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第三章 葛藤
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「罰⋯⋯とは?」
「まさか身に覚えが無いなんて言わせなくてよ」
そりゃそうだ。
ユリアーナは領民の子達の軽口の様に心の中で呟いた。ユリアーナだって1年前にマリアンナとちゃんと対峙していたら、彼女にそう言っただろう。幸か不幸か二人は家族であったから、そんな場面にならなかっただけだった。
今思えばそのせいでマリアンナの憂いが増えたから対峙しても良かったのかもしれない。
“そんなつもり”というのは便利な言葉である。
カインがファライナを語る時、憎々しげにそう言っていた。今ユリアーナに吐いた“そんなつもり”という言葉はファライナの口癖らしい。
だが今ユリアーナは意趣返しではないが彼女にこの言葉を言わなければならない。
「身に覚えというよりも、元より私には“そんなつもり”はありませんでした」
ユリアーナが言うとファライナはその麗しい顔を鬼神の如く変貌させた。
「何を仰ってるの?貴方のせいで私とシモンの間は滅茶苦茶よ」
果たしてユリアーナのせいなのか?
それはユリアーナが問いたい言葉だった。
カイン、カインと惚気る様に口にしていたのはファライナだ。始めから彼女はユリアーナに対してそうだった。
挙げ句の果てにはシモンの事は弟のようだと宣った。その口で二人の仲と言い始める。
それもユリアーナが全てを知ったと理解した上での発言だろうことは推察されるけれど。
ユリアーナはオスカーとの婚約時代の事を猛省している。自分にもかなり非があったのだと今なら理解も出来ている。
同じ様に過ちを繰り返したファライナにその責がないとは言えない。言えないがそれをユリアーナが意見するのは違うと思っている。
それこそ傲慢な考えだと先日理解したばかりなのだから。
だからユリアーナは黙った。
それ以上は言ってはならないと思った。
だが彼女の言う“罰”が気になるのも事実だ、一体ファライナはユリアーナにどんな罰を与えようと言うのだろうか?
「私はシモンと婚約解消しても彼には付き纏うわ。今までは側に居なかったけれどこれからは違う!ずっと彼の足枷になってやるんだから!」
ファライナの言葉にユリアーナは言葉を失った。
そんな事がユリアーナの罰なのか?どちらかというと辛いのはファライナでは無いのだろうか?
そう思って彼女を見つめていると、彼女は勝ち誇ったようにユリアーナに告げた。
「シモンの弱点は人に優しい所なの。自分の知ってる者が苦しんでいるのは放っとけないのよ。貴方達の行いで苦しんだ私がずっとシモンの側にいれば彼は私を無碍には出来ないの。ふふっそのうち私の物になるわ。同じ事よ」
何を言ってるんだろう
ユリアーナはファライナのあまりの稚拙さに目眩がしてきた。
そんなの婚約解消しようがしまいが同じ事だ。
却って解消の方がシモンには辛いはずだと、贖罪というにはあまりにも酷い行いを強制させようと、ファライナは考えているなんて⋯ここでユリアーナは思った、それはファライナの思い込みなのだ。
ユリアーナを苦しめる為にシモンに付き纏う、それをファライナはユリアーナの罰だと言う。
「ファライナ様⋯⋯何を為さりたいの?」
そんな事をしてもファライナも辛いだけだと解らないのだろうか?そう思ってユリアーナは彼女に訊ねたがファライナは平気な顔をしていた。
「私の物にならないのなら、私を一番にしてもらわないと気がすまないの。シモンは私を愛してはいないけれど、気の毒に思って優先することは出来るわ」
「それは⋯」
ユリアーナにはそうは思えなかった。どうしてそんな思考にファライナが陥ったのか分からないけれど(シモン様はそんな事はなさらない)そうユリアーナは知っている。
このままファライナの自滅を待ってもいいけれど⋯。ユリアーナはまたもや自分とファライナを重ねた。
「それは有り得ないと思うの」
到頭ユリアーナは自分の意見を言ってしまってファライナの怒りを買った。
だが幾ら怒りを買っても現実はそうなのだ。
シモンはそれ程ファライナを案じてはいないのだとユリアーナは知っている。
世間でよく言う幼馴染を妹のように。
ファライナの言う弟と言うならば姉のように、家族のように。
そんな事をこれっぽっちもシモンは思っていない事をユリアーナはカインから聞いて知っていた。
だけど目の前のファライナは、優しいシモンなら自分を無碍にはしないと信じている。それが父の愛だということに気付けていない。
(ショーズ侯爵は間違ってしまった)
シモンとカインが言った言葉をユリアーナは脳裏に浮かべていた。
「まさか身に覚えが無いなんて言わせなくてよ」
そりゃそうだ。
ユリアーナは領民の子達の軽口の様に心の中で呟いた。ユリアーナだって1年前にマリアンナとちゃんと対峙していたら、彼女にそう言っただろう。幸か不幸か二人は家族であったから、そんな場面にならなかっただけだった。
今思えばそのせいでマリアンナの憂いが増えたから対峙しても良かったのかもしれない。
“そんなつもり”というのは便利な言葉である。
カインがファライナを語る時、憎々しげにそう言っていた。今ユリアーナに吐いた“そんなつもり”という言葉はファライナの口癖らしい。
だが今ユリアーナは意趣返しではないが彼女にこの言葉を言わなければならない。
「身に覚えというよりも、元より私には“そんなつもり”はありませんでした」
ユリアーナが言うとファライナはその麗しい顔を鬼神の如く変貌させた。
「何を仰ってるの?貴方のせいで私とシモンの間は滅茶苦茶よ」
果たしてユリアーナのせいなのか?
