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45 コイバナ
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宿屋で年頃の娘が二人
もうそれは修学旅行を思わせる程にワクワクドキドキの空間。恋話は必須アイテムでしょう。
並んだベッドに入ってから二人でお互いの恋の話。
私は一つしかありませんのでミナさんのお話に興味津々でしたが、ミナさんはなかなか口を割りません。
ただ一つ私とアルのように幼馴染のお話をしてくれたのですが、もしかしてそれを引きずっていらっしゃるのかしら?
それはとても切ないお話でした。
ミナさんの小さい子供の頃、6歳ごろのお話です。
いつも一緒に遊んでいた男の子。でもミナさんは素直になれず悪態ばかりをついていました。
本当は手を繋いだり、並んで座ったり、絵本を一緒に読んだり、夕暮れ時の雲を一緒に見たりしたかったそうです。
でもその男の子はそれらをミナさんとは別の女の子としていてミナさんの出る幕はなかった。
そういうお話でした。
せつない⋯⋯⋯。
「二人がその後どうなったのかなんて私は知らないんです。その男の子も女の子もどこの誰かも覚えていないんですよ。本当に淡い初恋です」
「今会えたらどうしますか?」
「今ですか?おそらく会えてもわからないと思いますけど、もしわかってもどうとも思わないと思います。ただ人間素直にならないと後悔するってことを学んだので、お礼は言うかもしれません」
「お礼ですか?」
「えぇ失恋を教えてくれてありがとう、ですかね」
「まぁ⋯⋯それは⋯」
「今でも簡単に悪態はつけるのです。時と場合というものを学びましたよフフフ」
ミナさんはやはりとても魅力的な方です。
そうこうしているうちに私はいつの間にか夢の中だったみたいです。
夜中に叔父様が到着したことも知らずにグッスリ寝ておりました。
◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇
次の日ミナさんに起こされて叔父様が夜中に来られた事を知りました。
幸いお隣が空いていたので隣の部屋で休んでいるみたいです。
遅い時間だったので昼食の時にお話ししようと伝言をもらいました。
午前中はミナさんと一緒にこの地の名産品、硝子細工を物色することにしました。
もし一緒に帰れなかったとしてもサラお義母様へのお土産を買いたかったからです。
マルクスとは違いこの辺りはお店の中まで入らないとどういったものがあるのかわかりません。
なのでミナさんが宿屋の店主に聞いてきたお店に行くことにしました。
そこには綺麗な硝子細工は所狭しと並べられ、正直手に取ると横の商品が落ちそうで怖いです。
「手に取って見ると重さもわかるし、どうぞお手にお取りください」
店主の方はとても親切そうに仰いますが私にとっては落とせと言われてるみたいで緊張します。
でもあまりにも勧めてくるので正直に言おうと思います。
「ご主人この並びでは私は怖くて手に取ることができません。もう少し間隔を空けるといいと思うのですがご検討頂けませんか?」
「えっ?キレイに並んでませんか?」
「それは⋯⋯はいとてもキレイですね。眺めるだけならこれでいいと思いますが、売ろうと思うならこれではいけません」
店主は暫く何かを考えていましたが、意を決したように話し始めます。
「お嬢さん、よかったら私に教えてくれませんか?実はこの店を最近継いだばかりなんですが、なかなか売れなくて、前店主は父だったのですが急死して何も教わっていないんです」
「まぁそうなのですね、お悔やみ申し上げます」
「いえ亡くなったのは1年前です。私は工房で作ってばかりでこちらは省みることなかったんですよ。だから父が亡くなったあとも、ここは放置していたんですが。最近遺品の中から日記を見つけて、ここを継ごうと決めたのです」
その店主様のお話では日記に息子と店を切り盛りするのがお父様の夢だと書いてあったみたいです。
お父様の気持ちを店主様は知らなくて只管作るのに没頭していたそうです。
生きているうちに叶えてあげられなかったので、せめて自分が継いで店を続けていくことがお父様の供養にもなるのではないかと考えて2ヶ月前に開けたそうですが、なかなか商品が売れずに困っていたみたい。
私は前世で雑貨屋のアルバイトをしていたことがあります。
ただのバイトなのでプロでも何でもないですが、お気の毒で、私の知ってる知識をお教えする事にしました。
売れるかどうかはわかりませんが、せめて来られた方が手に取って商品を扱えるようにしようと思います。
でも、今は営業中なので商品を大移動させるのは難しいので明日来ることを約束して店を後にします。
滞在が1日伸びることになりましたがミナさんも賛成してくれたので、店主様のお役に立てるように頑張ります。
ならばお土産はますますここで買いたいので明日購入することを決め、昼食で会える叔父様が待っている宿へ戻りました。
前世の事が役に立てるなら嬉しいな。
もうそれは修学旅行を思わせる程にワクワクドキドキの空間。恋話は必須アイテムでしょう。
並んだベッドに入ってから二人でお互いの恋の話。
私は一つしかありませんのでミナさんのお話に興味津々でしたが、ミナさんはなかなか口を割りません。
ただ一つ私とアルのように幼馴染のお話をしてくれたのですが、もしかしてそれを引きずっていらっしゃるのかしら?
