53 / 91
52 侍女
49話の続きです
──────────────
翌朝、彼女達は来るのが少し遅かった。
あれからもどこかで話しをしていたのかもしれない。
私は何食わぬ顔で朝の仕度を手伝ってもらう。
家出してからは表情筋がゆるゆるになってしまっていたので、二人をタンキ様に見立てる。
すると⋯なんということでしょう
自然に無表情を貫けます。
仕度が終わり、食堂へ行く私の前をユリ、後ろをシェル。
もう『さん付け』何かでは呼んであげない、心の中でも嫌だ。
食堂へ着くと叔父様達は既に席に付いていてお待たせしたみたいだ。
「おはようございます、伯父様、伯母様。遅くなり申しわけありません。朝の仕度を始めるのが遅かったものですから」
嫌味も忘れない。
伯母様が少しピクリとなっているけど、何かに気づいたのかな?
それとも私がそういう事を言う子と思ってしまったか、どちらだろう。
後者なら後で誤解を解かないといけません。
私の後ろの隅に控えた二人の顔色が見えなくて残念です。
食事を終えた後、私は伯父様に今日の予定を聞かれました。
「実は街中の硝子細工のお店に行こうと思っています。店主とお約束したので、出来れば伯母様にも一緒に来ていただけると嬉しいです」
「まぁマイラちゃんが私を誘ってくれるの?」
「ご迷惑でしょうか?」
「そんな事あるはずないじゃない、嬉しいわ。是非ご一緒させて」
「ありがとうございます。その前に叔父様にお話しがあるのですけど、お時間は少しいいですか?」
何かを感じてくれたのかもしれません叔父様は即答で了承してくれました。
食堂を後にした私はそのまま叔父様の部屋へ向かいます。
彼女たちにはベッドメイキングをお願いして部屋に戻ってもらいました。
叔父様の部屋は広いのにベッドとクローゼットのみというガラーンとした部屋でした。
かろうじて椅子が一脚あったので、叔父様はそこへ私に座るように仰いました。
叔父様は立って話しを聞くみたい。
昨夜の立ち聞きした内容を全てお話しすると叔父様の眉間に凄いシワがよります。
「マイラ、ちょっと兄上を呼んでくる、待ってて」
待ったのは本当に少しの時間でした。
伯父様も交えて昨夜の話しをもう一度します。
やはり伯父様は態とあそこを通ったみたいです。
でも良く聞こえなくて「避妊」というワードだけが聞こえて何だろうと思ったそうです。
でも彼女達は誤魔化したのでそれ以上聞くのは止めたみたいです。
「誘惑するとかはどうせ成功しないだろうから放っといてもいいかもしれないと思ったのですが避妊薬を伯母様に使ってるっていうのが許せなくて」
私がそう言うと二人も頷きます。
とりわけ伯父様は赤鬼の様です⋯怖い。
普段温厚な方を怒らせるもんじゃないと身に沁みます。
「マイラ聞いていてくれて助かったよ。今回の愛人騒動なんだけど、妻が幾ら思い込みが激しいといっても少しばかり変だったんだ。思い込ませた誰かもいると思っていたんだよ。ちょうど今日はマイラが誘ってくれたから二人で出かけてきて欲しい。なるべく長い時間、外出して欲しいんだが⋯⋯」
「それでしたら大丈夫です。お店の陳列のご相談を受けているので、時間がかかると思います。伯母様には客観的な目で見てほしかったのと、サラお義母様のお土産の見立てをお願いしたかったので、お誘いしてみたんです」
「それは助かる」
「マイラ護衛は4名つけるから気をつけて行くんだよ」
「ハイ!ありがとうございます」
私は一人先に叔父様の部屋を退出して、客間に戻ります。
そのままガチャリと扉を開けると彼女達は、なんとベッドに腰掛けてお喋りしています。
私が入ると慌てて立ち上がり白々しく「お帰りなさいませ」ですって。
サーラを見てるとこの家はしっかり使用人の管理ができてると思ってたけど、異質な人も中にはチラホラいるのね。
私はクローゼットからミナさんが見立ててくれたベージュのワンピースを選び、仕度を手伝ってもらってエントランスに向かいます。
伯母様は待っていてくれました。
「マイラちゃん、楽しみで早く来すぎてしまったわ。フフさぁ行きましょうね」
あの二人は置いていくように伯父様に言われていたので伯母様の侍女と三人で馬車に乗ります。
この人、私がビンタした人だ⋯⋯気まずい。
──────────────
翌朝、彼女達は来るのが少し遅かった。
あれからもどこかで話しをしていたのかもしれない。
私は何食わぬ顔で朝の仕度を手伝ってもらう。
家出してからは表情筋がゆるゆるになってしまっていたので、二人をタンキ様に見立てる。
すると⋯なんということでしょう
自然に無表情を貫けます。
仕度が終わり、食堂へ行く私の前をユリ、後ろをシェル。
もう『さん付け』何かでは呼んであげない、心の中でも嫌だ。
食堂へ着くと叔父様達は既に席に付いていてお待たせしたみたいだ。
「おはようございます、伯父様、伯母様。遅くなり申しわけありません。朝の仕度を始めるのが遅かったものですから」
嫌味も忘れない。
伯母様が少しピクリとなっているけど、何かに気づいたのかな?
