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ルードヴィッヒは自分の部屋で仕事をしていると、扉のノックに気づき顔を上げる。扉からは侍女長が入ってくるとその後に続き車椅子に乗っている夜神と侍女の二人が入ってくる。
「失礼致します陛下。お支度が整いましたのでお連れいたしました」
侍女長と侍女は一礼をして挨拶する。ルードヴィッヒはいつもの笑顔でそれを見てから労いの言葉をかける。
「ありがとう。綺麗になったね。流石だよ侍女長。あとはこちらでするから下がっていいよ」
「では、失礼致します」
三人は夜神を残して部屋から出ていく。出て行ったのを確認して、ルードヴィッヒは気を失っている夜神の元に行く。
ローレンツが持ってきた中でも鮮やかな赤色だった、パフスリーブのエンパイヤドレスを身に着けている。首元が空いているが、お揃いの生地で作られたチョーカーには大粒の真珠とルビーがあしらわれている。
そして髪は白練色の髪色変わっていた。その髪は下ろしていてドレスと同じく揃いの生地で作られ、真珠とルビーの宝石をあしらったカチューシャをしている。
「うん。赤色が一番似合うね、凪ちゃんは肌が白いから綺麗に映える。髪の色は元に戻って良かった。黒もいいけど、最初に見た髪の色のほうが凪ちゃんには合っていたからね」
髪を一房すくい、髪に口付けをした。
ルードヴィッヒは初めて夜神に会ったときを思い出す。あの頃はまだ幼い夜神で髪も瞳も元々の色を晒していた。
そして、自分の中にある何かが弾けたと、今でも覚えている。
ずっと、求めていた何か
言葉では説明できないな何か
その何かに、恋焦がれて、藻掻き、くるしみ、求めていたものが、目の前現れた。
その不思議な雰囲気に息苦しさに、ルードヴィッヒは興味が湧き、直接吸血行動をしたのだ。
初めての行動だった。その時の血の味が、今まで味あった事のないもので、花の蜜のような、極上のものだった事も覚えている。他の者に渡したくなくてスティグマを付けた。
「しるし」と呼ばれるものは吸血鬼の所有物に付けられマーキングの一種だ。この「しるし」は一部の吸血鬼しか使うことのできない力で、自分の気に入った人間に、家の家紋等を吸血行動をするときに付ける。
この「しるし」を持つ人間に吸血行動や身体的に害する事は禁止されている。もしそれらをしてしまったら最後、御家断絶や処刑など悲惨な末路が待っている。
皇帝陛下も同じ力があるが他と区別するため「しるし」ではなく「スティグマ」━━━━聖痕と区別される。
もちろんこの「スティグマ」を持った人間にも同じ行為は禁止されている。それをした場合は国家に仇なす者とみなされ、そく死刑だ。
侯爵は運が良かったのだ。本来なら死刑だったのだが、最低限の傷と、鳥籠に夜神を入れるという自分好みの演出をしてくれたことでお咎めなしになったのだ。
ルードヴィッヒは動かない夜神の両手を祈るような形にして、その手首に自分の手のひらから生み出される鎖を巻きつける。
皇帝陛下と呼ばれるのにはこの「力」が深く関わっている。自分の体内で生成されるこの「鎖」は様々な力を持っている。他の吸血鬼には生成することも出来ない。
それゆえの皇帝陛下なのだ。潜在能力もそれ以外のものも全て他者と上回っているのも要因の一つだろう。
鎖を巻き付けて、手首の拘束をしたあと、ポケットから猿轡を取り出して夜神の口に押し付けて後ろで固定する。まだ、舌を噛み切る事をしてほしくないからだ。そのうちこれも、鎖も外される事だろう。
そうして準備を終わらせたルードヴィッヒは、夜神の閉じている両眼に手のひらを当てて目を覚まさせる。
身動いで「ヴッ・・・・・・・」と唸りながら夜神は目を覚ます。何度か目を瞬いて覚醒を促すと、目の前の人物に焦点をあてる。
その人物のボヤけた輪郭がハッキリとしだしてくると、夜神は考えるより先に体が動いたら。無防備な首を締め上げる。だが目の前の人物はニッコリするだけで、なんとも思わず好きにさせている。
「ゔっっ━━━!!」
猿轡が邪魔をして言葉がでない。手首の拘束も邪魔だ。けどそんな事は関係ない。今、目の前の吸血鬼を倒すことのほうが重要だ。
夜神はさらに力を込めるが、そのことだけに集中しすぎたため他のことが疎かになっていた。
ルードヴィッヒは夜神の扼殺行為を素直に受けていたが、時計を見たときに時間が迫っていることに気づいて、ローレンツが怒鳴り込んでくる前に、全てを終わらせるために体を動かす。
扼殺に集中しているため、足元が疎かだった夜神の足元をすくい、体を床に押し付けると、拘束している腕を掴み、頭上に固定させる。そして顎を持ち上げて夜神に馬乗りになって見下ろす。
