黒獣の王

帆炉よしひと

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第一話 ハジマリ

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 燃えている。

 視界に映る全てが業火の炎によって燃えている。

 崩れたビル。抉れた道路。泣き叫び逃げ惑う人々。そして、紅蓮の中で蠢くナニカ。

「お父さん……お母さん……どこ? どこぉぉ!?」

 崩れた市街地を一人の幼い子供が歩いている。

 紅蓮の炎に焼かれ逃げ惑う人々と逆走するように少年は市街地の中心部に向かって歩いて行く。

 分かっている。これは夢だ。

「お父さん……お母ぁぁぁさん!」

 燃えながら倒壊する家の真横を泣きじゃくりながら少年がペタペタと歩いて行く。

 ダメだ。
 そっちに行ってはいけない。

 そう心の中で叫んでも、目の前にいる少年には届かない。

 そんな少年の目の前にいた人々が――弾け飛んだ。

「え……?」

 少年は目の前で上半身が消し飛んだ人々を見て、恐怖で瞳を見開いた。

 ――――――。

 少年の目の前にいたのは、漆黒の闇を纏うナニカだった。

 巨大なビルを呑み込むような闇の中には無数の牙と、ギョロリとした目玉があった。

 ボリボリと巨大な牙が、人間だった物を咀嚼する生々しい音が響き渡る。

「ぁ、ぁぁ……」

 少年は黒い巨大なナニカを見て、ぺたんと腰を抜かしてしまう。

 そんな少年を闇の中で蠢く無数の目玉が見下ろしている。

 巨大なナニカは、一瞬で数十人もの人間を殺した闇の触手をゆっくりと目の前の少年へと這わせていく。

「ぁ――」

 少年は逃げようとするが、もう遅かった。

 黒い闇色の触手が、這うように少年の足に絡みつく。



 ミ・ツ・ケ・タ



 少年を見下ろした黒いナニカは歓喜に震えた。そして、巨大な闇の触手を蠢かせると、少年の胸に――突き刺した。


「――――ッ!!?」

 思い出せるのはそこまでだった。

 そこで悪夢は途切れ、冠城(かぶらぎ)無常( むじょう)は飛び起きた。

「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

 無常は額に脂汗を浮かばせながら、右手で左胸を鷲掴みにする。

 また、だ

「……勘弁してくれ」

 この悪夢を見るのは、何度目か。

 あの忌まわしい事件から十年の時が経過しているというのに、どうやら未だに悪夢に苦しめられ続けられなければいけないらしい。

 せっかくの朝のすっきりとした気分が台無しだ。

 無常は苛立ったように髪を掻き毟ると、ベッドから降りる。そして、リモコンを拾いテレビをつける。

 テレビの向こうではキャスターが今日のニューストピックを紹介している。

「おはようございます。皆さまは覚えていますでしょうか。本日、二月十四日はあの忌まわしき……“血のヴァレンタイン事件”が起こった日です」

「…………」

 その言葉を聞いた瞬間、無常の脳裏に先ほどの情景がよみがえる。

「あの大惨事から、今日でちょうど十年の月日が経――」

「――――ッ!!」

 キャスターの男性の言葉を最後まで聞く前に、無常はテレビの電源を切った。

 シン、と静まり返ったホテルの室内で、無常は左手で額を抑えつけた。

「誰が……忘れるものかよ」

 忘れたくても、忘れられない。

 無常がギリリと歯を噛み締めていると、テーブルの上にあったスマホがピロリンと振動した。

 見てみると、待機画面にメッセージが表示されていた。


委員長:生きてる?
委員長:今日はサボらずにちゃんと登校しなさいよ
委員長:今日という今日は、休んだら絶対に許さないから


「誰かと思えば……委員長かよ」

 スマホの画面に表示されている未読メッセージを見て、無常はため息をついた。

 よく考えれば当たり前の話だ。あっちの仕事の連絡がコッチに来るわけがないのだから。

 時間を確認すると、急げば学校に間に合いそうだ。

「…………」

 再びため息を一つ。サボることも考えたが、その後が面倒だ。

 無常はその辺りに散らばっている学校指定の制服を拾い上げ、気だるげに身に着けていく。

 最後にネクタイを締め終えると、髪を掻き上げてホテルの部屋を後にした。ホテルから出ると、市内の大通りを道なりに歩き始める。

 海が近いせいか、外に出ると磯の香りが髪や体に絡みついてくる。

 朝の通勤ラッシュど真ん中の時間帯のせいで、周りでは学生やサラリーマンが忙しなく行き交っている。

 PPPPPPっ!

