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暗い意識が段々と明るくなる。
ずっと眠っていたものが覚醒する。
「・・・・・ん・・・・・」
わずかに身動いでいく。顔を緩く左右に振って、軽い唸り声を出す。
ずっと閉じたままだった瞼がゆっくりと開いていくと、赤い宝石のような瞳が現れる。
白い睫毛がパチパチと動く。その、赤い瞳で初めて見たのは天井にある赤と白のまあるいものがぼゃっと、見えた。
何度が瞬いていくと、段々とそのぼんやりしたものがはっきりと見えてくる。
赤と白の満開の薔薇の絵を確認した夜神は一瞬、自分がどこにいるのか分からなかったが、その絵を見続けていると、自分の今いる場所がベッドの中だと分かる。
それも、豪奢な天蓋ベッド。ひたすらに夜神に苦痛を羞恥を延々と与え続ける場所。
「ぁ・・・・・ぁぁ・・・」
恐怖の声色になる。伸ばされた手足が、寝ている体が小刻みに震え始める。
部屋から・・・・部屋から出ないと・・・・
夜神はこの部屋にいたくないと、覚醒したばかりの頭で考えるとすぐに行動に移す。
いつまで寝ていたのか分からないが体も頭も重い。
体を起こすのに時間がかかったが今はどうでもいい。
一分、一秒でも早く出ないと・・・・
気持ちばかりが焦り、自分の体の変化を二の次にしていたが、限界はすぐに来た。
背中に違和感があるのだ。
痛みも多少はあるが、どちらかと言えばむず痒い。
怪我をして治り始めてきた瘡蓋が痒みを伴うようなものと似ている。
その、むず痒さを意識した途端、頭の中に色々な情報が一気に押し寄せる。
雨の降る中、傘も差さず外に出て全身に雨を浴びていた。
すると、後ろから抱きしめられた。最初は恐怖で声も体も固まった。
けど、その声が、温もりが、匂いが記憶にしまっていた、大切な記憶と一致した。
━━━━━━私が心から愛した人
優しい声も、意地悪な声も、真剣な声も全部好きな声
男性だからか私より高い体温が気持ちよくて、その体温に包みこまれると安心してしまう。温もりが心地よくて、いつまでも包み込まれたいと願ってしまう。
爽やかな香りは、柑橘とグリーン系の匂いがして、その香りを感じると心が跳ね上がる。
その全てを兼ね揃えているのは私の記憶では一人しかいない。
「庵君・・・・・海斗・・・・・」
私の好きな人・・・・この人を守りたいと思ったから、私は身を差し出した。
人身御供にも似たモノだけど構わなかった。それで守れるなら本望だと、己に言い聞かせた。
そして、帝國に来て全てが変わった
奪われたと、踏み潰されたと言っても間違いではない。
初めから仕込まれた事が、二度目の帝國に来たときに開花した。
見せしめで着飾った私は、皇帝の合図と共に貴族たちの目の前で苦しみ、藻掻きそして、人間を奪われた。
自分のご先祖様の成り立ちや、帝國との関係を知り、己の中に流れる血は、最大級の過ちを犯した血が流れている事も知った。
償っても償いきれない事を知り、私の大切な人達を、見ず知らずの大切な人達を、奪っていったのは自分のご先祖様の力だと分かった。
そんな心許ない不安定な状態で、集落で友達だった人達に殺されかけ、そして、目の前で友達は死んでいった。
最後に目があった子の目が何かを訴えかけていた。恨みを向けていた。負の感情を一気に向けていた。
そして、私はおかしくなった。
何も見たくない・・・・・
何も聞きたくない・・・・
何も感じたくない・・・・
何も考えたくない・・・・
皇帝が「人形になれ」と、手を差し伸べた。その手が魅力的で、「人形」になったら、こんな辛い思いも何もかもから逃れられると本気で思った。
だから、その手を掴んだ。
おかしくなってからの記憶はどれも曖昧で、正直余り覚えていない。断片的な記憶しかない。
たしか、子供の頃に戻っていたと思う。誰も死んでいない、幸せな頃の自分に戻っていたと思うが、正直それも余り思い出せない。
そして、それらの記憶を感情を元に戻したのが庵君の言葉だった。温もりだった。香りだった。
抱きしめられている時は幸せで、けど、夢を見ているのかもと思ってしまった。
