円と河童の髪隠し

刻命

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話しを聞くとこの少年も髪を奪われたようだ。
「少年、君の名は?」
「僕の名はル」
「る?変わった名前だね」
「河童に名前を奪われたんだ本当の名前を思い出せない」
「何だって!?」
名前を奪われ、髪を奪われる。全く同じ状況だ。しかし自分の名前を思い出せないなんてな。俺は…あれ?
ハゲオは自分の名前を思い出せなくなっていた。
「俺も思い出せない。ゲという名前だけ…」
「僕と同じだね…」
これからどうしよう。

少年と連絡先を交換し家に帰った。
もちろん連絡先もゲになっていた。

早朝、目を覚まし、食卓テーブルには食パンとサラダはレタス、きゅうり、トマトに和風ドレッシングがかけれたものだった。
美味しい。
もくもくと食べてるとき、ある考えが閃いた。
「きゅうり!」
きゅうりは河童の好物のはず。
俺は少年に連絡し妻に出かける報告をし家を出た。

スーパーできゅうりを30本買う。
周囲の客にじろじろ見られた。
無理も無い。きゅうりをそんなに買う人なんてなかなかいないだろう。
そして、きゅうりを大量に買ってある場所に向かう。

俺と少年は河童と出会った場所にできゅうりを持ち両手で持ち天高く掲げた。
そのまま数分待つとタタタと何か足音が
聞こえた。
あの時の河童だった。
そして俺と少年は声を揃えてこう言った。
「俺と勝負しろ。俺に勝てばきゅうりを30本やる。だが負けたら髪を返せ!」
河童はにやりと笑い
「いいだろう。」と答えた。
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