セフレに恋をした

東雲ゆめ

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21:突然の告白

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 目覚めたとき、目の前に、早川くんの顔があった。
 背中に感じる、硬いベッドの感触。
 ぼんやりした頭で、あたりを見渡す。
 青い衝立で部屋の半分が仕切られた、白い壁の小さな部屋。

「……さとり――?」
 ぼくの目を覗き込んだユニフォーム姿の早川くんが、
「――大丈夫か?」
 と心配そうに聞いてくる。
 状況を把握できず、きょとん、とするぼくに、
「おまえ、倒れて医務室に運ばれたんだよ」
 早川くんは説明する。

「……試合が終わって――スタンドを見たらちょうどおまえが倒れるところで――すげーびっくりして、心臓が止まるかと思った……」

 ――あの声は、ほんとうに早川くんだったんだ。

「さっき来た医者が軽い貧血だろうって言ってたけど体調悪かったのか?」
 早川くんに支えられながら、ゆっくりと上体を起こしたぼくは、昨日までずっと寝込んでいたことを告白した。
 ベッドの端に腰を下ろした早川くんは、
「もしかしておれのせいか?」
 とすまなそうに言う。
「おれがこないだ、あんなムチャな抱き方したから――」
「ちがう――」
 ぼくは大きく首を振る。
「ちがう――早川くんのせいじゃない」
 早川くんは、ぼくの手首にある、元のデジタル時計を見た。
 その視線に気付いたぼくは、
「……あの時計はもう使わない」
 そうきっぱり口にした。

「――先生にも、時計はお返しします、ってあの次の日に連絡した。返したらもう先生には会わない」
「……里李――」
 早川くんは、ぼくを強く抱き寄せた。
「……ごめん――」
 くしゃくしゃとぼくの頭を撫で、
「――あの日――ほんとうはおれ、おまえにクリスマスプレゼントを買ってやりたいと思ってたんだ。……なのにあいつに先を越された気がして――おれが知らないところのおまえたちが会ってたのかと思ったら、なんだかすげー悔しくなって……」
「…………」
「――あとで死ぬほど後悔した。――あんなことして――ホント、最低だったよな、おれ――」
 ごめんな、とぼくの目を覗きこむ。

「……おれがわるかった。もうあんなことはぜったいしない。ほんとうに、ほんとうにごめん……」

 震える早川くんの瞳。
 宝石みたいにキレイに光るトパーズ色の――世界でいちばん大好きな、ぼくの宝物。

「試合――見に来てくれるか不安だったけど、おまえと約束したから頑張るしかないって思った――」
「うん……」
 うなずいたぼくは、
「すごくかっこよかったよ」
 と微笑む。
「見られてよかった――優勝、おめでとう」
 早川くんの首に手を回し、膝立ちで軽く伸び上がり、その唇にそっと唇を触れる。

 はじめての――ぼくからのキス。

 キスのあと、早川くんは、目を大きく瞬いて、ぼくを見た。
「……なんか――すげーごほうび、もらった気がするな……」
 照れたように親指の腹で唇をさわってから、
「……ああ、もう……」
 たまりかねたようにつぶやき、
「――もっとちゃんとしたシチュエーションで告白したかったけど――もう、いい」

 ぼくをぎゅっと強く抱きしめ、
「……好きだ」
 そうひとこと、言った。

「おまえのことが――――大好きだ」









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