幽閉されていた王女は悪女の汚名を復讐で返上する

maruko

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 アレンディオの魔法は潜伏期間の間にかなり上達していた。それは魔力だけ持ち合わせるミシェルフォンだけではなく、仲間達に共通する考えで間違いなくアレンディオはこの大陸の『救世主』だと認識している。

 当の本人はこの魔法の廃れた世界で、その魔法がどれだけ貴重なのかなど思っていないようで、仲間内に今日も作ったという呪文を教えていた。誰も取得などできていないが⋯。
 復讐の第一歩としてアレンディオやミシェルフォンは勿論仲間達も、民を犠牲にするつもりは1ミリもなかった。少しずつ増えていく仲間も今では地下に留まらず、各国に散らばって相当数存在している。それでも強制など誰にもしていなかった。それだけ、今この大陸は蝕まれて行っているという事なのだ。元凶カイラッサ王国ハンザーライトを討つために民を避難させることが決まったが、ミシェルフォンには違う任務をアレンディオは与えた。

「カイラッサは広いわよ、砂漠にも阻まれている。どうやって民全員を避難させる?」

 ミシェルフォンの問にアレンディオはいとも簡単と言うように「転移させる」と宣った。

「貴方体力は保つの?」

 そんなミシェルフォンの心配した顔に、アレンディオは自分の左手を添える。

「その体力はミシェル次第だよ、君こそ大丈夫?」

 愛おしそうに見つめるアレンディオのその真っ直ぐな黒い双眸に、ミシェルフォンの顔は熟れたトマトより赤くなった。

「だ、大丈夫よ」

 居たたまれなくて少し顔をそらすと、そこには生温かい目で見つめるティーラが見えて、ミシェルフォンは尚更居た堪れない。

 そこへミシェルフォンの叔父であるフォルトがやって来て「準備が整った」と報告する。
 今から精鋭5人とアレンディオはカイラッサ王国へと向けて出発する。

 ミシェルフォン達と合流するのは、全ての民が避難してからになる。
 それがどれくらいの期間になるか分からない。
 幾らアレンディオに魔法が使えたとしても、何があるかわからないのが戦いだ。

「アレン、今回の貴方達は民の救出が目的よ。お願いだから目的を忘れないで。また会う日までぜったいに無事な姿を見せると約束して」

「俺の最終目的はハンザーライトだ、あいつを討つまでは俺は死なない。ミシェル、君も無茶をしないでほしい」

 二人はここに仲間たちがいるのをすっかり忘れて、二人の世界に浸っていた。
 それを再び引き戻したのはアイレーンだった。

「ねぇ王子!何時まで待たせるの。名残惜しいのはわかるけど、こんな所で何時までもいたらどんどん合流が遅くなるわよ!」

 二人の世界に浸るのは全てが終わってからにして欲しいと、アイレーンの目は語っていた。

「ん、ん、すまない。皆それでは行こうか!」

 咳払いをしながら気まずそうなアレンディオの言葉で、同行の4人以外のメンバーは壁際に寄った。

 ミシェルフォンは胸の前に手を組んで祈った。

「皆が無事でありますように」

 アレンディオの口元が動く、5人の周りにギリギリの光が円を描いた、眩しくて目を閉じたミシェルフォン達は“ブォン”という音が聞こえて目を開けると、そこにいた5人の姿はなく、風が揺れたように見えるだけだった。

 アレンディオ達は行った。

 次の作戦に進む号令をかける為、ミシェルフォンはティーラ達とともに部屋を出た。





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