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ルードヴィッヒは自分の腕の中で眠る夜神に、心が踊るのを隠すことなく、満足した表情をしながら自分の部屋に入っていく。
そしてそのまま普段から就寝しているベッドに向かう。
壊れ物を扱うように、そっと下ろすと冷たい頬を撫でながら自分も隣に座る。
最後に会ったのは何年前かな?あの頃と比べたら更に大人になっている。色々と経験したのだろう。
あの時も綺麗だったが、時間を置いて正解だった。ますます綺麗になっている。
自分の右目の傷を指で辿りながら、満足した顔から唇だけ歪める。狂喜的な顔になる。
「凪ちゃん、侯爵に随分と可愛がられたね?凪ちゃんと遊んでいいのは私だけなんだけど?とりあえず侍女長が来てくれるから綺麗になろうね。あと、その髪は私は嫌いだから元に戻そうね」
頬を撫でていた手を滑らせて耳周りの髪をさわる。
最初に出会ったときの事を思い出す。あのときのように元の状態に戻さないといけない。
そのためには全て、綺麗に洗い流さないといけない。
ルードヴィッヒは猿轡を外すと、夜神の軍服の釦を一つ一つと外していく。上着を脱がし、ネクタイを引き抜いて、シャツを剥ぎ取っていく。
そして何も身に着けていない状態の、夜神の鎖骨や胸、脇腹を指で辿っていく。
眠っているが、くすぐったいのか、体を軽く捩らせながら「うん・・・」と声にならない声を聞いて、ルードヴィッヒの瞳に色欲的な色に染まったが、軽く瞳を閉じて普段の顔に戻どす。
そして折り目正しく畳まれていた、自分のガウンを着せて紐を結ぶ。
侍女長が来たら、すぐにでも湯浴みが出来るようにしておく。
早く起きて、その白い瞳を見ていたいし、声を聞いていたい。そして誰のものでもない、自分だけの「血」を飲みたい。
「侍女長はまだ来ないのかな?早く来てほしいんだけどな~」
立ち上がりながら独り言を呟くと、自分の寝室から一旦出て、普段から過ごす部屋に戻る。
普段の部屋と寝室は繋がっていて、さらに別の部屋とも繋がっている。
執務室とは違い、重厚感はないがウォールナットで揃えた家具やライトグレーのカーテンと、過ごしやすい部屋である。
ルードヴィッヒは革張りのソファに座り、しばらく待っていると、ローレンツと侍女長と二人の侍女がやってくる。
一人の侍女は車椅子を押している。
「ローレンツ、遅かったね。待っていたよ。それにしても何で車椅子があるんだい?」
「湯浴みをされるのでしょう。連れて行くのに必要だからですよ。他の誰かに抱きかかえられるのは嫌でしょう?」
「流石わかっているね。頼りになるね。侍女長、隣のベッドに寝ているから連れて行って綺麗にしてあげてね。あと、髪の毛の色を変えてるから、染落とししてね。眉とまつ毛もね。それから凪ちゃんの軍服は残しておいて。洗濯するなら襟の記章は外してね」
「かしこまりました。お部屋は客間でよろしいでしょうか?」
侍女長がルードヴィッヒの要望に、頷きながら応える。
「隣の部屋が空いてるよね?そこを整えてあげてね。もちろん真ん中の部屋も一緒にね」
その言葉を聞いて、後ろにいた侍女は驚いた顔をしている。
侍女長は流石に顔色を変えなかったが、少しだけ眉がピクリと動く程度だった。
「・・・・・承りました。それでは私たちは失礼致します」
礼をして、ルードヴィッヒの寝室に三人が行ったのを確認して、ローレンツは口を開いた
「本気で言ってるのか?隣の部屋とか。まさかこの城に住まわせる気なのか?」
「まさか、今は住まわせないよ。一ヶ月はないかな?それぐらい短い期間だよ。そのうちね」
薄ら笑いでローレンツを見る。
その笑顔の時は、心の底から楽しんでいる顔だとローレンツは理解している。
この皇帝は楽しんでいるのだ。本当に欲しい玩具が手に入った子供のような状態なのだ。
だが、ここで逆らったら自分の最期はこの部屋だろう。
そんな不名誉な死を迎える予定はない。
「部屋は理解しました。陛下はこのあとの予定は覚えていますか?」
話の話題を無理矢理変える。変えないと自ら墓穴を掘りそうで恐ろしいからだ。
「覚えているよ。騎士団の視察だったよね。その時に凪ちゃんも連れて行こうと思ってるんだよね。その時に滞在期間を決めよう。あぁ、着ていくドレスを決めないと。凪ちゃんは赤が似合うから赤色のドレスを準備しておいて。ローレンツ任せたよ」