 大通りを歩いていると、懐に入れたままのスマホが振動する。

「あー……もしもし」

「遅いっ! 電話は三コール以内に出なさいよっ!」

 電話に出ると若い少女の声が聞こえてきた。それは聞き慣れたクラスメイトの声だった。

「あ? 何だ、誰かと思えば委員長かよ」

「何だ、じゃないわよ。このサボリ魔。貴男、今日という今日は許さないんだからね。何が何でも絶対に登校させてやるから覚悟しておくのねっ!」

 スマホから聞こえてくるキンキンとした甲高い怒鳴り声に思わず無常はスマホを耳から離した。

「とりあえず、今のうちにせいぜい言い訳でも考えておくことね」

「言い訳って……何のだ?」

 無常としては本当に分からずに尋ね返しただけだった。それがどうやら電話の向こうにいる彼女の逆鱗に触れてしまったらしい。

「半年も音信不通だった理由よっ! 貴男ね、自分が最後に学園の門戸をくぐったのがどれぐらい前だったか覚えていらっしゃる!?」

「……だいぶ、前?」

「百八十五日と九時間前よっ!!」

 よく覚えているな。当の本人ですらすっかりと忘れていたのに。

「ねえ、貴男は一体どうなっているのっ!? 高校生なのに本業の学業をないがしろにするってどういうことよっ!」

「あーー、うるっせぇ。それでも進学できているんだから別に構わないだろうが」

 責めるような口調の美冬に無常は後頭部をガリガリと掻き毟りながら歩き出した。

「ちょっと待ちなさいっ! まだ話は終わってないわよ」

「たったいま終わりましたぁ~~。大体、オメェと話すことなんざねぇだろ」

「ちょっと何その言い草。こっちは心配してあげているのに」

「あーー、うるせぇなぁ」

 キンキンと小煩い声を聞いていると、耳の鼓膜が破れてしまいそうだ。無常は強引に電話を切ろうとした。

 と、無常の動きがピタリと止まった。視線の先にはビルの側面に設置された巨大なモニターがある。

 モニターの向こうでは、外国のどこかの街のニュースをやっていた。

 モニターに映し出された街は無残に破壊され、まるで戦争でもした直後のような惨状だった。

「ちょっとっ! 聞いているの、ねえ」

「ああ、スマン。ちょっとニュースに気を取られていた」

「ニュースって……?」

「“異能力(ヴァリアント)”によるテロだとよ」

 ニュースを見ていた無常は映し出される瓦礫の映像を見て、無意識の内に歯を軋ませる。

「あ、そのニュースなら私の方にも流れてきているわ。なんか、最近テロの報道が多いよね。特に異能者(ヴァリアンダー)が絡んだニュースばっかり」

「あぁ……そうだな」

 テロのニュースのせいで雰囲気が重苦しくなってしまった。その空気を変えるために美冬はあえて声のトーンを一段高くして話しかけてくる。

「ねっ! 冠城くんは今どこにいるの? 合流しようよ。私はセントラルルミナスタワーの付近にいるんだけど」
「あぁ、俺は……オフィス街の……」

 無常は周囲を見渡して自分のいる場所を知らせようとする。その瞬間だった。


 ――――――ッ!!!


 突如として、道路の向こう側にあったガソリンスタンドが爆発した。

「っっ!!?」

 ガソリンスタンドの大爆発によって、爆風が道路を駆け抜けて無常を襲った。

 何だ……!?
 何が……起こったっ!?

