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「兄弟は手始めに自分達の国の国王に、隣国の戦いをする事を願い出た。同じ規模の国、風土・・・・初陣としては適した場所だろうね。けど、素性の知れない若者が戦など進言するんだ、最初は門前払いだったが、兄弟の「力」を間近で見た国王は二人の兄弟に託した。国王自身も領土拡大を常々考えていたからね。そして、結果は大勝利だった。この、勝利を足掛かりに次々に戦をしていくのだが、その時一人の女性に出会った。名前はルルワ。月光の光で紡いだような月白色の髪をした美しい女性だ・・・・凪ちゃんみたいに白い髪をしていたんだよ?」
ルードヴィッヒは夜神の白練色の頭に軽く唇を落とした。
ビクッと体が硬直してしまったが、それ以上は特になく、相変わらずお腹に置いてある手が軽く擦るだけだった。
「ルルワは不思議な力を持っていた。月に愛されていたと言われている。月の満ち欠けで占いをしていく、「月見の巫女」と言われた吸血鬼の始祖の一人だ。その、不思議な力を兄弟の為に惜しみなく使っていった。ルルワも兄弟と同じく世界の平等を願っていたからね。ルルワと言う強力な味方を手に入れた兄弟は、破竹の勢いで次々に国を統一していく・・・・ここまでは世間と同じ歴史かな?ローレンツ?」
目の前にいるローレンツに話を振る。すると、深く腰掛けて背もたれに預けていた体を起こし、ルードヴィッヒをまじまじと見返す。
「一緒です。「月見の巫女」が現れて力を貸して統一する。そして、その戦いは百年にも及んだことから「百年の薔薇戦争」と言われてます」
「その百年の間に兄弟と巫女は次々と吸血鬼の始祖に会い、力を受け継いでいった。ある時、女王が国を治める国に戦を仕掛けた時に、巫女が攫われてしまった。犯人は勿論その国の女王。そして、吸血鬼の始祖の一人だ。そして、巫女に始祖の力を託した。この力が後の様々なことに繋がる力だローレンツ・・・・そして、凪ちゃん?」
巫女に託した始祖の力・・・・
そして、後の様々なことに繋がる力・・・・
なんだろう?不安で胸のあたりがざわざわするのは・・・・
夜神はブラウスを更に握りしめる。既にシワが付いているが、気にする余裕がもうない状態だった。
「巫女は無事に救出され、女王は兄弟によって殺された。最初は、旅人が言った言葉に従い最初は仲間を打診したが、既に力を巫女に譲渡した事と、この女王も死に場所を求めていた事を知り殺した・・・・・始祖の力を持った者は、カインとアベルに力を譲渡して死んでいったんだよ。力を持つ者は大国を治める者ばかりだった。呪いのような力と不老不死・・・・力に見合う者に譲渡したくても一向に現れない憤りと絶望。長い時間で失くしていく大切な者、愛しい者。一種の拷問のような責め苦に逃れたいと思うのはさも、当然だ。そしてその一筋の光がカインとアベルだった・・・・・」
「三人は次々に成果を残していった。そして、最後は自国の王を討伐した。全ての国を手中に治め二人は兄弟皇帝として頂点に立ち国を収めた。土地を開拓して食料の家畜を増やし、蜜を集める為に果物を多く栽培していった。食料供給は少しずつ上がってきた・・・・・目出度し、目出度し・・・・だったら良かったんだけどね?」
ルードヴィッヒはそこで一旦区切った。喉が乾いたのか目の前の紅茶を飲むため夜神から手を離す。
けど、逃げる絶好の機会だったのに一歩も動けなかった。
情報量の多さと、新たに知った吸血鬼の始祖や、その不思議な力・・・・
兄弟で力を分担しながら受け継いだのだろう。そして、隣にいる皇帝は鎖を体内で生成して、武器として拘束具として自由に使う。
この力も始祖の力なら納得する。そして、始祖は複数いたのが話で分かる。
なら、隣にいるこの人物は後どれくらいの力を持っているのか?
そして、兄弟と言うなら片割れは何処に行ったのか?
まさか、二人で殺し合いをしたのか?
歴史には兄弟での啀み合い、殺し合いはある。なら、片割れも?
謎が深まるばかりだ・・・・・・
その時、鼻孔を紅茶の匂いが満たす。よく見ると目の前に紅茶の入ったカップがあった。
「っ!」
「凪ちゃんも喉が渇いたでしょう?冷えてるけどね」
皇帝が遠慮なくカップを夜神の口元に持ってきて飲ませようとする。
それに慄いたが、一瞬で我に返りカップを奪い取るように掴み自分で飲んでいく。
「遠慮する事はなかったのに・・・・さて、ローレンツも紅茶を飲んだことだし続きを話そうか?ここからが一般の歴史では語られない、王家だけに、特に皇帝と言う名を受け継ぐものにしか伝わらない話だよ?」
夜神が持っている空のカップを奪うように取り、テーブルに自分のと合わせて二つのカップを置くと、再び深くソファに座り直す。
少しでも距離を広げようとしていた夜神の腰に手を回して、自分の方に引き寄せる。
「凪ちゃん?ちゃんとお話は聞いて欲しいから、凪ちゃんはここだよ」
先程と同じような格好で再び皇帝の話を聞く羽目になった夜神は、苦虫を噛み潰したよう顔になった。
それを見ていたローレンツは内心「御愁傷様」と思ったが、けして、口には、顔には出さない。
出したたら最後、目の前の男・・・・皇帝は笑顔で白いお嬢さんに嫌がらせをして話しどころではなくなってしまう。
歴史の裏側を、皇帝にしか伝わらない「闇の部分」を知る機会を逃したいとは思わない。
その為なら多少の犠牲?は構わないと思ってしまう。
「陛下、続きが気になります。きっと兄弟と巫女に関する話なのですよね?」
「ローレンツもせっかちだね?まぁ、読みは正しいよ。三人の事さ・・・そして、凪ちゃんの世界にも関係することだよ」
意味深な言葉に夜神は皇帝の顔を見てしまった。その顔は愉悦に満ちた顔だった。何に喜んでいるのか、何が楽しいのか理解出来ない。
けど、きっと驚愕する事は間違いないかもしれない。
だって、私の世界にも関係する事なのだから・・・・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
カインとアベルの話は有名ですよね。
絶対、この名前を使いたいとずっと目論んでました。ルルワもカインとアベルに関係する名前です。
吸血鬼の世界の歴史をお勉強して、次は裏歴史の勉強です。学びは大切ですね?な、話は次も続きます。
ルードヴィッヒは夜神の白練色の頭に軽く唇を落とした。
ビクッと体が硬直してしまったが、それ以上は特になく、相変わらずお腹に置いてある手が軽く擦るだけだった。
「ルルワは不思議な力を持っていた。月に愛されていたと言われている。月の満ち欠けで占いをしていく、「月見の巫女」と言われた吸血鬼の始祖の一人だ。その、不思議な力を兄弟の為に惜しみなく使っていった。ルルワも兄弟と同じく世界の平等を願っていたからね。ルルワと言う強力な味方を手に入れた兄弟は、破竹の勢いで次々に国を統一していく・・・・ここまでは世間と同じ歴史かな?ローレンツ?」
目の前にいるローレンツに話を振る。すると、深く腰掛けて背もたれに預けていた体を起こし、ルードヴィッヒをまじまじと見返す。
「一緒です。「月見の巫女」が現れて力を貸して統一する。そして、その戦いは百年にも及んだことから「百年の薔薇戦争」と言われてます」
「その百年の間に兄弟と巫女は次々と吸血鬼の始祖に会い、力を受け継いでいった。ある時、女王が国を治める国に戦を仕掛けた時に、巫女が攫われてしまった。犯人は勿論その国の女王。そして、吸血鬼の始祖の一人だ。そして、巫女に始祖の力を託した。この力が後の様々なことに繋がる力だローレンツ・・・・そして、凪ちゃん?」
巫女に託した始祖の力・・・・
そして、後の様々なことに繋がる力・・・・
なんだろう?不安で胸のあたりがざわざわするのは・・・・
夜神はブラウスを更に握りしめる。既にシワが付いているが、気にする余裕がもうない状態だった。