寝室から車椅子に乗った夜神の姿をみて、嬉しそうに顔を歪ませて、ローレンツにあれこれと指示をする。
ローレンツは絶対、服装について指示があるのを分かっていたので、陛下好みの服装を侍女長と前もって打ち合わせしておいたのだ。
このままスムーズにいけば視察の時間に間に合う。一秒だって欲しいのだ。遅刻は許されない。
「陛下、何点かドレスを用意してますのでお好みのものをお選びください。それを着せますので」
「仕事が早いね。宰相殿は本当優秀だ。私が楽できて助かるよ」
笑顔でローレンツを見ているが、その瞳は笑ってないことを知っている。
長い付き合いなのだ、それぐらいわかるのがすでに当たり前になっている。
「車での移動になりますが、あの軍人に道などを見せるのですか?」
自分達の暮らしぶりを見せることなど、雑作もないが、この陛下は少し歪んでいるので何かしらの事を仕出かすと今までの経験が物語っている。
「う~ん・・・・そうだね~私の隣に座ってもらおう。道は見せなくていいかな?ローレンツは助手席に座っていれば問題ない。凪ちゃんは私で対応するから」
何かいい案が思いついたのか、「クククッ」と笑いながらローレンツに笑顔をむける。
ローレンツも色々と理解して、ルードヴィッヒの考えを受けいれた。
「了解しました。ではドレスを持ってきますので、しばらく席を外します。くれぐれも変な行動をしないで下さいね!」
初めから釘を差しておく。でないとこの陛下はフラフラと、湯浴みの所まで行きそうだからだ。
「変な行動か・・・・大丈夫。部屋で待っていれば良いんだよね」
「そうです。部屋でっ!大人しくっ!待っていればいいんですっ!ドレスを持ってきますので、くれぐれも部屋から出ないように。待っていてください」
ローレンツは一礼をして、部屋を出て行く。
ルードヴィッヒはあれだけ宰相に釘を差されたのだ。大人しく部屋にいる以外ない。
「ローレンツはイライラしてるのか?予定が狂ってくるとローレンツは容赦なくなるからな~」
ルードヴィッヒは、長い付き合いのローレンツの、時間に正確に行動する性分を知っている。
そのお陰で今まで遅刻をしたこのがないのはローレンツの努力の賜物かもしれない。
「ドレスを見て、凪ちゃんに着せて、施設の視察に行って、今日は忙しいな・・・・夜はゆっくり出来るといいな~」
これから起る、楽しいことを色々と想像しながら、ローレンツと夜神の帰りを待つことにした。
そしてそのまま普段から就寝しているベッドに向かう。
壊れ物を扱うように、そっと下ろすと冷たい頬を撫でながら自分も隣に座る。
最後に会ったのは何年前かな?あの頃と比べたら更に大人になっている。色々と経験したのだろう。
あの時も綺麗だったが、時間を置いて正解だった。ますます綺麗になっている。
自分の右目の傷を指で辿りながら、満足した顔から唇だけ歪める。狂喜的な顔になる。
「凪ちゃん、侯爵に随分と可愛がられたね?凪ちゃんと遊んでいいのは私だけなんだけど?とりあえず侍女長が来てくれるから綺麗になろうね。あと、その髪は私は嫌いだから元に戻そうね」
頬を撫でていた手を滑らせて耳周りの髪をさわる。
最初に出会ったときの事を思い出す。あのときのように元の状態に戻さないといけない。
そのためには全て、綺麗に洗い流さないといけない。
ルードヴィッヒは猿轡を外すと、夜神の軍服の釦を一つ一つと外していく。上着を脱がし、ネクタイを引き抜いて、シャツを剥ぎ取っていく。
そして何も身に着けていない状態の、夜神の鎖骨や胸、脇腹を指で辿っていく。
眠っているが、くすぐったいのか、体を軽く捩らせながら「うん・・・」と声にならない声を聞いて、ルードヴィッヒの瞳に色欲的な色に染まったが、軽く瞳を閉じて普段の顔に戻どす。
そして折り目正しく畳まれていた、自分のガウンを着せて紐を結ぶ。
侍女長が来たら、すぐにでも湯浴みが出来るようにしておく。
早く起きて、その白い瞳を見ていたいし、声を聞いていたい。そして誰のものでもない、自分だけの「血」を飲みたい。
「侍女長はまだ来ないのかな?早く来てほしいんだけどな~」
立ち上がりながら独り言を呟くと、自分の寝室から一旦出て、普段から過ごす部屋に戻る。
普段の部屋と寝室は繋がっていて、さらに別の部屋とも繋がっている。
執務室とは違い、重厚感はないがウォールナットで揃えた家具やライトグレーのカーテンと、過ごしやすい部屋である。
ルードヴィッヒは革張りのソファに座り、しばらく待っていると、ローレンツと侍女長と二人の侍女がやってくる。