「ゔっ━━━━!!」
「凪ちゃん相変わらず元気だね。嬉しけど、時間がないから手短に済ませるね。実は今日軍事基地の視察があるんだけど凪ちゃん興味ない?興味あるなら連れて行ってあげるけど?」
ルードヴィッヒは夜神の興味に引っかかるような単語を選んで話しかける。
夜神は軍の人間だ。そしてこの世界の事を軍の人間はあまり知らない。知りたくとも知る機会がないのだ。
軍に忠誠な夜神ならこの世界のこと、軍事力は自軍とどれ程の差があるのかを知りたいと思うのは分かっている。その為ルードヴィッヒは敢えて聞いてきた。
「行きたいなら、頷いて。行きたくないなら横に降って。凪ちゃんはどうしたいの?」
この吸血鬼は何を言っているの?夜神は余りの突拍子のない発言に驚いて皇帝の顔を見た。
相変わらずにこやかにしているが、その瞳は笑っていないことを確認する。
自国の軍事力など知られないほうがいいに決まっている。大まかな数だけで、きっちりした数は言わない。
力も細かい事は機密保持等で隠すのが、我々の世界の常識だ。なのに敵に対して軍事力のさらけ出しなど考えられない。
夜神は逃げるために体を動かしていたが、その言葉で動きを止めて皇帝の顔を驚きの表情で見る。皇帝もニコニコしながら夜神の次の行動を待っている。
少しでも相手の力が分かるのであれば、確認したいのは重々承知している。まして殆どが謎の世界であれば尚の事だ。少し躊躇したが、夜神は軽く頷いて、行くことを態度で示す。
それを見た、ルードヴィッヒはニコニコ顔から、唇だけ歪めて夜神を見ると、頭上の拘束を解いて、馬乗りの夜神から体を起こして夜神を立たせる。
「決まりだね。では行こうか。沢山見て情報持ち帰っても良いよ」
考えられない言葉を聞いて夜神は立ち尽くした。情報の持ち帰りなど、考えられないのだ。
機密にしたり、害のない情報なら開示しても問題はない。もしかしたら害のない事だけを見せられるのかも知れない。
だが、それでも構わない。少しでも情報を持ち帰ることが出来るのであれば。
腰に回った手に違和感を覚えたが、大人しく従う事にする。この吸血鬼は憎い吸血鬼だが、わからない事だらけなのだ。皇帝と言われて、強いのは理解しているが、それ以外の力は未知数なのだ。ここで何かしらの不興をかってしまったら、軍事力を見ることも叶わない。
夜神は何とかして、自分の中でアレコレ理由をつけて、振りほどきたい衝動を抑えてルードヴィッヒの好きにさせた。
「失礼致します陛下。お支度が整いましたのでお連れいたしました」
侍女長と侍女は一礼をして挨拶する。ルードヴィッヒはいつもの笑顔でそれを見てから労いの言葉をかける。
「ありがとう。綺麗になったね。流石だよ侍女長。あとはこちらでするから下がっていいよ」
「では、失礼致します」
三人は夜神を残して部屋から出ていく。出て行ったのを確認して、ルードヴィッヒは気を失っている夜神の元に行く。
ローレンツが持ってきた中でも鮮やかな赤色だった、パフスリーブのエンパイヤドレスを身に着けている。首元が空いているが、お揃いの生地で作られたチョーカーには大粒の真珠とルビーがあしらわれている。
そして髪は白練色の髪色変わっていた。その髪は下ろしていてドレスと同じく揃いの生地で作られ、真珠とルビーの宝石をあしらったカチューシャをしている。
「うん。赤色が一番似合うね、凪ちゃんは肌が白いから綺麗に映える。髪の色は元に戻って良かった。黒もいいけど、最初に見た髪の色のほうが凪ちゃんには合っていたからね」
髪を一房すくい、髪に口付けをした。
ルードヴィッヒは初めて夜神に会ったときを思い出す。あの頃はまだ幼い夜神で髪も瞳も元々の色を晒していた。
そして、自分の中にある何かが弾けたと、今でも覚えている。
ずっと、求めていた何か
言葉では説明できないな何か
その何かに、恋焦がれて、藻掻き、くるしみ、求めていたものが、目の前現れた。
その不思議な雰囲気に息苦しさに、ルードヴィッヒは興味が湧き、直接吸血行動をしたのだ。
初めての行動だった。その時の血の味が、今まで味あった事のないもので、花の蜜のような、極上のものだった事も覚えている。他の者に渡したくなくてスティグマを付けた。
「しるし」と呼ばれるものは吸血鬼の所有物に付けられマーキングの一種だ。この「しるし」は一部の吸血鬼しか使うことのできない力で、自分の気に入った人間に、家の家紋等を吸血行動をするときに付ける。
この「しるし」を持つ人間に吸血行動や身体的に害する事は禁止されている。もしそれらをしてしまったら最後、御家断絶や処刑など悲惨な末路が待っている。
