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11 旅立ち
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「いいんじゃない」
直ぐに賛成したのはカミラだった。
ティーラは瞳を輝かせて頷いている、一人怪訝な顔をしたのはメープルだった。
メープルは自分のせいで旅を余儀なくされた、この心優しき大切な家族を、危険に晒しているのは自分だと改めて感じて言葉が出てこなかった。
「どうしたのメープル?旅だって!楽しみだね」
ティーラの明るい声にメープルは涙ぐむ。
最近涙脆くなったメープルにカミラは明るく言ってのけた。
「なぁんで新しい旅立ちにそんな辛気臭い顔するのさぁ、メープルは笑った顔が可愛いんだからさ。笑ってよ、この母の為にさ」
カミラの言葉にルコッタも負けじと続けた。
「父さんもメープルの笑顔が好きだぞ!」
「私も!私も!」
ティーラまで、泣いているメープルの頬を両手で包みながら言う。
「あっあっありがとう⋯⋯っく」
「さぁそうと決まれば荷造りしなきゃね」
カミラの言葉にティーラが賛同した。
「内職も終わらせないとね。少しでもお金があるといいんじゃない?」
「ルコッタ、騎士団や領主様には言うの?」
「本当はちゃんと辞めたいが、もしもを考えたら黙って消えた方がいいと思うんだ。だからベーカリーも当日までやる」
「そうだね、その方がいいかもね」
メープルはルコッタ達の遣り取りを黙って聞く他なかった。ただこれまで貯めていたお金は、皆の役に立ちそうで良かったと思った。
「さぁ!メープルも荷造りしとかなきゃ、私もしようっと」
ティーラがそう言ってメープルの手を引いて2階に連れて行ったあと、残ったルコッタとカミラがこの国を出る算段を話し始めていた。
◇◇◇
今日はティーラの卒業式だ。
卒業式が終わったらパーティーもあるのだが、ティーラは欠席することにしていた。
予め購入していた荷馬車は昨夜届いていたから、皆で荷物を乗せる。
結局ベーカリー店は前日で締めることにしたから、休業の張り紙をして4人は出発した。
毎日徒歩で通った通学路を、卒業式の日に初めてティーラは馬車で向かうことになった。
途中領都の郵便局で、ルコッタは領主に退職の旨を伝える手紙を送る手続きをした。
学園の卒業式にはカミラが付き添った。
二人を待つ間、荷馬車の中でルコッタとメープルは話をしていた。
「叔父様、本当にごめんなさい。お母様に頼まれたからと言って私の為に、住み慣れた場所を移動させることになってしまったわ」
「そんな事は気にしなくていい、もう国が無くなった私達は元々根無し草なんだよ。今度は4人で安住の地を目指そう。トラウスマから遠くにもっと遠くに行けば、きっと見つかるさ」
「ありがとう。叔父様も叔母様もティーラも、こんな事私が言うのは烏滸がましいけど。三人は私にとって本当に大切な家族だわ。家族の温もりを教えてくれて叔父様たちには感謝しかないの。絶対にいつか恩返しするわ!」
「ハハハ、そりゃあ期待しておこう。だがねメープル、家族なんだから物とかで恩返しなんて考えなくてもいいよ。メープルが幸せになるのが恩返しだ、分かったね。もう一度言うメープルが幸せになるのを期待してるからな」
ルコッタはそう言うとニッコリと笑いメープルの頭を優しく撫でた。
昼を過ぎた頃、学園の近くで待機していたルコッタ達の荷馬車の前を、わらわらと卒業式に参列したと覚しき若者たちが歩いていった。
「そろそろだな」
ルコッタが目立たない様に学園の裏通りの方へ移動させて行く。
裏門にも何人かの若者が数人たむろしていた。
カミラとティーラが出てきて4人はマルティ王国を出るべく、トラウスマとは反対の西側に荷馬車を向かわせた。
「ティーラ卒業おめでとう」
「ありがとうメープル」
メープルのお祝いの言葉に燥ぎながらお礼を言うティーラだったが、荷馬車の幌から後ろを見て訝しげな顔をした。
「どうしたの?」
「ねぇメープル。あの馬車付いてきてるみたいなんだけど」
ティーラの指差す方を見ると、メープル達が乗る荷馬車と同じ様な荷馬車が遠目に見えた。
「本当?」
「うーん、自信はないけど。さっきの曲がり角の時にも後ろにいたように思えるのよね」
「そうなの?」
ティーラとメープルは二人でその荷馬車を見つめていたけれど、次の曲がり角を曲がった時には、その馬車はもっと前の曲がり角を曲っているのが見えた。
「なぁんだ気のせいかぁ」
ティーラはそう言ってニッコリと笑った。
御者席にはルコッタとカミラがいるが、言わなくてもいいのかなとメープルは思ったけれど、行き先が違ったようだから余計な事は言わなくてもいいかと考えた。それから二人は小腹が空いた時の為に持ってきていた、ルコッタベーカリーで最後に焼いた食パンを仲良くつついて食べた。