一人の侍女は車椅子を押している。
「ローレンツ、遅かったね。待っていたよ。それにしても何で車椅子があるんだい?」
「湯浴みをされるのでしょう。連れて行くのに必要だからですよ。他の誰かに抱きかかえられるのは嫌でしょう?」
「流石わかっているね。頼りになるね。侍女長、隣のベッドに寝ているから連れて行って綺麗にしてあげてね。あと、髪の毛の色を変えてるから、染落とししてね。眉とまつ毛もね。それから凪ちゃんの軍服は残しておいて。洗濯するなら襟の記章は外してね」
「かしこまりました。お部屋は客間でよろしいでしょうか?」
侍女長がルードヴィッヒの要望に、頷きながら応える。
「隣の部屋が空いてるよね?そこを整えてあげてね。もちろん真ん中の部屋も一緒にね」
その言葉を聞いて、後ろにいた侍女は驚いた顔をしている。
侍女長は流石に顔色を変えなかったが、少しだけ眉がピクリと動く程度だった。
「・・・・・承りました。それでは私たちは失礼致します」
礼をして、ルードヴィッヒの寝室に三人が行ったのを確認して、ローレンツは口を開いた
「本気で言ってるのか?隣の部屋とか。まさかこの城に住まわせる気なのか?」
「まさか、今は住まわせないよ。一ヶ月はないかな?それぐらい短い期間だよ。そのうちね」
薄ら笑いでローレンツを見る。
その笑顔の時は、心の底から楽しんでいる顔だとローレンツは理解している。
この皇帝は楽しんでいるのだ。本当に欲しい玩具が手に入った子供のような状態なのだ。
だが、ここで逆らったら自分の最期はこの部屋だろう。
そんな不名誉な死を迎える予定はない。
「部屋は理解しました。陛下はこのあとの予定は覚えていますか?」
話の話題を無理矢理変える。変えないと自ら墓穴を掘りそうで恐ろしいからだ。
「覚えているよ。騎士団の視察だったよね。その時に凪ちゃんも連れて行こうと思ってるんだよね。その時に滞在期間を決めよう。あぁ、着ていくドレスを決めないと。凪ちゃんは赤が似合うから赤色のドレスを準備しておいて。ローレンツ任せたよ」
寝室から車椅子に乗った夜神の姿をみて、嬉しそうに顔を歪ませて、ローレンツにあれこれと指示をする。
ローレンツは絶対、服装について指示があるのを分かっていたので、陛下好みの服装を侍女長と前もって打ち合わせしておいたのだ。
このままスムーズにいけば視察の時間に間に合う。一秒だって欲しいのだ。遅刻は許されない。
「陛下、何点かドレスを用意してますのでお好みのものをお選びください。それを着せますので」
「仕事が早いね。宰相殿は本当優秀だ。私が楽できて助かるよ」
笑顔でローレンツを見ているが、その瞳は笑ってないことを知っている。
長い付き合いなのだ、それぐらいわかるのがすでに当たり前になっている。
「車での移動になりますが、あの軍人に道などを見せるのですか?」
自分達の暮らしぶりを見せることなど、雑作もないが、この陛下は少し歪んでいるので何かしらの事を仕出かすと今までの経験が物語っている。
「う~ん・・・・そうだね~私の隣に座ってもらおう。道は見せなくていいかな?ローレンツは助手席に座っていれば問題ない。凪ちゃんは私で対応するから」
何かいい案が思いついたのか、「クククッ」と笑いながらローレンツに笑顔をむける。
ローレンツも色々と理解して、ルードヴィッヒの考えを受けいれた。
「了解しました。ではドレスを持ってきますので、しばらく席を外します。くれぐれも変な行動をしないで下さいね!」
初めから釘を差しておく。でないとこの陛下はフラフラと、湯浴みの所まで行きそうだからだ。
「変な行動か・・・・大丈夫。部屋で待っていれば良いんだよね」
「そうです。部屋でっ!大人しくっ!待っていればいいんですっ!ドレスを持ってきますので、くれぐれも部屋から出ないように。待っていてください」
ローレンツは一礼をして、部屋を出て行く。
ルードヴィッヒはあれだけ宰相に釘を差されたのだ。大人しく部屋にいる以外ない。
「ローレンツはイライラしてるのか?予定が狂ってくるとローレンツは容赦なくなるからな~」
ルードヴィッヒは、長い付き合いのローレンツの、時間に正確に行動する性分を知っている。
そのお陰で今まで遅刻をしたこのがないのはローレンツの努力の賜物かもしれない。
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