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14 王子の秘密
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その小さな国は地下に存在していた。
『ルーステリア地下帝国』と、そこに集まった少数の人達は呼んでいた。
帝国を統べるのはミシェルフォンを助けてくれた“あのピアスの男”だった。
初めてそこに連れて行かれた時、ミシェルフォンはその地下通路に唖然とした。
どんなに長い年月をかけて、この入り組んだ通路を掘ったのだろうと思った。
だが、それは一夜で作ったのだと彼は言った。
「俺の話を聞いたら君はきっと俺を許さないだろう」
闇夜に紛れて目指したこの地下帝国は、母の祖国セルディ王国の地下なのだと聞いて驚愕した。
着いて直ぐに湯浴みをするように促され、湯船に浸かった時、ミシェルフォンはフッと体の力が抜けて再び涙が溢れてきた。
叔父家族の幸せを壊したのは紛れもなく自分のせいだと、悔やんでも悔やんでも謝っても謝っても、叔父も叔母もティーラも還っては来ない。
泣いて泣いてそして誰が自分を狙っているのか知らなければならない、そう思った。
叔父のルコッタはトラウスマ王国を懸念していたが、ミシェルフォンは違う国ではないかと考えていた。
ただそれが何の為であるのかが分からない。きっと彼等は知っている、そう思ってザバンと湯船から立ち上がった。
脱衣所には大判のタオルの他に、質素なワンピースも置かれていた。きっとミシェルフォンの為に用意してくれていたのだろうと、有難くそれに着替えた。
ミシェルフォンの荷物はあの荷馬車に置いたままになっていたからだ。
今彼女が持っているのは、着ていたスカートのポケットに入れていた貯金、胸元を飾るカミラとティーラから貰ったネックレス、ルコッタから貰った財布とその中に入れている“母の手紙”だけだ。
全てに思い出が詰まっていて、絶対に手放せない物達、ミシェルフォンはネックレスをギュッと握りしめて浴室を出た。
部屋で待っていると扉の近くの明かりが点滅した。
これがノックの代わりだと先程教えてもらったばかりだった。
分厚い鉄で出来た扉を開けると、扉の前に居たのはミシェルフォンと然程変わらない年頃の女性だった。
「王子様がお待ちです、ご案内いたします」
(王子様?)
彼は王子だというのだろうか?とてもそうは見えなかった。そう考えた時ミシェルフォンは自分も王女だったなと自嘲した。
案内された部屋には、彼と3人の男達が、テーブルに大きな紙を広げて話をしている所だった。
そしてミシェルフォンは、何故こんな事になったのかを彼の口から聞かされる事になった。
「俺の名前はアレンディオ・ルーステリア、今はもう地図には載っていないが、ルーステリア王国の元王子だった。君と俺を狙っているのはカイラッサ王国だ」
「貴方も狙われているの?」
アレンディオは頷いて、そしてその言葉を言った。
「俺の話を聞いたらきっと君は俺を許さないだろう」
そう言って俯いた。
◇◇◇
アレンディオは今から25年前、ルーステリア王国の第一王子として生を受けた。
ルーステリア王国は小国であったが、緑豊かで農業に力を入れていた国だった。
大陸には珍しく国民の半数近くが、大なり小なり魔力を持つ国であったが、国王はあまり魔力に頼るべきではないという考えであったから、魔力よりも人力を重宝していた。
その国に生まれたアレンディオは王族なのに魔力がなかった。
だが、元より魔力を重視していない国王は、息子が魔力がないのではなく、単に特異体質であるということに気付くのが遅れてしまった。その為にその魅力的な体質を国家レベルで欲しがる国がある事にも、その国に対して対応策を考える事も、そのどれにも万全に対処できずに、アレンディオが5歳のときに誘拐されてしまい、軈てその国によって滅ぼされてしまった。今はその国の一部に入れられている。
王子を誘拐しルーステリア王国を滅ぼしたのはカイラッサ王国。
この国は大陸の北に位置する国で、広大な地を統べる国であったが、今から100年前、今は伝説や御伽噺にしか登場しない“魔女の呪い”で国が砂漠化してしまった国だった。
どんなに水を与えても忽ちのうちに乾いてしまう。
そして雨は一滴も降らなくなってしまった。
北に位置する為、人々は殊の外冬は寒さに凍る程なのに、それは体感だけで実際には雪すらも降ることはない。
せめて雪でも降ってくれたら、溶ければ飲み水になるというのに魔女はそれも許さなかった。
大国であるのに段々と廃れていったカイラッサ王国にある日天才が生まれた。
その天才の名はハンザーライト・カイラッサ。
現カイラッサ国王だった。
彼はある魔導具を開発した。
魔力を魔石を使ってその魔導具に流すと中の魔法陣を発動させる、それによって雨を降らせるという。その魔法陣は王国の宝物庫に禁術として封じられた物だった。
ハンザーライトが生まれる前も、それを使って開発を試みた者はいたが、誰にもそれは成し遂げる事ができなくて、ハンザーライトの頭脳によってその道具は完成したのだった。
だが、カイラッサ王国にはその魔導具に必要な魔力を持つ者が殆ど居なかった。
だからこの国は国を潤すために、近隣諸国から魔力を持つ者を時には金で、金で動かぬ時は脅したり誘拐したりして、その魔力を補っていた。
だがかなり高価で内容量の大きな魔石を取り付けてはいたが、それでも国全体には力は行き渡らなかった。そしてその酷使した魔石がそろそろ寿命を迎えようというときに、ハンザーライトの耳にその情報が入った。
