ゲームに夢を託して、無双するのは駄目なのだろうか?~だって、折角の最強ですよ?~

bakauke16mai

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1章 リアナと俺と

リアナの変化&ステータスさん、貴方壊れましたか?

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「きゃっ!?」


子供らしき声と同時に、リアナが驚いたように飛び跳ねた。
確かに少し驚いたが、別にそこまで大袈裟にならなくても良いのでは、と思う。
声のした方を向くと、ボロボロの服を着た少年が、1人の少女を抱えていた。

少女も、少年に劣らない程ボロボロの服で、ほとんど布を纏っているようだ。


「お姉ちゃんがッお姉ちゃんがッ!!」


少年の悲痛そうな声で、思考が現実に戻って来た。
確かに、少女の顔色は悪く、なによりもHPバーが今も減少している。
その隣に表示されているのは、『状態異常』だ。

しかも、濃い緑の髑髏と、雷のマーク。
このゲームに詳しくなくても理解出来るような状態異常表示だ。
そして、緑の髑髏はさらに危険な位置にある。

この少女に付与されている状態異常は、『猛毒』と『麻痺』だ。
ただ、何が理由なのかは不明だが、猛毒によるHPの減少は驚くほど少ない。


「待ってろ!今助ける!!」

「ごめんっ!」

「え?」


俺が助けると告げるのと同時に、リアナも声を出した。
『ごめん』、という言葉に含まれているのは、何なのだろうか。
その意味が知りたくて、隣を見ると、リアナの走り去る横顔だけが見えた。

その顔が、ハッキリと怯えていると理解するのに、大した時間は掛からなかった。


(でも!このゲームは街中も『安全地帯』じゃない!!今のリアナがそれを失念してたらッ!!)


追いかけようとした俺の視界に、少年と少女の姿が映った。
その、少年の酷く辛そうな表情に、戸惑いが生まれる。


(どうする!!このままじゃ、どちらかを助けるだけになってしまう!!リアナが襲われない事を願う?駄目だ!!そんな可能性の話じゃ駄目だ!!なら__!!)


焦る脳裏に、ふと、祖父の言葉が浮かんだ。
うちの、特殊な家の事情で、小さい頃は祖父に育てられた俺。
そんな俺の祖父は、奇跡を扱うことが出来た。


_いいか?”万能”というのは、全てが出来る事じゃないんだ。

_どういうこと?


幼い俺は、その意味がまったく分からなくて、素直に尋ねた。
祖父は、そんな俺を見て、笑みを浮かべて言ったんだ。


_万能とは、”全てを行使出来る可能性”のことじゃ。

_う~ん。良くわかんない。

_なに、お主が成長した時、きっとこの言葉を思い出すよ


(全てを行使する”可能性”・・・・・・・・ならッ!!)


バッ、と俯いた顔を上げて、路地を曲がる寸前のリアナを見つめた。
その、怯えたような表情と、恐怖と、そして申し訳無いという後悔。
そのどれもに感じ取れる表情を見て、俺は口を開いた。


「『最堅なる護符!!』」


見えなくなる寸前のリアナの身体が軟く光ったのを見て、俺は安堵の息を漏らした。


(さあ、次はこっちだ)


しかし、すぐに気を引き締めて、目前の少女を見た。
麻痺はすぐには無理だが、猛毒の対処なら簡単だ。
願わくば、同時に麻痺も解除されることだけだ。


「『霊薬の癒しエリクサー・ヒール』」


唱えた瞬間、輝きが少女を包み、そのHPバーを回復させていった。
元々、霊薬とは蘇生すら可能なアイテムだ。
それと同等の効果を持つこの魔法ならば、やはり完全回復も可能のようだ。

同時に、猛毒のマークと、麻痺のマークも解除された。
どうやら、完全に回復することが出来たようだ。
その事に安堵してから、俺は少年を見た。

驚愕の顔で、呆然と少女を見つめる少年だが、やがてその場に倒れた。


(まあ、状態異常に『疲労』って付与されてるんだから当然か)


苦笑を漏らした俺は、少年と少女を抱えて近くの宿に入った。
途中、変な目で見られたりはしたが、とりあえず弁解する時間が惜しい。
なによりも、この2人を抱えている現状はかなり疲れるのだ。

宿のベッドに2人を寝かせた俺は、女将に3日分の代金を払ってから宿を出た。
空を見上げると、夕日が沈み始めるほどになっていて、少し驚いたのは余談だ。


「さて、魔物討伐お金稼ぎに行きますか」


気分を整えた俺は、そのまま周辺のフィールドにやってきた。
ギルドメンバーから、リアナがログアウトしたのは知っているので、残りは俺だけだ。
リアルでの4時間後はゲーム内の明後日なので、それまでは自由である。

この自由時間のうちに、素材集めやレベル上げを行おうと思ったのだ。
近くを見ると、やはり近場だからかLV1のスライムや兎が多い。
ただ、中にはLV3の小型猪などもいるようだ。


(ふ~ん)


そんな中を素通りしながら、俺は平原を抜けて森の中に入って来た。
平原には、大量にプレイヤーが殺到していたが、森の中は少ない。
それでも、数人のプレイヤーがいるのだから驚きだ。


(まあ、さらに進むんだけど)


しかし、そこも素通りでさらに森の奥に進んでいった。



だんだんと木々が増え、太陽が完全に沈んだ頃、俺は目的の場所に着いた。
現在、最前線と呼ばれている黒森だ。
此処の平均レベルは15で、初心者ではほぼ壊滅する強さだとか。

今、此処で戦えるのは初期レベルが高かったプレイヤーが、ステータスが極振りされている人。
残りは馬鹿だ。


「キャンッ!!」


茂みから飛び掛ってきた狼をデュランダルで一刀にした後、そのまま進んだ。
この森での遭遇率はあまり高く無いらしく、意外と敵が少ない。
それでも、進んでいるとかなりの量が現れるのだがら上々だ。


「フッ!」


群れで行動していた狼の最後の1匹も倒したところで、ステータスを開いた。
およそ、ゲーム内で1時間程度狩りに費やした結果が気になったのだ。


ステータス

LV 12

職業 神(2)

スキル 【全能(2)】(+成長補正)

HP 12400

MP 768000

平均能力 2563

装備 神鎧・ソロモン(全身) 神剣・デュランダル 神剣・フェニックス 無限収納

______

かなりエグイことになっている。
っていうか、上昇幅が気持ち悪くなっているのが理解出来る。
恐らく、成長補正の補正方法が気持ち悪いのだろう。

暫し固まった俺だが、すぐに開き直って笑顔を浮かべた。


_こんなにも上昇するのなら、最高は何処なのだろうか、と。


そんな、ふざけたような目標を糧に、俺は森の中での戦闘を開始した。
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