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第3章 成人の儀
87 火遊び ※
しおりを挟む肩越しに振り向きたずねると、微笑むヴァンが片手をするりと下肢の方に下ろした。そこにはいつの間にか、ガチガチに立ち上がっている俺の男性器があって……。
たまらず身悶えしながら声を漏らす。
「……ぁぁ、いつの、間に……」
「気づいていなかった?」
かぁああっ、と耳まで熱くなる。
意識させられてはじめて、俺は自分の身体に起っていた変化にうろたえた。
「……ヴァン、どう、しよう……」
心臓が脈打つ度に、体中がづくんづくんと疼く。熱い。
じわり、と滲む汗が首筋を伝うのを、ヴァンの舌がねっとりと舐めた。
「あぁ……ぅ」
「簡単に消えそうにないね。さて、どうしようか」
囁くヴァンの声に焦りはないどころか、楽しそう……だ。
「どう……って」
「このままじゃ辛いんじゃないかな?」
「つ……らい、よぉ……」
分かっているのに、今日のヴァンはちょっと意地悪な気がする。
たぶんあまり深刻な状態じゃないから、余裕があるんだろうけれど……俺は、ただ後ろから抱きかかえられているだけでも、熱くて、たまらない気持ちになってきている。
これ……なんか、似たようなの前にもあった。
魅了の魔力が暴走しかけた時のような。
「うん、面白い変化だね」
「ヴァン……?」
「リクにとって火の魔法は、媚薬のような効果あるみたいだ。だから無意識にセーブしていた、というのもあるのかな」
頭の芯までじんじんし始めて、だんだんヴァンの言っている言葉が耳から滑り落ちてくる。
熱い。疼く。身体の芯が燻っている。
「……消し方が……分から、ない……」
自分の力じゃ抑えきれないところまできているって……感じている。
このままじゃヴァンの手を借りないと、消えない。まだ何もしていないのに、もう呼吸がおかしくなり始めている。
「下手に消さない方がいい」
シャツの上から、俺の身体をまさぐるように手のひらが滑り、布越しに胸の突起をこねられた。
「ふぁ……ぁ!」
「うん、ここも、反応がよくなっているね」
「……まっ、て、ぁ……」
くんっ、とヴァンの下半身が、突き出した俺の尻に強くこすられた。部屋着のズボン越しに、芯を持ち立ち上がり始めていたヴァンのものを、感じる。
あ……それダメだ。すごく欲しくなってたまらなくなる。
「ヴァン……も、感じ……」
焦らすような動きで、ゆっくり、尻にこすり合わせる。
熱い息が俺のうなじにかかる。
「こんなに可愛いリクを見て、感じない僕だとでも?」
甘く、低く響く声。
ぞくっ……と背筋が痺れる。熱い。
男なのに、男に欲情されて嬉しくなっている。変だ。おかしいよ。
「可愛いな……」
「……ヴァ、ン……んっ……」
「声も何もかも、立っている姿だけでも……たまらない」
片腕でしっかり俺の身体を支えながら、片方の指先がシャツ越しに俺の胸を責める。見なくても、俺の乳首はもぅ張り詰めて、ヴァンの刺激に喜んでいるのが分かる。
「……ヴァン、も……」
わざと水音を立てるように、耳の側をぴちゃぴちゃと舐めている。
なんか……いつもより、動きがねっとり、している?
