【完結】お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません

八神紫音

文字の大きさ
12 / 24

12話 初めての付き添い

しおりを挟む
 朝食を終えると、僕はランス様に付いて屋敷の外へと出ていた。
 キャシー姐様を始め、屋敷中の人たちに盛大に見送られてしまった。ランス様を見送ってはいるのだろうが、皆口を揃えて「ランス様、ルミエル様、行ってらっしゃいませ」って僕の名前もちゃんと呼んでくれるもんだから、ちょっと恥ずかしくなって縮こまってしまった。

「今からセネト卿の屋敷の事を国王陛下に聞きに行く。もう一度聞くが、一緒に聞いてしまって大丈夫なのだな? お前にとってショックな話が出るかもしれん」
「はい、大丈夫です。ちょっと怖いですが、でもあの屋敷の事は僕も気になっていたので、一緒に行かせてください」
「分かった。なら、飛ばしていくぞ」
「うわっ!」
 ランス様は僕をひょいっと抱き上げ、目の前で控えていた馬の後ろの方へと跨がらせた。すぐに自身も僕の前へと跨がる。

「しっかり掴まっていろ」
「は、はい!」
 ランス様の腰にギュッとしがみつくと、馬は勢い良く走り出し、あっという間に王都へと到着した。
 馬車だと1時間くらいかかるらしいけど、今は15分乗っただろうか……。流石"魔道将軍"、普段はこうやって移動しているんだ。

⸺⸺王都レイガディア⸺⸺

「うわぁ、ここも広くて賑わってますね。楽しそうなお店がたくさん並んでいます」
 ディオールの首都も賑わっていたけど、王都もそれ以上の賑わいだった。閑散としているセネトの首都とはどちらも大違いだ。
「そうだな。帰りに時間があればゆっくり店を回っても良いだろう」
「えっ、本当ですか!? うわぁ、楽しみだなぁ……」
 今から帰りの想像をして、満面の笑みを浮かべた。
「……そんな顔をされたら時間がなくても回る羽目になるだろうが……」
「ん? ランス様、今なんとおっしゃいましたか? すみません、良く聞き取れなくて」
「いや、ただの独り言だ。では、早速城へ向かおう」
「? はい!」

⸺⸺レイカルド城、玉座の間⸺⸺

「伯父上、ディオールのランス、参りました」
 ランス様のお辞儀に合わせて、僕も深く頭を下げる。玉座に座っていた髭もじゃの国王様はゆっくりと頷いた。
「うむ、ランスよ、良く来た。そちらが例の女装をしていた……」
 うぅ、女装の事、国王様にまで知れ渡ってる……!
「はい、名をルミエルと申します。本日は私の付き人として連れて参りました」
 僕は「初めまして」と再びお辞儀をする。
「左用か。良い良い、ルミエルよ、顔を上げなさい」
「はい……」
 僕が顔を上げると、国王様はニコッと微笑んだ。

「さて、昨夜、余の密偵をセネト伯爵の屋敷へと侵入させた。状況はルミエルにとって良好ではあるが、同時にお主にとってショックな事実も判明した。お主はこのまま一緒に聞くか? 嫌なら外で待っていても構わない」
 密偵を、セネト伯爵の屋敷に!? 国王様は、そんな事も出来るんだ……。
「覚悟は出来ています。私もこのまま伺います」
「うむ。良いだろう」

 僕はドキドキしながら、国王様の次の言葉を待った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】

瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。 そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた! ……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。 ウィル様のおまけにて完結致しました。 長い間お付き合い頂きありがとうございました!

【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい

雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。 延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。

僕はただの平民なのに、やたら敵視されています

カシナシ
BL
僕はド田舎出身の定食屋の息子。貴族の学園に特待生枠で通っている。ちょっと光属性の魔法が使えるだけの平凡で善良な平民だ。 平民の肩身は狭いけれど、だんだん周りにも馴染んできた所。 真面目に勉強をしているだけなのに、何故か公爵令嬢に目をつけられてしまったようでーー?

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

王道学園のモブ

四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。 私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。 そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る

黒木  鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!

【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない

迷路を跳ぶ狐
BL
 自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。  恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。  しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。

処理中です...