2 / 4
猫の名探偵 ~消えた鰹節~
2
しおりを挟む
サイモンの話によると、奴が飼われている割烹料理店から、一節が三万円もする高級鰹節が消えたらしい。それで、もともと猫嫌いだった女将さんに疑いをかけられてしまい、結局は追い出されてしまったそうだ。
「子猫の頃からお世話になっている大将に、そんな罰当たりなことはしないよ! 第一、なんでいまになって盗むのさ!」
サイモンの必死の弁明に、おれは耳をかたむける素振りだけは一応してみせた。明日からどこで寝泊まりすればよいのかと、話を続けるサイモンは泣きじゃくるばかりだ。
たしかに、サイモンは恩を仇で返すような猫ではない。面倒は御免だが、他ではない旧友からの頼み事を断る気にもなれなかった。
「ああ、わかったよサイモン、落ち着けって。とにかく、おれがなんとかするから、ほとぼりが冷めるまでのあいだ、車にいろよ」
おれのそんな言葉を聞いたサイモンは、〝待ってました!〟と言わんばかりに両目を輝かせてよろこび、その場でピョンピョン飛び跳ねてみせる。それに合わせてスウェット生地のシートからは、雨水の飛沫がリズミカルに延々と吹き出していた。
そして、咽喉をゴロゴロと鳴らしながら、おれの身体に自分の頬を何度もこすりつけてきた。
「ありがとう、肉三郎! もつべきものは親友だね!」
「あーもう! わかったから、いいかげんにやめてくれ!」
こうしておれは、致し方なく犯人探しへと繰り出すことになった。
「子猫の頃からお世話になっている大将に、そんな罰当たりなことはしないよ! 第一、なんでいまになって盗むのさ!」
サイモンの必死の弁明に、おれは耳をかたむける素振りだけは一応してみせた。明日からどこで寝泊まりすればよいのかと、話を続けるサイモンは泣きじゃくるばかりだ。
たしかに、サイモンは恩を仇で返すような猫ではない。面倒は御免だが、他ではない旧友からの頼み事を断る気にもなれなかった。
「ああ、わかったよサイモン、落ち着けって。とにかく、おれがなんとかするから、ほとぼりが冷めるまでのあいだ、車にいろよ」
おれのそんな言葉を聞いたサイモンは、〝待ってました!〟と言わんばかりに両目を輝かせてよろこび、その場でピョンピョン飛び跳ねてみせる。それに合わせてスウェット生地のシートからは、雨水の飛沫がリズミカルに延々と吹き出していた。
そして、咽喉をゴロゴロと鳴らしながら、おれの身体に自分の頬を何度もこすりつけてきた。
「ありがとう、肉三郎! もつべきものは親友だね!」
「あーもう! わかったから、いいかげんにやめてくれ!」
こうしておれは、致し方なく犯人探しへと繰り出すことになった。
0
あなたにおすすめの小説
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
幼馴染、幼馴染、そんなに彼女のことが大切ですか。――いいでしょう、ならば、婚約破棄をしましょう。~病弱な幼馴染の彼女は、実は……~
銀灰
恋愛
テリシアの婚約者セシルは、病弱だという幼馴染にばかりかまけていた。
自身で稼ぐこともせず、幼馴染を庇護するため、テシリアに金を無心する毎日を送るセシル。
そんな関係に限界を感じ、テリシアはセシルに婚約破棄を突き付けた。
テリシアに見捨てられたセシルは、てっきりその幼馴染と添い遂げると思われたが――。
その幼馴染は、道化のようなとんでもない秘密を抱えていた!?
はたして、物語の結末は――?
私の妹と結婚するから婚約破棄する? 私、弟しかいませんけど…
京月
恋愛
私の婚約者は婚約記念日に突然告白した。
「俺、君の妹のルーと結婚したい。だから婚約破棄してくれ」
「…わかった、婚約破棄するわ。だけどこれだけは言わせて……私、弟しかいないよ」
「え?」
皇后マルティナの復讐が幕を開ける時[完]
風龍佳乃
恋愛
マルティナには初恋の人がいたが
王命により皇太子の元に嫁ぎ
無能と言われた夫を支えていた
ある日突然
皇帝になった夫が自分の元婚約者令嬢を
第2夫人迎えたのだった
マルティナは初恋の人である
第2皇子であった彼を新皇帝にするべく
動き出したのだった
マルティナは時間をかけながら
じっくりと王家を牛耳り
自分を蔑ろにした夫に三行半を突き付け
理想の人生を作り上げていく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる