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第19話 最後の選択
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優里の姿が、重たい鉄扉の向こうへ消えてから、どれほどの時間が経ったのか。
準備室に満ちていた熱気は徐々に冷めていき、代わりに、張り詰めたような沈黙が広がっていく。
だが、晶はまだ――澪の中にいた。
動けなかった。
体を離すことも、言葉を発することも、目を逸らすことすらできなかった。
震えていたのは指先か、それとも心臓だったのか。
「……行かなくて、いいんですか?」
澪が、囁く。
その声は穏やかだった。何かを責めるでもなく、問いただすでもない。
ただ、そこに浮かんだ笑みだけが、どこか無垢で――酷く、残酷だった。
晶は、ぎゅっと目を閉じた。
胸の奥に、優里の顔が浮かぶ。泣いていた。震えていた。
それでも、その像は――どこか遠い。霞がかった夢のように、輪郭がぼやけていた。
代わりに鮮やかに浮かび上がってくるのは、澪の舌、唇、吐息。
あの濡れた喉の奥に受け止められた快感。
嗅覚の奥にこびりついたシャンプーの香り。
皮膚の裏に焼き付いた、快楽の余韻。
――比べてしまう。
優しさも、ぬくもりも、安らぎもあったはずなのに。
それらは、澪の甘美な毒には敵わなかった。
「……俺は、澪を選ぶ」
小さな声だった。
けれど、決して取り消せない言葉だった。
自ら地獄に足を踏み入れる音が、耳の奥に響いた。
* * *
「本当に?」
澪の顔が、静かに傾ぐ。
問いの形をとりながら、それはすでに答えを知っている者の口ぶりだった。
晶は、かすかに唇を引き結び、そして頷いた。
罪悪感はあった。後悔もあった。
けれど、それ以上に――渇望があった。
澪が、そっと微笑んだ。
それは、どこまでも甘やかで、どこまでも底が見えなかった。
「じゃあ……私を選んでくれたお礼、しなきゃですね」
そう言って、澪はその首を伸ばす。
そのまま、熱を帯びた唇が晶の口元に重なる。
柔らかさと熱が、脳を焼いた。
唇を啄ばまれるたびに、膝が砕けそうになる。
舌が触れ合い、唾液が混じる音が、耳の奥をくすぐる。
キスは深く、長く、執拗だった。
まるで、確かに選ばれたことを証明するかのように。
口づけの最中、晶の中に残っていた優しさやためらいの欠片が、ゆっくりと蕩けていった。
* * *
唇が離れたのは、どれほどの熱が身体を巡った後だっただろう。
繋がっていた時間が長すぎて、唇が離れても、なお澪の味が晶の口の中に残っていた。
再び視線が絡む。
その瞬間――不意に、晶の下腹部が痙攣した。
昂ぶりが、完全に戻っていた。
いや、さっきよりもさらに強く、激しく、燃え上がっていた。
澪の指が、そっと晶の頬に添えられる。
「……ねえ、今、出しそうになりましたよね?」
囁くように問われて、晶はびくりと肩を揺らした。
澪の目が、細められる。
甘く、妖しく、そして――支配者のそれだった。
「出したいですか?」
晶は、声にならないほどの息を漏らしながら、激しく頷いた。
「……仕方ないですね。いいですよ、出しても」
その一言は、解放の呪文だった。
身体の奥に抑え込んでいた全てが、暴発するように噴き出しかけた。
熱が、理性を焼き尽くす。
欲望だけが、身体の中を支配していく。
澪の脚が、そっと開かれる。
まだ繋がっていたままのそこから、甘い蜜がとろりと滴っていた。
指先がそこを軽く撫でるだけで、晶の腰が自ずと前にせり出す。
「……動いていいですよ」