「な、何だっ!? 事故かっ!!?」

 黒々とした黒煙を上げて炎上しているガソリンスタンドを見て通行人たちが足を止めて、悲鳴を上げている。

「キヒッ! 事ぃぃ故ぉぉぉじゃねぇぇぇぇんだなぁぁぁぁっ!!」

 その時だった。黒い爆炎の向こう側から奇怪な笑い声と共に巨大な炎が迸った。

 巨大な炎は、通りに停車していた車に直撃して爆発させる。

「ヒィィィィヒャァァァァァァァァァァァッ!!」

 炎上している車を見て、奇声が響き渡る。そちらを見ると、赤い炎を背中に一人の男が立っていた。

「日本の皆さまぁぁぁぁぁぁぁ!! ごきげんですかぁぁぁぁぁぁ!!!」

 くすんだ白い髪が特徴的な痩身の男は歓喜したように両手を広げる。

「我らの教義では、浄化の前には口上を述べる必要があるんだが……」

 そこで白髪の男は言葉を切ると、狂ったように片方の目を見開いた。

「まあ、極東の黄色い猿どもに我らの崇高なる御名を名乗っても理解ができないだろ? つーわけで……死を想え。そして慄け、猿ども」

 痩身の男は痙攣したよう頬を引き攣らせて笑うと、両手を大きく頭上に掲げた。すると、その手の先に灼熱の炎が収束してく。

 男の手のひらの上に生まれた炎はみるみると大きくなっていき、やがて巨大な炎の球になる。

「燃えろォォォっ! キィィヒヒヒヒヒヒッ!!」

 男は奇声と共に手を振るい灼熱の炎の球を放り投げた。巨大な炎の球は空気を巻き込みながら、大通りに着弾し、爆風で数台の車が吹き飛んでいく。

 その光景を無常は反対車線の向こう側から見ていた。

 赤い紅蓮の炎と共に大勢の人の悲鳴と怒号が鳴り響く。まさに地獄のような光景だった。

「ねえっ! ちょっと、今の音は何っ!!?」

 手に握りしめたままのスマホから、焦ったような声が聞こえてくる。

「……異能者(ヴァリアンダー)」

 炎を操る男を見つめながら無常はぽつりと呟いた。

「えっ? ごめん、今なんて言ったのっ? 声が遠くて聞こえづらっ――」

「悪い、委員長。お前と話している暇はなくなったみたいだ」

「えっ!? ちょっ、待っ――」

 無常は手に持ったスマホを操作して通話を終了させる。そして、反対車線を睨み付けた。その視線の先、そこには痩身の男が笑いながら佇んでいた。

「ハハハっァ! 良いねぇ! やっぱ浄化には炎なんだよなァ!!」

 痩身の男は歯を剥き出しにして、狂気の笑みを浮かべると再び頭上に炎球を生み出した。

「き、きゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

「ヒィィ! 異能者(ヴァリアンダー)だっ!!!」

 爆発を見た通行人の悲鳴を皮切りに、周りにいた人々が悲鳴を上げて逃げ惑う。

「アァ? ハハッァ!! 良いねぇ! 逃げ惑えっ! ゴミ共がよォ!!」

 痩身の男は狂気に満ちた瞳を見開くと、手当たり次第に炎球を放ち始める。

 街の至る所で爆発音が響き渡り、紅蓮の炎が燃え広がっていく。

「アッハッハァッ! 良いねぇ……やっぱ燃やすのなら物じゃなくて、人なんだよなァ!!」

 痩身の男は狂気に満ちた顔で、手を振るった。

 男の手のひらの先から灼熱の炎が迸り、逃げ惑う人々を呑み込んでいく。

「ヒィィィッ!!? こ、こっちに来るなっ!」

「きゃっ!?」

 逃げ惑う人々は恐怖からか、我先にと逃げ出し、その人の波に圧されて一人の少女が突き飛ばされて倒れ込む。

「うっ……」

 突き飛ばされた少女は頭を押さえながら、顔を上げる。そんな少女の真上に黒い影がかかる。

「あぁ~~~~…………お嬢ちゃん、大ぁぁ丈ぉぉ夫かなぁぁ?」

「えっ? ヒっ、ヒィィ!!」

 少女が顔を上げると、そこには痩身の男が立っていた。痩身の男は少女を見下ろすと、唇を引き裂くような笑みを浮かべる。

「お嬢ちゃん、可愛い顔をしているねぇ……、そんな顔をされたら……良い感じに生焼けにして嬲り殺しにしたくなっちまうじゃねぇかぁ!!」

 痩身の男は唾を飛ばしながら目を見開くと、少女の眼前に手のひらを翳した。