それとも私がそういう事を言う子と思ってしまったか、どちらだろう。
後者なら後で誤解を解かないといけません。
私の後ろの隅に控えた二人の顔色が見えなくて残念です。
食事を終えた後、私は伯父様に今日の予定を聞かれました。
「実は街中の硝子細工のお店に行こうと思っています。店主とお約束したので、出来れば伯母様にも一緒に来ていただけると嬉しいです」
「まぁマイラちゃんが私を誘ってくれるの?」
「ご迷惑でしょうか?」
「そんな事あるはずないじゃない、嬉しいわ。是非ご一緒させて」
「ありがとうございます。その前に叔父様にお話しがあるのですけど、お時間は少しいいですか?」
何かを感じてくれたのかもしれません叔父様は即答で了承してくれました。
食堂を後にした私はそのまま叔父様の部屋へ向かいます。
彼女たちにはベッドメイキングをお願いして部屋に戻ってもらいました。
叔父様の部屋は広いのにベッドとクローゼットのみというガラーンとした部屋でした。
かろうじて椅子が一脚あったので、叔父様はそこへ私に座るように仰いました。
叔父様は立って話しを聞くみたい。
昨夜の立ち聞きした内容を全てお話しすると叔父様の眉間に凄いシワがよります。
「マイラ、ちょっと兄上を呼んでくる、待ってて」
待ったのは本当に少しの時間でした。
伯父様も交えて昨夜の話しをもう一度します。
やはり伯父様は態とあそこを通ったみたいです。
でも良く聞こえなくて「避妊」というワードだけが聞こえて何だろうと思ったそうです。
でも彼女達は誤魔化したのでそれ以上聞くのは止めたみたいです。
「誘惑するとかはどうせ成功しないだろうから放っといてもいいかもしれないと思ったのですが避妊薬を伯母様に使ってるっていうのが許せなくて」
私がそう言うと二人も頷きます。
とりわけ伯父様は赤鬼の様です⋯怖い。
普段温厚な方を怒らせるもんじゃないと身に沁みます。
「マイラ聞いていてくれて助かったよ。今回の愛人騒動なんだけど、妻が幾ら思い込みが激しいといっても少しばかり変だったんだ。思い込ませた誰かもいると思っていたんだよ。ちょうど今日はマイラが誘ってくれたから二人で出かけてきて欲しい。なるべく長い時間、外出して欲しいんだが⋯⋯」
「それでしたら大丈夫です。お店の陳列のご相談を受けているので、時間がかかると思います。伯母様には客観的な目で見てほしかったのと、サラお義母様のお土産の見立てをお願いしたかったので、お誘いしてみたんです」
「それは助かる」
「マイラ護衛は4名つけるから気をつけて行くんだよ」
「ハイ!ありがとうございます」
私は一人先に叔父様の部屋を退出して、客間に戻ります。
そのままガチャリと扉を開けると彼女達は、なんとベッドに腰掛けてお喋りしています。
私が入ると慌てて立ち上がり白々しく「お帰りなさいませ」ですって。
サーラを見てるとこの家はしっかり使用人の管理ができてると思ってたけど、異質な人も中にはチラホラいるのね。
私はクローゼットからミナさんが見立ててくれたベージュのワンピースを選び、仕度を手伝ってもらってエントランスに向かいます。
伯母様は待っていてくれました。
「マイラちゃん、楽しみで早く来すぎてしまったわ。フフさぁ行きましょうね」
あの二人は置いていくように伯父様に言われていたので伯母様の侍女と三人で馬車に乗ります。
この人、私がビンタした人だ⋯⋯気まずい。
あなたにおすすめの小説
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
お姉様優先な我が家は、このままでは破産です
編端みどり
恋愛
我が家では、なんでも姉が優先。 経費を全て公開しないといけない国で良かったわ。なんとか体裁を保てる予算をわたくしにも回して貰える。
だけどお姉様、どうしてそんな地雷男を選ぶんですか?! 結婚前から愛人ですって?!
愛人の予算もうちが出すのよ?! わかってる?! このままでは更にわたくしの予算は減ってしまうわ。そもそも愛人5人いる男と同居なんて無理!
姉の結婚までにこの家から逃げたい!
相談した親友にセッティングされた辺境伯とのお見合いは、理想の殿方との出会いだった。