「帰ろう」と言われた時は「うん」と頷きたかった。みんなの元に帰りたい。また、あの時の頃に戻りたい・・・・・
━━━━━━けど、それは叶わない・・・・・
言葉で伝えるのも怖くて行動で教えた。
すると、息を呑む、驚愕の表情だった。私は真実を、己の身に起こったこと話した。
けど、変わらず「帰ろう」と言ってくれた事は嬉しかった。この時が止まればいいのにと思ってしまった。
けど、短い逢瀬は呆気なく終わりを告げた。
皇帝の鎖が窓を木っ端微塵にして、破片が自分たちに降り注ぐ。
そして、私をバルコニーの欄干に叩きつけると、皇帝は庵君と一対一の戦いをする。
私も必死に体の痛みを押しのけて立ち上がり、二人の元に駆け寄ろうとする。
その時に感じた。「庵君が危ない」と、「守らなければ」と思った。
己の身が傷付こうと「守らなければ」と思うと、自然と足が駆け出し、二人の間に体を割り込ませていた。
庵君を守るように抱き締めると、すぐに背中に痛みが走る。
痛くて、痛くて・・・・・
けど、庵君が無事な事が分かると正直、痛みなんてどうでも良かった。
安心してしまうと、庵君の顔が悲しい顔をしているのが気になってしまう。笑っていて欲しいのに、庵君の笑った顔が好きなのに・・・・
だから、笑って欲しくて微笑んだ。上手く笑えていたかは今となっては分からないけど・・・・
それから皇帝が私に、自分の血を飲ませるように脅しをしてくる。
庵君の命と引換えに・・・・・
生きて欲しい、無事でいて欲しい・・・・だから、私は皇帝の言葉に従い血を啜った。
相変わらず、お菓子のように甘くて・・・・
それから、妙に背中が熱くなっていったことを覚えている。傷付いた熱さとは違う何か・・・・そして、むず痒さもあった。
けど、頭がぼっーとしてきて意識を保つことが出来なくなってきたのも確かで、そして、意識を手放した。
次に目を覚ました時はベッドの上で、あまりいたくない部屋だった。
「早く出なきゃ・・・・・・」
「どこに行くんだい?」
「?!!」
頭上から声がした事に驚いてしまう。
起きたはいいが、背中の違和感のせいで丸くなっていたので、目線は布団のシーツしか見ていなかった。
余りにも色々な事があり、記憶の中の出来事を整理していて、人が部屋に入ってきているのも分からなかった。
そして、声をかけた人物は夜神が一番会いたくなくて、出来るのなら一生存在を無視したい人物でもあった。
「あ・・・・」
声のあった方を見ると皇帝が笑っていた。
けど、その笑いはいつもの余裕のあるものや、愉悦したモノとも違う。
どこか安心した笑いにも受け取れる笑いだった。
「良かった・・・」
夜神が動くよりワンテンポ早く、ルードヴィッヒは夜神を抱き締めてベッドに押し倒す。
ドサッと音と共にベッドのスプリングが軋む。
「やぁ・・・・」
「心配したんだよ?あれから一週間も寝ていたのだから・・・・・」
皇帝の言葉に夜神は驚いてしまう。
寝込んでいたと言え一週間も?
「えっ?一週間・・・・・」
あまりの事に非難する事も、逃げ出そうとする事も忘れてしまう。
「仕方ないよね・・・・あれだけ血を流していたんだからね。雨にもうたれ続けていただろう?体が冷たくなっていたからね。熱を出していたんだよ」
寝込んでいた理由を教えてもらい納得する。
納得すると、次に自分は何をしたらいいのかが分かる。今、自分がしないといけないことは皇帝の腕の中から抜け出ることだ。
夜神は体を捩ったり、腕を使ったりして逃げ出そうとする。
蠢く夜神に、ルードヴィッヒは益々腕の力を強めていく。けして逃さないと訴えかけるように。
「駄目だよ?凪ちゃん。私をこんなに心配させたのだからちゃんと謝らないと?ほら、「ごめんなさい」は?」
「はな、して・・・・」
「愛らしかったお人形さんの前の凪ちゃんに戻ったのかな?・・・・・いいのかな?私の言う事は聞いたほうが身のためだよ?じゃないと地下牢にいる彼がどんな目に合うかな?どう、調理してやろうか?煮る?炒める?焼く?どれが好みかな?」
皇帝の言葉に動きが止まる
地下牢にいる彼?彼って・・・・・まさか?!
