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私のせいではありません
【13】
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カリーナは一代と言っても公爵家の子女だ。
ユメールが幾ら王女だといっても、やはり彼女には敬意を払わなければならない。
落ち着けるためにお茶を口に含み少し味わってから喉を潤す。
「カリーナ様が偽カイルを見破ったと聞きました、どうしてわかったのでしょうか?」
「簡単ですわフフ私達一度もお会いしたことなかったのです。それなのにあのカイル様は久しぶりと仰って。爪が甘かったですわね」
聞いてみたらなんてことはない。
そういう事か
(サリーナ陣営もまだまだだったのね)
ユメールはそう思ってから端と気づく。
(話しが終わってしまった)
もう聞くこともないのでどうしたもんかとユメールが考え込んでいたらカリーナの方から話しを振り始めた。
「ユメール様あの恥を忍んでお願いしたい事があるのですが⋯」
「何かしら?」
「私の家の事情はご存知であられると思います。兄は文官の試験に合格しましたので只今王宮にお勤めさせて頂いていますので、派閥関係なく取り立てて頂けなければ元より平民になります。ただ仕事はありますので暮らしは立ち行きます。父が心配しているのは私の事なのです」
「⋯⋯」
「ユメール様はストーム公爵家の内情を何処まで把握されていますでしょうか?」
「一代公爵家という事と第二王子派であるという事くらいかしら?勉強不足でごめんなさい」
「いえ知ってらっしゃる方です」
カリーナは微笑みながら自分の境遇に付いて語りだした。
「公爵家の事や私の事を明け透けに話したいのですが、ユメール様に於かれましては聞いて頂けますでしょうか?」
ユメールは基本人の事をあまり気にしない。だが自分の身内(親兄弟は含まない)マリーやミリナ、アーマリー公爵は別だ。
今回はカリーナが身の上を語りたいと言っている。何時もなら断るか別の話にすり替えたりするが、ユメールには珍しく興味を惹いた。
「えぇ聞かせてくださいませ」
ユメールの諾を貰いカリーナは話し出す。
「私の父は前国王の末弟になります。歳がだいぶ離れていましたので陛下とは兄弟のように育ったと聞いております。実は陛下が子供の頃病に倒れた事があった際、回復するまでの10年間父は王太子だったのです」
カリーナのその話しはユメールにとっては初耳だった。
もし陛下が回復していなかったらカリーナが王女だった事になる。
その事実を聞いてしまったユメールは(えっこれって王家のヒミツじゃないよね立太子してただろうから)少しブルッと震えるユメール。
「その後陛下が回復した時に揉めたのですが父が辞退して決着しました」
「えっと譲ったのですか?でもそれでは派閥が⋯⋯」
「えぇ父が辞退した事で派閥とは決別してしまったみたいです。父と母が婚約したのは父が王太子だった時なのです、でも丁度陛下が回復の兆しが見えた頃に、母も病にかかり回復しましたがかなり弱くなりました。それで母と添い遂げる為に父は辞退したのです」
「公爵夫人の為ですか?」
「えぇ身体の弱くなった母では王妃にはなれないと派閥の方たちから婚約者を交代するように言われたのです、それに反発して父は派閥と決別しました、残ったのは母の生家の伯爵家だけでした」
「それで一代の公爵なのですか?」
「いえ本当なら公爵も賜われるような状態ではなかったと聞き及んでおります。前国王と陛下の温情で公爵を賜ったのです。両親は感謝しておりましたが、私が産まれたあとに二人とも後悔し始めたようです」
「⋯⋯」
「私、一度婚約を白紙に戻された事があるのです」
「えっ?」
「一代公爵と云う事を知らない方が多かったようです、私の婚約白紙のあとは皆様お知りになりましたけどフフ」
いや笑い事じゃないとユメールは思ったが何処か吹っ切れたようなカリーナの話しに聞き入ってしまう。
「私は両親を尊敬しております、父は始めサリーナ様の派閥でしたのよ」
「そうなの?知らなかったわ、実は私、派閥に丸っきり関心がなくて⋯⋯最近は叔父様に教わってはいるのだけれど詳しくなくてごめんなさい」
