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chapter.02
湖畔にて
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朝食後、夜会の開始時刻までのあいだは自由にして構わないと谷村に告げられ、屋敷の周囲を散策することにした。
森林浴を楽しみつつ、屋敷裏の林道から湖をめざす。
風は冷たくて心地よく、空は快晴。絶好の行楽日和というヤツだ。
朝露にきらめく草花を見下ろしながら、湖畔の遊歩道を遠くまで歩く。散歩者なのか、老夫婦にすれ違い様「おはようございます」と声をかけられた。
以前と現在の職業柄、挨拶を心得ていると自負していた航ではあったが、このときは完全に油断をしていて、挨拶を返すことが出来なかった。
(まいったな……次からは気をつけないと)
水面を過ぎゆく風に前髪がそよぐ。
こうしていると、都会での生活がまるで遠い昔のように感じられてしまう。
それでも、ふとした瞬間にコンビニを探してしまう自分に、航は思わず苦笑いを浮かべた。
朝日にきらめく湖上を見つめれば、小鷺の群れが羽ばたいて次々に飛び立っていくところだった。
(えっ? ウソ? あの人、芸能人みたいで超カッコいいんですけど!)
突然のブレーキ音。
顔を向ければ、白いヘルメットを被って自転車に乗った通学途中の女子中学生が、ハンドルを誤って湖へ落ちそうになっていた。
「──きゃっ?!」
けれども少女は、寸前のところで落ちずに済んだ。自分を避けようとしたが為の事故だと悟った航は、少女に駆け寄って声をかける。
「キミ、大丈夫?」
「……はい、すみません……ありがとうございます……」
羞恥のせいか、うつむいたままの少女は、耳朶まで真っ赤に染めて視線を合わそうとしない。
そんな様子に、航は思わず笑顔になった。
「よそ見は本当に危ないから、気をつけてね」
「(声までカッコいいし優しいし! 最高かよ!)はい……ありがとうございます」
結局少女は、視線を一度も合わせることもなく、自転車を立ち漕ぎして去って行った。
森林浴を楽しみつつ、屋敷裏の林道から湖をめざす。
風は冷たくて心地よく、空は快晴。絶好の行楽日和というヤツだ。
朝露にきらめく草花を見下ろしながら、湖畔の遊歩道を遠くまで歩く。散歩者なのか、老夫婦にすれ違い様「おはようございます」と声をかけられた。
以前と現在の職業柄、挨拶を心得ていると自負していた航ではあったが、このときは完全に油断をしていて、挨拶を返すことが出来なかった。
(まいったな……次からは気をつけないと)
水面を過ぎゆく風に前髪がそよぐ。
こうしていると、都会での生活がまるで遠い昔のように感じられてしまう。
それでも、ふとした瞬間にコンビニを探してしまう自分に、航は思わず苦笑いを浮かべた。
朝日にきらめく湖上を見つめれば、小鷺の群れが羽ばたいて次々に飛び立っていくところだった。
(えっ? ウソ? あの人、芸能人みたいで超カッコいいんですけど!)
突然のブレーキ音。
顔を向ければ、白いヘルメットを被って自転車に乗った通学途中の女子中学生が、ハンドルを誤って湖へ落ちそうになっていた。
「──きゃっ?!」
けれども少女は、寸前のところで落ちずに済んだ。自分を避けようとしたが為の事故だと悟った航は、少女に駆け寄って声をかける。
「キミ、大丈夫?」
「……はい、すみません……ありがとうございます……」
羞恥のせいか、うつむいたままの少女は、耳朶まで真っ赤に染めて視線を合わそうとしない。
そんな様子に、航は思わず笑顔になった。
「よそ見は本当に危ないから、気をつけてね」
「(声までカッコいいし優しいし! 最高かよ!)はい……ありがとうございます」
結局少女は、視線を一度も合わせることもなく、自転車を立ち漕ぎして去って行った。
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