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ガルシスとのお見合いから一週間経った日、いつものようにライラが孤児院で子供たちに字を教えた帰り、二度と会いたくないと思っていた人物からの待ち伏せにあった。
「何なのレオ?」
胡乱な目で一瞥して直ぐにそっぽを向いたままでライラはレオに言葉を投げた。今までそんな事をライラにされた事のなかったレオは一瞬怯んだが、グッと拳に力を入れて必死の顔でライラに話し始めた。
「そんな言い方しないでくれよ!俺が悪かった!結婚はしてもいいよ、偽装婚約じゃなくてもいいからさ。頼むから婚約してくれ!ライラは俺の事が好きだろう?好きな人の過ちは許すべきだ!」
ライラはレオの言葉に目を瞠った。
こいつ何言ってんだ!と苛つくのは勿論だが、レオがライラの気持ちを知っててあんな事を提案したのだと思わなかったからだ。
「エリーゼ様が言ったんだ。好きな人から偽装婚約なんて言われたら傷つくに決まってるって」
「えっ?レオちょっと待って」
「何?」
ライラがレオの鼻先に手を翳し待ったをかけると、レオが嬉しそうに聞いてくる。その様子に呆れながらもライラは疑問をぶつけた。
「スコット侯爵令嬢は、私が貴方を好きだと言ったの?」
「あぁ、エリーゼ様が言っていた。悪かったな、知ってたらもう少し優しくしたのに」
いやそんな気遣いはいらない!
ライラは怒鳴りそうになりながらも、冷静さを取り戻そうと鼻だけで深呼吸をした。
何故ならライラの背後からジルが今にもレオに飛び掛りそうな不穏な空気を醸し出しているのがわかったからだ。
それにしても、あの女はどういうつもりだ、とライラは目の前のレオよりもエリーゼに腹がたった。
ライラの気持ち(もう違うが)を察していながら、レオに偽装婚約をするように仕向けた挙句、断ったら今度は本当の婚約をするようにだなんて、ライラを馬鹿にしてるとしか思えない。
そうまでしてレオと婚約させたい彼女の思惑はもう既にライラは知っている。
ガルシスにライラを近付けたくなかったのだ。
二人の見合いのこともライラが既にガルシスとの婚約を断った事も彼女はまだ知らないのだろう。
「なぁライラ~」
静止したまま声を出さないライラに痺れを切らしたのか、今までライラに対して出した事もない甘ったるい声でレオが近付いてきた。ライラの体に鳥肌が立つ。
キモっ!!!!
「な、なんだよ」
心で叫んだつもりが声に出ていたようだが、もうどうでも良かったので、そのままライラは続けた。
「この前断ったでしょう!二度と私に近づかないで!今度来たら付き纏いで訴えるわよ!私はレオの事なんか大嫌いよ!」
踵を返して去るライラをレオは呆然と見送った。
「お嬢様、お見事です!」
「もう!なんであんなやつの事、私は好きだったのかな!」
「仰るとおりです」
ジルに腹立ちまぎれに言ったが、ライラはふと気づいた。そうだったあの初恋シチュエーションはレオでは無かった。ということは自分の初恋はガルシスだったのだと思い、またもや落ち込む。
どちらに転んでもどっちも最悪だった。
(呪われてるのはやはり私?)
男運に見放されているのかと落ち込むライラはジルに励まされながら馬車で家路へと向かう、寄り道せずに真っ直ぐ帰った家の前で佇む人に気付いた。
まさか⋯⋯もしや?⋯⋯はぁ。
「⋯⋯カンツ卿」
「先日はすまなかった、今日はもう一度話したくて来たのだが⋯」
(今日は厄日だった?)
いつも新聞の運勢欄をライラの髪を漉きながらお喋りするジルに向けて目で訴えた。
「何なのレオ?」
胡乱な目で一瞥して直ぐにそっぽを向いたままでライラはレオに言葉を投げた。今までそんな事をライラにされた事のなかったレオは一瞬怯んだが、グッと拳に力を入れて必死の顔でライラに話し始めた。
「そんな言い方しないでくれよ!俺が悪かった!結婚はしてもいいよ、偽装婚約じゃなくてもいいからさ。頼むから婚約してくれ!ライラは俺の事が好きだろう?好きな人の過ちは許すべきだ!」
ライラはレオの言葉に目を瞠った。
こいつ何言ってんだ!と苛つくのは勿論だが、レオがライラの気持ちを知っててあんな事を提案したのだと思わなかったからだ。
「エリーゼ様が言ったんだ。好きな人から偽装婚約なんて言われたら傷つくに決まってるって」
「えっ?レオちょっと待って」
「何?」
ライラがレオの鼻先に手を翳し待ったをかけると、レオが嬉しそうに聞いてくる。その様子に呆れながらもライラは疑問をぶつけた。
「スコット侯爵令嬢は、私が貴方を好きだと言ったの?」
「あぁ、エリーゼ様が言っていた。悪かったな、知ってたらもう少し優しくしたのに」
いやそんな気遣いはいらない!
ライラは怒鳴りそうになりながらも、冷静さを取り戻そうと鼻だけで深呼吸をした。
何故ならライラの背後からジルが今にもレオに飛び掛りそうな不穏な空気を醸し出しているのがわかったからだ。
それにしても、あの女はどういうつもりだ、とライラは目の前のレオよりもエリーゼに腹がたった。
ライラの気持ち(もう違うが)を察していながら、レオに偽装婚約をするように仕向けた挙句、断ったら今度は本当の婚約をするようにだなんて、ライラを馬鹿にしてるとしか思えない。
そうまでしてレオと婚約させたい彼女の思惑はもう既にライラは知っている。
ガルシスにライラを近付けたくなかったのだ。
二人の見合いのこともライラが既にガルシスとの婚約を断った事も彼女はまだ知らないのだろう。
「なぁライラ~」
静止したまま声を出さないライラに痺れを切らしたのか、今までライラに対して出した事もない甘ったるい声でレオが近付いてきた。ライラの体に鳥肌が立つ。
キモっ!!!!
「な、なんだよ」
心で叫んだつもりが声に出ていたようだが、もうどうでも良かったので、そのままライラは続けた。
「この前断ったでしょう!二度と私に近づかないで!今度来たら付き纏いで訴えるわよ!私はレオの事なんか大嫌いよ!」
踵を返して去るライラをレオは呆然と見送った。
「お嬢様、お見事です!」
「もう!なんであんなやつの事、私は好きだったのかな!」
「仰るとおりです」
ジルに腹立ちまぎれに言ったが、ライラはふと気づいた。そうだったあの初恋シチュエーションはレオでは無かった。ということは自分の初恋はガルシスだったのだと思い、またもや落ち込む。
どちらに転んでもどっちも最悪だった。
(呪われてるのはやはり私?)
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まさか⋯⋯もしや?⋯⋯はぁ。
「⋯⋯カンツ卿」
「先日はすまなかった、今日はもう一度話したくて来たのだが⋯」
(今日は厄日だった?)
いつも新聞の運勢欄をライラの髪を漉きながらお喋りするジルに向けて目で訴えた。
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