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第三章 葛藤
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エンバーが先触れもなくロッサルト公爵家に来訪したのは次の日だった。否、正確に言うならばエンバーの先触れが、雪の中溝に嵌まり立ち往生している間に、当の本人が別の道からロッサルト公爵家に向かってしまいすれ違った結果だった。
エンバーが既に公爵家に到着してエントランスでアルホーンと話してる時に、エンバーの先触れが到着したらしい。
先触れを出して直ぐに出発する癖は直したほうが良いとユリアーナは会った早々エンバーに注意した。
エンバーは一通の手紙を携えて来た。
それをユリアーナに読ませようと彼女は持参したらしい。
既に小公爵夫人のエンバーだから応接室に通すのが礼儀であるが、ユリアーナは自室へとエンバーを誘った。
ユリアーナが手紙を読ませてもらってる間、エンバーは何故か自前の刺繍道具を持参しており、目の前でチクチク刺繍を刺していた。
「はぁ、そういう事ね」
ユリアーナは4枚目を読み終わって嘆息してから必死に刺繍を刺しているエンバーは見つめた。手紙は実に8枚に及んでいる。
「そんなに必死に何を刺してるの?」
ユリアーナが聞くとエンバーは顔も上げずに答えた。
「公爵家の⋯家紋、をね。何度練習しても細か過ぎて⋯苦戦してるのよ」
「大変ね」
ユリアーナはエンバーに同情する。
嫁いだ先の家紋を刺繍するのは、夫人の嗜みだが相手の家紋が複雑なのは高位貴族になればなるほど細かい。却って王家の方が単純明快だったりする。
元々エンバーは刺繍が苦手で『創作倶楽部』の時もユリアーナと刺していた時、途中で投げていた。
その怠慢が今彼女を苦労させているのだろう。
「必要なの?」
「えぇ、旦那様にね。御守にすると言われたの。何時もは侍女にお願いしてるけど、御守は歪でも私が刺さないといけないから」
ユリアーナはエンバーの変化に驚いた。
夫婦になるってこんなにも気持ちに変化が起きるのかと思った。どちらかというとエンバーは婚約者の時、お相手の方を冷めた目で見ていたように思っていたからだ。
「この手紙」
「お父様が直接持って来たのよ、まさか旦那様に言伝る訳にも行かないし、陛下に渡されたのに捨てるわけにも行かなかったのでしょう」
「女王陛下から?」
「えぇ最後のお願いだったそうよ、そう言って渡されたの」
手紙はダイナスからエンバーに宛てた物で、そこにはつらつらとエンバーへの思いが綴られていた。
そして今回のユリアーナを巻き込んだ、一連の流れでの自分の心境なども書かれていて告解のように思えた。
始まりはエンバーの手紙だった。
エンバーの兄を通じてというより、兄に促されて偶にエンバーは留学したダイナスに手紙を送っていた。その中でユリアーナの婚約解消の件に触れ(その時はまだ婚約解消はしていなかった、エンバーはあくまでもするかもしれないと書いたそうだ)何気なく“何方かいい人はいないのかしら”と認めた。
その手紙を読んでダイナスは、張り切って探したのが偶々仲良くなって身近にいたシモンだった。
だがシモンには婚約者がいた。
一旦は諦めたが様子を見るとシモンは全く婚約者の話をしない。婚約者がいると聞いたのも本人からではなく、印刷業を調べていた時に製紙の方にも興味を持った時、ショーズ侯爵の娘がシモンと婚約していると教えてもらったのだ。
だから二人の関係を探ろうと製紙の話に絡めて紹介を懇願していたのだと言う。その裏でゲートラン公爵にユリアーナの話をして彼女が公爵家の嫡女である事も伝えた。かなりの手応えがあったと書かれている。
ユリアーナはここまでで便箋4枚を読んで目を離し首をポキポキ鳴らすように回した。本当に婚約は解消したけれど、しなかったらこの話は頓挫したはずよね、そう思いながらユリアーナはチラリとエンバーを見やりそして5枚目に突入する。
その後初めてファライナを見た時、同類の匂いを感じたそうだ。『愛されたい』と人一倍強く思うファライナと自分が重なったと書かれていた。
そして自分よりも重症なファライナに同情してしまう。そこからは自分が何をやっているのか分からなくなったと認めてあった。
シモンとユリアーナを婚約させようとする自分とファライナとシモンを再構築させたいと願う自分との葛藤に気が狂いそうだったとの行を読んだ時、ユリアーナは目眩がした。
