21 / 36
21:突然の告白
しおりを挟む
目覚めたとき、目の前に、早川くんの顔があった。
背中に感じる、硬いベッドの感触。
ぼんやりした頭で、あたりを見渡す。
青い衝立で部屋の半分が仕切られた、白い壁の小さな部屋。
「……さとり――?」
ぼくの目を覗き込んだユニフォーム姿の早川くんが、
「――大丈夫か?」
と心配そうに聞いてくる。
状況を把握できず、きょとん、とするぼくに、
「おまえ、倒れて医務室に運ばれたんだよ」
早川くんは説明する。
「……試合が終わって――スタンドを見たらちょうどおまえが倒れるところで――すげーびっくりして、心臓が止まるかと思った……」
――あの声は、ほんとうに早川くんだったんだ。
「さっき来た医者が軽い貧血だろうって言ってたけど体調悪かったのか?」
早川くんに支えられながら、ゆっくりと上体を起こしたぼくは、昨日までずっと寝込んでいたことを告白した。
ベッドの端に腰を下ろした早川くんは、
「もしかしておれのせいか?」
とすまなそうに言う。
「おれがこないだ、あんなムチャな抱き方したから――」
「ちがう――」
ぼくは大きく首を振る。
「ちがう――早川くんのせいじゃない」
早川くんは、ぼくの手首にある、元のデジタル時計を見た。
その視線に気付いたぼくは、
「……あの時計はもう使わない」
そうきっぱり口にした。
「――先生にも、時計はお返しします、ってあの次の日に連絡した。返したらもう先生には会わない」
「……里李――」
早川くんは、ぼくを強く抱き寄せた。
「……ごめん――」
くしゃくしゃとぼくの頭を撫で、
「――あの日――ほんとうはおれ、おまえにクリスマスプレゼントを買ってやりたいと思ってたんだ。……なのにあいつに先を越された気がして――おれが知らないところのおまえたちが会ってたのかと思ったら、なんだかすげー悔しくなって……」
「…………」
「――あとで死ぬほど後悔した。――あんなことして――ホント、最低だったよな、おれ――」
ごめんな、とぼくの目を覗きこむ。
「……おれがわるかった。もうあんなことはぜったいしない。ほんとうに、ほんとうにごめん……」
震える早川くんの瞳。
宝石みたいにキレイに光るトパーズ色の――世界でいちばん大好きな、ぼくの宝物。
「試合――見に来てくれるか不安だったけど、おまえと約束したから頑張るしかないって思った――」
「うん……」
うなずいたぼくは、
「すごくかっこよかったよ」
と微笑む。
「見られてよかった――優勝、おめでとう」
早川くんの首に手を回し、膝立ちで軽く伸び上がり、その唇にそっと唇を触れる。
はじめての――ぼくからのキス。
キスのあと、早川くんは、目を大きく瞬いて、ぼくを見た。
「……なんか――すげーごほうび、もらった気がするな……」
照れたように親指の腹で唇をさわってから、
「……ああ、もう……」
たまりかねたようにつぶやき、
「――もっとちゃんとしたシチュエーションで告白したかったけど――もう、いい」
ぼくをぎゅっと強く抱きしめ、
「……好きだ」
そうひとこと、言った。
「おまえのことが――――大好きだ」
背中に感じる、硬いベッドの感触。
ぼんやりした頭で、あたりを見渡す。
青い衝立で部屋の半分が仕切られた、白い壁の小さな部屋。
「……さとり――?」
ぼくの目を覗き込んだユニフォーム姿の早川くんが、
「――大丈夫か?」
と心配そうに聞いてくる。
状況を把握できず、きょとん、とするぼくに、
「おまえ、倒れて医務室に運ばれたんだよ」
早川くんは説明する。
「……試合が終わって――スタンドを見たらちょうどおまえが倒れるところで――すげーびっくりして、心臓が止まるかと思った……」
――あの声は、ほんとうに早川くんだったんだ。
「さっき来た医者が軽い貧血だろうって言ってたけど体調悪かったのか?」
早川くんに支えられながら、ゆっくりと上体を起こしたぼくは、昨日までずっと寝込んでいたことを告白した。
ベッドの端に腰を下ろした早川くんは、
「もしかしておれのせいか?」
とすまなそうに言う。
「おれがこないだ、あんなムチャな抱き方したから――」
「ちがう――」
ぼくは大きく首を振る。
「ちがう――早川くんのせいじゃない」
早川くんは、ぼくの手首にある、元のデジタル時計を見た。
その視線に気付いたぼくは、
「……あの時計はもう使わない」
そうきっぱり口にした。
「――先生にも、時計はお返しします、ってあの次の日に連絡した。返したらもう先生には会わない」
「……里李――」
早川くんは、ぼくを強く抱き寄せた。
「……ごめん――」
くしゃくしゃとぼくの頭を撫で、
「――あの日――ほんとうはおれ、おまえにクリスマスプレゼントを買ってやりたいと思ってたんだ。……なのにあいつに先を越された気がして――おれが知らないところのおまえたちが会ってたのかと思ったら、なんだかすげー悔しくなって……」
「…………」
「――あとで死ぬほど後悔した。――あんなことして――ホント、最低だったよな、おれ――」
ごめんな、とぼくの目を覗きこむ。
「……おれがわるかった。もうあんなことはぜったいしない。ほんとうに、ほんとうにごめん……」
震える早川くんの瞳。
宝石みたいにキレイに光るトパーズ色の――世界でいちばん大好きな、ぼくの宝物。
「試合――見に来てくれるか不安だったけど、おまえと約束したから頑張るしかないって思った――」
「うん……」
うなずいたぼくは、
「すごくかっこよかったよ」
と微笑む。
「見られてよかった――優勝、おめでとう」
早川くんの首に手を回し、膝立ちで軽く伸び上がり、その唇にそっと唇を触れる。
はじめての――ぼくからのキス。
キスのあと、早川くんは、目を大きく瞬いて、ぼくを見た。
「……なんか――すげーごほうび、もらった気がするな……」
照れたように親指の腹で唇をさわってから、
「……ああ、もう……」
たまりかねたようにつぶやき、
「――もっとちゃんとしたシチュエーションで告白したかったけど――もう、いい」
ぼくをぎゅっと強く抱きしめ、
「……好きだ」
そうひとこと、言った。
「おまえのことが――――大好きだ」
0
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの二人は、スキルを得た事で魔王討伐に旅立つ勇者と彼の帰還を待つだけのただの親友となる。
勇者と親友の無自覚両片想いのじれったい恋愛の物語。
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
学校一のイケメンとひとつ屋根の下
おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった!
学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……?
キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子
立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。
全年齢
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる