【本編完結】逃げるが価値

maruko

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52 侍女

49話の続きです

──────────────

翌朝、彼女達は来るのが少し遅かった。
あれからもどこかで話しをしていたのかもしれない。
私は何食わぬ顔で朝の仕度を手伝ってもらう。

家出してからは表情筋がゆるゆるになってしまっていたので、二人をタンキ様に見立てる。

すると⋯なんということでしょう
自然に無表情を貫けます。

仕度が終わり、食堂へ行く私の前をユリ、後ろをシェル。
もう『さん付け』何かでは呼んであげない、心の中でも嫌だ。

食堂へ着くと叔父様達は既に席に付いていてお待たせしたみたいだ。

「おはようございます、伯父様、伯母様。遅くなり申しわけありません。朝の仕度をのが遅かったものですから」

嫌味も忘れない。

伯母様が少しピクリとなっているけど、何かに気づいたのかな?
それとも私が事を言う子と思ってしまったか、どちらだろう。
後者なら後で誤解を解かないといけません。

私の後ろの隅に控えた二人の顔色が見えなくて残念です。

食事を終えた後、私は伯父様に今日の予定を聞かれました。

「実は街中の硝子細工のお店に行こうと思っています。店主とお約束したので、出来れば伯母様にも一緒に来ていただけると嬉しいです」

「まぁマイラちゃんが私を誘ってくれるの?」

「ご迷惑でしょうか?」

「そんな事あるはずないじゃない、嬉しいわ。是非ご一緒させて」

「ありがとうございます。その前に叔父様にお話しがあるのですけど、お時間は少しいいですか?」

何かを感じてくれたのかもしれません叔父様は即答で了承してくれました。

食堂を後にした私はそのまま叔父様の部屋へ向かいます。
彼女たちにはベッドメイキングをお願いして部屋に戻ってもらいました。

叔父様の部屋は広いのにベッドとクローゼットのみというガラーンとした部屋でした。

かろうじて椅子が一脚あったので、叔父様はそこへ私に座るように仰いました。
叔父様は立って話しを聞くみたい。

昨夜の立ち聞きした内容を全てお話しすると叔父様の眉間に凄いシワがよります。

「マイラ、ちょっと兄上を呼んでくる、待ってて」

待ったのは本当に少しの時間でした。
伯父様も交えて昨夜の話しをもう一度します。

やはり伯父様は態とあそこを通ったみたいです。
でも良く聞こえなくて「避妊」というワードだけが聞こえて何だろうと思ったそうです。
でも彼女達は誤魔化したのでそれ以上聞くのは止めたみたいです。

「誘惑するとかはどうせ成功しないだろうから放っといてもいいかもしれないと思ったのですが避妊薬を伯母様に使ってるっていうのが許せなくて」

私がそう言うと二人も頷きます。
とりわけ伯父様は赤鬼の様です⋯怖い。
普段温厚な方を怒らせるもんじゃないと身に沁みます。

「マイラ聞いていてくれて助かったよ。今回の愛人騒動なんだけど、妻が幾ら思い込みが激しいといっても少しばかり変だったんだ。誰かもいると思っていたんだよ。ちょうど今日はマイラが誘ってくれたから二人で出かけてきて欲しい。なるべく長い時間、外出して欲しいんだが⋯⋯」

「それでしたら大丈夫です。お店の陳列のご相談を受けているので、時間がかかると思います。伯母様には客観的な目で見てほしかったのと、サラお義母様のお土産の見立てをお願いしたかったので、お誘いしてみたんです」

「それは助かる」

「マイラ護衛は4名つけるから気をつけて行くんだよ」

「ハイ!ありがとうございます」

私は一人先に叔父様の部屋を退出して、客間に戻ります。
そのままガチャリと扉を開けると彼女達は、なんとベッドに腰掛けてお喋りしています。

私が入ると慌てて立ち上がり白々しく「お帰りなさいませ」ですって。

サーラを見てるとこの家はしっかり使用人の管理ができてると思ってたけど、異質な人も中にはチラホラいるのね。

私はクローゼットからミナさんが見立ててくれたベージュのワンピースを選び、仕度を手伝ってもらってエントランスに向かいます。

伯母様は待っていてくれました。

「マイラちゃん、楽しみで早く来すぎてしまったわ。フフさぁ行きましょうね」

あの二人は置いていくように伯父様に言われていたので伯母様の侍女と三人で馬車に乗ります。

この人、私がビンタした人だ⋯⋯気まずい。

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