114 / 202
第3章 成人の儀
111 覚えておいてね ※
しおりを挟む慌てて口を噤んでももう遅いかもしれない。
でも、これ以上、俺の喘ぎ声を聞かせるわけにはいかない。
「うぅ……う」
「どれだけ感じやすいのか、分かったでしょう?」
「……う、ヴァン……んんっ」
きゅっと、俺の陰茎の根元を指で締め付けたまま、ヴァンの舌がくびれをなぞり先端の穴に舌先を押し付ける。
視線は……俺の目を見つめたまま。
野獣が、獲物を弄びながらじっくりと追い詰めて、逃げ切れなくなりのを待っているような……視線だ。その視線までもが、気持ちいい。
「淫らな気持ちになったら、止められない……でしょう?」
「……く、ぅう、う」
「だからね、リクには……警戒心をもってもらわないと」
手首は魔法の力でクッションに縫い付けられたまま。
それどころか足首まで、ソファに縛り付けられたみたいに動かない。遠慮なく俺のものを舐めねぶるヴァンから逃れられない。
「ひぅう……ぅ。ヴァン……も、ぅ」
「イきたい、の?」
イきたい。けど、服は汚したくない。
脱がしても貰えなくて、逃げたくても手足は拘束されて逃げられない。
ヴァンの、甘い責めは止まらない。
「どうしてもイきたい、なら……」
低く、囁く吐息が敏感な場所に触れて、俺は荒い息で快感を逃がそうと悶える。
ヴァンは微笑ながらもう片方の手を添えて、袋までもやわやわと揉んでいった。先端と根元を容赦なく責める。なのにイけない。
おかしくなる。
「あ……ぁあ……ぁ……っあ、あ」
声を抑えきれない。
「……だったらリク、飲んで……って、いってごらん?」
「え……?」
舌を伸ばし、根元から舐め上げながら、笑う。
俺は何を言われたのか分からず、目を見開いて股の間のヴァンを見つめ返した。
「なに、を……」
「リクのここから吐き出す、白く、濃い……の。衣装は汚したくないんでしょう? だったら僕に飲んでって言ったら、イかせてあげるよ?」
「や……そんな……」
「嫌なんだ」
「……ぁ、そう、じゃなく、て……」
俺の精液をヴァンに飲ませるなんて、出来ない。
「き……きたない、し……」
「リクのものなら平気だよ」
「ダメ……」
「そう」
ふ……と顔を起こした。そのまま何をするのかと思ったら、ジャケットの内ポケットから取り出したのは、赤いリボン、だ。
テーブルに置いてあったお酒のボトルを飾っていたもの。
それをヴァンは器用に俺の陰茎の根元に巻き付けて、優しく縛った。
痛くは無い。けど、吐精できない、ぎりぎりの強さで。
「……なに、を」
「ゆっくり決めて」
そう言ってヴァンは身体を起こし、俺から離れていく。
俺の手足は、クッションやソファに縫い付けられたまま、なのに。そんな俺を置いて、ヴァンは飲み物を置いてあるテーブルの方までいってから、ボトルのお酒をグラスに継ぎ足した。
「夜は長いから。ゆっくり考えるといいよ」
そばのイスにゆったりと座り、長い足を組む。
舐め回すような視線で、肌がじりじりと焦げていきそだ。
「う……んんっ、ん……」
ヴァンが笑みをこぼした。
「……これは、なかなか壮絶な眺め、だな」
「ヴァン……ん……」
「いっそ禁欲的なほどの色合いの礼服を淫らに着崩して……腰が、動く度に、リクの大切なところを縛っている赤いリボンが、揺れている。すごく……いやらしいね」
ぞくん、と腰から背筋が甘く痺れた。
下肢に視線を向けると、ヴァンが言う通り、悶える股の間でリボンが揺れる。くらくらしてくる。
「やだ、やめてよ……恥ずか、しい……」
「うん。でもこれはお仕置きみたいなものだから」
「……ヴァ、ン……」
「その身体で、ちゃんと覚えるように」
身体の中が燃えるように熱い。
さっき飲んだお酒の影響もあるのだろうけれど、何よりヴァンの視線が……絡みつく視線にぞくぞくして、たまらない。
こんな恥ずかしい恰好、絶対嫌なのに……嫌なのに、気持ちいい。
痛いことも、気持ちいこともされずに恥ずかしい恰好て放置されて、ただら見られているだけ……なんて。
「……ぅう、ぁ、んんっ……ふ……ぁ」
やだ。なんだこれ、気持ちいい……怖いぐらい。どうして。
俺、おかしいよ……。
ヴァンにお仕置きされて、気持ちいいって感じている?
