わたしのパンツ返してください!

黒巻雷鳴

文字の大きさ
4 / 5

Chapter.04

しおりを挟む
「ワンワン!」
「あー、もう! どこだよ火元は!」

 すると、そう遠くはない距離から、犬の鳴き声と男たちの声が聞こえてきた。

「えっ……誰か来る……」
『おや? あなたのお友だちですか?』

 騒ぎの様子からして、山火事ではないかと通報を受けた消防団がやって来たのだろう。

「ううん、友だちじゃない」

 二匹の宇宙ペンギンが見つかれば確実に捕獲され、解剖までされる可能性も決して低くはない。頭の中で、ホルマリン漬けにされた二匹の映像が鮮明に浮かぶ。

「大変……早く逃げなきゃ!」
『ペン?』
「ねえ! 燃料は、あとどれだけ必要なの!?」

 めぐむの鬼気迫る雰囲気を察した二匹が、慌てふためいてヒレを激しく振り回す。

「ちょっと、落ち着いて!」
『あわわ……ダーリン!』
『ま、真っ直ぐ帰るんであれば、燃料はそこまでなくて大丈夫です!』

 家まで取りに行く時間はもうない。めぐむは綿繊維の素材を探して背負っていたリュックの中を漁る。

「ない、ない、ない! ないよー、もう!」

 必死になって探してみても、出てくる物は大学ノートに教科書、ペンケースに水筒、ピンク色の長財布とリップクリームにハンドクリーム、秘密の手帳にお菓子の袋など、綿とは無縁な物ばかり。

「そうだ、制服!」

 急いで羽織るジャケットを脱いで洗濯表示マークを見てみる。ウール50%とポリエステル50%の混合素材だった。プリーツスカートも見てみたけれど、割合が違うだけの同じ生地で使えそうにない。

「ええっ……そんな……」

 大勢のざわめく声が、どんどん近づいてくる。

(いったいどうすればいいの!?)

 胃がキリキリと痛むのを感じながら、ふと、めぐむは視線を落とす。
 自分を見上げる二匹がまるで、スカートの中をのぞいているようにも見えた。それは毎日、駅や学校の階段をのぼるときに気をつけている視線である。

「──あった! えっ、でも……」

 綿の素材が、しかも、純度100%の繊維があることを思い出したのだが、うら若き乙女として、それは手渡すにはとても勇気が必要な代物しろものであった。

 それは、股間やお尻を覆い隠して守るための綿製品。
 自分が穿いている下着ショーツである。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

私の守護霊さん『ラクロス編』

Masa&G
キャラ文芸
本作は、本編『私の守護霊さん』の番外編です。 本編では描ききれなかった「ラクロス編」を、単独でも読める形でお届けします。番外編だけでも内容はわかりますが、本編を先に読んでいただくと、より物語に入り込みやすくなると思います。 「絶対にレギュラーを取って、東京代表に行きたい――」 そんな想いを胸に、宮司彩音は日々ラクロスの練習に明け暮れている。 同じポジションには、絶対的エースアタッカー・梶原真夏。埋まらない実力差に折れそうになる彩音のそばには、今日も無言の相棒・守護霊さんがいた。 守護霊さんの全力バックアップのもと、彩音の“レギュラー奪取&東京代表への挑戦”が始まる──。

あやかし旅館、縁結びは四季ちゃんにおまかせ!!

八乙女 忍
キャラ文芸
僕の家は、昔から旅館をしていた。 その旅館には、座敷わらしが出ると言われている。 その座敷わらしを見ると、願い事が叶うと言われていた。 僕は、小さい頃からその座敷わらしと遊んでいる。 僕も年頃になり好きな子ができた。 小さい頃から座敷わらしと、遊んでいた僕の願い事は叶うのだろうか?

後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜

二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。 そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。 その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。 どうも美華には不思議な力があるようで…?

処理中です...