それはとても切ないお話でした。
ミナさんの小さい子供の頃、6歳ごろのお話です。
いつも一緒に遊んでいた男の子。でもミナさんは素直になれず悪態ばかりをついていました。
本当は手を繋いだり、並んで座ったり、絵本を一緒に読んだり、夕暮れ時の雲を一緒に見たりしたかったそうです。
でもその男の子はそれらをミナさんとは別の女の子としていてミナさんの出る幕はなかった。
そういうお話でした。
せつない⋯⋯⋯。
「二人がその後どうなったのかなんて私は知らないんです。その男の子も女の子もどこの誰かも覚えていないんですよ。本当に淡い初恋です」
「今会えたらどうしますか?」
「今ですか?おそらく会えてもわからないと思いますけど、もしわかってもどうとも思わないと思います。ただ人間素直にならないと後悔するってことを学んだので、お礼は言うかもしれません」
「お礼ですか?」
「えぇ失恋を教えてくれてありがとう、ですかね」
「まぁ⋯⋯それは⋯」
「今でも簡単に悪態はつけるのです。時と場合というものを学びましたよフフフ」
ミナさんはやはりとても魅力的な方です。
そうこうしているうちに私はいつの間にか夢の中だったみたいです。
夜中に叔父様が到着したことも知らずにグッスリ寝ておりました。
◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇
次の日ミナさんに起こされて叔父様が夜中に来られた事を知りました。
幸いお隣が空いていたので隣の部屋で休んでいるみたいです。
遅い時間だったので昼食の時にお話ししようと伝言をもらいました。
午前中はミナさんと一緒にこの地の名産品、硝子細工を物色することにしました。
もし一緒に帰れなかったとしてもサラお義母様へのお土産を買いたかったからです。
マルクスとは違いこの辺りはお店の中まで入らないとどういったものがあるのかわかりません。
なのでミナさんが宿屋の店主に聞いてきたお店に行くことにしました。
そこには綺麗な硝子細工は所狭しと並べられ、正直手に取ると横の商品が落ちそうで怖いです。
「手に取って見ると重さもわかるし、どうぞお手にお取りください」
店主の方はとても親切そうに仰いますが私にとっては落とせと言われてるみたいで緊張します。
でもあまりにも勧めてくるので正直に言おうと思います。
「ご主人この並びでは私は怖くて手に取ることができません。もう少し間隔を空けるといいと思うのですがご検討頂けませんか?」
「えっ?キレイに並んでませんか?」
「それは⋯⋯はいとてもキレイですね。眺めるだけならこれでいいと思いますが、売ろうと思うならこれではいけません」
店主は暫く何かを考えていましたが、意を決したように話し始めます。
「お嬢さん、よかったら私に教えてくれませんか?実はこの店を最近継いだばかりなんですが、なかなか売れなくて、前店主は父だったのですが急死して何も教わっていないんです」
「まぁそうなのですね、お悔やみ申し上げます」
「いえ亡くなったのは1年前です。私は工房で作ってばかりでこちらは省みることなかったんですよ。だから父が亡くなったあとも、ここは放置していたんですが。最近遺品の中から日記を見つけて、ここを継ごうと決めたのです」
その店主様のお話では日記に息子と店を切り盛りするのがお父様の夢だと書いてあったみたいです。
お父様の気持ちを店主様は知らなくて只管作るのに没頭していたそうです。
生きているうちに叶えてあげられなかったので、せめて自分が継いで店を続けていくことがお父様の供養にもなるのではないかと考えて2ヶ月前に開けたそうですが、なかなか商品が売れずに困っていたみたい。
私は前世で雑貨屋のアルバイトをしていたことがあります。
ただのバイトなのでプロでも何でもないですが、お気の毒で、私の知ってる知識をお教えする事にしました。
売れるかどうかはわかりませんが、せめて来られた方が手に取って商品を扱えるようにしようと思います。
でも、今は営業中なので商品を大移動させるのは難しいので明日来ることを約束して店を後にします。
滞在が1日伸びることになりましたがミナさんも賛成してくれたので、店主様のお役に立てるように頑張ります。
ならばお土産はますますここで買いたいので明日購入することを決め、昼食で会える叔父様が待っている宿へ戻りました。
前世の事が役に立てるなら嬉しいな。
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