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漸く伯爵夫人が落ち着いた頃、叔父様は青年執事に何かを囁き、彼は部屋を後にしました。
夫人は侍女に支えられながらソファに座り直してます。
サーラの足の腫れはまだ酷いもので、叔父様が手当をするように侍女の一人に命じました。
そして私を促しソファに座らせて隣に叔父様も座ります。
彼女と向き合った叔父様は大きなため息を一つ。
「義姉上、紹介します。私の姉の子のマイラです」
放心しているようにうつむき加減だった夫人が顔をあげて私を見ます。
「⋯⋯⋯⋯えっ?」
「昨日もマイラは挨拶しているはずですよね。貴方はちゃんと聞いておられなかったようですが」
「あの、では、彼女はあの人の愛人ではなくてマリア様の子供?」
「そうですよ、だからサーラはうちへ来たんです」
「そんな!ではサーラは⋯そんな事が、私の⋯」
「えぇ貴方の勘違いです。思い込みが激しいとは常日頃思ってましたが今回の件は酷すぎる。何故兄に聞いてないのですか?」
「聞けないわ、だって、皆が言ってますもの。真面目な人が浮気に走ったら本気になるって、そうなったら捨てられるのは本妻だって、お茶会で⋯⋯皆様言ってらしたから。聞いて、もし聞いてバレたから捨てるって言われたら、私は⋯⋯私は⋯生きていけないもの」
「兄上はそんなに貴方を蔑ろにしているんですか?」
「いいえ⋯⋯いいえそんな事はないわ、大事にされてると思うわ、いえ思ってたわ。でも最近妙に浮かれてて、サーラが休暇を願い出たくらいから、おかしくて。急に余所余所しくなって、それにサーラは休暇を願い出てたのに出張扱いにしたのだもの。その前にサーラが大事な人に会いたいから休暇をって言ってたから⋯⋯だから私」
叔父様のため息が長いです。
伯爵夫人は伯父様に一言聞くだけで良かったし、その前に伯父様は何故伯爵夫人に私の事を言わなかったのかしら?
「旦那様はサプライズしたかったんです」
手当をされに別室に行っていたサーラが戻ってきていました。
「サプライズ?」
扉の前で申し訳なさそうに伯爵夫人に伝えます。
「マイラ様に会ったことがなかった旦那様はとても楽しみにされていました。奥様にも直ぐに伝えようとしていたのですが、旦那様はご友人にサプライズの話しを先日聞かされたみたいで。自分は真面目一辺倒だったから奥様にサプライズなどしたことがない、どうせなら喜んでもらえる事をしたい。ちょうどお嬢様がうちに来るなら、きっと喜んでくれるはずだから驚かせようって仰られて」
「間抜けか!!!!」
叔父様が呆れたように言い放ちます。
でも私も同意見です、サーラが可哀想です。
「真面目なやつが慣れないことをするからこんな事に、サーラ申し訳なかった。こんな事に巻き込んでしまって」
叔父様がサーラに謝っていると、またまた泣き声が聞こえます。
お察しの伯爵夫人です。
「サーラ!サーラごめんなさい。私は、私は貴方になんて酷いことを、ごめんなさい」
伯爵夫人はサーラに駆け寄り土下座の勢いで座り込んで謝罪しています。
そうか、サプライズって言われていたからサーラは本当の事が言えなかったのね。
サーラの忠誠心に頭が下がります。
使用人の鑑のような人だ。
「奥様、奥様大丈夫です。私は丈夫ですので、ただ少しばかり年も取ってまして、昔のようにはいかないものですから、腫れが引くのに2日ほどお休み頂いてもいいですか?」
「そんな事!2日と言わずゆっくり休んで。1週間くらいでいいかしら?」
伯爵夫人の訂正に思わず吹き出してしまいました。
私の後ろでミナさんが笑いを堪えているのを感じます。
「ありがとうございます、奥様」
伯爵夫人はサーラに酷いことをしたけど思い込みの激しい夫人は『可愛さ余って憎さが100倍』だったのね。
サーラが許したんだったらいいのかな?
