44 / 91
43 勘違い
しおりを挟む
後ろに座ってる彼女らはおそらくバイカ伯爵邸の使用人だと思われるのだけど、思ったよりも声が大きい。
本人たちはヒソヒソ話ししているつもりかもしれないけれど、この2階席は1階よりも狭い作りなので、おそらく2階席にいる彼女たち以外の客、数えてみたら4組。
7つのテーブルで4組。
これは周辺に広まるのも時間の問題。
どうしよう勘違いされてるのは心外だけど、この事が噂になるのはもっと望んでいないこと。
するとミナさんが立ち上がり、さりげない感じで彼女達の横を通り過ぎる間際にハンカチを落とします。
「落ちましたよ」
お喋りに夢中だったのにミナさんのハンカチには気づいて声をかけたみたい。
「まぁすみません、教えて頂いてありがとうございます」
ミナさんはそう言いながらしゃがんでハンカチを拾い立ち上がる寸前で教えてくれた彼女の耳元に何かを囁きにっこり笑ってお花を摘みに行きました。
途端に彼女たちはお喋りの話題を変更しています。
ミナさんの機転で助かりました。
彼女たちはこれ以上愛人のお話はしないと思います。
それにしてもなぜ勘違いしたかわかりませんが、あの伯爵邸にいた方達の態度の悪さは納得しました。
よりによって私が愛人。
母のお兄様夫婦は上手く行ってなかったのでしょうか?
サーラからは何も聞かされていません。
でもそんな事サーラが言うはずはないですね。
勤め先の醜聞など普通は話したりしないものですし、でも叔父様からも聞いてないし、私の困惑は堂々巡りです。
これは誤解をときに伯爵邸に戻るべきかこのまま帰るか悩みどころではあります。
暫くするとミナさんが戻ってきました。
「ありがとうございます」
私がお礼を述べるとニッコリ笑うミナさん。
ミナさんの笑顔を見るとホッとします。
ミナさんが再び座るのを見届けてから、窓越しから下を見ると護衛の騎士が真向かいの店の前で、何かを食べながらこちらを見ていました。
その様を見てホッと一息。
「馭者の方のお土産何にしましょうか?」
「う~ん、彼らと同じ物でいいのでは?あまり贅沢な物渡すと、食べ慣れないからお腹がびっくりするかも知れません」
同じように護衛の方たちを見ながらミナさんが私の呟きに答えます。
「フフフ愛人にされちゃいました」
「勘違いも甚だしい。マイラ様はちゃんと挨拶の時名乗っておられたのに、思い込みすぎて聞いていなかったのでは?」
「そうよね、私ちゃんとアルシェ侯爵の次女って言ったわよね。言えてなかったのかと自分を疑ってしまったわ」
そうなのです!
私きちんと名乗ってカーテシーしたんです。
バイカ伯爵の妻なら彼の妹の嫁ぎ先くらい把握しておかなければならないはずで、そこで気づかれなかったことに戸惑っています。
ミナさんが言うように思い込みで聞いていらっしゃらなかったのかも知れません。
私達が帰ったあとのサーラが気になります。
後ろの方々の話し振りではサーラは奥様のお気に入りみたいなので私への誤解を説いてくれるといいけれど、サーラが手引したなんて誤解をされてしまっては、それも叶わないばかりかサーラが窮地に追い込まれてしまいます。
それは耐えられません。
「サーラと連絡どうにか取れないかしら?」
「それならいい方法がありますよ」
ミナさんが私へウインクしながら手を上げて店員を呼びました。
本人たちはヒソヒソ話ししているつもりかもしれないけれど、この2階席は1階よりも狭い作りなので、おそらく2階席にいる彼女たち以外の客、数えてみたら4組。
7つのテーブルで4組。
これは周辺に広まるのも時間の問題。
どうしよう勘違いされてるのは心外だけど、この事が噂になるのはもっと望んでいないこと。
するとミナさんが立ち上がり、さりげない感じで彼女達の横を通り過ぎる間際にハンカチを落とします。
「落ちましたよ」
お喋りに夢中だったのにミナさんのハンカチには気づいて声をかけたみたい。
「まぁすみません、教えて頂いてありがとうございます」
ミナさんはそう言いながらしゃがんでハンカチを拾い立ち上がる寸前で教えてくれた彼女の耳元に何かを囁きにっこり笑ってお花を摘みに行きました。
途端に彼女たちはお喋りの話題を変更しています。
ミナさんの機転で助かりました。
彼女たちはこれ以上愛人のお話はしないと思います。
それにしてもなぜ勘違いしたかわかりませんが、あの伯爵邸にいた方達の態度の悪さは納得しました。
よりによって私が愛人。
母のお兄様夫婦は上手く行ってなかったのでしょうか?