そう囁かれた瞬間、晶の全身が跳ねた。
理性も、倫理も、もう何もなかった。
ただ、そこに澪がいて。
そこに熱があり、肉があり、快感がある。
再び身体を押し進める。
澪の中が、先ほどよりも滑らかに、深く、そして甘く晶を迎え入れていく。
「んっ……ふ、ぁ……」
澪の声が漏れた。
媚びるような甘い声ではなかった。
獲物を取り込む肉が、喜びに鳴く音だった。
晶は、もう止められなかった。
快感が、感情よりも先に走る。
腰が勝手に動き、澪の中を求めて、衝動のままに打ち付ける。
「気持ちいいですか? 晶くん……」
澪が、上目遣いで囁く。
その顔は愛らしいのに、どこか嘲るようでもあり、
けれど、その視線に――晶は完全に堕ちていた。
そして――
「……ひとつだけ、伝えておきますね」
途切れ途切れの喘ぎの合間に、澪が不意に言った。
「わたし……今日、危険日なんです」
その一言が、雷のように晶の脳を撃ち抜いた。
理解した瞬間、意識の奥に赤い警告が灯る。
けれど、すでに晶の身体は後戻りできなかった。
「う……澪っ、俺……!」
「いいですよ。……いっぱい、ください」
その言葉と同時だった。
晶の身体が痙攣し、喉の奥から野生のような声が漏れた。
奥深く、澪の中に、すべてを吐き出す。
限界を超えた熱が、一気に澪へ注がれていく。
震えるほどの快感の中、意識が白く霞む。
数秒、いや、数十秒が永遠のように流れて――ようやく、晶の身体が静かになった。
* * *
ゆっくりと離れる。
その瞬間、澪の中から晶の証が――どろりと流れ出した。
澪はそれを、指先ですくい上げる。
「あらあら……こんなにたくさん。やっぱり、たまりに溜まってたんですね」
くすくすと笑う。
その笑みは、慈しみに満ちていて、けれど、どこまでも狂っていた。
「……もしそうなったら、責任とってくれますよね?」
澪は、指に絡んだ白濁を舐めながら、静かに微笑んでいた。
準備室に満ちていた熱気は徐々に冷めていき、代わりに、張り詰めたような沈黙が広がっていく。
だが、晶はまだ――澪の中にいた。
動けなかった。
体を離すことも、言葉を発することも、目を逸らすことすらできなかった。
震えていたのは指先か、それとも心臓だったのか。
「……行かなくて、いいんですか?」
澪が、囁く。
その声は穏やかだった。何かを責めるでもなく、問いただすでもない。
ただ、そこに浮かんだ笑みだけが、どこか無垢で――酷く、残酷だった。
晶は、ぎゅっと目を閉じた。
胸の奥に、優里の顔が浮かぶ。泣いていた。震えていた。
それでも、その像は――どこか遠い。霞がかった夢のように、輪郭がぼやけていた。
代わりに鮮やかに浮かび上がってくるのは、澪の舌、唇、吐息。
あの濡れた喉の奥に受け止められた快感。
嗅覚の奥にこびりついたシャンプーの香り。
皮膚の裏に焼き付いた、快楽の余韻。
――比べてしまう。
優しさも、ぬくもりも、安らぎもあったはずなのに。
それらは、澪の甘美な毒には敵わなかった。
「……俺は、澪を選ぶ」
小さな声だった。
けれど、決して取り消せない言葉だった。
自ら地獄に足を踏み入れる音が、耳の奥に響いた。
* * *
「本当に?」
澪の顔が、静かに傾ぐ。
問いの形をとりながら、それはすでに答えを知っている者の口ぶりだった。
晶は、かすかに唇を引き結び、そして頷いた。
罪悪感はあった。後悔もあった。
けれど、それ以上に――渇望があった。
澪が、そっと微笑んだ。
それは、どこまでも甘やかで、どこまでも底が見えなかった。
「じゃあ……私を選んでくれたお礼、しなきゃですね」
そう言って、澪はその首を伸ばす。
そのまま、熱を帯びた唇が晶の口元に重なる。
柔らかさと熱が、脳を焼いた。
唇を啄ばまれるたびに、膝が砕けそうになる。
舌が触れ合い、唾液が混じる音が、耳の奥をくすぐる。
キスは深く、長く、執拗だった。
まるで、確かに選ばれたことを証明するかのように。
口づけの最中、晶の中に残っていた優しさやためらいの欠片が、ゆっくりと蕩けていった。
* * *
唇が離れたのは、どれほどの熱が身体を巡った後だっただろう。
繋がっていた時間が長すぎて、唇が離れても、なお澪の味が晶の口の中に残っていた。
再び視線が絡む。
その瞬間――不意に、晶の下腹部が痙攣した。
昂ぶりが、完全に戻っていた。
いや、さっきよりもさらに強く、激しく、燃え上がっていた。
澪の指が、そっと晶の頬に添えられる。
「……ねえ、今、出しそうになりましたよね?」
囁くように問われて、晶はびくりと肩を揺らした。
澪の目が、細められる。
甘く、妖しく、そして――支配者のそれだった。
「出したいですか?」
晶は、声にならないほどの息を漏らしながら、激しく頷いた。
「……仕方ないですね。いいですよ、出しても」
その一言は、解放の呪文だった。
身体の奥に抑え込んでいた全てが、暴発するように噴き出しかけた。
熱が、理性を焼き尽くす。
欲望だけが、身体の中を支配していく。
澪の脚が、そっと開かれる。
まだ繋がっていたままのそこから、甘い蜜がとろりと滴っていた。
指先がそこを軽く撫でるだけで、晶の腰が自ずと前にせり出す。
「……動いていいですよ」
そう囁かれた瞬間、晶の全身が跳ねた。
理性も、倫理も、もう何もなかった。
ただ、そこに澪がいて。
そこに熱があり、肉があり、快感がある。
再び身体を押し進める。
澪の中が、先ほどよりも滑らかに、深く、そして甘く晶を迎え入れていく。
「んっ……ふ、ぁ……」
澪の声が漏れた。
媚びるような甘い声ではなかった。
獲物を取り込む肉が、喜びに鳴く音だった。
晶は、もう止められなかった。
快感が、感情よりも先に走る。
腰が勝手に動き、澪の中を求めて、衝動のままに打ち付ける。
「気持ちいいですか? 晶くん……」
澪が、上目遣いで囁く。
その顔は愛らしいのに、どこか嘲るようでもあり、
けれど、その視線に――晶は完全に堕ちていた。
そして――
「……ひとつだけ、伝えておきますね」
途切れ途切れの喘ぎの合間に、澪が不意に言った。
「わたし……今日、危険日なんです」
その一言が、雷のように晶の脳を撃ち抜いた。
理解した瞬間、意識の奥に赤い警告が灯る。
けれど、すでに晶の身体は後戻りできなかった。
「う……澪っ、俺……!」
「いいですよ。……いっぱい、ください」
その言葉と同時だった。
晶の身体が痙攣し、喉の奥から野生のような声が漏れた。
奥深く、澪の中に、すべてを吐き出す。
限界を超えた熱が、一気に澪へ注がれていく。
震えるほどの快感の中、意識が白く霞む。
数秒、いや、数十秒が永遠のように流れて――ようやく、晶の身体が静かになった。
* * *
ゆっくりと離れる。
その瞬間、澪の中から晶の証が――どろりと流れ出した。
澪はそれを、指先ですくい上げる。
「あらあら……こんなにたくさん。やっぱり、たまりに溜まってたんですね」
くすくすと笑う。
その笑みは、慈しみに満ちていて、けれど、どこまでも狂っていた。
「……もしそうなったら、責任とってくれますよね?」
澪は、指に絡んだ白濁を舐めながら、静かに微笑んでいた。
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