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シャンデリアはあの日と同じで煌々と輝いている。
ホールの人数もあの日と同じ位
皆に囲まれて床に崩れ落ちているのもあの日と同じ赤みがかった茶色の髪に緑の瞳を持つ女性、そして真っ赤なドレス。
違っているのは
ホールに居る人々が着用しているのがあの日は夜会服、今日は鎧兜。
床に崩れ落ちている女性があの日はこのトラウスマ王国の第一王女のミシェルフォン、今日は第二王女のアリーチェルだという事。
怯えた目で見上げる顔と、その顔を侮蔑な瞳で見据える顔。二人は同じ顔をしていた。
それもそのはず二人は同じ腹から少しの時間差でうまれたのだから。
「アリーチェル、この日を私は待ち侘びた。やっとここまで来たわ」
「お、お姉様。お願い助けて」
「⋯⋯」
「お願い!お姉様!私達二人っきりの姉妹じゃない!」
「⋯⋯今更お姉様なんて言っても、貴方と姉妹だったことなどないわ。その絆はきっとお母様のお腹の中に二人とも忘れて来ちゃたのね」
ミシェルフォンはアリーチェルに向かって最期の言葉をかけた。
「悪い王女もここまでね、貴方の罪は貴方が償いなさい。私はいらないわ。連れて行って!」
ミシェルフォンの命令に鎧をまとった騎士が嫌がるアリーチェルを3人がかりで運んでいった。
それを見届けてホールの壇上に置かれた玉座に座る人物の元へ、ゆっくりと歩みを進めた。
近づくミシェルフォンに鎮座していた人物が立ち上がり両手を広げて彼女を待つ。
その手に導かれる様にミシェルフォンは早足で向かう。
大きく広いその胸にミシェルフォンが飛び込むと彼はギュッと抱きしめてその腕に力を込めた。
「最後の仕上げだな」
「えぇ、そうね」
抱き合う二人に仲間達が近付いて、皆で輪になった。
「さぁ、ダッセン。ホワントの仇を討ちましょう」
ミシェルフォンが声をかけたダッセンは、ピシッと騎士の礼を決めた。
◇◇◇
トラウスマ王国王都の広場には、先日アリーチェルが用意した舞台がそのまま残されていた。
今、そこには彼女の為の拘束用の柱が1本用意されていた。
あの日から地下牢に繋がれていたアリーチェルが、兵士達に拘束されながらその場に連れ出されてきた。
舞台の前には悪政を強いた悪女の最期を一目見ようと皆が集まっている。
その集まる民衆の顔を見ながらミシェルフォンは、自分が初めて馬車に乗せられたあの日と同じだと感じた。
ダッセンの姉でミシェルフォンの長年の教育係を務めていたホワントの亡骸は、ミシェルフォンが幽閉されていた地下牢で発見された。
厳しい拷問の末亡き者にされたのは、一目で分かるほど拷問の跡が酷かった。その床に広がる血溜まりは乾ききっていなかった。
その亡骸を見つけたダッセンの嘆きは大きく、ミシェルフォン達は間に合わなかった悔しさに皆が拳を震わせた。
体を捩りながら連れてこられたアリーチェルは、頭から麻袋を被せられていた。そのまま彼女は柱に縛り付けられる。
そして罵声の中、麻袋は剥ぎとられた。
アリーチェルの瞳には太陽の光が映って、一瞬眩しく目を閉じた。
再び開けた時にその双眸に映ったのは憎悪に歪む人々の顔だった。
「私は何もしていないわ!私はアリーチェル・トラウスマよ!ミシェルフォンじゃないわ!」
アリーチェルは叫ぶ!