「地下牢の彼って、まさか・・・・庵君?」
「そうだよ。庵海斗だよ?私の憎い存在・・・・王弟の末裔だよ」
抱き締めていた体をゆっくりとルードヴィッヒは起こしていく。夜神が逃げないと確信したからだ。
「私の話を聞いて理解してくれたかな?なら、ちゃんと謝ろうか?」
最初の夜神の表情は目を見張り驚いていたが、段々と強張っていく。目は恐怖の色が出始めてきている。
それらを確認したルードヴィッヒの表情も段々と変わってくる。
最初は心配した、けど、目覚めているのが分ると安堵した表情だった。
けど、段々と変わっていく。愉悦したものに。夜神が目覚め、王弟の末裔の事を知ると、何かに対して焦り始めているのが手を取るように分る。
「ほら?謝って?「ごめんなさい」だよ?」
「・・・・・・ご、めんなさい・・・・・・」
機嫌を損ねないように、気分を害して庵君に危険が及ばないよう、出来る最大限の事を考えると、皇帝の言う事を聞くしか他ないのだ。
例え、自分の考えている事と違っても、相手に合わせないといけない。
「偉いね~~心の中はどうか知らないけど、言葉では謝れていい子だね。そんないい子の凪ちゃんにもう一つお願いがあるんだけど?」
見下ろす表情が段々と嬉々としてくる。だけど、瞳の奥は暗い何かがなりを潜めている。
「背中の傷を見せてごらん?」
「?!っ・・・・」
その言葉に全身がビクッと震え息を呑んだ。
ずっと眠っていたものが覚醒する。
「・・・・・ん・・・・・」
わずかに身動いでいく。顔を緩く左右に振って、軽い唸り声を出す。
ずっと閉じたままだった瞼がゆっくりと開いていくと、赤い宝石のような瞳が現れる。
白い睫毛がパチパチと動く。その、赤い瞳で初めて見たのは天井にある赤と白のまあるいものがぼゃっと、見えた。
何度が瞬いていくと、段々とそのぼんやりしたものがはっきりと見えてくる。
赤と白の満開の薔薇の絵を確認した夜神は一瞬、自分がどこにいるのか分からなかったが、その絵を見続けていると、自分の今いる場所がベッドの中だと分かる。
それも、豪奢な天蓋ベッド。ひたすらに夜神に苦痛を羞恥を延々と与え続ける場所。
「ぁ・・・・・ぁぁ・・・」
恐怖の声色になる。伸ばされた手足が、寝ている体が小刻みに震え始める。
部屋から・・・・部屋から出ないと・・・・
夜神はこの部屋にいたくないと、覚醒したばかりの頭で考えるとすぐに行動に移す。
いつまで寝ていたのか分からないが体も頭も重い。
体を起こすのに時間がかかったが今はどうでもいい。
一分、一秒でも早く出ないと・・・・
気持ちばかりが焦り、自分の体の変化を二の次にしていたが、限界はすぐに来た。
背中に違和感があるのだ。
痛みも多少はあるが、どちらかと言えばむず痒い。
怪我をして治り始めてきた瘡蓋が痒みを伴うようなものと似ている。
その、むず痒さを意識した途端、頭の中に色々な情報が一気に押し寄せる。
雨の降る中、傘も差さず外に出て全身に雨を浴びていた。
すると、後ろから抱きしめられた。最初は恐怖で声も体も固まった。
けど、その声が、温もりが、匂いが記憶にしまっていた、大切な記憶と一致した。
━━━━━━私が心から愛した人
優しい声も、意地悪な声も、真剣な声も全部好きな声
男性だからか私より高い体温が気持ちよくて、その体温に包みこまれると安心してしまう。温もりが心地よくて、いつまでも包み込まれたいと願ってしまう。
爽やかな香りは、柑橘とグリーン系の匂いがして、その香りを感じると心が跳ね上がる。
その全てを兼ね揃えているのは私の記憶では一人しかいない。
「庵君・・・・・海斗・・・・・」
私の好きな人・・・・この人を守りたいと思ったから、私は身を差し出した。