「いえ、私も詳しくないのですわ。自分の家のことなので兄から聞いて知ったくらいです。父が何故サリーナ様から離れたのかは最近の騒動でなんとなく解りましたけれど、おそらくは好きだから何をしてもいいのだというサリーナ様のお考えに付いていけなくなったのでは、と兄は申しておりました」
「⋯⋯」
「両親は私が婚約を白紙に戻された時に自分達のした事が正解だったのか、自分達が幸せだからといって娘にその事で枷が付いてしまったのではと、母などは泣き暮らしています。でも私はそんな両親を尊敬しておりますので、なんとか自分の道を決めてしまおうと思ったのですが、今回もこんな事になってしまって⋯⋯」
ユメールはカリーナの心痛を慮って言葉を掛けたかったが何も思いつかない。
思案しているとカリーナが座っていたソファから立ち上がりユメールへ平伏した。
「ユメール様、もしご迷惑でなければ私を帝国へお供させていただけませんか?カイル様とはおそらくは婚約解消になると思われますのでユメール様に於かれましては心苦しい事この上ない事と思います、ですが私はもう後がありません、この国にいても両親が針の筵になるばかりで⋯どんな仕事でもさせて頂きます。お願いできないでしょうか?」
ユメールは絶句した。
カリーナは公爵令嬢だ、例え一代だったとしても今まで公爵家で大事に育てられた人がこんな事を、王女とはいえ年下の自分に頼まなければならないなんて、カリーナの心中は如何ばかりかとユメールは泣きそうになった。
「カリーナ様、頭をあげて座ってください。話しをしましょう」
もうユメールの中では、あと一人の侍女は今カリーナに決定した。
でも侍女でもいいのだろうか?と疑問が湧いてくる。
「カリーナ様、帝国へは侍女として付いて来てもらうしかありませんし、実際に侍女の仕事をしてもらわなければなりません。それでも宜しいですか?」
カリーナは涙をためた目で、それでもしっかり溢すことなくユメールを見つめている。
「ユメール様、感謝申し上げます。本当に本当にありがとう存じます」
次の日からカリーナは王宮に住み込んでナタリーから侍女としての教育を急ピッチで教わることになる。
ユメールが幾ら王女だといっても、やはり彼女には敬意を払わなければならない。
落ち着けるためにお茶を口に含み少し味わってから喉を潤す。
「カリーナ様が偽カイルを見破ったと聞きました、どうしてわかったのでしょうか?」
「簡単ですわフフ私達一度もお会いしたことなかったのです。それなのにあのカイル様は久しぶりと仰って。爪が甘かったですわね」
聞いてみたらなんてことはない。
そういう事か
(サリーナ陣営もまだまだだったのね)
ユメールはそう思ってから端と気づく。
(話しが終わってしまった)
もう聞くこともないのでどうしたもんかとユメールが考え込んでいたらカリーナの方から話しを振り始めた。
「ユメール様あの恥を忍んでお願いしたい事があるのですが⋯」
「何かしら?」
「私の家の事情はご存知であられると思います。兄は文官の試験に合格しましたので只今王宮にお勤めさせて頂いていますので、派閥関係なく取り立てて頂けなければ元より平民になります。ただ仕事はありますので暮らしは立ち行きます。父が心配しているのは私の事なのです」
「⋯⋯」
「ユメール様はストーム公爵家の内情を何処まで把握されていますでしょうか?」
「一代公爵家という事と第二王子派であるという事くらいかしら?勉強不足でごめんなさい」
「いえ知ってらっしゃる方です」
カリーナは微笑みながら自分の境遇に付いて語りだした。
「公爵家の事や私の事を明け透けに話したいのですが、ユメール様に於かれましては聞いて頂けますでしょうか?」
ユメールは基本人の事をあまり気にしない。だが自分の身内(親兄弟は含まない)マリーやミリナ、アーマリー公爵は別だ。
今回はカリーナが身の上を語りたいと言っている。何時もなら断るか別の話にすり替えたりするが、ユメールには珍しく興味を惹いた。
「えぇ聞かせてくださいませ」
ユメールの諾を貰いカリーナは話し出す。
