかった私は放課後に友人とこんな風に、カフェで寄り道なんてしてなかったし、アイラあねがよくカフェの話をしていて、とても羨ましかったのを思い出します。

カフェの中は満杯ではなかったけれど少しだけ混んでる様子
私達が通されたのは2階の奥の窓際の席でした。
上から見下ろす感じで行き交う人がよく眺められます。

「いい席へ案内してもらえましたね。初めてのお客だからかな?さぁマイラ様何を召し上がりますか?値段は気にしなくていいですよ!旦那様から沢山預かってきていますし、メニューのわからないものは私が説明させていただきますね」

お義父様がお小遣いを下さったみたいです。
ありがたいし、お腹がとても空いているので甘えることにします。
さて、『子羊ローストブラウンシチュー』って美味しそう。
それにこれは前世でも見覚えあるメニューなので中身もわかります。
これにしようかな、あとは⋯えっ!ミルフィーユって名前のメニューがあるけどデザートの欄ではないですね。
ミルフィーユ、ミルフィーユ、ミルフィーユって葉っぱって意味だと思うけど⋯⋯。
ミナさんに聞いてみると、これはお肉をクルクル巻いて重ねて焼き上げてるそうです。
へぇ~これも美味しそう。

迷います、でもやっぱり最初に目がいった子羊に決めましょう。

店員を呼んで注文したところで、私の斜め後ろの方で誰かが話しているのが聞こえます。

「ねぇ今日、旦那様の愛人が来るんでしょう」

「そうよ!しかも先触れまで出してるみたい、図々しいと思わない?アレン様もお怒りだったわよ。こんな屈辱奥様がお可哀想だって」

「でも、旦那様は真面目なお方だから、愛人なんて作らないと思っていたのに⋯がっかりね。男なんてそんなものかしら。旦那様は誠実だと思ってたのに」

「サーラが手引したんじゃないの?」

「まさか彼女は奥様のお気に入りでしょう、そんなことしたらクビになっちゃうわよ」

彼女達のお喋りはまだまだ続いてますが、私はミナさんと目を合わせて⋯⋯ミナさんも気づいたようです。

私、母のお兄様の愛人になっていました。
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