セフレに恋をした

東雲ゆめ

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31:LONG ROAD

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「アッ……! あぁっ……!」

 早川くんの頭を両手でつかんだまま、ぼくはイッてしまった。

 ぼくのペニスを咥えて話さない早川くんに、

(えっ……ほ、ほんとうに?)

 ぼくはあぜんとする。

 ぼくの精液を飲んだ早川くんは、唇の端をぬぐってから、ぼくの股間から身を起こし、

「――おまえのを飲んだのははじめてだな」
 楽しそうに笑う。

「おまえには、すごくたくさん、飲ませてきたのにな」

「……ご――ごめん……」

「なんでだよ。あやまることじゃないだろ?」

 だけどやっぱちょっとまずいな、と舌を出した早川くんは、冷蔵庫からミネラルウォーターを出し、ゴクゴク飲んだ。

 そのボトルをサイドテーブルに置いてから、ベッドに座り、ぼくの肩を抱き寄せ、
「――キスして」
 と言ってくる。

 甘い瞳の魔法にかかったぼくは、そのリクエストを受け入れる。

 ……厚みを増した、早川くんのカラダ。
 プロになって、さらにたくさんのトレーニングしているのだろう。
 その逞しさに、ぼくの胸は高鳴る。

「……どうした?」
 キスのあと、胸に顔をうずめていたぼくに早川くんは聞く。

「早川くんの匂い――」
 スンスンと黒のロングTシャツに鼻を近づけ、
「なんかすごい――アロマみたいないい香りがする……」

「ああ……」
 ぼくの髪を撫で、
「なんつったっけな、ジョーなんちゃらっていう香水――先輩に教えてもらったんだよ。人前に出るなら、それなりのものを身につけろってさ」
 と言う。

「そうなんだ……」
 そういえば、サングラスも、高級ブランドの物だった。

「……でもおまえもすげぇいい匂いするぜ」
 早川くんはぼくの髪を嗅ぐ。

「……はじめて会ったときも思った。おまえが痴漢されてたとき……」
 遠い記憶をたどるように、
「香水とかじゃなくてもっとふんわりした――せっけんみたいな? 清潔感のある、いい香りだった」
「……そうだった?」
「あぁ。だからあんなヘンタイを引き寄せちまうんだよな……――大学に入ったら伊達メガネとかしたらどうだ?」
「そ――そうかな……?」

「そう。ヘンな虫つかないか、マジで心配」
 ぼくをぎゅっと腕のなかに囲い、
「……ま、いちばんでっかい虫は、おれなのかもしれないけどな」
 ふっと自虐的に微笑む。

「……そういえばあのとき、おれ、おまえが痴漢されてるところ、録画したって言ったじゃん?」
「うん……」
「あれさ、ウソだったんだ」
「えっ……?」
 顔を上げたぼくに、
「そんなヒマなかった。びっくりして――ただ、おまえのこと――どうしてもモノにしたくて……」
「…………」
「ごめん、脅すみたいなマネして――きっと、あのときからもう――おれはおまえに恋してたんだと思う」

 あの日の場面が、走馬灯のようによみがえる。
「ぼくも……」
 ぼくは早川くんに抱きつく。
「ぼくも早川くんのこと――はじめて会ったときから、好きだった……」

 ――長い長い回り道をして。
 一度つながった道の先でたもとを分け、そしてまた同じところに戻ってきた。
 あまりに不器用で幼かったぼくらの恋。

 だけど、いまは――――
 





  
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