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希望はあるんでしょうか?あるといいなぁ~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
二人で肩を寄せて支え合って、森を歩いた。
すると、人の声が聞こえてくる。その声は知っている。
心強く、頼りがいのある先輩達
第一室の隊長達の中でも一番信頼して、兄貴的な存在の七海中佐の声だ。
凪さんも小さな声で「みんな」と呟いていた。
安心したのかもしれない
知っている人達に、心から信頼する仲間達に会えたからかもしれない
突然、ガクッと足元から力が抜けて気絶をしてしまった
「凪さんっ!!」
全身から冷や汗が出る。かろうじてあった意識が突然なくなったのだ。この絶望的な状況では頭に嫌な事しか思い浮かばない
━━━━━━━「死」━━━━━━━━
「夜神っ!!」
七海中佐が慌てて駆け寄ってくる。それと同時に他の人達も駆け寄る
「七海中佐っ!!早く大佐を、大佐を助けて下さい。ナイフで腹部を刺されてます。血が出続けてます。命の危険が・・・・・・・」
「庵伍長もボロボロじゃないか。大丈夫だ。医者もヘリに搭乗している。もう少しの辛抱だ」
「青年、夜神は俺が運ぶから安心しろ。青年は相澤達と来ればいい。よく、頑張ったな・・・・」
七海は庵から夜神を受け取ると、ナイフを気にしながら横抱きに抱えていく。
庵はその様子を見ると、何故か夜神と同じように足元から力が抜けていく。
ずっと張り詰めていた緊張の糸が、七海達を見て途切れてしまったのだろう。
安堵してしまい力が抜けてしまった。地面に座り込んでしまった庵に相澤や式部が駆け寄る。
「大丈夫!!相澤中佐、庵伍長を背負ってあげて?少しでもヘリに早く行かないとっ!!」
式部の提案に頷いて、相澤は地面に座っている庵の正面に背を向けて膝をつく。
藤堂中佐と長谷部中佐は、庵を両脇から手を添えて補助をしていく。
式部大尉は、杖代わりに使っていた高位クラス武器の澌尽灰滅を拾い上げていく。
「よし!全速でヘリまでいくぞ!!」
七海の険しい声が合図のようだったようで、一斉に駆け出していく。
目的は自分たちが乗ってきてたヘリ。そのヘリには万が一のために医者や看護師が乗り込んでいる。
一分、一秒でも早くと全員の足が速さを増していく。
どれくらい走っのだろう?朦朧とした意識の中、庵は顔を上げた。相澤中佐の背中に背負われて、両脇から落ちないように長谷部中佐と藤堂中佐が支えている。
自分の前を走っているのは七海中佐と式部大尉で、七海中佐は気を失っている凪さんを抱き抱えて走っている。
本当は自分がしたかったが、この有様。正直、歩く事さえ今の状況ではままならない。
あの時は互いに支え合いながらでしか移動できなかった。
けど、もう、安心かもしれない。自分が心から信頼出来る先輩達が助けに来てくれた。
それは、凪さんも同じだったかもしれない。安心したから気が緩んで、張り詰めた糸が切れたのかもしれない。そうだと思わないと怖い。
もし、このまま意識が戻らなければ?このまま目を開けることがなければ?心臓が止まり、体が冷たくなっていったら?
