幽閉されていた王女は悪女の汚名を復讐で返上する

maruko

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 ※残虐な表現を使った箇所があります
 苦手な方はご自衛ください
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 王城の制圧はあっという間だった。
 この国に残る貴族達はほんの僅かだけ、その全てが逃げ場もなく城に立てこもってはいたが、戦う兵士は殆どいなかった。

「カイラッサ国王はどこだ!」

「ハンザーライトを探せ!」

 皆が口々に叫ぶ。
 捉えた中には肝心の男はいなかった。

 あちらこちらを駆けずり回る仲間たちはその首を目指している。

 集まった仲間たちの大半は“あの石”の下に埋められた人達の家族や縁者達だろう。
 ミシェルフォンは彼らの気持ちがよくわかる。

 (叔父様と叔母様の仇!絶対に逃さないわ!)

 過去を忘れたティーラの分も心で叫ぶ。

 城の大半を探したが何処にも居ない。ハンザーライトは、既に逃げてしまったのではないかという空気に包まれた時アレンディオが呟いた。

「まさか⋯?」

「何処?」

「着いてきて、あっ、ミシェルフォン気をつけるんだ」

 アレンディオの言葉にミシェルフォンは頷きながら着いていった。

 彼が向かうのは地下のようだ。
 いくつもの階段を下りる、その階数は多く、下りる度に地獄の穴へと続いてる、そんな錯覚をミシェルフォンは感じた。

 下からは風が上がってくる。

「奴はやはり下だ」

「下?」

「あぁ俺が拘束されていた場所だ」

「えっ?」

 そこに繋がる階段を駆け足で下りながらアレンディオは言ったが、ミシェルフォンは、彼の心は大丈夫なのかと、そんな場所から命からがら脱出したのに再び行く事になるなんて。

 アレンディオの心を思うとミシェルフォンは胸が痛くなった。


 果たして彼はそこに居た。
 右腕が無いのは知っていた、トリストの息子でアイレーンの弟の親友が命と引き換えに奪ったのだと、潜入していた仲間からその話は齎された。
 ハンザーライトの右袖が、ユラユラと所在なさげに揺れているのを見ると顔も知らないが、一矢報いた彼を想ってミシェルフォンは祈る。

 暫くお互いに物言わず睨み合っていたら、ミシェルフォンの後ろから誰かが続いてやって来た。
 その後方を見てハンザーライトは目を瞠り次の瞬間笑った。

「ははははは!アイレーン生きていたのか!お前か!お前が生きていたとはなぁ。やはりトドメまで見届けるんだった」

 悔しそうにギリリと口を歪ませるハンザーライト。
 アイレーンは弟が亡くなったあと、仇とばかりにハンザーライトに切りかかり、処刑された事になっていたが、トリスト達が助けたと聞いている。彼女の首には未だ消えない禍々しい紐の跡が首に残っている。

「うるさい!黙れ!この外道!」

 アイレーンは力の限り汚い言葉で罵る。
 するとハンザーライトが苦しそうに胸を押さえ始めた、呼吸は荒くなり子供のように手当たりしだいに何かを投げようとするが、生憎彼の周りには何も置いていなかったようだ。アイレーンは長年彼の妻をしていたからハンザーライトが汚い言葉に弱いことを知っていた。彼はその言葉を聞くと子供時代を思い出すらしい。何かのトラウマがあるのだろうと思うが、そんなトラウマ知ったことじゃない。ミシェルフォン達はそう思っている。

 どうやら時間稼ぎには充分だった。

 今アレンディオの掌に赤い炎が揺らめいている。

 アレンディオの新しい魔法は、唱える言葉が長文で、その時間稼ぎを誰でもいいからする事になっていた。
 丁度ハンザーライトがアイレーンに反応してくれて良かった。

 ミシェルフォンは彼の前に一歩出る。
 剣をギュッと握りしめた。

 そして⋯⋯⋯

「はあっ!」

「うわぁぁぁぁぁ」

 アレンディオがハンザーライトに炎を投げる。
 忽ち彼は燃え上がった。
 断末魔のように声を上げるが、まだまだだ。

「まだよ!簡単に死なせるわけないじゃない!」

 ミシェルフォンの声で次々と剣を持った仲間達が一太刀ずつ彼に斬りつける。
 その度にハンザーライトは
「グワッ」「ゴワッ」「グフッ」と声が上がる。
 彼の口周りは吐いた血で真っ赤に染まり、到頭膝をついた。

 そこにミシェルフォンとティーラが二人で彼の頭上に剣を振り下ろした。

「叔父様と叔母様の仇よ!」

 ミシェルフォンの声とともにハンザーライトは息絶えた。

「お父さん⋯⋯お母さん」

 声がする方へミシェルフォンが目を向けると、ティーラが呟きながら泣いていた。

「ティーラ⋯⋯⋯記憶戻ったの?」

 泣きながら頷くティーラをミシェルフォンは抱きしめた。







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