専属契約 ~俺はおまえの愛玩奴隷~

黒巻雷鳴

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chapter.02

微笑の意味

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 朝食を報せる電話で目覚めた航は、自分の生活リズムを崩されて少々苛立っていたが、部屋を出るとすぐに心を落ち着かせて平静を装った。
 この家での立場は、あくまで愛玩奴隷。御主人様に不快な気分を悟られてはいけない。そんなプロ意識を航は持っていた。
 ただし、場合によってはすぐに捨て去ることが出来る、硝子ガラスのように脆くもあったが。

「洲崎クンおはよう。早速で悪いんだけど、今日の予定は大忙しになるわよ」

 食堂のテーブルに着く前に、完璧な身だしなみの谷村に呼び止められて打ち合わせが始まる。聞こえは良いが、ようするに本日のセックスに関する話だ。

「大忙しって、乱交パーティーでもやるんですか?」
「まあそんなところね。結構闇が深い集まりなんだけれど……洲崎クンなら、とっくに経験済みかしら?」
「ええ、一応は」

 政治家や芸能人が集う淫らな宴に高級娼婦が呼ばれるように、航のような専属契約を必要とする娼婦や男娼もまた、富裕層の性的倒錯者たちから声はかかっていた。
 そういった場合、一夜限りでも短期契約の扱いになるため、高額な報酬とそれなりの日数の休暇が与えられる。同僚には好評でも、彼らよりNGが多い航としては、あまり美味しくもない契約はなしではあった。
 今回も、内容次第では拒絶の意思を示すつもりでいた。だが、谷村の話を聞いた限り、単純シンプルに性交だけが目的のパーティーのようだった。

「会長は洲崎クンを自慢したいだけだと思うわ。だから、それなりにハードな展開になると思うから覚悟しておいてね」

 言葉の代わりに微笑で応える。
 今回も谷村は傍観者として参加するのだろうか。
 航はふと、そう思った。

「……寝グセが結構ひどいわね、せっかくの男前が台無しじゃないの。ブローしてあげるから、食後にシャワーを浴びてらっしゃい」
「いえ、大丈夫です。呼び出しの直前まで寝ていたもので、直せなかったんですよ。いつもなら谷村さんみたくピシッと決めてますから、どうかご安心くださいませ」
「あら、どうもありがとう」

 片手を胸に当てて御辞儀する航の仰々しい姿に、今度は谷村が微笑みを見せる。
 そんなふたりの様子を帆波は一瞥してから、朝食の配膳を黙々と続けた。

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