最悪の状況しか頭を過ぎらない。そんな事、ちっとも望まないのに。
願うのは、目を開き、透き通る赤い瞳で見つめられ、凛とした鈴の音のような声で「庵君」と呼ばれることだけだ。
皇帝との勝負はまだ続いているんですよ?絶対「勝つ」と約束したでしょう?なら、勝ちましょう。二人で勝ちましょう。
庵は目の前にいる夜神を抱き抱えている七海の背中を見て祈った。その祈りが届いて二人で約束した「勝利」を手に入れられると信じて祈った。
「先生!早く二人を、特に夜神を見てくれ。早く乗り込んで直ぐに離陸してくれっ!!」
七海達がヘリに慌ただしく乗り込み直ぐに指示を出す。
待機していた操縦士や医者達は、直ぐに七海の指示に従い行動していく。
その後から、相澤達が乗り込んでいくと扉を急ぎ閉めていく。
その数秒後、ヘリはゆっくりと地面から離れていき、目的の場所に急ぎ向かう。
バランスを自分達で取りながら、自分達のするべき事をそれぞれしていく。
その様子を働かなくなった頭で考えながら、ぼんやりと見続ける庵だった。
いつの間にか降ろされていて、酸素濃度を測られたり、首の噛み跡を手当てされている。
顔を正面に戻すと、横たわる血の気のない顔をした夜神を生かそうと、必死になって治療する人達が見える。
その様子を見て「これで、大丈夫」と、何故か安堵してしまう。
「まだ、分からない」「もしかして・・・」と否定の言葉は生まれなかった。疑問にも思わなかった。だからなのかもしれない。
ずっと、帝國から今まで張り詰めていた糸が、本当に切れてしまった。突然の眠気や倦怠感が生まれてくる。抗う事が出来ないほどだった。もしかしたら抗う事を考えなかったのかもしれない。
遠くなる名前を呼ぶ声を聞きながら、庵も夜神と同じように意識を手放していった。
七海はヘリに乗り込むと、夜神を一緒に搭乗していた医者達に託す。ここからは自分の出る幕はない。手伝いを頼まれたら出来る範囲はするが、医学行為など未知の領域。素人の一番の手伝いは邪魔をしない事がセオリーだと思っている。
それに自分のすべき事は他にある。七海はインカムを使い司令部にいる藤堂元帥や長谷部室長達に事の成り行きを説明する。
庵を見つけた事
夜神を見つけた事
二人とも満身創痍、特に夜神に関しては生命の危機に直面している事
到着したら直ぐに手術が出来るように準備して欲しい事
一番、気がかりだった「アンノウン」が見つからなかった事
観測機器の異常か、帝國の何らかの力のせいなのかは分からない事
それらを説明していた時に、式部達の「庵伍長!!」と声を聞いて振り向く
座って手当てを受けていた庵が気絶したようで倒れていた。
驚いたが無理もないと思った。最後に見た時と比べ痩せ細った体をしていた。頬など骨が見えていて、満足に食事など出来なかった事ぐらい分かる。
そして、帝國にいたのだ。周りは吸血鬼。命の危機に直面し続ける状態だ。ゆっくり休んでいる事など殆どなかったかもしれない。
付け加えて、夜神の状態。どんな理由で腹部を刺されたのかは聞かないと分からない。
帝國で刺され、それからここまで連れてきたのだ。残りの体力や精神力を振り絞ってここまで来た。
そして、俺達と言う絶対的味方が現れ、この危機的状況を打破するかもしれないと安堵したのだろう。
「「絶対」なんて言葉、あんまり好きじゃないけど、今だけは使わせて貰うよ。「絶対」二人を助けてやるから安心して気絶しとけ!庵青年」
七海は庵達の様子を見て呟くと、再び藤堂元帥達と話し込み通信を終わらせる。
自分のすべき事を終わらせると、今度は他の人達の手伝いをする為に動き出す。
「絶対」に助けると庵に誓った。なら、有言実行しないと意味がない。たとえ自分のできる事は少なくとも、それでも何かしら関わりたかったのかもしれない。七海は気合を入れる為、小さな声で
「よし!」と呟いて、一番人手が必要な夜神の所まで行った。
七海との通信を終わらせた藤堂は、七海からの話を聞いて指示を出していく。
その指示を聞いた司令部の人間は、その指示を元に仕事をしていく。
医療部に指示を出し、手術室や医者の確保をしていく。
観測班に連絡して、機器の性能の点検をしていく。
あらかたの指示を出した藤堂達はヘリが到着するヘリポートに向かう為司令室を出ていく。
この目で確認しないと気がすまない。そして、聞こえていなくても声を掛けてやりたった。
「おかえり」と「よく、頑張った」と、友の忘れ形見と、その忘れ形見を一番愛してくれている人物に。
建物の外に出て、ヘリポートに向かう。そこには続々と医療部の人間が集まっている。
到着するヘリに搭乗している人物達を助ける為に、自分達の仕事を迅速にする為に準備をしていく。
藤堂達は邪魔にならない所に待機してヘリの到着を待つ。
すると、プロペラの回転する音が微かに聞こえてくる。段々と大きくなっていく。
肉眼でも胡麻粒ぐらいの大きさから徐々に大きくなり、ヘリの形になっていく。