人身御供にも似たモノだけど構わなかった。それで守れるなら本望だと、己に言い聞かせた。
そして、帝國に来て全てが変わった
奪われたと、踏み潰されたと言っても間違いではない。
初めから仕込まれた事が、二度目の帝國に来たときに開花した。
見せしめで着飾った私は、皇帝の合図と共に貴族たちの目の前で苦しみ、藻掻きそして、人間を奪われた。
自分のご先祖様の成り立ちや、帝國との関係を知り、己の中に流れる血は、最大級の過ちを犯した血が流れている事も知った。
償っても償いきれない事を知り、私の大切な人達を、見ず知らずの大切な人達を、奪っていったのは自分のご先祖様の力だと分かった。
そんな心許ない不安定な状態で、集落で友達だった人達に殺されかけ、そして、目の前で友達は死んでいった。
最後に目があった子の目が何かを訴えかけていた。恨みを向けていた。負の感情を一気に向けていた。
そして、私はおかしくなった。
何も見たくない・・・・・
何も聞きたくない・・・・
何も感じたくない・・・・
何も考えたくない・・・・
皇帝が「人形になれ」と、手を差し伸べた。その手が魅力的で、「人形」になったら、こんな辛い思いも何もかもから逃れられると本気で思った。
だから、その手を掴んだ。
おかしくなってからの記憶はどれも曖昧で、正直余り覚えていない。断片的な記憶しかない。
たしか、子供の頃に戻っていたと思う。誰も死んでいない、幸せな頃の自分に戻っていたと思うが、正直それも余り思い出せない。
そして、それらの記憶を感情を元に戻したのが庵君の言葉だった。温もりだった。香りだった。
抱きしめられている時は幸せで、けど、夢を見ているのかもと思ってしまった。
「帰ろう」と言われた時は「うん」と頷きたかった。みんなの元に帰りたい。また、あの時の頃に戻りたい・・・・・
━━━━━━けど、それは叶わない・・・・・
言葉で伝えるのも怖くて行動で教えた。
すると、息を呑む、驚愕の表情だった。私は真実を、己の身に起こったこと話した。
けど、変わらず「帰ろう」と言ってくれた事は嬉しかった。この時が止まればいいのにと思ってしまった。
けど、短い逢瀬は呆気なく終わりを告げた。
皇帝の鎖が窓を木っ端微塵にして、破片が自分たちに降り注ぐ。
そして、私をバルコニーの欄干に叩きつけると、皇帝は庵君と一対一の戦いをする。
私も必死に体の痛みを押しのけて立ち上がり、二人の元に駆け寄ろうとする。
その時に感じた。「庵君が危ない」と、「守らなければ」と思った。
己の身が傷付こうと「守らなければ」と思うと、自然と足が駆け出し、二人の間に体を割り込ませていた。
庵君を守るように抱き締めると、すぐに背中に痛みが走る。
痛くて、痛くて・・・・・
けど、庵君が無事な事が分かると正直、痛みなんてどうでも良かった。
安心してしまうと、庵君の顔が悲しい顔をしているのが気になってしまう。笑っていて欲しいのに、庵君の笑った顔が好きなのに・・・・
だから、笑って欲しくて微笑んだ。上手く笑えていたかは今となっては分からないけど・・・・
それから皇帝が私に、自分の血を飲ませるように脅しをしてくる。
庵君の命と引換えに・・・・・
生きて欲しい、無事でいて欲しい・・・・だから、私は皇帝の言葉に従い血を啜った。
相変わらず、お菓子のように甘くて・・・・
それから、妙に背中が熱くなっていったことを覚えている。傷付いた熱さとは違う何か・・・・そして、むず痒さもあった。
けど、頭がぼっーとしてきて意識を保つことが出来なくなってきたのも確かで、そして、意識を手放した。
次に目を覚ました時はベッドの上で、あまりいたくない部屋だった。
「早く出なきゃ・・・・・・」
