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第4章 たいせつな人を守りたい
117 いっしょがいい ※
しおりを挟むシャツは半脱ぎのまま下だけ脱いだ俺は、向かい合わせで腰の辺りに跨る。
ヴァンはヘッドボードに並べたクッションを背に身体を起こし、足はベッドに投げ出した感じで俺を抱えていた。
ふたつみっつと灯る光の魔法石で、ほのかな明るさが身体の輪郭を浮かび上がらせる。
今は……守りの魔法石をつけたチョーカーも外していた。俺の魅了の力が、ヴァンをもっと気持ちさせるのならと思って……。
互いの唇を食むようなキスで、熱い息がまざりあう。
「んっ……ん、ぁ……」
俺の陰茎はヴァンのものと一緒に握られ、緩やかに撫であげられていた。
互いの裏筋が擦れあう。先端から溢れた蜜が互いのモノをぬらぬらと濡らして、こんな熱の分け合い方があるのかと思うと、また新しい扉を開けてしまったような気がする。
子供同士のいたずらみたいなのに、すごくいやらしい気持ちになる。
「ふぁ……ぁ、ヴァンの、すご……」
「リクのは……ほんとうに、可愛いね」
「……ぅ、かわいい、いうなよぉ……」
恥ずかしい。
本当に、俺のと比べたらヴァンのは大きいし太いし、エラの張りも立派というか、色も……ちょっと濃くて……とにかく逞しい。口でやった時はもう、半分意識飛んでよく見えて無かったんだな……っていうぐらい改めて思う。
「可愛いよ、色もきれいでほら……」
「ひぅ!」
くに、と先端の穴に指先を押し込まれた。
くぷ……とまた滴があふれて、俺は快感に腰をこわばらせながら、ヴァンの肩を掴む。
「ぁあ……ぁ、あっ……ぁ」
「こんなに感じやすい」
「……か、感じるに……きまって、る」
「ふふふ……」
イくなら一緒にイきたいから必死で我慢してるのに、ヴァンは気持ちよさそうにしながらまだ余裕の様子なのが、ずるい。
「ヴァンも……かんじ、て……」
「感じてるよ。可愛いリクのと一緒に、こすり合いできるなんて……思わなかったし」
そう言って俺の片手を取ると、一緒に握って、っていうように下肢の方に持っていく。ぬる、と滑るそこに俺の指が触れると、それだけでまた張り詰めていく様子があった。
「リクに触られるの……は、気持ちいいよ」
「……ほん、と?」
「んん……」
うっとりとした緑の瞳で、俺を見上げる。
嬉しい。
俺も、ヴァンに触られるの……すごく気持ちいいから。つたない動きだっていうのは自覚してても、気持ちいいって感じてもらえるの、すごい嬉しい。
俺は片手をヴァンの肩に添えて上半身を支え、片手は一緒に握ったものをしごき上げる。ヴァンも片手を俺の腰に回して支え、もう片手で二本の竿と俺の指ごと握り、ゆっくりとしごいた。
……そして唇は互いの熱い息を求めて、重なっては離れを繰り返す。
「……はぁ、あ、すご……い……」
「こんなリクも、たまらないね」
「かわ、いい……?」
「食べてしまいたい……ぐらいだよ」
甘く囁く声に、俺は微笑み返す。
「ふふ……た、べて……」
こてりと頭を横にしてから首を差し出した。
喉を鳴らしたヴァンが首の根元に唇を寄せ、軽く歯を立ててから強く吸う。ピリ、とした痛みは背筋を伝って、俺の下肢を更に熱くした。
「痕になってしまう」
「んっ……つけておいて、ヴァンの……ものっ……て」
印、ちゃんとつけておいて。
ヴァンは身体に痣が残るようなこと……すごく、嫌うけど、俺はつけて欲しい。これはヴァンのものだから、っていう印……欲しい。
「……おれ、を噛めるの……ヴァンだけ……だから」
「うん……」
頷いてから、肩に、胸にと強いキスを落としていく。
一緒に握りしごき上げていた手の動きが、徐々に早くなっていく。
「……は、ぁ、あ、ん……ぅ、ぁ、あ」
「リク……いつでも、イっていいよ」
「や……」
ふるふると首を振った。
「いっしょ、が……いいっ……」
くちゅくちゅと濡れる音に耳を犯されながら、俺は切なげに眉を寄せる。
「いっしょに……きもちよ、くなりた、い……んっ」
「うん……」
蕩ける笑みでヴァンが応えると、一気に駆り立てる動きで大きな手のひらが上下していった。裏筋同士が熱く擦れあい、俺は喘ぎ声を止められなくなる。
……いい。
気持ちいい。
身体中がじんじん痺れ、頭の中に星が舞う。
白く霞んでいく感じがする。
「ぁ……も、イ、イく、イっちゃう……ヴァ……んっ!」
「おいで……リク……」
びくん、と俺の身体が大きく跳ねた。
「うぅぅ……んぅ――!」
解き放たれる白濁が、俺とヴァンの腹や下腹に散っていく。
「――ぁ」
「く……」
「あっ、ぁ……は、ぅ……」
「んんっ……」
互いにびくびくと身体を震わせ、吐き出していく。
長く尾を引く快感。
たまらない。
はぁぁ、と大きく息を吐いてから、俺はヴァンの胸に倒れ込んでいった。下腹や胸のあたりの二人分のぬめる感覚が、欲望の証という……もう恥ずかしくて、でもたまらなく幸せで、どうしていいのかわからない。
熱を発散させたはずなのに、また、ぞくりと甘く痺れる。
「……うれしぃ、よぉ……」
俺が声を漏らすと、ヴァンがやさしく抱きしめた。
耳元でかすれたような声で囁く。
「かわいい……」
「……ん」
「僕の……かわいい、リク……誰にも、渡さない」
耳を髪をと、ヴァンがたまらないという声で口付けしてくる。
それを俺は満たされる気持ちで受け止めながら、ふふふ、と笑いをこぼす。
「どろどろ……だ」
「二人分だからね」
「ヴァン、せっかく水浴びしたのに」
「もう一度浴びればいいよ。一緒に……」
「ん……」
頷いて起き上がる。
ベッドを下りて立ち上がるヴァンを見上げて、俺はふと、イタズラ心が起きた。
「ヴァン……」
「ん?」
「抱っこして」
バスルームまで、という意味で、俺は腕を伸ばした。
この世界に来たばかりの頃はまだ体も小さくて、何かあるとすぐヴァンに抱き上げられていた。さすがに身長も伸びたし、重くもなった。ヴァンは力持ちだけど、今の俺は無理だと思う。
大きくなった俺を実感して。
そう思ったのに――。
ふ、と笑みを漏らしたヴァンは身体を屈めると、そのまま背中とひざ裏に腕を入れて、軽々と肩に抱えあげてしまった。
「あ、ヴァン!」
「大丈夫、落とさないよ」
「……って」
軽い足取りでバスルームまで運ばれる。そのままバスタブに下ろされて、ヴァンは手慣れた手つきでお湯を出し始めた。
俺……けっこう大きくなったと思ったのに、全然、なのか?
「抱き上げられるとは思わなかった」
「リクぐらいならまだ余裕だよ」
「力持ち。そんなに筋肉ムキムキじゃないのに」
「魔法の補助もあるからね」
あ! と目を見開く顔が面白かったのか、ヴァンは肩を震わせて笑った。
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