砂埃をまき散らせながらヘリはゆっくりと着陸していく。そして、医療部の人間が乗り込み夜神や庵を降ろし、ストレッチャーに乗せ目的の場所に行く為、藤堂達の横をすり抜けていく。
藤堂は通り過ぎるストレッチャーに横たわる夜神を見た。
髪は白くなり、それに負けないぐらい顔色も白かった。
それとは反対に唇は真っ赤で、そこだけ血が集まっているのかと思ってしまう程だった。
「おかえり、凪」
既に通り過ぎたストレッチャーに向い呟く。帰ってきたことは喜ばしい。
後は、本人の「生きる」力が何処まであるのかだ。しかし、それとは逆に道半ばで命を絶たれた友と重ね合わせてしまう。
心配で胸がえぐれそうだった。血縁以上の絆で結ばれていた親子。本当に、仲が良かった。そして、尊び合う師弟関係。
幼い頃からずっと見てきたからこそ、藤堂もまた、親子のように心配をしてしまう。
「あの子なら大丈夫だ。嵐山がしっかり見守っているからな・・・・・・」
七海中将の声を聞いてを藤堂は頷く。
「そうだな。嵐山が見守っているから大丈夫だろう。あの子は強いからな」
「夜神は我々より強い。だから、我々の願いに必ず応えてくれる」
二人の話を聞いて、無表情の長谷部室長が答える。
「あぁ、そうだ。我々は我々で凪を助けよう。虎次郎達も帰ってきた。話を聞かないといけない。二人の様子や、レーダーに反応したのに見当たらなかった「アンノウン」の事だ」
藤堂はヘリから続々と降りてくる七海達を見て、これからの事を話す。
疑問や問題が多くある。
その一つ一つを解決する為に、自分達の出来る事をする為に、三人は七海達と合流する為歩き出した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
取り敢えず、古巣の軍に戻ってきました。本人達が気付かない間に(笑)
後は、本人次第だよね~の状態です。あと、元帥達は大佐が吸血鬼な事を知らないのでレーダーに反応した「アンノウン」をかなり、悩んでます。
いつになったら教えてもらえるかな~~
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二人で肩を寄せて支え合って、森を歩いた。
すると、人の声が聞こえてくる。その声は知っている。
心強く、頼りがいのある先輩達
第一室の隊長達の中でも一番信頼して、兄貴的な存在の七海中佐の声だ。
凪さんも小さな声で「みんな」と呟いていた。
安心したのかもしれない
知っている人達に、心から信頼する仲間達に会えたからかもしれない
突然、ガクッと足元から力が抜けて気絶をしてしまった
「凪さんっ!!」
全身から冷や汗が出る。かろうじてあった意識が突然なくなったのだ。この絶望的な状況では頭に嫌な事しか思い浮かばない
━━━━━━━「死」━━━━━━━━
「夜神っ!!」
七海中佐が慌てて駆け寄ってくる。それと同時に他の人達も駆け寄る
「七海中佐っ!!早く大佐を、大佐を助けて下さい。ナイフで腹部を刺されてます。血が出続けてます。命の危険が・・・・・・・」
「庵伍長もボロボロじゃないか。大丈夫だ。医者もヘリに搭乗している。もう少しの辛抱だ」
「青年、夜神は俺が運ぶから安心しろ。青年は相澤達と来ればいい。よく、頑張ったな・・・・」
七海は庵から夜神を受け取ると、ナイフを気にしながら横抱きに抱えていく。
庵はその様子を見ると、何故か夜神と同じように足元から力が抜けていく。
ずっと張り詰めていた緊張の糸が、七海達を見て途切れてしまったのだろう。
安堵してしまい力が抜けてしまった。地面に座り込んでしまった庵に相澤や式部が駆け寄る。
「大丈夫!!相澤中佐、庵伍長を背負ってあげて?少しでもヘリに早く行かないとっ!!」
式部の提案に頷いて、相澤は地面に座っている庵の正面に背を向けて膝をつく。
藤堂中佐と長谷部中佐は、庵を両脇から手を添えて補助をしていく。
式部大尉は、杖代わりに使っていた高位クラス武器の澌尽灰滅を拾い上げていく。
「よし!全速でヘリまでいくぞ!!」
七海の険しい声が合図のようだったようで、一斉に駆け出していく。
目的は自分たちが乗ってきてたヘリ。そのヘリには万が一のために医者や看護師が乗り込んでいる。
一分、一秒でも早くと全員の足が速さを増していく。
どれくらい走っのだろう?朦朧とした意識の中、庵は顔を上げた。相澤中佐の背中に背負われて、両脇から落ちないように長谷部中佐と藤堂中佐が支えている。
自分の前を走っているのは七海中佐と式部大尉で、七海中佐は気を失っている凪さんを抱き抱えて走っている。
本当は自分がしたかったが、この有様。正直、歩く事さえ今の状況ではままならない。
あの時は互いに支え合いながらでしか移動できなかった。
けど、もう、安心かもしれない。自分が心から信頼出来る先輩達が助けに来てくれた。
それは、凪さんも同じだったかもしれない。安心したから気が緩んで、張り詰めた糸が切れたのかもしれない。そうだと思わないと怖い。
もし、このまま意識が戻らなければ?このまま目を開けることがなければ?心臓が止まり、体が冷たくなっていったら?
