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10 噂と決意
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噂話とは兎角意外な情報源になり得ることもあると、ルコッタは義姉から聞いたことがあった。
平民育ちのルコッタは貴族の理など良くはわからなかったからそれを聞いた時は「へぇ~」位にしか思わなかった。
その日騎士団の詰所で、休憩がてら貴族のご令嬢達から差し入れられた菓子のお裾分けを、口に頬張ろうとした所で、その声がルコッタの耳に偶然入った。
「何か大国の騎士だって話さ」
「何の話だよ」
「嫁を探してるって噂」
「王都でかっこいい騎士様が嫁探しをしてるって噂か?」
「何だ!お前も聞いたのか、何でも絶世の美女を探してるって話だぜ」
歩きながら話していたらしく聞こえたのはここ迄だった。その噂話をルコッタは聞き流す事は出来なかった。“大国の騎士が誰かを探している”それを聞いただけで、ルコッタは血の気が引いていくのが自分でも分かった。
ルコッタが領主に頼まれて騎士達の指南をしているのは、偏にルコッタの作った“魔剣”のせいだった。
その剣の本当の名称は知らないし、他にそんな物を作っている人をルコッタは見たことがなかったから、ルコッタが適当に名付けていた。あくまでもそれは、ルコッタがこの国に逃れて来るときに、妻子を守る為に護身用に自分で作った剣だった。
剣の鞘に魔石を取り付けてその剣に魔力を流して剣に纏わせ使用するという物だ。
その威力はかなり大きく、魔力量の少ないルコッタでも充分にその力を発揮してくれていた。
使っているのはクズ石だから大した力も使っていない。ルコッタが強いのはその剣のおかげだった。
領主との出会いは、偶然ルコッタの住んでる町に領主がお忍びで視察にやってきたからだ。領民思いの領主は好奇心も強かった、彼は護衛まで撒いてルコッタ達の町を視察して回っていたのだ。彼曰くありのままを見たかったらしい。だがそれが裏目に出て領主は破落戸達に囲まれた。腕に覚えはあったものの多勢に無勢で、領主は彼等に捕まってしまったのだ。
ルコッタが偶々通りがかったのは、領主が破落戸達に縛られようとしている時だった。
ルコッタはその破落戸達に一人で立ち向かい領主を危機から助けた。
その際に領主はルコッタの剣に興味を引かれ、助けたお礼も兼ねていくつか作成してほしいと依頼した。
それが始まりだった。
小さな田舎町だから新しく住み着いたパン屋などそんなに需要はない。
一日中開けていた所で必ず売り切れるパンが出て、あまり稼ぎにはなってなかったルコッタは、思わずその話に飛びついた。
パン型が丁度15個しかなかったから、それを2回だけ焼くことにして、その後騎士団に行く事にした。
“魔剣”は魔力が必要になるが、騎士団で魔力のある者は10人にも満たなかった。その多くはルコッタの故郷から逃れてきた者達であった。
ルコッタの作った剣に魔力を纏わせ使おうとした騎士達だったが、思ったよりも使い勝手が悪かった。本格的な騎士達には慣れない“魔剣”は扱いが難しかったようだ。
作ったその日から簡単に使えたルコッタには、それに思い至らず剣を作った後に、領主に乞われて指南役をする事になったのだ。
それ以来、午前中はパン屋午後は騎士団でルコッタは妻子を養う食い扶持を稼いでいた。
数ヶ月前に娘のティーラが騎士団で働くルダンの弟から執拗く絡まれて、挙句に頬を叩かれるという事件が起きた。その際に領主がルダンに厳重注意をしてくれて事なきを得たが、それ以降ルコッタは騎士達に必要以上に関わりを持たないようにしていた。
ルダンがメープルを見初めたのも、個人的にルコッタに指南して欲しいと、直談判に来ようとした時だったらしい。結局その日はメープルに一目惚れして浮かれてそのまま帰ったから、ルダンから個人指南の話などルコッタは聞いていなかった。
まさかそんな事で自分の家まで来る奴がいるなどと、思い至らなかった自分の落ち度だとルコッタは思った。
そのせいでティーラは学園で責められていたのだ。
その事もあってルコッタはティーラが学園を卒業したら、この国を出ようと考えていた。
お金は如何とでもなる、幸いにもティーラには好きな人などいないと彼女は言い切っていた。
だったら親子4人で旅をしながら、もっと遠くの国に行ってもいいのではないかと考えていた。
そんな時に聞こえた噂話、あと一週間でティーラは卒業する。一刻も早く準備を始めよう!
ルコッタはこの国を出る事を今夜家族に話そうと決意した。
平民育ちのルコッタは貴族の理など良くはわからなかったからそれを聞いた時は「へぇ~」位にしか思わなかった。
その日騎士団の詰所で、休憩がてら貴族のご令嬢達から差し入れられた菓子のお裾分けを、口に頬張ろうとした所で、その声がルコッタの耳に偶然入った。
「何か大国の騎士だって話さ」
「何の話だよ」
「嫁を探してるって噂」
「王都でかっこいい騎士様が嫁探しをしてるって噂か?」
「何だ!お前も聞いたのか、何でも絶世の美女を探してるって話だぜ」
歩きながら話していたらしく聞こえたのはここ迄だった。その噂話をルコッタは聞き流す事は出来なかった。“大国の騎士が誰かを探している”それを聞いただけで、ルコッタは血の気が引いていくのが自分でも分かった。
ルコッタが領主に頼まれて騎士達の指南をしているのは、偏にルコッタの作った“魔剣”のせいだった。
その剣の本当の名称は知らないし、他にそんな物を作っている人をルコッタは見たことがなかったから、ルコッタが適当に名付けていた。あくまでもそれは、ルコッタがこの国に逃れて来るときに、妻子を守る為に護身用に自分で作った剣だった。
剣の鞘に魔石を取り付けてその剣に魔力を流して剣に纏わせ使用するという物だ。
その威力はかなり大きく、魔力量の少ないルコッタでも充分にその力を発揮してくれていた。
使っているのはクズ石だから大した力も使っていない。ルコッタが強いのはその剣のおかげだった。
領主との出会いは、偶然ルコッタの住んでる町に領主がお忍びで視察にやってきたからだ。領民思いの領主は好奇心も強かった、彼は護衛まで撒いてルコッタ達の町を視察して回っていたのだ。彼曰くありのままを見たかったらしい。だがそれが裏目に出て領主は破落戸達に囲まれた。腕に覚えはあったものの多勢に無勢で、領主は彼等に捕まってしまったのだ。
ルコッタが偶々通りがかったのは、領主が破落戸達に縛られようとしている時だった。
ルコッタはその破落戸達に一人で立ち向かい領主を危機から助けた。
その際に領主はルコッタの剣に興味を引かれ、助けたお礼も兼ねていくつか作成してほしいと依頼した。
それが始まりだった。
小さな田舎町だから新しく住み着いたパン屋などそんなに需要はない。
一日中開けていた所で必ず売り切れるパンが出て、あまり稼ぎにはなってなかったルコッタは、思わずその話に飛びついた。
パン型が丁度15個しかなかったから、それを2回だけ焼くことにして、その後騎士団に行く事にした。
“魔剣”は魔力が必要になるが、騎士団で魔力のある者は10人にも満たなかった。その多くはルコッタの故郷から逃れてきた者達であった。
ルコッタの作った剣に魔力を纏わせ使おうとした騎士達だったが、思ったよりも使い勝手が悪かった。本格的な騎士達には慣れない“魔剣”は扱いが難しかったようだ。
作ったその日から簡単に使えたルコッタには、それに思い至らず剣を作った後に、領主に乞われて指南役をする事になったのだ。
それ以来、午前中はパン屋午後は騎士団でルコッタは妻子を養う食い扶持を稼いでいた。
数ヶ月前に娘のティーラが騎士団で働くルダンの弟から執拗く絡まれて、挙句に頬を叩かれるという事件が起きた。その際に領主がルダンに厳重注意をしてくれて事なきを得たが、それ以降ルコッタは騎士達に必要以上に関わりを持たないようにしていた。
ルダンがメープルを見初めたのも、個人的にルコッタに指南して欲しいと、直談判に来ようとした時だったらしい。結局その日はメープルに一目惚れして浮かれてそのまま帰ったから、ルダンから個人指南の話などルコッタは聞いていなかった。
まさかそんな事で自分の家まで来る奴がいるなどと、思い至らなかった自分の落ち度だとルコッタは思った。
そのせいでティーラは学園で責められていたのだ。
その事もあってルコッタはティーラが学園を卒業したら、この国を出ようと考えていた。
お金は如何とでもなる、幸いにもティーラには好きな人などいないと彼女は言い切っていた。
だったら親子4人で旅をしながら、もっと遠くの国に行ってもいいのではないかと考えていた。
そんな時に聞こえた噂話、あと一週間でティーラは卒業する。一刻も早く準備を始めよう!
ルコッタはこの国を出る事を今夜家族に話そうと決意した。
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