「ヒっ……い、嫌……た、助け」

「良~~い悲鳴だ。安心しておくれ、楽には死なせない。苦しんで、苦しんで、生き地獄を味合わせた後で皮をパリパリになるまで焼いて殺してあげるからね」

少女の眼前に翳された手のひらが、灼熱の色を帯びていく。そして、炎が放たれた。

 痩身の男の目の前一体が灼熱の炎で埋め尽くされる。

「ヒャアハハッ! どうだぁ? 生きながら全身を燃やされるご気分はッ!!」

 痩身の男は下卑た笑みを浮かべながら炎の中を見て、そして怪訝そうに眉を顰めた。

「……ア?」

 おかしい。

 少女の姿がない。

「粉々に吹き飛んだか……? いや、そこまでの火力じゃねぇ……」

 攻撃を躱した? あんな小娘が?

痩身の男は怪訝そうに眉を顰めて周りを見渡すが、周囲に少女の姿は見えない。

「アァ? んだぁ……? 何だ……何が起こった」

 痩身の男はしばらく怪訝そうに周囲を見渡していたが、すぐにキヒっと笑みを浮かべた。

「まあ……良いか。獲物はいくらでもいるしなぁ!!」

 痩身の男は再び手のひらの上に炎球を生成すると、周囲への無差別な攻撃を再開した。

 ズズゥン……、と階下の方で爆発する振動を感じながら、無常は傍らにいた少女の方を見た。

「おい、無事か?」

 無常の言葉にぎゅっと固く目を閉じていた少女はゆっくりと目を見開いた。そして、周りを見渡そうとして固まった。

「……え?」

 少女がへたり込んでいたのは、どこかのビルの屋上だった。

「えっ? えっ……嘘……どうしてっ!? さっきまで……」

 確かに先ほどまで自分は道路の真ん中にいた筈だ。そして、目の前には痩身の男がいて、少女は放たれた炎によって身を焦がされていた筈だった。

 それが少女が目を閉じていたほんの一瞬の間に、どこかのビルの屋上に移動しているなど。

 あり得ない。
 あり得ない現象が起こっていた。

「……アイツ……完全に呑まれてやがる」

 無常は少女から離れると、近くのフェンス越しに下の方を見下ろした。

 ここから見下ろすと、遥か真下で爆発が連続して起こっているのが分かる。それと逃げ惑う人々の悲鳴と怒号。

 真下に見える景色はまさに地獄そのものだ。

「あ、あの……ど、どうして……?」

 少女は恐る恐る立ち上がるが、ビルの屋上に吹き荒れるビル風によって再びその場にへたり込んでしまった。

 無常はチラりと一瞬だけ視線を少女に移したが、何も言わずに再び視線を階下へと戻してしまう。

「……今からGUARD(ガード)本部の方に連絡がいったとして……到着までにはどれだけ早く見積もっても5分はかかるか……」

 あれだけの異能者を5分間も放っておけば、どれほどの被害が出ることか。

「近場に他の適任がいないんじゃ……俺が制圧するしかないか」

「ね、ねえ……あなた。何が起こって――」

「悪いな。これ、借りてくよ」

 戸惑った様子の少女の言葉を遮るように無常は左手を掲げた。そこには少女が身に着けていたマフラーが握られていた。

「え? う、嘘っ!?」

 無常の手のひらにあるマフラーを見て少女は慌てて自分の首元を触って確かめる。すると、ほんの一瞬前までそこにあったはずのマフラーが無くなっていた。

 無常は少女のマフラーを首元に巻き付けると、顔の下半分を覆い隠した。そして、屋上のフェンスに足をかけると、軽快な動きでフェンスを乗り越えて向こう側へと着地する。

「こんなところに放置で悪いが、安全な場所はここぐらいしかなかったんだ。君は危ないから、ここにいろ。じゃ」

 無常は少女に指示すると、こともなげに屋上から――飛び降りた。

「嘘っ!!? ちょっとっ!!」

 少女は目を見開き、慌ててフェンスの元へ行き下を見下ろした。だが、見下ろした先に無常の姿はなかった。

「……ぇ」

 まるで幽霊のように消え去ってしまった無常を見て、少女がぽつりと呟いた。

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