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第二章 アトルス王国にて
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「お義母様?」
「驚いた?でも元々そういう約束だったのよ」
「でも⋯⋯」
父と義母が契約婚だというのはユリアーナも教えられて知っていた。最初に聞いたときは11歳の時でそれがどういうものなのか、ユリアーナにはよく分からなかった。
だが義母は使用人達にも奥様と呼ばれてはいたが、何処か遠慮してる用にも見えたし、父に対しては仲は良く見えたが一線を引いてるようにも感じていた。
「前にも言ったように私と旦那様は契約婚。これは元々私とイザベラ、マリアンナを旦那様が守ってくださる為の婚姻だったの。それにねユリアーナ、私はあの子達の父親をまだ深く思っているのよ」
「それは、お父様も仰っていたけど」
アトルスに来る前にユリアーナとオスカーとの事で責任を感じた義母とマリアンナは、二人で修道院に行こうとしていた、それを父とユリアーナが止めたのだが、その時に父がそのような事を言っていたなとユリアーナは思い出した。
どうして義母は愛人に刺されて亡くなった夫を今でも愛することが出来るのだろう?
ユリアーナはそんな疑問が浮かび、おそらくそれは顔に出ていたのかもしれない。
「ユリアーナには不思議よね、でも忘れられないの。しょうがないわ」
微笑みながら話す義母に、何かそこにユリアーナには言えない何かがあるのだと感じたけれど、それはユリアーナが聞くことではないと思えて、それ以上は聞くのを止めた。
「この国でイザベラもマリアンナも漸く思いっきり息をすることができたみたいなの。二人とも自由に生き生きしていたわ、マリアンナも良く話すようになって、その二人を何時までも見守りたいの、夫の分まで」
「そう⋯⋯なのね」
ユリアーナは義母エリーヌの言葉に何だか素直に頷けなかった、イザベラやマリアンナとは離れることは決まっていたけれど、義母とはずっと一緒にいる様にユリアーナは思っていたから。
「ユリアーナ、貴方にはエリーヌ様がいるわ」
その言葉にユリアーナは何だか突き放されたようで寂しさを感じた。
「私達母娘の事がなければ旦那様とエリーヌ様はきっと復縁していたと思うの。旦那様は今でもエリーヌ様を貴方のお母様を深く愛していらっしゃるわ。貴方に話というのはね、旦那様の背中を一緒に押しに行きましょうって相談しようと思ったの。貴方もうすぐ結婚式でしょう?」
「お義母様がお父様の背中を押すの?」
「えぇそうよ!援護をお願いね」
義母の満面の笑顔をユリアーナは初めて見た気がした。義母はいつも静かに微笑んでいた。
本当はこんなふうに笑えるのだと知って、きっとライレーンでは笑えなかったのだとその時ユリアーナは思った。
◇◇◇
エンバーの結婚式に出る為に、ユリアーナは義母エリーヌと共に一旦ライレーン王国へと帰ることになった。
その帰国の前日にユリアーナはシモンから植物園に呼び出された。
ユリアーナは義母と会った後、植物園に行くのを何となく止めていた。
その日会ったのは1ヶ月振りだった。
今日はファライナはカインと出かけてるとシモンは言った。
「これを渡そうかなって思って」
それは植物の種だった。
「これは薬草の?」
「チョット違うんだけど、よかったら公爵家に植えてもらえると嬉しいな。私が品種改良した物なんだ」
「シモン様が?」
「うん、ずっとファライナが居たから渡せなくて、最近は、その、君に会えてなかったから」
「えっと⋯あまりお邪魔をするのもどうかと思いまして」
如何して言い訳がましいことを自分は言ってるのか、よくわからないと思いながらもユリアーナはシモンに言った。
「邪魔だなんて!ファライナにはカインがいるんだし、気にしなくていいんだよ」
「そんな!婚約者はシモン様ですよ」
どうして婚約者のシモンがカインとやらに遠慮しなければならないのかと、ユリアーナは憤って彼の言葉に反論した。そんなユリアーナにシモンは「そうじゃない」とか「どうして」とか色々と言っていたのだが、ユリアーナにはシモンが何かを小声でブツブツ言ってるようにしか聞こえなかった。
「でも希少な種ですね、シモン様が改良した植物がどの様に育つか楽しみです」
「水はあまりあげなくても大丈夫だから、庭師にこれを渡して」
そう言ってシモンは薄い冊子を渡してくれた、それにはその植物の育て方が書かれていた。
「この植物の名前は何ていうんですか?」
「まだ付けてないんだ、ユリアーナ嬢考えてくれる?」
「えっ私がですか?いいんですか?」
「うん、出来れば一緒に考えてくれると嬉しいな」
そう言って笑顔を向けるシモンの八重歯をユリアーナは久しぶりに見た気がした。
そして、その申し出はユリアーナにとって、とてもとても嬉しい事だった。
「大事に育てますね」
「帰って来るんだろう?まだ学院は半年残ってるよね」
「⋯⋯⋯はい、そのつもりです」
「そうか、良かった」
何時もは植物園で別れるのに、その日のシモンはユリアーナを送ると言い出して、ユリアーナも戸惑ったがマールとルーカスも驚いた。
まだ間に合う大丈夫と言い聞かせて止めていたはずの気持ちは、その日は何処かに飛んでいってしまっていた。
ただ素直に嬉しかった。
「驚いた?でも元々そういう約束だったのよ」
「でも⋯⋯」
父と義母が契約婚だというのはユリアーナも教えられて知っていた。最初に聞いたときは11歳の時でそれがどういうものなのか、ユリアーナにはよく分からなかった。
だが義母は使用人達にも奥様と呼ばれてはいたが、何処か遠慮してる用にも見えたし、父に対しては仲は良く見えたが一線を引いてるようにも感じていた。
「前にも言ったように私と旦那様は契約婚。これは元々私とイザベラ、マリアンナを旦那様が守ってくださる為の婚姻だったの。それにねユリアーナ、私はあの子達の父親をまだ深く思っているのよ」
「それは、お父様も仰っていたけど」
アトルスに来る前にユリアーナとオスカーとの事で責任を感じた義母とマリアンナは、二人で修道院に行こうとしていた、それを父とユリアーナが止めたのだが、その時に父がそのような事を言っていたなとユリアーナは思い出した。
どうして義母は愛人に刺されて亡くなった夫を今でも愛することが出来るのだろう?