「私の父は前国王の末弟になります。歳がだいぶ離れていましたので陛下とは兄弟のように育ったと聞いております。実は陛下が子供の頃病に倒れた事があった際、回復するまでの10年間父は王太子だったのです」
カリーナのその話しはユメールにとっては初耳だった。
もし陛下が回復していなかったらカリーナが王女だった事になる。
その事実を聞いてしまったユメールは(えっこれって王家のヒミツじゃないよね立太子してただろうから)少しブルッと震えるユメール。
「その後陛下が回復した時に揉めたのですが父が辞退して決着しました」
「えっと譲ったのですか?でもそれでは派閥が⋯⋯」
「えぇ父が辞退した事で派閥とは決別してしまったみたいです。父と母が婚約したのは父が王太子だった時なのです、でも丁度陛下が回復の兆しが見えた頃に、母も病にかかり回復しましたがかなり弱くなりました。それで母と添い遂げる為に父は辞退したのです」
「公爵夫人の為ですか?」
「えぇ身体の弱くなった母では王妃にはなれないと派閥の方たちから婚約者を交代するように言われたのです、それに反発して父は派閥と決別しました、残ったのは母の生家の伯爵家だけでした」
「それで一代の公爵なのですか?」
「いえ本当なら公爵も賜われるような状態ではなかったと聞き及んでおります。前国王と陛下の温情で公爵を賜ったのです。両親は感謝しておりましたが、私が産まれたあとに二人とも後悔し始めたようです」
「⋯⋯」
「私、一度婚約を白紙に戻された事があるのです」
「えっ?」
「一代公爵と云う事を知らない方が多かったようです、私の婚約白紙のあとは皆様お知りになりましたけどフフ」
いや笑い事じゃないとユメールは思ったが何処か吹っ切れたようなカリーナの話しに聞き入ってしまう。
「私は両親を尊敬しております、父は始めサリーナ様の派閥でしたのよ」
「そうなの?知らなかったわ、実は私、派閥に丸っきり関心がなくて⋯⋯最近は叔父様に教わってはいるのだけれど詳しくなくてごめんなさい」
「いえ、私も詳しくないのですわ。自分の家のことなので兄から聞いて知ったくらいです。父が何故サリーナ様から離れたのかは最近の騒動でなんとなく解りましたけれど、おそらくは好きだから何をしてもいいのだというサリーナ様のお考えに付いていけなくなったのでは、と兄は申しておりました」
「⋯⋯」
「両親は私が婚約を白紙に戻された時に自分達のした事が正解だったのか、自分達が幸せだからといって娘にその事で枷が付いてしまったのではと、母などは泣き暮らしています。でも私はそんな両親を尊敬しておりますので、なんとか自分の道を決めてしまおうと思ったのですが、今回もこんな事になってしまって⋯⋯」
ユメールはカリーナの心痛を慮って言葉を掛けたかったが何も思いつかない。
思案しているとカリーナが座っていたソファから立ち上がりユメールへ平伏した。
「ユメール様、もしご迷惑でなければ私を帝国へお供させていただけませんか?カイル様とはおそらくは婚約解消になると思われますのでユメール様に於かれましては心苦しい事この上ない事と思います、ですが私はもう後がありません、この国にいても両親が針の筵になるばかりで⋯どんな仕事でもさせて頂きます。お願いできないでしょうか?」
ユメールは絶句した。
カリーナは公爵令嬢だ、例え一代だったとしても今まで公爵家で大事に育てられた人がこんな事を、王女とはいえ年下の自分に頼まなければならないなんて、カリーナの心中は如何ばかりかとユメールは泣きそうになった。
「カリーナ様、頭をあげて座ってください。話しをしましょう」
もうユメールの中では、あと一人の侍女は今カリーナに決定した。
でも侍女でもいいのだろうか?と疑問が湧いてくる。
「カリーナ様、帝国へは侍女として付いて来てもらうしかありませんし、実際に侍女の仕事をしてもらわなければなりません。それでも宜しいですか?」
カリーナは涙をためた目で、それでもしっかり溢すことなくユメールを見つめている。
「ユメール様、感謝申し上げます。本当に本当にありがとう存じます」
次の日からカリーナは王宮に住み込んでナタリーから侍女としての教育を急ピッチで教わることになる。
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