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第二章 「主人公」と「憧れ」
第七話
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「俺の能力は『隔離』と『内部環境の変化』。捕まった時点で勝負がついたも同然だ」
「随分と武骨な見た目に反した力を使ってくれるじゃないか……っ!」
身体の動きがままならない。感覚がおかしい、どうにもずれている。
物を押さなくては移動ができないというのに、その隔離している壁まで手が届かない。どんなに手を伸ばそうとも、開かれた手は空を切るばかりだ。
「先輩、あがいても無駄ですよ」
体を起こし、俺を見た成木。にやりと笑う表情の裏で、こめかみには怒筋が浮かんでいる。
体の横に握られた拳は堅く、そして次には隔離している壁にどんっ、と振りかざされた。
「もうこうなった以上はあんたの負けです。そもそも四人に囲まれた以上、勝ち目なんてなかった。全く、それなのに俺から拳銃を奪うなんて……はた迷惑な話だ」
四人、確かにそういった。まだ二人いた、その事実は俺にしてみれば絶望的だ。
そしてその二人は直ちに俺の視界に入ってくる。その片方、それを見れば俺は目を見開いた。その二人、それを俺は知っている。片方はここのコンビニのアルバイトだ。そしてもう一人は……
「甫突店長……」
「やっほー」
隔離をしている男の裏、前に出てきた二人の男がいた。その片方、甫突店長だ。
ひょろっとした細身、気さくな声掛けと共に手のひらをひらひらとこちらに向ける。
「捕まっちゃったか。まぁなんだ、ここまで囲まれれば当たり前か。『怪我をさせないで欲しい』、という命令は聞いてくれていたようだね」
成木は壁から拳を退ければ、店長の方を振り返り、直ちに頭を下げる。
おそらくこれが力関係なのだろう。店長と店員というだけではない、能力者同士の上下関係。
「はい、店長の命令でしたから」
「その割に、拳銃は抜いているようだけれどね。隔離だけならいい、ただ拳銃を抜いている辺り私怨も混ざっているんじゃないか?」
鋭い、確かに成木は俺に向かって拳銃を向けていた。おそらく発砲もするつもりだったのだろう。
偶然にこちらが抑えただけだ、『傷つけない』つもりなどなかった。
「私怨? 何のことだか」
すっとぼける成木。すると店長の目つきは鋭くなる。声色も低く、重くなっていた。
「能力の喪失のことだよ。あれは不可抗力だから、あんまり根に持つことじゃない」
そんな店長が俺を見れば、困ったように笑って見せた。その笑顔の裏を、俺はとても探れそうにない。
この男の真意、まるで掴めそうもない。宙を舞う煙を掴もうとしている気分だ。
「店長、あなたは――」
「僕はここの店長でもあり、フォーチュンのそこそこの権力者でもあるのだ。僕は五か月前と、かなり早くに能力を得た人間だったからね。そんなわけでここの支店には『フォーチュン』の能力者を固めてみた。色々と都合がいいからね」
近寄ってくる店長。どこまでも取り繕われた笑顔、底の見えない人間だ。ただどうにも敵には見えない人間。
「じゃあ店長は俺の敵だったんですか?」
「いや、僕は味方だよ」
店長は不敵に笑う。依然としてこちらに歩み寄る足は止まらない。
「フォーチュンとアスピレーションが敵対しているのはわかりました。そしてここにいる人間がフォーチュンに属していることも」
見渡す。四人の人間がいる。その全員が、同じチームに所属しているのだ。
「しかし目的が分からない。能力者をまとめて、一体何を……?」
「随分と武骨な見た目に反した力を使ってくれるじゃないか……っ!」
身体の動きがままならない。感覚がおかしい、どうにもずれている。
物を押さなくては移動ができないというのに、その隔離している壁まで手が届かない。どんなに手を伸ばそうとも、開かれた手は空を切るばかりだ。
「先輩、あがいても無駄ですよ」
体を起こし、俺を見た成木。にやりと笑う表情の裏で、こめかみには怒筋が浮かんでいる。
体の横に握られた拳は堅く、そして次には隔離している壁にどんっ、と振りかざされた。
「もうこうなった以上はあんたの負けです。そもそも四人に囲まれた以上、勝ち目なんてなかった。全く、それなのに俺から拳銃を奪うなんて……はた迷惑な話だ」
四人、確かにそういった。まだ二人いた、その事実は俺にしてみれば絶望的だ。
そしてその二人は直ちに俺の視界に入ってくる。その片方、それを見れば俺は目を見開いた。その二人、それを俺は知っている。片方はここのコンビニのアルバイトだ。そしてもう一人は……
「甫突店長……」
「やっほー」
隔離をしている男の裏、前に出てきた二人の男がいた。その片方、甫突店長だ。
ひょろっとした細身、気さくな声掛けと共に手のひらをひらひらとこちらに向ける。
「捕まっちゃったか。まぁなんだ、ここまで囲まれれば当たり前か。『怪我をさせないで欲しい』、という命令は聞いてくれていたようだね」
成木は壁から拳を退ければ、店長の方を振り返り、直ちに頭を下げる。
おそらくこれが力関係なのだろう。店長と店員というだけではない、能力者同士の上下関係。
「はい、店長の命令でしたから」
「その割に、拳銃は抜いているようだけれどね。隔離だけならいい、ただ拳銃を抜いている辺り私怨も混ざっているんじゃないか?」
鋭い、確かに成木は俺に向かって拳銃を向けていた。おそらく発砲もするつもりだったのだろう。
偶然にこちらが抑えただけだ、『傷つけない』つもりなどなかった。
「私怨? 何のことだか」
すっとぼける成木。すると店長の目つきは鋭くなる。声色も低く、重くなっていた。
「能力の喪失のことだよ。あれは不可抗力だから、あんまり根に持つことじゃない」
そんな店長が俺を見れば、困ったように笑って見せた。その笑顔の裏を、俺はとても探れそうにない。
この男の真意、まるで掴めそうもない。宙を舞う煙を掴もうとしている気分だ。
「店長、あなたは――」
「僕はここの店長でもあり、フォーチュンのそこそこの権力者でもあるのだ。僕は五か月前と、かなり早くに能力を得た人間だったからね。そんなわけでここの支店には『フォーチュン』の能力者を固めてみた。色々と都合がいいからね」
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「いや、僕は味方だよ」
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見渡す。四人の人間がいる。その全員が、同じチームに所属しているのだ。
「しかし目的が分からない。能力者をまとめて、一体何を……?」
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