「っあ……ぁ」
「ちゃんと覚えていて。リクの、その……首の守りの魔法石は、リクを傷つけようとするものしか、排除できないと知っているよね?」
「う……」
くらくらする頭で、頷く。
「し……ってる」
何度か聞いた。
俺を傷つけないもの……大人しい動物とか、子供とか……そういうものまで排除しないようにと、俺の為を思ってヴァンが石を調整していた。
「うん。そうじゃないと護衛できないし、怪我した時に治療もできない……でしょう?」
だから、とヴァンは囁く。
「ちゃんと自衛……してくれないと」
「……んっ、ぅ、ぁ、あ」
瞳が細まる。
口元は笑っているけれど、瞳は有無を言わせない圧が……すごい。
「僕以外の人に、無防備に触らせないで欲しい……な」
「ヴァン……んんっ」
「僕は、リクが思う以上に嫉妬深い……からね」
優しい……けれど、低く響く声。
ぞく、とまた甘い痺れが走った。
息が続かない。
ソファに拘束されて放置されているだけ……なのに。
「……もし、また誰かにキスさせたり必要以上に触らせたら、次はもっとリクをいじめてしまうよ。わけが分からなくなるぐらい、甘く。一晩中。いや、何日でも……」
「あぁ……ぅ、ん……」
「もちろん、そういう責めが好きなら、いくらでも……」
前屈みで顎に手を添え、ヴァンが楽しそうに微笑む。
楽しいの?
恥ずかしい俺の姿で、ヴァンも……感じている?
そうなら、嬉しすぎる。
「……ヴァン、が、する……ならすき……」
「リク……」
「ヴァンの……ぜん、ぶ、気持ちいい……」
嬉しすぎて。俺……こんな、恥ずかしくて辛い責めまで、相手がヴァンなら嬉しい……なんて、感じている。
「まったく……たまらないね。ここまでしてもいいの?」
「いい……」
俺もそうとう、おかしい……よ。
キシ……と根元を縛るリボンがきしんだ。
あ、もぅ……ダメだ。
もぞもぞと動く甘く疼く腰に合わせて、赤いリボンが誘うように揺れる。
「……んぁ、あ、ヴァン……」
もう、イきたい。限界。
だけど……服、汚したくない。
吐き出したい。なのに……飲ませるなんて絶対に嫌で……泣きそうになる。首をのけぞらして懇願する。
吐き出せないまま、びくびくと身体が痙攣し始める。
「ぁ……ヴァン……も、ゆるしてぇ……」
「怒ってはいないよ。覚えて欲しいだけ」
優しい声で囁く。
「イきたいなら、ちゃんと僕に、お願いしてごらん」
20
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
溺愛の加速が尋常じゃない!?~味方作りに全振りしたら執着兄上たちの愛が重すぎました~
液体猫(299)
BL
毎日AM2時10分投稿
【《血の繋がりは"絶対"ではない。》この言葉を胸に、末っ子クリスは過保護な兄たちに溺愛されながら、大好きな四男と幸せに暮らす】
アルバディア王国の第五皇子クリスが目を覚ましたとき、九年前へと戻っていた。
巻き戻す前の世界とは異なるけれど同じ場所で、クリスは生き残るために知恵を振り絞る。
かわいい末っ子が過剰なまでにかわいがられて溺愛されていく──
やり直しもほどほどに。罪を着せた者への復讐はついで。そんな軽い気持ちで始まった新たな人生はコミカル&シリアス。だけどほのぼのとしたハッピーエンド確定物語。
主人公は後に18歳へと成長します(*・ω・)*_ _)ペコリ
⚠️濡れ場のサブタイトルに*のマークがついてます。冒頭のみ重い展開あり。それ以降はコミカルでほのぼの✌
⚠️本格的な塗れ場シーンは三章(18歳になって)からとなります。
⚠️若干の謎解き要素を含んでいますが、オマケ程度です!
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる
彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。
国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。
王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。
(誤字脱字報告は不要)
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる