ゲームに夢を託して、無双するのは駄目なのだろうか?~だって、折角の最強ですよ?~

bakauke16mai

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1章 リアナと俺と

街散歩

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そのまま、観衆の間を通り抜けて街並みに戻ってくると、太陽が真上に見えた。
それと同時に、空腹ゲージと水分ゲージが点滅している。
このゲームは、何故かその細部が精密に再現されている。

空腹ゲージ、水分ゲージ、睡眠ゲージ、この三つのゲージは、かなり重要だ。
そのどれもが、放置しておくと痛いペナルティと、デスペナルティがおまけで付いてくる。
空腹ゲージが無くなると、全てのステータスが100分の1になり、眩暈の状態異常が付与される。

さらに、HPが自動で削られていき、最終的には全損も存在している。
また、空腹ゲージが50%以上の時はHPが自動回復する機能がある。
水分ゲージが無くなると、空腹ゲージと同様の事が起きる。

ただし、MPが自動で削られていき、その後、HPが削られる。
また、水分ゲージが25%以上の時はMPが自動回復する機能がある。
最後は睡眠ゲージだ。

これは、ゲーム内で毎日3時間は最低でも寝ないと、全ての補正が消える。
さらに、眩暈と空腹状態も付与され、移動が不可能となる。
七日間で、30時間は睡眠を取るのも必須なため、毎日3時間の睡眠では足りない。

また、睡眠ゲージが75%以上の時は、全てのステータスが5%上昇する。
こんなに細かい設定なのが人気の理由でもあるらしいが、ちょっと面倒でもある。
まあ、そこは許容するしかないのだろう。


「あ!そこにある店で何か食べよ」

「ん?ああ、良いと思うよ」

「是非」

「良い、と思い、ます」

「ん」


全員の許可をえたリアナは、上機嫌で店に入って行った。
どうやら、中華料理が多い店らしく、中からは香ばしい匂いがする。


「いらっしゃいませ。あちらの席にどうぞ」


店員の男性に案内されたのは、窓際の六人席だった。
俺が窓際の一番隅に座ると、隣にシフォン、反対側にリアナ達3人が座った。
シフォンの背は、俺と比べると小さく、リアナ達よりも少しだけ低いようだった。


「何のメニューにする?」

「ああ、俺はAセットで」

「そ、私はCセットにするわ」

「私は、その、Bセットで」

「私もBセットにします」

「A」


シフォンがAのセットを頼んだことには驚きだったが、それ以外は納得出来た。
Aのセットは肉中心、Bセットは野菜中心、Cセットは肉と野菜の混合だ。
それから、少しだけ雑談をして待つと、料理が運ばれてきた。











「ごちそうさまでした」


最後に残ったのは、予想通りレインだったが、あまり時間差は無かった。
予想外だったのは、シフォンが意外と食べたことだ。
綺麗に肉を食べていたのだが、速度でいえば、最速だった俺の次である。


「まったく。レイはもう少し食べ方に気を付けなさいよ」

「しょうがないだろ。肉はガツっと食べるのが美味いんだから」

「シフォンを見習いなさい」

「はいはい」


リアナの小言を軽く流して、俺達は店を出た。
代金は、先ほどの男とのPVPで稼いだ俺が支払ったが、あまり問題も無かった。
それだけ、あの男は良い金を持っていたのだろう。


「さて。それじゃあ、次はどうするんだ?」

「あ、あの、私は一度、アウトします」

「私も、レインさん同様に一度アウトですね」

「私も」

「まあ、知ってたけど、やっぱり皆は一度落ちるのね。なら、次はリアルで4時間後にしましょう?」


そう言うと、全員が頷いたので、リアナも話しを断ち切った。
この流れだと、俺とリアナだけで街の見学か。


「じゃ、行くか?」

「ええ」


聞くと、予想通りの返答が返って来たので、そのまま歩き始めた。
街中は、先ほどよりも人が増えて、話し声が盛んになった。
恐らく、ほとんどのプレイヤーはこれから戦闘のために王都の外に出るのだろう。

俺達の場合、戦う俺は過剰戦力だし、それ以外は戦えないため、外に出る必要が無い。


「それじゃあ、午後は嗜好を変えて、貧民街に行くか?」

「え・・・・まあ、いいと思うわよ」

「何かあるのか?」

「なんでもないわよ」


何時もと少しだけ態度が違かったリアナは気になるが、追求は止めておこう。
本人が嫌がっていることを強制する権利も資格も無いのだから。
とりあえず、目的地は決まったために、俺達は歩き始めた。

人の少なくなっていく方向に向かって進み出すと、やはり王都の闇が見える。
日に当たるこの城下町の反対側では、毎日のように犯罪が起こっているのかもしれない。
きっと、それだけは消せないのだろう。

っと、そんな事を考えていると、人の通りはほとんど無くなっていた。
心無しか、恐怖を煽るような雰囲気の街並みや建物は、先ほどと造りは同じなのに、別物のようだ。
隣を見ると、リアナにはやはり何かが起きている。

押し黙って、俯いたまま歩くなんてリアナらしくない。
今日会ったばかりの俺がそう考えるのは変かもしれないが、それでもリアナは変だ。

その時だった。


「お姉ちゃん。お兄ちゃん。助けてっ」


そんな声が聞こえたのは。
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