最悪の状況しか頭を過ぎらない。そんな事、ちっとも望まないのに。
願うのは、目を開き、透き通る赤い瞳で見つめられ、凛とした鈴の音のような声で「庵君」と呼ばれることだけだ。
皇帝との勝負はまだ続いているんですよ?絶対「勝つ」と約束したでしょう?なら、勝ちましょう。二人で勝ちましょう。
庵は目の前にいる夜神を抱き抱えている七海の背中を見て祈った。その祈りが届いて二人で約束した「勝利」を手に入れられると信じて祈った。
「先生!早く二人を、特に夜神を見てくれ。早く乗り込んで直ぐに離陸してくれっ!!」
七海達がヘリに慌ただしく乗り込み直ぐに指示を出す。
待機していた操縦士や医者達は、直ぐに七海の指示に従い行動していく。
その後から、相澤達が乗り込んでいくと扉を急ぎ閉めていく。
その数秒後、ヘリはゆっくりと地面から離れていき、目的の場所に急ぎ向かう。
バランスを自分達で取りながら、自分達のするべき事をそれぞれしていく。
その様子を働かなくなった頭で考えながら、ぼんやりと見続ける庵だった。
いつの間にか降ろされていて、酸素濃度を測られたり、首の噛み跡を手当てされている。
顔を正面に戻すと、横たわる血の気のない顔をした夜神を生かそうと、必死になって治療する人達が見える。
その様子を見て「これで、大丈夫」と、何故か安堵してしまう。
「まだ、分からない」「もしかして・・・」と否定の言葉は生まれなかった。疑問にも思わなかった。だからなのかもしれない。
ずっと、帝國から今まで張り詰めていた糸が、本当に切れてしまった。突然の眠気や倦怠感が生まれてくる。抗う事が出来ないほどだった。もしかしたら抗う事を考えなかったのかもしれない。
遠くなる名前を呼ぶ声を聞きながら、庵も夜神と同じように意識を手放していった。
七海はヘリに乗り込むと、夜神を一緒に搭乗していた医者達に託す。ここからは自分の出る幕はない。手伝いを頼まれたら出来る範囲はするが、医学行為など未知の領域。素人の一番の手伝いは邪魔をしない事がセオリーだと思っている。
それに自分のすべき事は他にある。七海はインカムを使い司令部にいる藤堂元帥や長谷部室長達に事の成り行きを説明する。
庵を見つけた事
夜神を見つけた事
二人とも満身創痍、特に夜神に関しては生命の危機に直面している事
到着したら直ぐに手術が出来るように準備して欲しい事
一番、気がかりだった「アンノウン」が見つからなかった事
観測機器の異常か、帝國の何らかの力のせいなのかは分からない事
それらを説明していた時に、式部達の「庵伍長!!」と声を聞いて振り向く
座って手当てを受けていた庵が気絶したようで倒れていた。
驚いたが無理もないと思った。最後に見た時と比べ痩せ細った体をしていた。頬など骨が見えていて、満足に食事など出来なかった事ぐらい分かる。
そして、帝國にいたのだ。周りは吸血鬼。命の危機に直面し続ける状態だ。ゆっくり休んでいる事など殆どなかったかもしれない。
付け加えて、夜神の状態。どんな理由で腹部を刺されたのかは聞かないと分からない。
帝國で刺され、それからここまで連れてきたのだ。残りの体力や精神力を振り絞ってここまで来た。
そして、俺達と言う絶対的味方が現れ、この危機的状況を打破するかもしれないと安堵したのだろう。
「「絶対」なんて言葉、あんまり好きじゃないけど、今だけは使わせて貰うよ。「絶対」二人を助けてやるから安心して気絶しとけ!庵青年」
七海は庵達の様子を見て呟くと、再び藤堂元帥達と話し込み通信を終わらせる。