「ヴァンも……火、ついて……る?」
「リクの炎が、移ったみたいだ……」
首を横に倒す。さらけ出すようになった耳に、舌が入り込み中を舐め回す。口の中を舌で犯されるのとまた違う快感が、脳を直接とろかしていく。
じんっ、と身体の芯の熱が、飛び火していくみたいだ。
「……ふぁ……ん、ぅ……」
「ここも好き?」
「わ……かんな、い……」
分からないけど、喘ぎ声が交ざった息が乱れていく。
シャツ越しの責めが、じれったくてたまらないんだ。揺れて尻にあたる、ヴァンの硬く熱い存在も……。
「直接……さ、わっ……て……」
たまらず声を漏らした。
ヴァンの含むような笑いが、耳の裏に触る。
「今触ったら、すぐに達してしまうんじゃないの?」
直接の刺激じゃなくてもこんなに感じているのに、直に触ったらきっとあっという間にイってしまう。そんなの、わかっている……。
「う、ん……イっちゃ……う」
「いいの?」
「え……?」
くいっ、と胸の尖りを摘ままれ、捩じられた。
立ったままのけ反り嬌声になる。
「あぁあっ!」
「そんなに簡単に、イってしまって……いいの?」
「あっ、まっ……そんな、ぁ、そこ……どうして……ぁあ」
乳首は……ここ数日、ヴァンにさんざん弄られて感じるようになり始めていた。けれど、強く、感じたりはなかったはずだ。
「こんなに、敏感になっているのに」
押してこねられ、身体が逃げる。
それをもう片方の腕ががっちり押さえて、尻の割れ目にヴァンの猛りを押し付けられる。下腹の奥が、覚えてしまった快楽を欲しがって、じりじり火を当てられたように熱く燻っている。
「んっ……ぁ、すれて、ひりひりす、るっ……」
「リク」
「ね……おねが、い……ヴァン……」
「んん?」
「さわって、ちょくせつが……いい」
「どうしても?」
「う……ヴァンの手、で……さわって……」
「……どこを?」
どこ……って。
胸も、背中も、前で張り詰めてガチガチになってる俺自身も、熱く燃えてる中、も……。さわって、こすられて、達したい。
「ぜん……ぶ」
「一度に全部は、難しいな……」
シャツをめくり上げる。俺は前のめりになって机に両手をついた。
あらわになった背中にヴァンの唇が近づく。そのまま背筋に這わせ、ねっとりと、濡れた、熱い舌でのけ反る俺の肩甲骨のくぼみをなぞっていく。
あっ……背中……きもちいい。いいぃ……いいっ。
「あぁ……! ぁ、ぁあ!」
くぽっ、と股の間で熱いものが溢れた。じわん、と粘性のある体液が下着の中に広がる。あぁあ……また、やっちゃった。……背中、舐められただけ、なのに。
気持ち良すぎて堪えられない。
「本当にリクは……背中、好きだね」
「す……き……」
「こっちは?」
いつの間にか滑り込んでシャツの下では、俺の願い通り、直接乳首を弄り始める。
こねて、摘まんで引っ張りねじり、硬く張り詰めた乳首を何度も何度も、甘い動きで責め立てていく。
「ひぁ! ……ぁ、あ、いぃぃ……ぃ……」
「背中と胸、どっちが、気持ちいい?」
背中……いや、胸も……いや、やっぱり背筋を触られるとたまらない。
「んっ……んぁ、ぁ、せぇ……な」
「背中?」
くにっ、と摘まんだ乳首が、強く引っ張られた。
ビクッと身体が跳ねて、膝が砕けそうになる。また、こぽり、と下着の中に俺の精が溢れだす。もぅ……どろどろだ。恥ずかしすぎる。
「ぁ、いぁ……」
「胸の方も……感じるようになってきた?」
「ひぅぅ」
「ふふっ……今日のリクはすごい、ね」
はふはふと息を吸う。ヴァンがたまらないように声を漏らした。
「あぁ……もぅ、可愛い。どうしてこんなに可愛いんだ」
胸を弄っていた手が、するりと下半身の方に流れていく。
萎えることの無い俺の猛りはだらしなく白い滴をたらして、下着の染みを大きくしていた。ぐちゅぐちゅして気持ち悪い。いや、それが気持ちいい。
もぅ……いつもこんなの、いやなのに。漏らしてばかりで、恥ずかしい。
「こんなにリクが感じやすくなると分かっていたなら、もつと早く教え込むんだったね」
するり……と、部屋着のズボンを下着ごと滑り落とした。むき出しになった尻に直接空気がふれて、ひやりとする。
太ももを流れ落ちる、俺の精子……。
ヴァンに見られている。
たまらず揺れる背中や腰も、何度も達して濡れている前のものも。期待にひくつく後ろの場所も……。
「……そういう時は、燃やし尽くすのがいいんだよ」
ヴァンの手のひらが、俺の火を大きくするように後孔のすぼまりを撫で上げた。
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