ユリアーナはそんな疑問が浮かび、おそらくそれは顔に出ていたのかもしれない。
「ユリアーナには不思議よね、でも忘れられないの。しょうがないわ」
微笑みながら話す義母に、何かそこにユリアーナには言えない何かがあるのだと感じたけれど、それはユリアーナが聞くことではないと思えて、それ以上は聞くのを止めた。
「この国でイザベラもマリアンナも漸く思いっきり息をすることができたみたいなの。二人とも自由に生き生きしていたわ、マリアンナも良く話すようになって、その二人を何時までも見守りたいの、夫の分まで」
「そう⋯⋯なのね」
ユリアーナは義母エリーヌの言葉に何だか素直に頷けなかった、イザベラやマリアンナとは離れることは決まっていたけれど、義母とはずっと一緒にいる様にユリアーナは思っていたから。
「ユリアーナ、貴方にはエリーヌ様がいるわ」
その言葉にユリアーナは何だか突き放されたようで寂しさを感じた。
「私達母娘の事がなければ旦那様とエリーヌ様はきっと復縁していたと思うの。旦那様は今でもエリーヌ様を貴方のお母様を深く愛していらっしゃるわ。貴方に話というのはね、旦那様の背中を一緒に押しに行きましょうって相談しようと思ったの。貴方もうすぐ結婚式でしょう?」
「お義母様がお父様の背中を押すの?」
「えぇそうよ!援護をお願いね」
義母の満面の笑顔をユリアーナは初めて見た気がした。義母はいつも静かに微笑んでいた。
本当はこんなふうに笑えるのだと知って、きっとライレーンでは笑えなかったのだとその時ユリアーナは思った。
◇◇◇
エンバーの結婚式に出る為に、ユリアーナは義母エリーヌと共に一旦ライレーン王国へと帰ることになった。
その帰国の前日にユリアーナはシモンから植物園に呼び出された。
ユリアーナは義母と会った後、植物園に行くのを何となく止めていた。
その日会ったのは1ヶ月振りだった。
今日はファライナはカインと出かけてるとシモンは言った。
「これを渡そうかなって思って」
それは植物の種だった。
「これは薬草の?」
「チョット違うんだけど、よかったら公爵家に植えてもらえると嬉しいな。私が品種改良した物なんだ」
「シモン様が?」
「うん、ずっとファライナが居たから渡せなくて、最近は、その、君に会えてなかったから」
「えっと⋯あまりお邪魔をするのもどうかと思いまして」
如何して言い訳がましいことを自分は言ってるのか、よくわからないと思いながらもユリアーナはシモンに言った。
「邪魔だなんて!ファライナにはカインがいるんだし、気にしなくていいんだよ」
「そんな!婚約者はシモン様ですよ」
どうして婚約者のシモンがカインとやらに遠慮しなければならないのかと、ユリアーナは憤って彼の言葉に反論した。そんなユリアーナにシモンは「そうじゃない」とか「どうして」とか色々と言っていたのだが、ユリアーナにはシモンが何かを小声でブツブツ言ってるようにしか聞こえなかった。
「でも希少な種ですね、シモン様が改良した植物がどの様に育つか楽しみです」
「水はあまりあげなくても大丈夫だから、庭師にこれを渡して」
そう言ってシモンは薄い冊子を渡してくれた、それにはその植物の育て方が書かれていた。
「この植物の名前は何ていうんですか?」
「まだ付けてないんだ、ユリアーナ嬢考えてくれる?」
「えっ私がですか?いいんですか?」
「うん、出来れば一緒に考えてくれると嬉しいな」
そう言って笑顔を向けるシモンの八重歯をユリアーナは久しぶりに見た気がした。
そして、その申し出はユリアーナにとって、とてもとても嬉しい事だった。
「大事に育てますね」
「帰って来るんだろう?まだ学院は半年残ってるよね」
「⋯⋯⋯はい、そのつもりです」
「そうか、良かった」
何時もは植物園で別れるのに、その日のシモンはユリアーナを送ると言い出して、ユリアーナも戸惑ったがマールとルーカスも驚いた。
まだ間に合う大丈夫と言い聞かせて止めていたはずの気持ちは、その日は何処かに飛んでいってしまっていた。
ただ素直に嬉しかった。
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