だが、そんな戯言はもう人々に通用しなかった。
ただ民衆の罵声を煽っただけだった。
執行人に選ばれたのはダッセン。
彼は一歩ずつゆっくりとそこに歩を進める。
アリーチェルは柱に縛られたまま、膝を無理矢理尽かされ体を背中から押さえられる、自然と頭を垂れる格好になる。柱に括り付けられたままだから、縄が体に食い込んで内臓が口から飛び出そうな程だった。
長く豊かで腰まであった赤味がかった茶色の髪は、肩よりも短くざんばらに切られていた。
ゆっくりと歩いていたダッセンが到頭そこへ辿り着いた。
姉ホワントと離れ離れになったのは、もう20年も前だった。年の離れた姉はダッセンを養う為に、メルティアの侍女として働いていた。
在りし日のホワントの顔がダッセンの脳裏に浮かぶ。
「姉上、さぞ無念でしたでしょう、これで貴方の無念を少しでも晴らせてあげられるでしょうか?」
その言葉に返答してくれる人はもういない。
自然と溢れていた涙をそっとガンドレットを駆使して拭う。
振り被った剣に一点集中。
ダッセンは渾身の一撃を白い首筋に振り下ろした。
ホールの人数もあの日と同じ位
皆に囲まれて床に崩れ落ちているのもあの日と同じ赤みがかった茶色の髪に緑の瞳を持つ女性、そして真っ赤なドレス。
違っているのは
ホールに居る人々が着用しているのがあの日は夜会服、今日は鎧兜。
床に崩れ落ちている女性があの日はこのトラウスマ王国の第一王女のミシェルフォン、今日は第二王女のアリーチェルだという事。
怯えた目で見上げる顔と、その顔を侮蔑な瞳で見据える顔。二人は同じ顔をしていた。
それもそのはず二人は同じ腹から少しの時間差でうまれたのだから。
「アリーチェル、この日を私は待ち侘びた。やっとここまで来たわ」
「お、お姉様。お願い助けて」
「⋯⋯」
「お願い!お姉様!私達二人っきりの姉妹じゃない!」
「⋯⋯今更お姉様なんて言っても、貴方と姉妹だったことなどないわ。その絆はきっとお母様のお腹の中に二人とも忘れて来ちゃたのね」
ミシェルフォンはアリーチェルに向かって最期の言葉をかけた。
「悪い王女もここまでね、貴方の罪は貴方が償いなさい。私はいらないわ。連れて行って!」
ミシェルフォンの命令に鎧をまとった騎士が嫌がるアリーチェルを3人がかりで運んでいった。
それを見届けてホールの壇上に置かれた玉座に座る人物の元へ、ゆっくりと歩みを進めた。
近づくミシェルフォンに鎮座していた人物が立ち上がり両手を広げて彼女を待つ。
その手に導かれる様にミシェルフォンは早足で向かう。
大きく広いその胸にミシェルフォンが飛び込むと彼はギュッと抱きしめてその腕に力を込めた。
「最後の仕上げだな」
「えぇ、そうね」
抱き合う二人に仲間達が近付いて、皆で輪になった。
「さぁ、ダッセン。ホワントの仇を討ちましょう」
ミシェルフォンが声をかけたダッセンは、ピシッと騎士の礼を決めた。
◇◇◇
トラウスマ王国王都の広場には、先日アリーチェルが用意した舞台がそのまま残されていた。
今、そこには彼女の為の拘束用の柱が1本用意されていた。
あの日から地下牢に繋がれていたアリーチェルが、兵士達に拘束されながらその場に連れ出されてきた。
舞台の前には悪政を強いた悪女の最期を一目見ようと皆が集まっている。
その集まる民衆の顔を見ながらミシェルフォンは、自分が初めて馬車に乗せられたあの日と同じだと感じた。
ダッセンの姉でミシェルフォンの長年の教育係を務めていたホワントの亡骸は、ミシェルフォンが幽閉されていた地下牢で発見された。
厳しい拷問の末亡き者にされたのは、一目で分かるほど拷問の跡が酷かった。その床に広がる血溜まりは乾ききっていなかった。
その亡骸を見つけたダッセンの嘆きは大きく、ミシェルフォン達は間に合わなかった悔しさに皆が拳を震わせた。
体を捩りながら連れてこられたアリーチェルは、頭から麻袋を被せられていた。そのまま彼女は柱に縛り付けられる。
そして罵声の中、麻袋は剥ぎとられた。
アリーチェルの瞳には太陽の光が映って、一瞬眩しく目を閉じた。
再び開けた時にその双眸に映ったのは憎悪に歪む人々の顔だった。
「私は何もしていないわ!私はアリーチェル・トラウスマよ!ミシェルフォンじゃないわ!」
アリーチェルは叫ぶ!
だが、そんな戯言はもう人々に通用しなかった。
ただ民衆の罵声を煽っただけだった。
執行人に選ばれたのはダッセン。
彼は一歩ずつゆっくりとそこに歩を進める。
アリーチェルは柱に縛られたまま、膝を無理矢理尽かされ体を背中から押さえられる、自然と頭を垂れる格好になる。柱に括り付けられたままだから、縄が体に食い込んで内臓が口から飛び出そうな程だった。
長く豊かで腰まであった赤味がかった茶色の髪は、肩よりも短くざんばらに切られていた。
ゆっくりと歩いていたダッセンが到頭そこへ辿り着いた。
姉ホワントと離れ離れになったのは、もう20年も前だった。年の離れた姉はダッセンを養う為に、メルティアの侍女として働いていた。
在りし日のホワントの顔がダッセンの脳裏に浮かぶ。
「姉上、さぞ無念でしたでしょう、これで貴方の無念を少しでも晴らせてあげられるでしょうか?」
その言葉に返答してくれる人はもういない。
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