自分のすべき事を終わらせると、今度は他の人達の手伝いをする為に動き出す。
「絶対」に助けると庵に誓った。なら、有言実行しないと意味がない。たとえ自分のできる事は少なくとも、それでも何かしら関わりたかったのかもしれない。七海は気合を入れる為、小さな声で
「よし!」と呟いて、一番人手が必要な夜神の所まで行った。
七海との通信を終わらせた藤堂は、七海からの話を聞いて指示を出していく。
その指示を聞いた司令部の人間は、その指示を元に仕事をしていく。
医療部に指示を出し、手術室や医者の確保をしていく。
観測班に連絡して、機器の性能の点検をしていく。
あらかたの指示を出した藤堂達はヘリが到着するヘリポートに向かう為司令室を出ていく。
この目で確認しないと気がすまない。そして、聞こえていなくても声を掛けてやりたった。
「おかえり」と「よく、頑張った」と、友の忘れ形見と、その忘れ形見を一番愛してくれている人物に。
建物の外に出て、ヘリポートに向かう。そこには続々と医療部の人間が集まっている。
到着するヘリに搭乗している人物達を助ける為に、自分達の仕事を迅速にする為に準備をしていく。
藤堂達は邪魔にならない所に待機してヘリの到着を待つ。
すると、プロペラの回転する音が微かに聞こえてくる。段々と大きくなっていく。
肉眼でも胡麻粒ぐらいの大きさから徐々に大きくなり、ヘリの形になっていく。
砂埃をまき散らせながらヘリはゆっくりと着陸していく。そして、医療部の人間が乗り込み夜神や庵を降ろし、ストレッチャーに乗せ目的の場所に行く為、藤堂達の横をすり抜けていく。
藤堂は通り過ぎるストレッチャーに横たわる夜神を見た。
髪は白くなり、それに負けないぐらい顔色も白かった。
それとは反対に唇は真っ赤で、そこだけ血が集まっているのかと思ってしまう程だった。
「おかえり、凪」
既に通り過ぎたストレッチャーに向い呟く。帰ってきたことは喜ばしい。
後は、本人の「生きる」力が何処まであるのかだ。しかし、それとは逆に道半ばで命を絶たれた友と重ね合わせてしまう。
心配で胸がえぐれそうだった。血縁以上の絆で結ばれていた親子。本当に、仲が良かった。そして、尊び合う師弟関係。
幼い頃からずっと見てきたからこそ、藤堂もまた、親子のように心配をしてしまう。
「あの子なら大丈夫だ。嵐山がしっかり見守っているからな・・・・・・」
七海中将の声を聞いてを藤堂は頷く。
「そうだな。嵐山が見守っているから大丈夫だろう。あの子は強いからな」
「夜神は我々より強い。だから、我々の願いに必ず応えてくれる」
二人の話を聞いて、無表情の長谷部室長が答える。
「あぁ、そうだ。我々は我々で凪を助けよう。虎次郎達も帰ってきた。話を聞かないといけない。二人の様子や、レーダーに反応したのに見当たらなかった「アンノウン」の事だ」
藤堂はヘリから続々と降りてくる七海達を見て、これからの事を話す。
疑問や問題が多くある。
その一つ一つを解決する為に、自分達の出来る事をする為に、三人は七海達と合流する為歩き出した。
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取り敢えず、古巣の軍に戻ってきました。本人達が気付かない間に(笑)
後は、本人次第だよね~の状態です。あと、元帥達は大佐が吸血鬼な事を知らないのでレーダーに反応した「アンノウン」をかなり、悩んでます。
いつになったら教えてもらえるかな~~
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