直ぐに賛成したのはカミラだった。
ティーラは瞳を輝かせて頷いている、一人怪訝な顔をしたのはメープルだった。
メープルは自分のせいで旅を余儀なくされた、この心優しき大切な家族を、危険に晒しているのは自分だと改めて感じて言葉が出てこなかった。
「どうしたのメープル?旅だって!楽しみだね」
ティーラの明るい声にメープルは涙ぐむ。
最近涙脆くなったメープルにカミラは明るく言ってのけた。
「なぁんで新しい旅立ちにそんな辛気臭い顔するのさぁ、メープルは笑った顔が可愛いんだからさ。笑ってよ、この母の為にさ」
カミラの言葉にルコッタも負けじと続けた。
「父さんもメープルの笑顔が好きだぞ!」
「私も!私も!」
ティーラまで、泣いているメープルの頬を両手で包みながら言う。
「あっあっありがとう⋯⋯っく」
「さぁそうと決まれば荷造りしなきゃね」
カミラの言葉にティーラが賛同した。
「内職も終わらせないとね。少しでもお金があるといいんじゃない?」
「ルコッタ、騎士団や領主様には言うの?」
「本当はちゃんと辞めたいが、もしもを考えたら黙って消えた方がいいと思うんだ。だからベーカリーも当日までやる」
「そうだね、その方がいいかもね」
メープルはルコッタ達の遣り取りを黙って聞く他なかった。ただこれまで貯めていたお金は、皆の役に立ちそうで良かったと思った。
「さぁ!メープルも荷造りしとかなきゃ、私もしようっと」
ティーラがそう言ってメープルの手を引いて2階に連れて行ったあと、残ったルコッタとカミラがこの国を出る算段を話し始めていた。
◇◇◇
今日はティーラの卒業式だ。
卒業式が終わったらパーティーもあるのだが、ティーラは欠席することにしていた。
予め購入していた荷馬車は昨夜届いていたから、皆で荷物を乗せる。
結局ベーカリー店は前日で締めることにしたから、休業の張り紙をして4人は出発した。
毎日徒歩で通った通学路を、卒業式の日に初めてティーラは馬車で向かうことになった。
途中領都の郵便局で、ルコッタは領主に退職の旨を伝える手紙を送る手続きをした。
学園の卒業式にはカミラが付き添った。
二人を待つ間、荷馬車の中でルコッタとメープルは話をしていた。
「叔父様、本当にごめんなさい。お母様に頼まれたからと言って私の為に、住み慣れた場所を移動させることになってしまったわ」
「そんな事は気にしなくていい、もう国が無くなった私達は元々根無し草なんだよ。今度は4人で安住の地を目指そう。トラウスマから遠くにもっと遠くに行けば、きっと見つかるさ」
「ありがとう。叔父様も叔母様もティーラも、こんな事私が言うのは烏滸がましいけど。三人は私にとって本当に大切な家族だわ。家族の温もりを教えてくれて叔父様たちには感謝しかないの。絶対にいつか恩返しするわ!」
「ハハハ、そりゃあ期待しておこう。だがねメープル、家族なんだから物とかで恩返しなんて考えなくてもいいよ。メープルが幸せになるのが恩返しだ、分かったね。もう一度言うメープルが幸せになるのを期待してるからな」
ルコッタはそう言うとニッコリと笑いメープルの頭を優しく撫でた。
昼を過ぎた頃、学園の近くで待機していたルコッタ達の荷馬車の前を、わらわらと卒業式に参列したと覚しき若者たちが歩いていった。
「そろそろだな」
ルコッタが目立たない様に学園の裏通りの方へ移動させて行く。
裏門にも何人かの若者が数人たむろしていた。
カミラとティーラが出てきて4人はマルティ王国を出るべく、トラウスマとは反対の西側に荷馬車を向かわせた。
「ティーラ卒業おめでとう」
「ありがとうメープル」
メープルのお祝いの言葉に燥ぎながらお礼を言うティーラだったが、荷馬車の幌から後ろを見て訝しげな顔をした。
「どうしたの?」
「ねぇメープル。あの馬車付いてきてるみたいなんだけど」
ティーラの指差す方を見ると、メープル達が乗る荷馬車と同じ様な荷馬車が遠目に見えた。
「本当?」
「うーん、自信はないけど。さっきの曲がり角の時にも後ろにいたように思えるのよね」
「そうなの?」
ティーラとメープルは二人でその荷馬車を見つめていたけれど、次の曲がり角を曲がった時には、その馬車はもっと前の曲がり角を曲っているのが見えた。
「なぁんだ気のせいかぁ」
ティーラはそう言ってニッコリと笑った。
御者席にはルコッタとカミラがいるが、言わなくてもいいのかなとメープルは思ったけれど、行き先が違ったようだから余計な事は言わなくてもいいかと考えた。それから二人は小腹が空いた時の為に持ってきていた、ルコッタベーカリーで最後に焼いた食パンを仲良くつついて食べた。
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