「巫女は無事に救出され、女王は兄弟によって殺された。最初は、旅人が言った言葉に従い最初は仲間を打診したが、既に力を巫女に譲渡した事と、この女王も死に場所を求めていた事を知り殺した・・・・・始祖の力を持った者は、カインとアベルに力を譲渡して死んでいったんだよ。力を持つ者は大国を治める者ばかりだった。呪いのような力と不老不死・・・・力に見合う者に譲渡したくても一向に現れない憤りと絶望。長い時間で失くしていく大切な者、愛しい者。一種の拷問のような責め苦に逃れたいと思うのはさも、当然だ。そしてその一筋の光がカインとアベルだった・・・・・」
「三人は次々に成果を残していった。そして、最後は自国の王を討伐した。全ての国を手中に治め二人は兄弟皇帝として頂点に立ち国を収めた。土地を開拓して食料の家畜を増やし、蜜を集める為に果物を多く栽培していった。食料供給は少しずつ上がってきた・・・・・目出度し、目出度し・・・・だったら良かったんだけどね?」
ルードヴィッヒはそこで一旦区切った。喉が乾いたのか目の前の紅茶を飲むため夜神から手を離す。
けど、逃げる絶好の機会だったのに一歩も動けなかった。
情報量の多さと、新たに知った吸血鬼の始祖や、その不思議な力・・・・
兄弟で力を分担しながら受け継いだのだろう。そして、隣にいる皇帝は鎖を体内で生成して、武器として拘束具として自由に使う。
この力も始祖の力なら納得する。そして、始祖は複数いたのが話で分かる。
なら、隣にいるこの人物は後どれくらいの力を持っているのか?
そして、兄弟と言うなら片割れは何処に行ったのか?
まさか、二人で殺し合いをしたのか?
歴史には兄弟での啀み合い、殺し合いはある。なら、片割れも?
謎が深まるばかりだ・・・・・・
その時、鼻孔を紅茶の匂いが満たす。よく見ると目の前に紅茶の入ったカップがあった。
「っ!」
「凪ちゃんも喉が渇いたでしょう?冷えてるけどね」
皇帝が遠慮なくカップを夜神の口元に持ってきて飲ませようとする。
それに慄いたが、一瞬で我に返りカップを奪い取るように掴み自分で飲んでいく。
「遠慮する事はなかったのに・・・・さて、ローレンツも紅茶を飲んだことだし続きを話そうか?ここからが一般の歴史では語られない、王家だけに、特に皇帝と言う名を受け継ぐものにしか伝わらない話だよ?」
夜神が持っている空のカップを奪うように取り、テーブルに自分のと合わせて二つのカップを置くと、再び深くソファに座り直す。
少しでも距離を広げようとしていた夜神の腰に手を回して、自分の方に引き寄せる。
「凪ちゃん?ちゃんとお話は聞いて欲しいから、凪ちゃんはここだよ」
先程と同じような格好で再び皇帝の話を聞く羽目になった夜神は、苦虫を噛み潰したよう顔になった。
それを見ていたローレンツは内心「御愁傷様」と思ったが、けして、口には、顔には出さない。
出したたら最後、目の前の男・・・・皇帝は笑顔で白いお嬢さんに嫌がらせをして話しどころではなくなってしまう。
歴史の裏側を、皇帝にしか伝わらない「闇の部分」を知る機会を逃したいとは思わない。
その為なら多少の犠牲?は構わないと思ってしまう。
「陛下、続きが気になります。きっと兄弟と巫女に関する話なのですよね?」
「ローレンツもせっかちだね?まぁ、読みは正しいよ。三人の事さ・・・そして、凪ちゃんの世界にも関係することだよ」
意味深な言葉に夜神は皇帝の顔を見てしまった。その顔は愉悦に満ちた顔だった。何に喜んでいるのか、何が楽しいのか理解出来ない。
けど、きっと驚愕する事は間違いないかもしれない。
だって、私の世界にも関係する事なのだから・・・・
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カインとアベルの話は有名ですよね。
絶対、この名前を使いたいとずっと目論んでました。ルルワもカインとアベルに関係する名前です。
吸血鬼の世界の歴史をお勉強して、次は裏歴史の勉強です。学びは大切ですね?な、話は次も続きます。
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