ルーステリア王国の王子は、魔力を体に蓄積する事が出来る、魔石の様な特異体質なのだという事を知った。
『ルーステリア地下帝国』と、そこに集まった少数の人達は呼んでいた。
帝国を統べるのはミシェルフォンを助けてくれた“あのピアスの男”だった。
初めてそこに連れて行かれた時、ミシェルフォンはその地下通路に唖然とした。
どんなに長い年月をかけて、この入り組んだ通路を掘ったのだろうと思った。
だが、それは一夜で作ったのだと彼は言った。
「俺の話を聞いたら君はきっと俺を許さないだろう」
闇夜に紛れて目指したこの地下帝国は、母の祖国セルディ王国の地下なのだと聞いて驚愕した。
着いて直ぐに湯浴みをするように促され、湯船に浸かった時、ミシェルフォンはフッと体の力が抜けて再び涙が溢れてきた。
叔父家族の幸せを壊したのは紛れもなく自分のせいだと、悔やんでも悔やんでも謝っても謝っても、叔父も叔母もティーラも還っては来ない。
泣いて泣いてそして誰が自分を狙っているのか知らなければならない、そう思った。
叔父のルコッタはトラウスマ王国を懸念していたが、ミシェルフォンは違う国ではないかと考えていた。
ただそれが何の為であるのかが分からない。きっと彼等は知っている、そう思ってザバンと湯船から立ち上がった。
脱衣所には大判のタオルの他に、質素なワンピースも置かれていた。きっとミシェルフォンの為に用意してくれていたのだろうと、有難くそれに着替えた。
ミシェルフォンの荷物はあの荷馬車に置いたままになっていたからだ。
今彼女が持っているのは、着ていたスカートのポケットに入れていた貯金、胸元を飾るカミラとティーラから貰ったネックレス、ルコッタから貰った財布とその中に入れている“母の手紙”だけだ。
全てに思い出が詰まっていて、絶対に手放せない物達、ミシェルフォンはネックレスをギュッと握りしめて浴室を出た。
部屋で待っていると扉の近くの明かりが点滅した。
これがノックの代わりだと先程教えてもらったばかりだった。
分厚い鉄で出来た扉を開けると、扉の前に居たのはミシェルフォンと然程変わらない年頃の女性だった。
「王子様がお待ちです、ご案内いたします」
(王子様?)
彼は王子だというのだろうか?とてもそうは見えなかった。そう考えた時ミシェルフォンは自分も王女だったなと自嘲した。
案内された部屋には、彼と3人の男達が、テーブルに大きな紙を広げて話をしている所だった。
そしてミシェルフォンは、何故こんな事になったのかを彼の口から聞かされる事になった。
「俺の名前はアレンディオ・ルーステリア、今はもう地図には載っていないが、ルーステリア王国の元王子だった。君と俺を狙っているのはカイラッサ王国だ」
「貴方も狙われているの?」
アレンディオは頷いて、そしてその言葉を言った。
「俺の話を聞いたらきっと君は俺を許さないだろう」
そう言って俯いた。
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アレンディオは今から25年前、ルーステリア王国の第一王子として生を受けた。
ルーステリア王国は小国であったが、緑豊かで農業に力を入れていた国だった。
大陸には珍しく国民の半数近くが、大なり小なり魔力を持つ国であったが、国王はあまり魔力に頼るべきではないという考えであったから、魔力よりも人力を重宝していた。
その国に生まれたアレンディオは王族なのに魔力がなかった。
だが、元より魔力を重視していない国王は、息子が魔力がないのではなく、単に特異体質であるということに気付くのが遅れてしまった。その為にその魅力的な体質を国家レベルで欲しがる国がある事にも、その国に対して対応策を考える事も、そのどれにも万全に対処できずに、アレンディオが5歳のときに誘拐されてしまい、軈てその国によって滅ぼされてしまった。今はその国の一部に入れられている。
王子を誘拐しルーステリア王国を滅ぼしたのはカイラッサ王国。
この国は大陸の北に位置する国で、広大な地を統べる国であったが、今から100年前、今は伝説や御伽噺にしか登場しない“魔女の呪い”で国が砂漠化してしまった国だった。
どんなに水を与えても忽ちのうちに乾いてしまう。
そして雨は一滴も降らなくなってしまった。
北に位置する為、人々は殊の外冬は寒さに凍る程なのに、それは体感だけで実際には雪すらも降ることはない。
せめて雪でも降ってくれたら、溶ければ飲み水になるというのに魔女はそれも許さなかった。
大国であるのに段々と廃れていったカイラッサ王国にある日天才が生まれた。
その天才の名はハンザーライト・カイラッサ。
現カイラッサ国王だった。
彼はある魔導具を開発した。
魔力を魔石を使ってその魔導具に流すと中の魔法陣を発動させる、それによって雨を降らせるという。その魔法陣は王国の宝物庫に禁術として封じられた物だった。
ハンザーライトが生まれる前も、それを使って開発を試みた者はいたが、誰にもそれは成し遂げる事ができなくて、ハンザーライトの頭脳によってその道具は完成したのだった。
だが、カイラッサ王国にはその魔導具に必要な魔力を持つ者が殆ど居なかった。
だからこの国は国を潤すために、近隣諸国から魔力を持つ者を時には金で、金で動かぬ時は脅したり誘拐したりして、その魔力を補っていた。
だがかなり高価で内容量の大きな魔石を取り付けてはいたが、それでも国全体には力は行き渡らなかった。そしてその酷使した魔石がそろそろ寿命を迎えようというときに、ハンザーライトの耳にその情報が入った。
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