皇帝陛下も同じ力があるが他と区別するため「しるし」ではなく「スティグマ」━━━━聖痕と区別される。
もちろんこの「スティグマ」を持った人間にも同じ行為は禁止されている。それをした場合は国家に仇なす者とみなされ、そく死刑だ。
侯爵は運が良かったのだ。本来なら死刑だったのだが、最低限の傷と、鳥籠に夜神を入れるという自分好みの演出をしてくれたことでお咎めなしになったのだ。
ルードヴィッヒは動かない夜神の両手を祈るような形にして、その手首に自分の手のひらから生み出される鎖を巻きつける。
皇帝陛下と呼ばれるのにはこの「力」が深く関わっている。自分の体内で生成されるこの「鎖」は様々な力を持っている。他の吸血鬼には生成することも出来ない。
それゆえの皇帝陛下なのだ。潜在能力もそれ以外のものも全て他者と上回っているのも要因の一つだろう。
鎖を巻き付けて、手首の拘束をしたあと、ポケットから猿轡を取り出して夜神の口に押し付けて後ろで固定する。まだ、舌を噛み切る事をしてほしくないからだ。そのうちこれも、鎖も外される事だろう。
そうして準備を終わらせたルードヴィッヒは、夜神の閉じている両眼に手のひらを当てて目を覚まさせる。
身動いで「ヴッ・・・・・・・」と唸りながら夜神は目を覚ます。何度か目を瞬いて覚醒を促すと、目の前の人物に焦点をあてる。
その人物のボヤけた輪郭がハッキリとしだしてくると、夜神は考えるより先に体が動いたら。無防備な首を締め上げる。だが目の前の人物はニッコリするだけで、なんとも思わず好きにさせている。
「ゔっっ━━━!!」
猿轡が邪魔をして言葉がでない。手首の拘束も邪魔だ。けどそんな事は関係ない。今、目の前の吸血鬼を倒すことのほうが重要だ。
夜神はさらに力を込めるが、そのことだけに集中しすぎたため他のことが疎かになっていた。
ルードヴィッヒは夜神の扼殺行為を素直に受けていたが、時計を見たときに時間が迫っていることに気づいて、ローレンツが怒鳴り込んでくる前に、全てを終わらせるために体を動かす。
扼殺に集中しているため、足元が疎かだった夜神の足元をすくい、体を床に押し付けると、拘束している腕を掴み、頭上に固定させる。そして顎を持ち上げて夜神に馬乗りになって見下ろす。
「ゔっ━━━━!!」
「凪ちゃん相変わらず元気だね。嬉しけど、時間がないから手短に済ませるね。実は今日軍事基地の視察があるんだけど凪ちゃん興味ない?興味あるなら連れて行ってあげるけど?」
ルードヴィッヒは夜神の興味に引っかかるような単語を選んで話しかける。
夜神は軍の人間だ。そしてこの世界の事を軍の人間はあまり知らない。知りたくとも知る機会がないのだ。
軍に忠誠な夜神ならこの世界のこと、軍事力は自軍とどれ程の差があるのかを知りたいと思うのは分かっている。その為ルードヴィッヒは敢えて聞いてきた。
「行きたいなら、頷いて。行きたくないなら横に降って。凪ちゃんはどうしたいの?」
この吸血鬼は何を言っているの?夜神は余りの突拍子のない発言に驚いて皇帝の顔を見た。
相変わらずにこやかにしているが、その瞳は笑っていないことを確認する。
自国の軍事力など知られないほうがいいに決まっている。大まかな数だけで、きっちりした数は言わない。
力も細かい事は機密保持等で隠すのが、我々の世界の常識だ。なのに敵に対して軍事力のさらけ出しなど考えられない。
夜神は逃げるために体を動かしていたが、その言葉で動きを止めて皇帝の顔を驚きの表情で見る。皇帝もニコニコしながら夜神の次の行動を待っている。
少しでも相手の力が分かるのであれば、確認したいのは重々承知している。まして殆どが謎の世界であれば尚の事だ。少し躊躇したが、夜神は軽く頷いて、行くことを態度で示す。
それを見た、ルードヴィッヒはニコニコ顔から、唇だけ歪めて夜神を見ると、頭上の拘束を解いて、馬乗りの夜神から体を起こして夜神を立たせる。
「決まりだね。では行こうか。沢山見て情報持ち帰っても良いよ」
考えられない言葉を聞いて夜神は立ち尽くした。情報の持ち帰りなど、考えられないのだ。
機密にしたり、害のない情報なら開示しても問題はない。もしかしたら害のない事だけを見せられるのかも知れない。
だが、それでも構わない。少しでも情報を持ち帰ることが出来るのであれば。
腰に回った手に違和感を覚えたが、大人しく従う事にする。この吸血鬼は憎い吸血鬼だが、わからない事だらけなのだ。皇帝と言われて、強いのは理解しているが、それ以外の力は未知数なのだ。ここで何かしらの不興をかってしまったら、軍事力を見ることも叶わない。
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