叔父様は相変わらずため息をついてます。
夫人は侍女に支えられながらソファに座り直してます。
サーラの足の腫れはまだ酷いもので、叔父様が手当をするように侍女の一人に命じました。
そして私を促しソファに座らせて隣に叔父様も座ります。
彼女と向き合った叔父様は大きなため息を一つ。
「義姉上、紹介します。私の姉の子のマイラです」
放心しているようにうつむき加減だった夫人が顔をあげて私を見ます。
「⋯⋯⋯⋯えっ?」
「昨日もマイラは挨拶しているはずですよね。貴方はちゃんと聞いておられなかったようですが」
「あの、では、彼女はあの人の愛人ではなくてマリア様の子供?」
「そうですよ、だからサーラはうちへ来たんです」
「そんな!ではサーラは⋯そんな事が、私の⋯」
「えぇ貴方の勘違いです。思い込みが激しいとは常日頃思ってましたが今回の件は酷すぎる。何故兄に聞いてないのですか?」
「聞けないわ、だって、皆が言ってますもの。真面目な人が浮気に走ったら本気になるって、そうなったら捨てられるのは本妻だって、お茶会で⋯⋯皆様言ってらしたから。聞いて、もし聞いてバレたから捨てるって言われたら、私は⋯⋯私は⋯生きていけないもの」
「兄上はそんなに貴方を蔑ろにしているんですか?」
「いいえ⋯⋯いいえそんな事はないわ、大事にされてると思うわ、いえ思ってたわ。でも最近妙に浮かれてて、サーラが休暇を願い出たくらいから、おかしくて。急に余所余所しくなって、それにサーラは休暇を願い出てたのに出張扱いにしたのだもの。その前にサーラが大事な人に会いたいから休暇をって言ってたから⋯⋯だから私」
叔父様のため息が長いです。
伯爵夫人は伯父様に一言聞くだけで良かったし、その前に伯父様は何故伯爵夫人に私の事を言わなかったのかしら?
「旦那様はサプライズしたかったんです」
手当をされに別室に行っていたサーラが戻ってきていました。
「サプライズ?」
扉の前で申し訳なさそうに伯爵夫人に伝えます。
「マイラ様に会ったことがなかった旦那様はとても楽しみにされていました。奥様にも直ぐに伝えようとしていたのですが、旦那様はご友人にサプライズの話しを先日聞かされたみたいで。自分は真面目一辺倒だったから奥様にサプライズなどしたことがない、どうせなら喜んでもらえる事をしたい。ちょうどお嬢様がうちに来るなら、きっと喜んでくれるはずだから驚かせようって仰られて」
「間抜けか!!!!」
叔父様が呆れたように言い放ちます。
でも私も同意見です、サーラが可哀想です。
「真面目なやつが慣れないことをするからこんな事に、サーラ申し訳なかった。こんな事に巻き込んでしまって」
叔父様がサーラに謝っていると、またまた泣き声が聞こえます。
お察しの伯爵夫人です。
「サーラ!サーラごめんなさい。私は、私は貴方になんて酷いことを、ごめんなさい」
伯爵夫人はサーラに駆け寄り土下座の勢いで座り込んで謝罪しています。
そうか、サプライズって言われていたからサーラは本当の事が言えなかったのね。
サーラの忠誠心に頭が下がります。
使用人の鑑のような人だ。
「奥様、奥様大丈夫です。私は丈夫ですので、ただ少しばかり年も取ってまして、昔のようにはいかないものですから、腫れが引くのに2日ほどお休み頂いてもいいですか?」
「そんな事!2日と言わずゆっくり休んで。1週間くらいでいいかしら?」
伯爵夫人の訂正に思わず吹き出してしまいました。
私の後ろでミナさんが笑いを堪えているのを感じます。
「ありがとうございます、奥様」
伯爵夫人はサーラに酷いことをしたけど思い込みの激しい夫人は『可愛さ余って憎さが100倍』だったのね。
サーラが許したんだったらいいのかな?
叔父様は相変わらずため息をついてます。
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