ダイナスの考えや行動がチグハグだった意味が漸く分かったユリアーナだったが、だから何だと言う話で人を散々振り回して聖国に逃げたダイナスにやはり憤る。
「エンバー、貴方の感想は?」
「う~ん、何やってるの?かな。でも私の発言が不用意だったのかしら?」
エンバーの問いにユリアーナは首を振った。
「いいえ、そんな事はないわ。私でもエンバーの立場なら同じ事を頼んだかもしれないわ。それを相手が実行したところでこんなにもややこしくなるなんて思いもしないじゃない」
「そう、そう言ってもらえると少しは楽になれそうだわ。ありがとう。ところでユリアーナ、貴方そのシモン様という方とは如何するの?」
「どうもしないわ。私彼にはちゃんと婚約者と向き合ってほしいと思うの」
「でも彼は貴方が好きなんでしょう?そして貴方も」
「でもシモン様は一度もファライナ様と向き合っていないわ。オスカー様と一緒だわ、私にはそう見えるの」
「⋯⋯⋯」
「そしてファライナ様と私もやってる事は違うけれど、婚約者にちゃんと向き合わなかったのは同じだと思うわ」
「どういうこと?そのファライナって人とユリアーナが一緒って言いたいの?」
エンバーの問いにユリアーナはコクンと頷いた。
「カインの話を聞いて思ったの。ファライナ様は愛されたいと願ったそうよ、シモン様に心から愛されたいと。自分がシモン様に愛されていないと感じたからよ。そして結果愚行に走った。本当ならそこでシモン様に向き合えばよかったのよね。今の私ならわかるわ。でもそれはあの時の私には分からなかった。私もオスカー様がマリアンナに惹かれて行くのが分かった時に何もしなかったわ。オスカー様に向き合わなかったの。ファライナ様と私の違いは愚行に走ったか何もしなかったかの違いで、何方も相手に向き合っていないのは一緒よ」
「リーア」
「婚約者ってそうじゃないのよね、お相手にちゃんとお互いが向き合って関係を育んで行くのよね。それを両方が放棄してしまったら私とオスカー様のようになるわ。まだあの方達は婚約者よ。ちゃんと向き合って欲しいわ。今なら間に合うかもしれないもの」
「間に合わなかったら?手遅れだったら?」
「それは私には関係ないことだわ」
「お断りするの?」
エンバーの問いにユリアーナは頷いた、断るも何も今は相手には婚約者が存在する。
その目には涙が溢れていて、エンバーはユリアーナを優しく抱きしめその背を擦った。
エンバーに優しく抱きしめられながら涙をながすユリアーナは、ファライナと話をしようと心の中で考えていた。
エンバーが既に公爵家に到着してエントランスでアルホーンと話してる時に、エンバーの先触れが到着したらしい。
先触れを出して直ぐに出発する癖は直したほうが良いとユリアーナは会った早々エンバーに注意した。
エンバーは一通の手紙を携えて来た。
それをユリアーナに読ませようと彼女は持参したらしい。
既に小公爵夫人のエンバーだから応接室に通すのが礼儀であるが、ユリアーナは自室へとエンバーを誘った。
ユリアーナが手紙を読ませてもらってる間、エンバーは何故か自前の刺繍道具を持参しており、目の前でチクチク刺繍を刺していた。
「はぁ、そういう事ね」
ユリアーナは4枚目を読み終わって嘆息してから必死に刺繍を刺しているエンバーは見つめた。手紙は実に8枚に及んでいる。
「そんなに必死に何を刺してるの?」
ユリアーナが聞くとエンバーは顔も上げずに答えた。
「公爵家の⋯家紋、をね。何度練習しても細か過ぎて⋯苦戦してるのよ」
「大変ね」
ユリアーナはエンバーに同情する。
嫁いだ先の家紋を刺繍するのは、夫人の嗜みだが相手の家紋が複雑なのは高位貴族になればなるほど細かい。却って王家の方が単純明快だったりする。
元々エンバーは刺繍が苦手で『創作倶楽部』の時もユリアーナと刺していた時、途中で投げていた。
その怠慢が今彼女を苦労させているのだろう。
「必要なの?」
「えぇ、旦那様にね。御守にすると言われたの。何時もは侍女にお願いしてるけど、御守は歪でも私が刺さないといけないから」
ユリアーナはエンバーの変化に驚いた。
夫婦になるってこんなにも気持ちに変化が起きるのかと思った。どちらかというとエンバーは婚約者の時、お相手の方を冷めた目で見ていたように思っていたからだ。
「この手紙」
「お父様が直接持って来たのよ、まさか旦那様に言伝る訳にも行かないし、陛下に渡されたのに捨てるわけにも行かなかったのでしょう」
「女王陛下から?」
「えぇ最後のお願いだったそうよ、そう言って渡されたの」
手紙はダイナスからエンバーに宛てた物で、そこにはつらつらとエンバーへの思いが綴られていた。
そして今回のユリアーナを巻き込んだ、一連の流れでの自分の心境なども書かれていて告解のように思えた。
始まりはエンバーの手紙だった。
エンバーの兄を通じてというより、兄に促されて偶にエンバーは留学したダイナスに手紙を送っていた。その中でユリアーナの婚約解消の件に触れ(その時はまだ婚約解消はしていなかった、エンバーはあくまでもするかもしれないと書いたそうだ)何気なく“何方かいい人はいないのかしら”と認めた。
その手紙を読んでダイナスは、張り切って探したのが偶々仲良くなって身近にいたシモンだった。
だがシモンには婚約者がいた。
一旦は諦めたが様子を見るとシモンは全く婚約者の話をしない。婚約者がいると聞いたのも本人からではなく、印刷業を調べていた時に製紙の方にも興味を持った時、ショーズ侯爵の娘がシモンと婚約していると教えてもらったのだ。
だから二人の関係を探ろうと製紙の話に絡めて紹介を懇願していたのだと言う。その裏でゲートラン公爵にユリアーナの話をして彼女が公爵家の嫡女である事も伝えた。かなりの手応えがあったと書かれている。
ユリアーナはここまでで便箋4枚を読んで目を離し首をポキポキ鳴らすように回した。本当に婚約は解消したけれど、しなかったらこの話は頓挫したはずよね、そう思いながらユリアーナはチラリとエンバーを見やりそして5枚目に突入する。
その後初めてファライナを見た時、同類の匂いを感じたそうだ。『愛されたい』と人一倍強く思うファライナと自分が重なったと書かれていた。
そして自分よりも重症なファライナに同情してしまう。そこからは自分が何をやっているのか分からなくなったと認めてあった。
シモンとユリアーナを婚約させようとする自分とファライナとシモンを再構築させたいと願う自分との葛藤に気が狂いそうだったとの行を読んだ時、ユリアーナは目眩がした。
ダイナスの考えや行動がチグハグだった意味が漸く分かったユリアーナだったが、だから何だと言う話で人を散々振り回して聖国に逃げたダイナスにやはり憤る。
「エンバー、貴方の感想は?」
「う~ん、何やってるの?かな。でも私の発言が不用意だったのかしら?」
エンバーの問いにユリアーナは首を振った。
「いいえ、そんな事はないわ。私でもエンバーの立場なら同じ事を頼んだかもしれないわ。それを相手が実行したところでこんなにもややこしくなるなんて思いもしないじゃない」
「そう、そう言ってもらえると少しは楽になれそうだわ。ありがとう。ところでユリアーナ、貴方そのシモン様という方とは如何するの?」
「どうもしないわ。私彼にはちゃんと婚約者と向き合ってほしいと思うの」
「でも彼は貴方が好きなんでしょう?そして貴方も」
「でもシモン様は一度もファライナ様と向き合っていないわ。オスカー様と一緒だわ、私にはそう見えるの」
「⋯⋯⋯」
「そしてファライナ様と私もやってる事は違うけれど、婚約者にちゃんと向き合わなかったのは同じだと思うわ」
「どういうこと?そのファライナって人とユリアーナが一緒って言いたいの?」
エンバーの問いにユリアーナはコクンと頷いた。
「カインの話を聞いて思ったの。ファライナ様は愛されたいと願ったそうよ、シモン様に心から愛されたいと。自分がシモン様に愛されていないと感じたからよ。そして結果愚行に走った。本当ならそこでシモン様に向き合えばよかったのよね。今の私ならわかるわ。でもそれはあの時の私には分からなかった。私もオスカー様がマリアンナに惹かれて行くのが分かった時に何もしなかったわ。オスカー様に向き合わなかったの。ファライナ様と私の違いは愚行に走ったか何もしなかったかの違いで、何方も相手に向き合っていないのは一緒よ」
「リーア」
「婚約者ってそうじゃないのよね、お相手にちゃんとお互いが向き合って関係を育んで行くのよね。それを両方が放棄してしまったら私とオスカー様のようになるわ。まだあの方達は婚約者よ。ちゃんと向き合って欲しいわ。今なら間に合うかもしれないもの」
「間に合わなかったら?手遅れだったら?」
「それは私には関係ないことだわ」
「お断りするの?」
エンバーの問いにユリアーナは頷いた、断るも何も今は相手には婚約者が存在する。
その目には涙が溢れていて、エンバーはユリアーナを優しく抱きしめその背を擦った。
エンバーに優しく抱きしめられながら涙をながすユリアーナは、ファライナと話をしようと心の中で考えていた。
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