セフレに恋をした

東雲ゆめ

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13:はじめての……

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 スマホを握りしめ、店の外へ飛び出す。

「……もしもし――」
「――さとり?」
 ふいに名前を呼ばれ、ドキッとする。
「いま、どこにいる?」
「……神保町――」
「――ひとり?」
「――う――うん……」
「ちょうどよかった。少し早く練習が終わって――これから会わないか?」
 腕時計を見る。
 午後の3時。
 早川くんの寮の門限は7時だから、あと4時間くらい――。

「……わかった――」
 30分後に、渋谷で待ち合わせることにした。

 店に戻ったぼくは、
「ごめんなさい、急に用事ができて――」
 と言いながら、急いで荷物をまとめた。
「じゃあ、来週は今日の続きと――ここまで、やってきて」
 先生は、新しい付箋を貼ったテキストを渡してきた。
「わかりました」
「……どこに行くの?」
「渋谷です」
 とだけ答えたぼくは、じゃあまた、と頭を下げ、足早に店を出た。

 ――休日の渋谷の駅前。
 周囲より頭3つ分くらい抜き出た早川くんが、人混みの中歩いてくる。
 衣替えした紺色のブレザーと緑色のネクタイ、タータンチェックのズボンという冬服の制服姿。

 どんよりした灰色の空を見上げた早川くんは、
「……降りそうだな」
 とつぶやき、
「――行こうぜ」
 ぼくをいつものホテルに誘った。


 仰向けに横たわった早川くんの上に跨ったぼくは、ズブズブと入ってくる早川くんのペニスに、息を喘がせる。

「……ンッ……ふッ……ぅっ――んっ!」
 湿った抜きしの音と、突き上げられるモノの大きさ。

「すっげー、揺れてるぞ、里李のチンポ……」
「……いっ……やっ……!」
 いちばん感じるところをピンポイントで攻められ、腰が揺れる。
「めっちゃ、ガマン汁垂れてるじゃん」
 ペニスの先を、ピンッ、とはじかれる。
「……ひゃっ………!」
 跳ね上がった腰を引き寄せられ、角度を変えて挿入されて、
「ああッ!」
 と声が出る。

「そろそろ……出す――ぞっ……」
 早川くんは、ぼくの中に射精した。
 その数秒後、ぼくは、まったく触れてもいないペニスから、精液なのか何なのかわからない透明な液体を噴出させた。
 ――とまらない絶頂感。

「アッ……! アァッ……!?」
 ピクッ、ピクッ、と痙攣しながら、シーツにプシャーッとぶちまけたぼくは、これまで経験したことのない快感に頭のなかが真っ白になるのを感じた。
 ペニスを引き抜いた早川くんは、ゴムの口を縛って捨てる。
 ベッドに横たわったぼくを抱き上げ、
「――潮吹くほど気持ちよかったのか」
 と嬉しそうに微笑む。

「――え……?」
「おまえ、いま、出しただろ、潮」
「……な……に……?」
「いまのは潮吹きっていって、すげぇ感じたときに出るモンなんだぜ。……おまえ最近、後ろだけでイけるようになってきたよな」
 ぼくのお尻を両手で揉みしだき、
「――すんげぇ可愛い。可愛い……里李……」
 耳もとでささやく。

(……し――潮吹き……?)

 家に帰ったぼくは、そのことばを、ネットで検索した。
 まるで女のように、男性がオーガズムに達すること、とあった。

 ……女――ぼくは男で、女の子ではない。
 だけど、早川くんにとっては、ぼくは女の子の代わりなのかもしれない。
 いや――しれない、じゃなくて、きっとそうなのだろう。
 ヤッてみたら意外に面白くて、思うように変わっていくカラダを、気分転換に楽しむ――みたいな。

 ベッドに横たわったぼくは、枕の横にある白いイルカのぬいぐるみをぎゅっと両手で抱きしめた。
 水族館で早川くんにプレゼントしてもらったぬいぐるみ。
 
 もしかしたら――と想像する。

 早川くんに、他に好きな子ができたら、ぼくはあっさり捨てられるのかもしれない。
 LINEも繋がらなくなって、まるで何事もなかったかのように赤の他人に戻る。
 早川くんはあっという間にぼくのことを忘れて、可愛い女の子とデートを楽しんで、そしてそのうち、人気のバスケットボール選手になって、その子との間に赤ちゃんを授かり皆から祝福される結婚をして――。

 そんな未来――ぼくはどうするんだろう。



 いつか早川くんを忘れることができるんだろうか……?












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