それはユリアーナが問いたい言葉だった。
カイン、カインと惚気る様に口にしていたのはファライナだ。始めから彼女はユリアーナに対してそうだった。
挙げ句の果てにはシモンの事は弟のようだと宣った。その口で二人の仲と言い始める。
それもユリアーナが全てを知ったと理解した上での発言だろうことは推察されるけれど。
ユリアーナはオスカーとの婚約時代の事を猛省している。自分にもかなり非があったのだと今なら理解も出来ている。
同じ様に過ちを繰り返したファライナにその責がないとは言えない。言えないがそれをユリアーナが意見するのは違うと思っている。
それこそ傲慢な考えだと先日理解したばかりなのだから。
だからユリアーナは黙った。
それ以上は言ってはならないと思った。
だが彼女の言う“罰”が気になるのも事実だ、一体ファライナはユリアーナにどんな罰を与えようと言うのだろうか?
「私はシモンと婚約解消しても彼には付き纏うわ。今までは側に居なかったけれどこれからは違う!ずっと彼の足枷になってやるんだから!」
ファライナの言葉にユリアーナは言葉を失った。
そんな事がユリアーナの罰なのか?どちらかというと辛いのはファライナでは無いのだろうか?
そう思って彼女を見つめていると、彼女は勝ち誇ったようにユリアーナに告げた。
「シモンの弱点は人に優しい所なの。自分の知ってる者が苦しんでいるのは放っとけないのよ。貴方達の行いで苦しんだ私がずっとシモンの側にいれば彼は私を無碍には出来ないの。ふふっそのうち私の物になるわ。同じ事よ」
何を言ってるんだろう
ユリアーナはファライナのあまりの稚拙さに目眩がしてきた。
そんなの婚約解消しようがしまいが同じ事だ。
却って解消の方がシモンには辛いはずだと、贖罪というにはあまりにも酷い行いを強制させようと、ファライナは考えているなんて⋯ここでユリアーナは思った、それはファライナの思い込みなのだ。
ユリアーナを苦しめる為にシモンに付き纏う、それをファライナはユリアーナの罰だと言う。
「ファライナ様⋯⋯何を為さりたいの?」
そんな事をしてもファライナも辛いだけだと解らないのだろうか?そう思ってユリアーナは彼女に訊ねたがファライナは平気な顔をしていた。
「私の物にならないのなら、私を一番にしてもらわないと気がすまないの。シモンは私を愛してはいないけれど、気の毒に思って優先することは出来るわ」
「それは⋯」
ユリアーナにはそうは思えなかった。どうしてそんな思考にファライナが陥ったのか分からないけれど(シモン様はそんな事はなさらない)そうユリアーナは知っている。
このままファライナの自滅を待ってもいいけれど⋯。ユリアーナはまたもや自分とファライナを重ねた。
「それは有り得ないと思うの」
到頭ユリアーナは自分の意見を言ってしまってファライナの怒りを買った。
だが幾ら怒りを買っても現実はそうなのだ。
シモンはそれ程ファライナを案じてはいないのだとユリアーナは知っている。
世間でよく言う幼馴染を妹のように。
ファライナの言う弟と言うならば姉のように、家族のように。
そんな事をこれっぽっちもシモンは思っていない事をユリアーナはカインから聞いて知っていた。
だけど目の前のファライナは、優しいシモンなら自分を無碍にはしないと信じている。それが父の愛だということに気付けていない。
(ショーズ侯爵は間違ってしまった)
シモンとカインが言った言葉をユリアーナは脳裏に浮かべていた。
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