サーラからは何も聞かされていません。
でもそんな事サーラが言うはずはないですね。
勤め先の醜聞など普通は話したりしないものですし、でも叔父様からも聞いてないし、私の困惑は堂々巡りです。
これは誤解をときに伯爵邸に戻るべきかこのまま帰るか悩みどころではあります。
暫くするとミナさんが戻ってきました。
「ありがとうございます」
私がお礼を述べるとニッコリ笑うミナさん。
ミナさんの笑顔を見るとホッとします。
ミナさんが再び座るのを見届けてから、窓越しから下を見ると護衛の騎士が真向かいの店の前で、何かを食べながらこちらを見ていました。
その様を見てホッと一息。
「馭者の方のお土産何にしましょうか?」
「う~ん、彼らと同じ物でいいのでは?あまり贅沢な物渡すと、食べ慣れないからお腹がびっくりするかも知れません」
同じように護衛の方たちを見ながらミナさんが私の呟きに答えます。
「フフフ愛人にされちゃいました」
「勘違いも甚だしい。マイラ様はちゃんと挨拶の時名乗っておられたのに、思い込みすぎて聞いていなかったのでは?」
「そうよね、私ちゃんとアルシェ侯爵の次女って言ったわよね。言えてなかったのかと自分を疑ってしまったわ」
そうなのです!
私きちんと名乗ってカーテシーしたんです。
バイカ伯爵の妻なら彼の妹の嫁ぎ先くらい把握しておかなければならないはずで、そこで気づかれなかったことに戸惑っています。
ミナさんが言うように思い込みで聞いていらっしゃらなかったのかも知れません。
私達が帰ったあとのサーラが気になります。
後ろの方々の話し振りではサーラは奥様のお気に入りみたいなので私への誤解を説いてくれるといいけれど、サーラが手引したなんて誤解をされてしまっては、それも叶わないばかりかサーラが窮地に追い込まれてしまいます。
それは耐えられません。
「サーラと連絡どうにか取れないかしら?」
「それならいい方法がありますよ」
ミナさんが私へウインクしながら手を上げて店員を呼びました。
807
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
愛を騙るな
篠月珪霞
恋愛
「王妃よ、そなた一体何が不満だというのだ」
「………」
「贅を尽くした食事、ドレス、宝石、アクセサリー、部屋の調度も最高品質のもの。王妃という地位も用意した。およそ世の女性が望むものすべてを手に入れているというのに、何が不満だというのだ!」
王妃は表情を変えない。何を言っても宥めてもすかしても脅しても変わらない王妃に、苛立った王は声を荒げる。
「何とか言わぬか! 不敬だぞ!」
「……でしたら、牢に入れるなり、処罰するなりお好きに」
「い、いや、それはできぬ」
「何故? 陛下の望むままなさればよろしい」
「余は、そなたを愛しているのだ。愛するものにそのような仕打ち、到底考えられぬ」
途端、王妃の嘲る笑い声が響く。
「畜生にも劣る陛下が、愛を騙るなどおこがましいですわね」
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる