円と河童の髪隠し

刻命

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ハゲしい

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二投目、ここで0点なら俺に勝ち目は無い。
通常のボーリングの場合ならあえてゆっくり転がす手もあるがこの特集ボーリングはピンがかなり丈夫でありパワーが大事だ。
覚悟は決まった。俺はサッカーボールを右手で鷲掴みする。
ゲ「うぉおおおおおおおお!!!」
勢いよくボールは横スピンしながらピンに
向かって走って転がる。
げ「いけえええ!!!」
そして
「ドォン!」
激しい衝撃音が鳴った。
ボールは前のピンへと当たりそのピンは
天高く舞った。
河童「舞いすぎだろ…」
後ろにあるピンが4本残っている。
ゲ「くそっ!」
俺は地団駄を踏んだ。
「ドン!」
何かがぶつかる音がした。
ゲ「!?」
河童「!?」
な、何だ!?
俺はピンの方向を振り向く。
ピンは全て倒れていた。
ゲ「まさか!」
天高く舞ったピンは落下し後ろのピンへと
当たり倒れたのであった。
ゲ「よっしゃあああああ!!!」
これで10対10
だが河童はこれから2投目
俺はお祈りした。
河童「祈っても無駄だ。俺がここで10点決めてやる」
河童はサッカーボールを右手だけで鷲掴み
した。
そして右手をぶんぶんと縦回転させボールを猛スピードで解き放った。
1投目と同じスタイルだ。
河童「いけぇぇぇぇ!!!!」
凄まじい回転より土煙が舞う。
1投目同様、前が見えない。
………
………
………
沈黙が続く
「パァン!」
何かがぶつかる音が聞こえた。
そして視界は徐々に回復し始めた。
ピンは9本残っていた。
ゲ「良かった」
俺は安堵した。
河童「まだや!」
ゲ「あ?」
何を言っているんだ。
ゲ「ん?」
よく見ると倒れているピンが無い。
俺は何気なく空を見上げた。
ピンが空高く舞っていて
そして勢いよく下降する。
「ズドォォォン!!!」
何かが爆発したような激しい音が鳴る
立っていたピンに直撃し、そのピンは
他のピンへと当たり更にそのピンは他のピンを倒す。
ル「結果は」
………
ル「6本倒れました!」
これで2投目は終了し
10対16という絶望的結果となった。
河童が5点出すだけで負けが確定する。
ゲ「もう駄目だ…」
俺は絶望した。
俺は妻に方を見た。
妻は何処かに電話しているようだった。
そして妻は電話を切り真剣なトーンで言った。
「ハゲしくぶつかりなさい!!!」
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