「どこに行くんだい?」
「?!!」
頭上から声がした事に驚いてしまう。
起きたはいいが、背中の違和感のせいで丸くなっていたので、目線は布団のシーツしか見ていなかった。
余りにも色々な事があり、記憶の中の出来事を整理していて、人が部屋に入ってきているのも分からなかった。
そして、声をかけた人物は夜神が一番会いたくなくて、出来るのなら一生存在を無視したい人物でもあった。
「あ・・・・」
声のあった方を見ると皇帝が笑っていた。
けど、その笑いはいつもの余裕のあるものや、愉悦したモノとも違う。
どこか安心した笑いにも受け取れる笑いだった。
「良かった・・・」
夜神が動くよりワンテンポ早く、ルードヴィッヒは夜神を抱き締めてベッドに押し倒す。
ドサッと音と共にベッドのスプリングが軋む。
「やぁ・・・・」
「心配したんだよ?あれから一週間も寝ていたのだから・・・・・」
皇帝の言葉に夜神は驚いてしまう。
寝込んでいたと言え一週間も?
「えっ?一週間・・・・・」
あまりの事に非難する事も、逃げ出そうとする事も忘れてしまう。
「仕方ないよね・・・・あれだけ血を流していたんだからね。雨にもうたれ続けていただろう?体が冷たくなっていたからね。熱を出していたんだよ」
寝込んでいた理由を教えてもらい納得する。
納得すると、次に自分は何をしたらいいのかが分かる。今、自分がしないといけないことは皇帝の腕の中から抜け出ることだ。
夜神は体を捩ったり、腕を使ったりして逃げ出そうとする。
蠢く夜神に、ルードヴィッヒは益々腕の力を強めていく。けして逃さないと訴えかけるように。
「駄目だよ?凪ちゃん。私をこんなに心配させたのだからちゃんと謝らないと?ほら、「ごめんなさい」は?」
「はな、して・・・・」
「愛らしかったお人形さんの前の凪ちゃんに戻ったのかな?・・・・・いいのかな?私の言う事は聞いたほうが身のためだよ?じゃないと地下牢にいる彼がどんな目に合うかな?どう、調理してやろうか?煮る?炒める?焼く?どれが好みかな?」
皇帝の言葉に動きが止まる
地下牢にいる彼?彼って・・・・・まさか?!
「地下牢の彼って、まさか・・・・庵君?」
「そうだよ。庵海斗だよ?私の憎い存在・・・・王弟の末裔だよ」
抱き締めていた体をゆっくりとルードヴィッヒは起こしていく。夜神が逃げないと確信したからだ。
「私の話を聞いて理解してくれたかな?なら、ちゃんと謝ろうか?」
最初の夜神の表情は目を見張り驚いていたが、段々と強張っていく。目は恐怖の色が出始めてきている。
それらを確認したルードヴィッヒの表情も段々と変わってくる。
最初は心配した、けど、目覚めているのが分ると安堵した表情だった。
けど、段々と変わっていく。愉悦したものに。夜神が目覚め、王弟の末裔の事を知ると、何かに対して焦り始めているのが手を取るように分る。
「ほら?謝って?「ごめんなさい」だよ?」
「・・・・・・ご、めんなさい・・・・・・」
機嫌を損ねないように、気分を害して庵君に危険が及ばないよう、出来る最大限の事を考えると、皇帝の言う事を聞くしか他ないのだ。
例え、自分の考えている事と違っても、相手に合わせないといけない。
「偉いね~~心の中はどうか知らないけど、言葉では謝れていい子だね。そんないい子の凪ちゃんにもう一つお願いがあるんだけど?」
見下ろす表情が段々と嬉々としてくる。だけど、瞳の奥は暗い何かがなりを潜めている。
「背中の傷を見せてごらん?」
「?!っ・・・・」
その言葉に全身がビクッと震え息を呑んだ。
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