専属契約 ~俺はおまえの愛玩奴隷~

黒巻雷鳴

文字の大きさ
21 / 36
chapter.02

初めての晩餐

しおりを挟む
 夕食時の様子は、一見すると落ち着きがあって平穏ではあるが、先程までの出来事や主従関係を考慮すると、すべてが異様に感じられた。
 カジュアルな服装は航と帆波のふたりだけで、谷村と堤はスーツ姿、会長に至ってはナイトガウンのままだ。そして、会話はいっさいなく、淡々と皿の上の料理が減っていくのである。
 かつての職業柄、食事中の様々な場面を見てきた航にとっても、この家の晩餐は特殊に思えたが、ただひとつだけ好感が持てたのは、使用人の帆波も一緒に食事をとっていることだろう。

「……あの、なにも喋らないんですね。俺は行儀が良くないほうなんで、ちょっと退屈しちゃいます」
「フフッ、みんな共通の会話がないだけよ。でも、洲崎クンなら新しい話題の種になりそうね」

 航のリップサービスに逸早く反応したのは、やはり谷村だった。
 だからといって、彼女にだけ話しかけるのは正解ではない。その辺りのマナーも、航はしっかりと心得ていた。
 ここは無難に、堤に話題を振るほうがベターだろう。無口なこの男も、セックスの最中はそれなりに饒舌であったし、最低限の気遣いも感じられた。
 航は谷村に笑顔を返してから、堤に話しかける。

「堤さんはこのお屋敷に住んでらっしゃらないんですか? さっきから一滴も飲んでいませんけど」
「……いや、アルコールがダメなだけだ。車の運転は関係ない」
「堤はこう見えてもお酒が飲めないのよ。ひと舐めでも引っくり返るくらいに弱くって」
「そこまで弱くはない」
「あら、睨まないでよ。でもこの前の彼のとき、口移しで飲まされて意識が飛んでたわよね?」

 堤は返事をせずに黙々と食事を続けた。
 この前の彼──前任の奴隷契約の相手のことだろうか?
 そうなると話は変わってくる。
 長期契約ロング短期契約ショートで終わってしまうかもしれない。葛城にとっては残念な話しでも、航としては吉報に近いものがあった。なぜなら、都会派の自分には自然に囲まれたこの屋敷での暮らしはあまり向かないからだ。

「ヘッ、酒が飲めない男は玉無しと同じだぜ」

 会長が全員に聞こえるように呟いてからワインを一気に飲み干すと、すでに立ち上がっていた帆波がおかわりを空のグラスについだ。
 堤は侮辱の言葉にも無反応だった。
 それは立場上のことなのか、それとも慣れているのか。いや、そのどちらともなのかもしれない。
 それを楽しむかのように、自身のグラスを空にする谷村もまた、慣れている様子だった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

男の娘と暮らす

守 秀斗
BL
ある日、会社から帰ると男の娘がアパートの前に寝てた。そして、そのまま、一緒に暮らすことになってしまう。でも、俺はその趣味はないし、あっても関係ないんだよなあ。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...