不思議な家の摺木さん

黒巻雷鳴

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夢を叶える魔法少女

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 翌日の夕方、郵便受けにメッセージカードと小包みが入っていることに気がついた。

 封を解けば中身は小箱。それは青汁で、カードには送り主である魔法少女の言葉が添えられていた。〝暴飲暴食と現代病には気をつけましょう!〟女の子らしい丸文字と猫のようなイラストがカラフルな蛍光ペンで書かれていた。どうやら、千弥の食生活を危惧して送られてきたようだ。

 三十年近く生きてきたが、青汁を飲んだことがない千弥は、無意識で仏頂面になっていた。健康志向の、とくに老人が嗜むイメージの強い贈り物に対しての意思表示だった。

「青汁ねぇ……」

 千弥は箱から個包装の粉末青汁をひとつ引っこ抜き、プロテイン用として使っているシェイカーに振りかける。蛇口をひねって水道水を入れて蓋をし、左右に激しく振った。
 みるみるうちに水と粉末が混じり合い、深緑の液体へと生まれ変わったそれを口に含んだ千弥は、あまりの苦さに眉根を一気に寄せる。
 雑草を刈り取ったあとのにおい。それが素直な感想だった。自分の味覚になにが起こったのかわからない。耐えきれず、冷蔵庫から缶入りの炭酸ジュースを取り出して口内をリセットする。
 飲みながら千弥は、魔法少女から貰ったカードを読み直す。裏返せば、〝やっぱりマズイよね(笑)〟と書いてあった。だったら送るなよ──ふたたび思わず眉間に縦じわが寄る。

 シェイカーとジュースの空缶をキッチンシンクに置くのと同時に、すきま風が目の前の硝子ガラス窓を抜けて前髪を揺らした。
 窓の向う側に映る空では、風に乗った雲が物凄い速さで流れてゆく。
 そのなかのひとつが、一瞬だけ星の形に見えた気がした。





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