幽閉されていた王女は悪女の汚名を復讐で返上する

maruko

文字の大きさ
19 / 28

18 ティーラ

しおりを挟む
 ミシェルフォンがアレンディオ達に救出されてから6年の月日が流れた。

 その間仲間達もミシェルフォンやアレンディオも徐々に力を蓄えてきた。

 ミシェルフォンは習ったことのない武術を習得する為に、必死で鍛錬をして頑張った。

 その力の源が、今横で一緒に汗を流している。

「ミシェルフォン様、もうお疲れですの?」

「言ったわね、!まだまだよ!」

 あの襲撃に合った時、アレンディオの仲間の別部隊が、叔父達の亡骸を葬る為に運んでいたのだが、途中ティーラだけが息を吹き替えした。どうやら一時的に仮死状態にあったのかもしれないと、アレンディオが推測で言った。

 魔力持ちのルコッタから生まれたティーラは、魔力を持っていなかったが、何らかの力は持ち合わせていたのかも知れないと彼は言う。現に魔力を持たない彼は、体質が魔力を蓄積する事ができる上に魔法すら簡単に使えるのだから。ティーラにも何かしらの力が備わっていたのかもしれない。

 ただ彼女ティーラは人に関する記憶を全て失っていた。

 助け出されて一年後に彼女に引き合わされた時、ティーラはミシェルフォンに「初めまして王女様」と言った。

 それでもいい
 生きていてくれた事に感謝した。

「ティーラありがとう」

 ミシェルフォンは戸惑うティーラを抱きしめて泣きながらそう言った。

 それからティーラはミシェルフォンの侍女になった。
 最初は友人として一緒に居たかったが、ミシェルフォンを王女として、紹介した為にそれは叶わなかった。
 でものだ。
 ミシェルフォンはそう思って、ティーラとのかけがえのない日々を過ごしていた。

 今日の鍛錬が終わり、軽く汗を流してミシェルフォンは食堂へ向かった。

 アレンディオが魔法使いと知って、色々と教えられた。彼は5歳で誘拐されたが3歳の頃から文字も読めた。だからルーステリア王国の王家に残されていた魔法の本を片っ端から暗記するのが、趣味だったらしい。どうやらルーステリア王国は魔法使いを伝説として捉えてはいなかったようだ。だからこそそのような本が王家に多数保管されていたのだろう。

 そうして助け出された時、その頃の記憶を頭に浮かべてアレンディオは試しに呪文を唱えてみた、すると魔法が発動したのだという。因みに初めて発動したのが転移魔法だったそうだ。

 助け出された時カイラッサ王国ここから逃げたいと強く思ったからだろうとアレンディオは言った。
 飛ばされたのが元のセルディ王国の地だったのは、一緒に転移したダッセンの記憶を辿ったのではないかと教えてくれた。

 まこと魔法とは不思議なものだとミシェルフォンは思う。
 この地下帝国もアレンディオが魔法で作り上げたのだ。

 でも彼は説明するたびに

「魔力は君のだけどね」

 とミシェルフォンに言って感謝するのが、ミシェルフォンには面映い。

 ただ魔力を持っている者が全員魔法を使えるわけではないらしい。
 アレンディオに倣って、魔力を持つ者は必ず呪文を教えてもらうのだが、未だに一人も同じ様に魔法は使えないのだ。

 この世でただ一人の魔法使い

 それがアレンディオという男なのだ。

 ミシェルフォンは思う、

 彼はミシェルフォンの復讐の最大の味方だ!
 彼がいれば母や叔父、叔母の仇を絶対に討てる。

 そうして、忘れてしまったかもしれないけれど、きっとティーラの恩にも少しは報いる事ができるはず。

 ミシェルフォンは食堂でハーブティーを飲みながら、ティーラの眩しい笑顔を見つめていた。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!

月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、 花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。 姻族全員大騒ぎとなった

全部私が悪いのです

久留茶
恋愛
ある出来事が原因でオーディール男爵家の長女ジュディス(20歳)の婚約者を横取りする形となってしまったオーディール男爵家の次女オフィーリア(18歳)。 姉の元婚約者である王国騎士団所属の色男エドガー・アーバン伯爵子息(22歳)は姉への気持ちが断ち切れず、彼女と別れる原因となったオフィーリアを結婚後も恨み続け、妻となったオフィーリアに対して辛く当たる日々が続いていた。 世間からも姉の婚約者を奪った『欲深いオフィーリア』と悪名を轟かせるオフィーリアに果たして幸せは訪れるのだろうか……。 *全18話完結となっています。 *大分イライラする場面が多いと思われますので苦手な方はご注意下さい。 *後半まで読んで頂ければ救いはあります(多分)。 *この作品は他誌にも掲載中です。

〈完結〉前世と今世、合わせて2度目の白い結婚ですもの。場馴れしておりますわ。

ごろごろみかん。
ファンタジー
「これは白い結婚だ」 夫となったばかりの彼がそう言った瞬間、私は前世の記憶を取り戻した──。 元華族の令嬢、高階花恋は前世で白い結婚を言い渡され、失意のうちに死んでしまった。それを、思い出したのだ。前世の記憶を持つ今のカレンは、強かだ。 "カーター家の出戻り娘カレンは、貴族でありながら離婚歴がある。よっぽど性格に難がある、厄介な女に違いない" 「……なーんて言われているのは知っているけど、もういいわ!だって、私のこれからの人生には関係ないもの」 白魔術師カレンとして、お仕事頑張って、愛猫とハッピーライフを楽しみます! ☆恋愛→ファンタジーに変更しました

【完結】徒花の王妃

つくも茄子
ファンタジー
その日、王妃は王都を去った。 何故か勝手についてきた宰相と共に。今は亡き、王国の最後の王女。そして今また滅びゆく国の最後の王妃となった彼女の胸の内は誰にも分からない。亡命した先で名前と身分を変えたテレジア王女。テレサとなった彼女を知る数少ない宰相。国のために生きた王妃の物語が今始まる。 「婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?」の王妃の物語。単体で読めます。

「股ゆる令嬢」の幸せな白い結婚

ウサギテイマーTK
恋愛
公爵令嬢のフェミニム・インテラは、保持する特異能力のために、第一王子のアージノスと婚約していた。だが王子はフェミニムの行動を誤解し、別の少女と付き合うようになり、最終的にフェミニムとの婚約を破棄する。そしてフェミニムを、子どもを作ることが出来ない男性の元へと嫁がせるのである。それが王子とその周囲の者たちの、破滅への序章となることも知らずに。 ※タイトルは下品ですが、R15範囲だと思います。完結保証。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

いずれ追放される悪役令嬢に生まれ変わったけど、原作補正を頼りに生きます。

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚約破棄からの追放される悪役令嬢に生まれ変わったと気づいて、シャーロットは王妃様の前で屁をこいた。なのに王子の婚約者になってしまう。どうやら強固な強制力が働いていて、どうあがいてもヒロインをいじめ、王子に婚約を破棄され追放……あれ、待てよ? だったら、私、その日まで不死身なのでは?

今、私は幸せなの。ほっといて

青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。 卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。 そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。 「今、私は幸せなの。ほっといて」 小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...